虐げられた新妻は義理の家族への復讐を決意する

ましゅぺちーの

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33 彼女の本性

「オーレリア様……」
「奥様、大変なことになりましたね」


彼女は不気味な笑みを浮かべながらゆっくりと私に近付いてくる。
そして私の手を両手でギュッと握った。


「旦那様と奥様が、大怪我をしたと聞きました……」
「ええ、そのようですね……」


オーレリアはわざとらしく目に涙を浮かべた。
いつもと変わらないはずなのに、何故か妙な違和感を感じる。


「今、お見舞いに行こうと思っていたところです……」
「あら、そうだったんですね」
「よかったら、オーレリア様も一緒に行きませんか?」


その言葉にオーレリアはピクリと反応した。


「私が行っても旦那様と奥様は喜ばれないでしょうし……やめておきますわ」


それだけ言うと、彼女は一礼したあと、この場を立ち去ろうと私から背を向けた。
私はそんなオーレリアに慌てて声をかけた。


「オーレリア様、一人で行動したら危ないですよ。まだ犯人が捕まっていないので……」
「あら、お気遣いありがとうございます。でも私は平気ですわ。私が狙われることはありませんので」


(私が狙われることはないって……どうしてそんなことが分かるの……?)


あまりにも不自然だった。
そのとき、背後から物音がした。
誰かが自分を襲おうとしているのではないかと身構えて振り返ると、そこにいたのは――


「ウィルベルト様……?」
「……」


柱の陰から姿を現したのは何とウィルベルトだった。
彼は疲れ切った様子でゆっくりとこちらへ歩いてきた。


(もしかして、今のやりとりを聞いていたのかしら……?)


「ウィルベルト様、誤解なさらないでほしいのですが、今のは私からオーレリア様に声をかけたわけでは――」


言い終わる前に、ウィルベルトが私の腕をつかんだ。


「ウィ、ウィルベルト様……?」


驚いて彼を見るも、ウィルベルトは気にも留めず私の腕をつかんだまま歩き出した。


「ちょ、どこに行くんですか!」
「……」


振り払おうとするも、彼の手はビクともせず、私はそのまま連れていかれるほかなかった。


強引に連れてこられたのはウィルベルトの自室だった。
私たちは夫婦の営みをしたことなど一度もないため、当然彼の自室には入ったことがない。


部屋に入ると、ウィルベルトは私をベッドに投げた。


「キャッ!」


そして彼はゆっくりと私に近付いてくる。
襲われる――と思いギュッと目を閉じた。


そのすぐあとに、ドサッと何かが倒れるような音が横で聞こえた。


「ウィルベルト様……?」
「……疲れた」


ウィルベルトは私に触れることなく、すぐ横ですやすやと吐息をたてて寝始めた。


(ど、どういう状況……?)


すぐに部屋を出ようと体を起こすが、ウィルベルトが手を掴んだまま離さなかった。
私は仕方なく、横に留まることにした。


隣で眠るウィルベルトの目の下にはクマがあり、あまり寝れていないのだということが伝わってくる。


(そういえば、ウィルベルト様は事件が起こってからずっと調査をしているんだったわね……)


公爵邸の中で、それも両親に起こったことだ。
気が気ではないのだろう。


いや、もしかしたら彼も内心気付いているのかもしれない。
一連の事件の犯人が、全てオーレリアだということに――



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