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26 無能な王
私はフレイアの部屋を出て王宮の廊下を歩いていた。
「……」
私の胸に後悔と絶望が押し寄せてくる。
フレイアは最初から私を愛していなかった。
いやそれに関しては別にどうだっていい。
(フランチェスカ……)
まさかフレイアがあんなことを考えているとは思わなかった。
ただ我儘で世間知らずなだけだと思っていたがそうではなかったようだ。
美しい容姿に反して性格は最悪だった。
侍従の言っていたことは間違いではなかったのだ。
(……本当に、何で私はあんな女に恋をしていたのだろうか)
フランチェスカが亡くなってからはそればかりを考えるようになった。
しかし、いくら考えても答えは出なかった。
それに、フレイアとの記憶が曖昧であまり思い出せない。
フランチェスカとの記憶はどれだけ昔でも鮮明に思い出せるのに。
私はそんなことを考えながら王宮の廊下を歩き続けた。
その途中で何人もの侍女や騎士たちとすれ違った。
彼らは皆私を冷たい目で見ている。
無能な王に呆れ果てているのだろう。
『親殺し』
『無能』
『生きてる価値無い』
誰かがすれ違うたびに私を侮辱する言葉が耳に入ってくる。
(……)
しかしすれ違う侍女たちは何も言っていない。
なら今のは彼らの心の声だろうか。
フランチェスカのことを悪く言われたときはあれほど苛立ったのに自分の悪口はやはり平気なんだなと改めて思った。
私はそういうことを言われて当然の人間だ。
自分を擁護するつもりはないし、やったことを正当化するつもりもない。
そう思いながら王宮の廊下の角を曲がろうとしたとき、女性の悲痛な叫び声が聞こえてきて思わず足を止めた。
「――もう嫌よ!!!耐えられないわ!!!」
「リーリア落ち着いて!」
(…………何だ?)
どうやら曲がり角の先に二人の女性がいるらしい。
そのうちの一人は完全に取り乱している。
「私もうあの人の世話嫌よ!!!」
「リーリア……」
(……)
名前は出していないが、私は誰のことを言ってるのかすぐに分かった。
おそらく二人は王宮に勤めている侍女だ。
そしてその片方はフレイアの身の回りの世話を担当しているのだろう。
私の危惧した通り、彼女は周りに迷惑をかけて暮らしているようだ。
「あの人気に入らないことがあると物を投げつけてくるのよ!今日はそれで手を切られたわ!」
(……)
どうやら私が思っていたよりも状況は悪かったらしい。
早く彼女を何とかしなければ。
「私は貴族令嬢よ!?何であんな平民の女が王宮で威張り散らしてるのよ!!!」
「リーリア……それは私も思うけど……そんなことを言ってはいけないわ……」
もう片方が声を荒げる侍女を宥めるようにしてそう言った。
しかしリーリアという侍女の怒りが収まることは無かった。
「もう!こうなったのも全部陛下のせいよ!」
「リーリア!」
(……)
侍女は我慢の限界に達したのか、怒り任せに声を荒げた。
「だって本当のことじゃない!陛下があんな女を王宮に連れてきたからこうなったのよ!あの女のどこらへんがフランチェスカ様よりも良かったのよ!」
(……)
「王宮であんなに好き勝手してるのに陛下はいつまでもあの女を野放しにしているし!」
(……)
「何で私がこんな辛い目に遭わなきゃいけないのよ!家のために働きに来ただけなのに!」
(……)
「――ああ、もういっそ、二人まとめて死んでくれないかしら」
(……)
「やめなさい!リーリア!陛下の悪口を言ってはいけないわ!」
リーリアという侍女の発言にもう一人の侍女が怒声を上げた。
「ッ……!ごめん……」
その言葉で彼女はようやく正気を取り戻したのか、静かになった。
そんな彼女に、もう一人の侍女が優しく言った。
「次の仕事は私が代わりにやっておくから。あなたは休んでて」
「……ありがとう」
二人の侍女はそのままその場から立ち去った。
一方私はというと、しばらくそこから動けずにいた。
「……」
私の胸に後悔と絶望が押し寄せてくる。
フレイアは最初から私を愛していなかった。
いやそれに関しては別にどうだっていい。
(フランチェスカ……)
まさかフレイアがあんなことを考えているとは思わなかった。
ただ我儘で世間知らずなだけだと思っていたがそうではなかったようだ。
美しい容姿に反して性格は最悪だった。
侍従の言っていたことは間違いではなかったのだ。
(……本当に、何で私はあんな女に恋をしていたのだろうか)
フランチェスカが亡くなってからはそればかりを考えるようになった。
しかし、いくら考えても答えは出なかった。
それに、フレイアとの記憶が曖昧であまり思い出せない。
フランチェスカとの記憶はどれだけ昔でも鮮明に思い出せるのに。
私はそんなことを考えながら王宮の廊下を歩き続けた。
その途中で何人もの侍女や騎士たちとすれ違った。
彼らは皆私を冷たい目で見ている。
無能な王に呆れ果てているのだろう。
『親殺し』
『無能』
『生きてる価値無い』
誰かがすれ違うたびに私を侮辱する言葉が耳に入ってくる。
(……)
しかしすれ違う侍女たちは何も言っていない。
なら今のは彼らの心の声だろうか。
フランチェスカのことを悪く言われたときはあれほど苛立ったのに自分の悪口はやはり平気なんだなと改めて思った。
私はそういうことを言われて当然の人間だ。
自分を擁護するつもりはないし、やったことを正当化するつもりもない。
そう思いながら王宮の廊下の角を曲がろうとしたとき、女性の悲痛な叫び声が聞こえてきて思わず足を止めた。
「――もう嫌よ!!!耐えられないわ!!!」
「リーリア落ち着いて!」
(…………何だ?)
どうやら曲がり角の先に二人の女性がいるらしい。
そのうちの一人は完全に取り乱している。
「私もうあの人の世話嫌よ!!!」
「リーリア……」
(……)
名前は出していないが、私は誰のことを言ってるのかすぐに分かった。
おそらく二人は王宮に勤めている侍女だ。
そしてその片方はフレイアの身の回りの世話を担当しているのだろう。
私の危惧した通り、彼女は周りに迷惑をかけて暮らしているようだ。
「あの人気に入らないことがあると物を投げつけてくるのよ!今日はそれで手を切られたわ!」
(……)
どうやら私が思っていたよりも状況は悪かったらしい。
早く彼女を何とかしなければ。
「私は貴族令嬢よ!?何であんな平民の女が王宮で威張り散らしてるのよ!!!」
「リーリア……それは私も思うけど……そんなことを言ってはいけないわ……」
もう片方が声を荒げる侍女を宥めるようにしてそう言った。
しかしリーリアという侍女の怒りが収まることは無かった。
「もう!こうなったのも全部陛下のせいよ!」
「リーリア!」
(……)
侍女は我慢の限界に達したのか、怒り任せに声を荒げた。
「だって本当のことじゃない!陛下があんな女を王宮に連れてきたからこうなったのよ!あの女のどこらへんがフランチェスカ様よりも良かったのよ!」
(……)
「王宮であんなに好き勝手してるのに陛下はいつまでもあの女を野放しにしているし!」
(……)
「何で私がこんな辛い目に遭わなきゃいけないのよ!家のために働きに来ただけなのに!」
(……)
「――ああ、もういっそ、二人まとめて死んでくれないかしら」
(……)
「やめなさい!リーリア!陛下の悪口を言ってはいけないわ!」
リーリアという侍女の発言にもう一人の侍女が怒声を上げた。
「ッ……!ごめん……」
その言葉で彼女はようやく正気を取り戻したのか、静かになった。
そんな彼女に、もう一人の侍女が優しく言った。
「次の仕事は私が代わりにやっておくから。あなたは休んでて」
「……ありがとう」
二人の侍女はそのままその場から立ち去った。
一方私はというと、しばらくそこから動けずにいた。
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