貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの

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天国 リサside

どうすれば王妃フィオナ様のようになれるだろうか?


あたしは一日中頭をフル回転させて考えたが結局何も思い浮かばなかった。


王妃フィオナ様は絶世の美女だったと聞く。


だから王様に見初められて王妃様となった。


あたしは男爵領の領民の中では可愛い方だが絶世の美女というほどではない。


はぁ・・・やっぱり平民が王妃になるだなんて無理なのかしら・・・。


貴族令嬢を見るたびにあたしは憧れを抱く。


苦労なんてしたこともなさそうで。


「おい、リサ。」


考え込むあたしに声をかけたのはジャックだ。


「何よ、ジャック。またあたしを馬鹿にしにきたの?」


ジャックはかなり失礼な奴だ。


またあたしをからかいにきたのかもしれない。


「そんなんじゃねえって。実は明日この村に男爵家の令息様が視察に来るんだとよ。」


男爵家の令息が視察に・・・?


「ふぅん。」


あたしは興味無さそうに返事をした。


「何だよ。お前の憧れのお貴族様が来るっていうのに興味なさそうだな。」


ジャックは不思議そうな顔であたしに言った。


「あたしが憧れてるのは王子様なのよ!男爵家だなんて貴族序列最下位じゃない。ありえないわ。」


あたしが憧れてるのは王子様だ。


男爵家に興味はない。


あぁ、せっかくなら王子様がここへ来てくれたらいいのにな。


「まだそんなこと言ってるのかお前。」


ジャックは呆れたような顔をしている。


その顔にあたしはムカついた。


見てなさいよ、ジャック―!







そして次の日。


今日は男爵家のご令息が視察に来る日だ。


男爵家の令息に興味なんてないから普段通りでいいだろう。


あたしはそう思い、いつもと同じように仕事をした。


視察に訪れた男爵家の令息はいかにも平凡って感じの男だった。


仕事はできるらしいが、茶髪でかなり地味な見た目をしている。


あんなのないわ。


あたしはそう思いながら仕事を続けた。


しかし、予想外のことが起こったのだ。


男爵家の令息が何故だかあたしにばかり話しかけてくるのだ。


「お名前は何と言うのですか?」


男爵令息はさわやかな笑顔であたしに尋ねた。


「あ、えっと・・・リサって言います・・・。」


何故そんなことを聞いてくるんだろう?


そう思いながらもあたしは返した。


「とっても素敵なお名前ですね。」


そう言って男爵令息は微笑んだ。


本当に何なの?この人一体何が目的なの?


そして視察が終わり、男爵令息は邸宅へと帰っていった。


それからの男爵令息は週に一度、必ずこの村を訪れるようになった。


「リサ。この花を貴方に。」


そして男爵令息はここに来るたびにあたしに花などを贈ってくるようになった。


「え、あ、ありがとうございます・・・?」


あたしがお礼を言うと男爵令息は優しく微笑む。


何でこんなことをしてくるんだろう?


もしかしてあたしのことが好きなのかな?


あたし男爵令息に見初められたの?


もしかしたらプロポーズされるかも・・・。






そしてその時は突然やってきた。


「リサ。視察であなたを一目見た時からずっとあなたが好きでした。どうか私と結婚してくれませんか?」


あたしは本当にプロポーズされてしまったのだ。


ど、どうしよう・・・何か言わなきゃ・・・。


「え、えっと・・・はい・・・。」


あたしが受け入れると男爵令息はパァッと顔を輝かせて私を抱きしめた。


男爵令息のことが好きというわけではなかったが、その場の雰囲気的に断れなかった。


それに、男爵令息と結婚すれば今よりも良い暮らしが出来るかもしれないと思った。


周りからキャーと歓声が上がる。


あれだけあたしを馬鹿にしていたジャックは驚いた表情であたしを見つめている。


それと同時に同じ村の女たちの羨むような視線があたしに向けられた。


それだけは気持ちが良かった。




それからはトントン拍子で話が進んだ。


すぐにお互いの両親に挨拶に行き、あたしは男爵邸に住むことになった。


そこでの生活はまさに天国だった。


何もしなくても美味しい食事が食べられるし、美しく着飾ることが出来た。


畑仕事なんてしなくてもいい。


あたしは気に入ったドレスや宝石をたくさん注文した。


初めて着ける高価なアクセサリーに胸が高鳴った。


あぁ、なんて幸せなの・・・!


だが、そんな幸せな生活も長くは続かなかった。


「リサ。最近浪費が激しくないか?しばらくドレスや宝石を買うのは控えてくれ。」


男爵令息があたしに苦言を呈してきたのだ。


何よ、ムカつくわね。


「男爵令息様は、私のことがお嫌いになったのですか?」


あたしは目に涙をためて男爵令息を見つめる。


すると男爵令息はたちまち頬を染める。


「そ、そういうわけではないが・・・。」


チョロい。チョロすぎる。


男爵令息はこれをすれば何でもあたしの言うことを聞いてくれる。


もうあたしの言いなりってかんじ?


お貴族様があたしにメロメロだ。


それが面白かった。







だけど、やはりお金は使うと無くなるものだ。


あたしはもう自由にドレスや宝石を買えなくなってしまった。


まだまだほしい物がたくさんあるのに。


あたしは男爵家での今の生活に嫌気が差していた。


挨拶に行った時あれほど優しくしてくれた義理の両親は男爵家が困窮しているのはお前のせいだとあたしを責めた。


それからは義理の両親や男爵令息と衝突することが増えた。


もう、うるさいわね。あんたたちにお金がないのが悪いんでしょ。


そんなことを考えながら男爵邸を歩いていると、誰かの話し声が聞こえた。


声のする方を見ると、いかにも貴族って感じの男の人が2人話していた。


「マーカスの婚約者を見たか?」


マーカスというのは男爵令息の名前だ。


「あぁ、見た見た。可愛らしいお嬢さんだったな。」


え、それってあたしのこと・・・?


「なんていうか守ってあげたくなるよな!」


守ってあげたくなるだなんて・・・


「俺の婚約者もああいう子だったらよかったのにな。」


「あー、お前の婚約者なんというか・・・ツンケンしてるもんな。」


「そうなんだよな・・・。伯爵家の令嬢なんだが、気位が高くて可愛げがないんだ。」


「伯爵家の令嬢だと婚約解消は難しいか・・・。」


「そうだな。出来ることなら婚約を解消したい。」


どうやらその人の婚約者は高位貴族のご令嬢らしい。


あたしはその話を聞いて嬉しくなった。


高貴なお嬢様よりも、あたしのほうがいいんだって。


伯爵家の令嬢に勝ったんだ、あたし。


それと同時にある考えが頭をよぎった。


あたしはもっと高みを目指せるのでは・・・?


高位貴族や王子も落とせるのでは・・・?


そう考えたあたしはすぐに男爵邸を出ることにした。


あたしは部屋に戻り、荷物をまとめる。


「リサ!そんな格好して一体どこへ・・・!?」


途中で男爵令息とすれ違い、声をかけられた。


「今日限りでここを出て行くわ。」


あたしは冷たい声で男爵令息にそう言った。


「なっ!?なんでそんな急に!!!」


男爵令息はあたしに声を荒げた。


「だってもうここにいる意味がないんだもの。あたしは贅沢がしたくてここに来たのにあなたはあたしに何も買ってくれないじゃない。」


あたしがハッキリとそう言うと男爵令息は怒りの表情を浮かべた。


「なんだと!?誰のせいで男爵家が困窮していると・・・!」


男爵令息が何かを言ってきたが、あたしは無視をした。


男爵令息は浪費が激しいあたしに既に愛想尽きていたのか、追いかけてはこなかった。


あたしの人生はここから始まる。


あたしは男爵邸を出て馬車に乗り込む。


向かうは王都。


あたしはもっと高みを目指せるんだから―


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