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番外編
22 王妃 リリー視点
その日の夕方、王妃に会った。
初めて見る愛する人の正妻。
陛下が私以外の女と夜を共にしていると考えると狂いそうだったが、こればっかりは仕方が無い。
彼はこの国の王で、身分の高い女性と結婚する必要がある。
それだけではない、世継ぎを残すために多くの女性と寝ることを求められる場合もあるだろう。
(大丈夫よ……何も心配することは無いわ……私はこの女よりも彼に愛されてるんだから……)
どうせそこに愛は無いのだからと考えると、寸でのところで何とか耐えられた。
「初めまして、王妃陛下」
彼の正妻はウェーブのかかったブロンドに、青い瞳をしている凛とした女だった。
一般的に見れば美人の部類なのだろう。
身分も高く、貴族たちからの評判も良いらしい。
しかし、完璧すぎる彼を見た後では全てが凡庸のように思える。
(美しい人だけれど、彼に相応しいとは言えないわ)
彼の隣に立つべきなのは、彼に相応しいのはこの世界では私一人だけ。
他の女では駄目なのだ。
陛下だって私を望んでいるし、私も陛下を望んでいる。
ただ身分が釣り合うからという理由だけで彼と結ばれたこの女とは違って、私たちは相思相愛だ。
王妃は私を見ると、無表情のまま口を開いた。
「貴方が陛下の寵姫になったという……」
「はい、王妃陛下。リリーと申します」
「姓は?」
「平民なのでございません」
「そう……」
王妃が哀れみを含んだような目で私を見た。
本当に屈辱だった。
(何よこの女!いちいちムカつくわ!)
いちいち姓を聞くだなんて何のつもりだ。
きっと私が平民だからと見下しているのだろう。
彼の正妻であることも加えて、どこまでもムカつく女だ。
王妃は私を頭からつま先までまじまじと見つめると、口元に笑みを浮かべた。
「早く王宮での暮らしに慣れると良いですわね」
「……お気遣いいただきありがとうございます、王妃陛下」
それだけ言うと、彼女は侍女を引き連れて目の前から去って行った。
嫌味の一つでも言われるかと思ったが、先ほどの様子からして王妃は夫の最愛の人である私に対して何の感情も抱いていないようだった。
(……一体何のつもり?考えていることが全く分からないわ)
王妃の行動、言動の一つ一つが私を酷く苛立たせた。
醜い嫉妬でもされたら気持ちが良かったのに、何故あんなにも私に無関心なのか。
夫の愛人に優しくする正妻なんて聞いたことが無い。
近くにいた使用人たちが口々に話し始める。
「王妃陛下は相変わらずとてもお優しいのね」
「ああ、あの方が王妃で本当に良かったよ」
「国王陛下ともとてもお似合いだし……まさに理想の夫婦ね」
「……」
――あの二人が理想の夫婦だって?
馬鹿なことを言わないでほしい。
彼に相応しいのはこの世で私だけだ。
(ありえない……そんなの絶対にありえないわ……彼の隣に立っていいのは私だけなのよ……)
この頃から、私は王妃に激しい対抗心を燃やすようになった。
初めて見る愛する人の正妻。
陛下が私以外の女と夜を共にしていると考えると狂いそうだったが、こればっかりは仕方が無い。
彼はこの国の王で、身分の高い女性と結婚する必要がある。
それだけではない、世継ぎを残すために多くの女性と寝ることを求められる場合もあるだろう。
(大丈夫よ……何も心配することは無いわ……私はこの女よりも彼に愛されてるんだから……)
どうせそこに愛は無いのだからと考えると、寸でのところで何とか耐えられた。
「初めまして、王妃陛下」
彼の正妻はウェーブのかかったブロンドに、青い瞳をしている凛とした女だった。
一般的に見れば美人の部類なのだろう。
身分も高く、貴族たちからの評判も良いらしい。
しかし、完璧すぎる彼を見た後では全てが凡庸のように思える。
(美しい人だけれど、彼に相応しいとは言えないわ)
彼の隣に立つべきなのは、彼に相応しいのはこの世界では私一人だけ。
他の女では駄目なのだ。
陛下だって私を望んでいるし、私も陛下を望んでいる。
ただ身分が釣り合うからという理由だけで彼と結ばれたこの女とは違って、私たちは相思相愛だ。
王妃は私を見ると、無表情のまま口を開いた。
「貴方が陛下の寵姫になったという……」
「はい、王妃陛下。リリーと申します」
「姓は?」
「平民なのでございません」
「そう……」
王妃が哀れみを含んだような目で私を見た。
本当に屈辱だった。
(何よこの女!いちいちムカつくわ!)
いちいち姓を聞くだなんて何のつもりだ。
きっと私が平民だからと見下しているのだろう。
彼の正妻であることも加えて、どこまでもムカつく女だ。
王妃は私を頭からつま先までまじまじと見つめると、口元に笑みを浮かべた。
「早く王宮での暮らしに慣れると良いですわね」
「……お気遣いいただきありがとうございます、王妃陛下」
それだけ言うと、彼女は侍女を引き連れて目の前から去って行った。
嫌味の一つでも言われるかと思ったが、先ほどの様子からして王妃は夫の最愛の人である私に対して何の感情も抱いていないようだった。
(……一体何のつもり?考えていることが全く分からないわ)
王妃の行動、言動の一つ一つが私を酷く苛立たせた。
醜い嫉妬でもされたら気持ちが良かったのに、何故あんなにも私に無関心なのか。
夫の愛人に優しくする正妻なんて聞いたことが無い。
近くにいた使用人たちが口々に話し始める。
「王妃陛下は相変わらずとてもお優しいのね」
「ああ、あの方が王妃で本当に良かったよ」
「国王陛下ともとてもお似合いだし……まさに理想の夫婦ね」
「……」
――あの二人が理想の夫婦だって?
馬鹿なことを言わないでほしい。
彼に相応しいのはこの世で私だけだ。
(ありえない……そんなの絶対にありえないわ……彼の隣に立っていいのは私だけなのよ……)
この頃から、私は王妃に激しい対抗心を燃やすようになった。
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