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75 ローレンの裏側
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ローレン王を降参させた後、私は一人ローレン王宮の中を歩いていた。
「陛下、国境付近の兵士たちの鎮圧を終えました」
「ご苦労だった、撤退しようとするローレンの軍を無理に追うな。この戦争はもう終わった」
魔道具で公爵に指示を出しながらも私は歩き続けた。
今さっき自分が歩いていた道に目をやるとポタポタと床に血が垂れていた。
「ふぅ……」
戦争が無事に終わったという安堵感からか、体の力が一気に抜けていく。
しかしこんなところで寝るわけにはいかない。
どうやら私が公爵を倒し、ローレンへと向かっている最中にウィルベルトの騎士たちはローレン軍の鎮圧を終えたようだった。
これが本来のウィルベルト王国とローレン王国の力の差である。
ただ単にレスタリア公爵が規格外だったというだけで。
本当に強敵だったなと思う。
王宮のいたるところに兵士や騎士たちが倒れている。
彼らは別に死んではいない。
ただ気絶させただけだ。
自分に向かってきた敵を何故殺さなかったのかと聞かれれば上手く説明出来ないが、彼らはただ命令を忠実に守っていただけである。
それにわざわざ一人一人殺してる時間も無かった。
この戦争はお互いに被害者を出し過ぎた。
これ以上の犠牲はどちらも望んでいないだろう。
そんなことを考えていたそのとき、突然地下から物音がした。
「ん……?」
普通の人間ならば聞き取れないだろうが、私はかなり耳が良い方だった。
(何だ……?誰かいるのか……?)
気になった私は地下への扉をそっと開けた。
その扉は普段は厳重に施錠されているようだったが、激しい戦いの最中鍵が壊れてしまったらしくすんなりと開いた。
扉を開けると、そこには地下へ続く階段があった。
(……行ってみるか)
国へ戻ったら戦争の後処理をしなくてはならないというのに、何故だか足が勝手に階段を下りていく。
ほどなくして、誰かの話し声が聞こえてきた。
「ローレン王がウィルベルト王国に戦争を仕掛けたらしい……」
「え、あのウィルベルト王国にか?」
「そんな!小国であるローレンがウィルベルト王国に勝てるはずがない!この国はどうなってしまうんだ……」
階段を一段一段下りていくたびに声は大きくなっていく。
しばらくして、ある部屋の前に辿り着いた。
どうやら声はこの中から聞こえてきているようだ。
「……」
私はゆっくりと部屋の扉を開けた。
「「「!?」」」
部屋の中にいた人物が一斉に私に視線を向けた。
「あ、貴方は……!?」
「まさかウィルベルトの騎士が私たちを殺しに来たのか!?」
「ああ……ついにローレンは負けたのか……」
「……」
私は私の姿を見て絶望している彼らを警戒しながらも部屋の中を注意深く観察した。
(ここは……研究室か……?)
机の上には試験管やスポイトが散乱している。
薬か何かを作っていたのだろうか、試験管の中には紫色をした謎の液体が入っている。
そして部屋の中にいる彼らの目の下にはクマがあった。
かなり疲れているのだということが伝わってくる。
それを見た私はある一つの結論に辿り着いた。
(もしかしてこの者たちは……ローレンの薬師たちか……?)
前にアレクから聞いた話を思い出した。
ローレン王国の薬師たちが非常に優秀であると。
しかし私はそんな話は聞いたことがなかった。
そう、その話はあまり知られていないことだった。
おそらくローレン王自身が隠していたのだろう。
(……なるほどな、これなら言えるわけがない)
優秀であるのにもかかわらず何故隠すのだろうと不思議に思っていたが、目の前の光景を見て納得せざるを得なかった。
こんな風に薬師たちを地下に閉じ込めて強制労働させているところを見るとその理由がよく分かった。
惚れ薬などの危険な薬を作っていることも含め、この国にはかなり闇があったようだ。
「……」
おそらくローレン王の命令で薬を作っていたのだろう。
腕の良い薬師であればあるほど雇い主は他にいくらでもいる。
わざわざあんな愚王の下に付きたいとは誰だって思わないはずだ。
だからローレン王はこんな風にして彼らを繋ぎ止めていたのだろう。
そんな薬師たちに少しだけ同情した。
「私はウィルベルト王国の王レオンだ」
その言葉に薬師たちの間でどよめきが起きた。
「ま、まさか国王陛下……?」
「ウィルベルト王国の国王陛下って王がずっと敵視していたあの……?」
それを聞いた薬師たちのうちの数人の顔が青褪めていく。
おそらく彼らは全てを知っているのだろう。
もしかするとそのことで私が復讐しに来たのかと思っているのかもしれない。
「……」
薬師たちに対する恨みが全く無いと言えば嘘になるが、あの一件は間違いなく私にも非があった。
私に彼らを責める資格など無いに等しい。
それに、こんな風に地下に閉じ込められて働かされているところを見るととてもじゃないが罰する気にはなれなかった。
そこで私は、国のためにもあることを考えた。
殺されると思い込んでいる薬師たちは額を床に着けて必死で懇願した。
「も、申し訳ございませんでした!」
「お、お願いです陛下!殺すならせめて苦痛が少なくなるように……」
私はそんな彼らの言葉を無視してある提案をした。
「――お前たち、ウィルベルト王国に来る気は無いか?」
「え……?」
その言葉を聞いた薬師たちの目が驚愕に見開かれた。
「陛下、国境付近の兵士たちの鎮圧を終えました」
「ご苦労だった、撤退しようとするローレンの軍を無理に追うな。この戦争はもう終わった」
魔道具で公爵に指示を出しながらも私は歩き続けた。
今さっき自分が歩いていた道に目をやるとポタポタと床に血が垂れていた。
「ふぅ……」
戦争が無事に終わったという安堵感からか、体の力が一気に抜けていく。
しかしこんなところで寝るわけにはいかない。
どうやら私が公爵を倒し、ローレンへと向かっている最中にウィルベルトの騎士たちはローレン軍の鎮圧を終えたようだった。
これが本来のウィルベルト王国とローレン王国の力の差である。
ただ単にレスタリア公爵が規格外だったというだけで。
本当に強敵だったなと思う。
王宮のいたるところに兵士や騎士たちが倒れている。
彼らは別に死んではいない。
ただ気絶させただけだ。
自分に向かってきた敵を何故殺さなかったのかと聞かれれば上手く説明出来ないが、彼らはただ命令を忠実に守っていただけである。
それにわざわざ一人一人殺してる時間も無かった。
この戦争はお互いに被害者を出し過ぎた。
これ以上の犠牲はどちらも望んでいないだろう。
そんなことを考えていたそのとき、突然地下から物音がした。
「ん……?」
普通の人間ならば聞き取れないだろうが、私はかなり耳が良い方だった。
(何だ……?誰かいるのか……?)
気になった私は地下への扉をそっと開けた。
その扉は普段は厳重に施錠されているようだったが、激しい戦いの最中鍵が壊れてしまったらしくすんなりと開いた。
扉を開けると、そこには地下へ続く階段があった。
(……行ってみるか)
国へ戻ったら戦争の後処理をしなくてはならないというのに、何故だか足が勝手に階段を下りていく。
ほどなくして、誰かの話し声が聞こえてきた。
「ローレン王がウィルベルト王国に戦争を仕掛けたらしい……」
「え、あのウィルベルト王国にか?」
「そんな!小国であるローレンがウィルベルト王国に勝てるはずがない!この国はどうなってしまうんだ……」
階段を一段一段下りていくたびに声は大きくなっていく。
しばらくして、ある部屋の前に辿り着いた。
どうやら声はこの中から聞こえてきているようだ。
「……」
私はゆっくりと部屋の扉を開けた。
「「「!?」」」
部屋の中にいた人物が一斉に私に視線を向けた。
「あ、貴方は……!?」
「まさかウィルベルトの騎士が私たちを殺しに来たのか!?」
「ああ……ついにローレンは負けたのか……」
「……」
私は私の姿を見て絶望している彼らを警戒しながらも部屋の中を注意深く観察した。
(ここは……研究室か……?)
机の上には試験管やスポイトが散乱している。
薬か何かを作っていたのだろうか、試験管の中には紫色をした謎の液体が入っている。
そして部屋の中にいる彼らの目の下にはクマがあった。
かなり疲れているのだということが伝わってくる。
それを見た私はある一つの結論に辿り着いた。
(もしかしてこの者たちは……ローレンの薬師たちか……?)
前にアレクから聞いた話を思い出した。
ローレン王国の薬師たちが非常に優秀であると。
しかし私はそんな話は聞いたことがなかった。
そう、その話はあまり知られていないことだった。
おそらくローレン王自身が隠していたのだろう。
(……なるほどな、これなら言えるわけがない)
優秀であるのにもかかわらず何故隠すのだろうと不思議に思っていたが、目の前の光景を見て納得せざるを得なかった。
こんな風に薬師たちを地下に閉じ込めて強制労働させているところを見るとその理由がよく分かった。
惚れ薬などの危険な薬を作っていることも含め、この国にはかなり闇があったようだ。
「……」
おそらくローレン王の命令で薬を作っていたのだろう。
腕の良い薬師であればあるほど雇い主は他にいくらでもいる。
わざわざあんな愚王の下に付きたいとは誰だって思わないはずだ。
だからローレン王はこんな風にして彼らを繋ぎ止めていたのだろう。
そんな薬師たちに少しだけ同情した。
「私はウィルベルト王国の王レオンだ」
その言葉に薬師たちの間でどよめきが起きた。
「ま、まさか国王陛下……?」
「ウィルベルト王国の国王陛下って王がずっと敵視していたあの……?」
それを聞いた薬師たちのうちの数人の顔が青褪めていく。
おそらく彼らは全てを知っているのだろう。
もしかするとそのことで私が復讐しに来たのかと思っているのかもしれない。
「……」
薬師たちに対する恨みが全く無いと言えば嘘になるが、あの一件は間違いなく私にも非があった。
私に彼らを責める資格など無いに等しい。
それに、こんな風に地下に閉じ込められて働かされているところを見るととてもじゃないが罰する気にはなれなかった。
そこで私は、国のためにもあることを考えた。
殺されると思い込んでいる薬師たちは額を床に着けて必死で懇願した。
「も、申し訳ございませんでした!」
「お、お願いです陛下!殺すならせめて苦痛が少なくなるように……」
私はそんな彼らの言葉を無視してある提案をした。
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