王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。

ましゅぺちーの

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15 王妃視点

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私は一旦侍従を追い返し、頭の中で状況を整理した。


(今、私が入っているのは間違いなく陛下の体。何故陛下の体に入ってしまったのかは分からない。そしておそらく私の体は―)


陛下が入っている。


(・・・どうするべきなのかしら)


私はそこまで考えて陛下に会いに行くべきかを悩んだ。普通なら今すぐにでも会いに行くべきなのだろうが、陛下は私を嫌っているからきっと今頃荒れているだろう。大嫌いな女の体になったのだ。陛下が今どうなっているのか簡単に想像がついた。


「ハァ・・・」


私はため息をついてドサリと部屋にあったソファに座り込んだ。


私は今から何をすればいいのだろうか。誰か教えてほしい。


私はそのまま部屋で一人頭を悩ませた。


―コンコン


すると、突然ドアがノックされて先ほど追い返した侍従が扉を開けて部屋に入ってきた。


「陛下、王妃陛下が部屋まで来られていますが・・・・・・・・・追い返しますか?」


侍従は不安げな顔で私に尋ねた。


(陛下が・・・)


その言葉を聞いた私は驚いた。まさか彼の方から私に会いに来るとは思わなかったからだ。そして、それを嬉しいと思う自分もいた。


(私はいつも陛下に会いに行っても追い返されていたものね・・・)


侍従がそのような顔をしているのはそのことを知っているからだろう。


「いや、入れてちょうだ・・・入れてくれ。」


私の言葉に侍従は驚いた顔をしながらもそれを受け入れた。






◇◆◇◆◇◆




「・・・」


「・・・」


目の前に座っている陛下は私の予想通り物凄く不機嫌そうだった。きっといつものように酷いことを言われる。怖くなった私は俯いた。


そんな私に対して陛下は冷たい声で言った。


「・・・お前の仕業だろう」


「違います・・・私ではありません・・・」


私は陛下に対してそう返すことしか出来なかった。私は本当に何もやっていない。


「・・・どうすれば戻れる?」


私は陛下のその言葉で昔知り合いから聞いた話を思い出した。


そのことを話すと陛下は私の話に食いついた。


(・・・!)


何だかいつもと違う彼を見ることが出来て嬉しくなった。こんなに酷いことを言われてもやはり私はまだ陛下のことが好きだったのだ。


私は少しだけ穏やかな気持ちになりながらも陛下に話した。


何だか陛下と久しぶりにちゃんと話したような気がして嬉しかった。


それから結局、私たちは体が戻るまでの三日間周囲にバレないようにそのまま過ごすことになった。


私は今陛下の執務室で仕事に取り掛かろうとしていた。


(陛下の体で過ごすだなんて・・・何だか少しドキドキするわ・・・)


もしかしたら陛下のことを色々と知ることが出来るかもしれない。私の体に入った彼も同じだろう。彼は私を悪女だと思っているようだが、誤解だということに気付いてくれるかもしれない。そうしたら少しは私を見てくれるだろうか。


そう思うと体が入れ替わったというのも悪くないかもしれない。


(・・・とりあえず今は国王として頑張ろう)


そして私はそのまま執務に取り掛かった。

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