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17 王妃視点
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(・・・これ、使えるわね)
私は先ほど侍従が持ってきた紙を見てそう思った。
王妃を廃するにはそれなりの理由がいる。それに私の元の身分は公爵令嬢。そう簡単に廃妃には出来ない。
(・・・だけど)
王の子を殺そうとしたというのなら貴族たちも納得するはずだ。だからこそ陛下もそのような選択をしたのだろう。どうやら陛下はそこまでして私を王宮から追い出したかったようだ。
「・・・」
もう彼を愛する気持ちも残っていなかったからか、特に何とも思わなかった。
それより、今の私の頭の中を占めていたのは―
(市井で暮らすための準備をしなければいけないわね・・・・・・)
この先の自分の生活に関することだった。
元公爵令嬢が何の準備もなしに突然市井に放り出されて生きていけるはずがない。そのことは私もよく分かっていた。
それに私は勉強は出来る方だが、平民たちの暮らしについてはそれほど詳しくはない。
(今、私が持っているものを全て捨てて平民になれば・・・もしかしたら、新しい人生を歩むことも出来るかもしれない・・・)
考えてみれば、今まで敷かれたレールの上を歩くような人生だった。自分の意思とは関係無く、ただただ周囲の大人たちに言われるがままに生きてきた。親からの愛も得られず、王宮にも公爵邸にも私の居場所は無かった。
(・・・・・・これからは、自分の人生は自分で決めたい)
そう思った私はとりあえず資金を調達することにした。
私が普段身に着けているドレスや宝石類を持って行くというのが一番手っ取り早いが、あいにく私はそれほど高価なものは持っていない。夫である陛下から贈り物をされることは無いし、公爵家から持って来たものはレア様に全て奪われてしまったからだ。
(・・・なら、返してもらうかしらね)
私はそう思い、レア様の部屋へと向かった。
陛下は頻繁にレア様の部屋に出入りしていたようで、勝手に入ったところで使用人たちに怪しまれることはなかった。
レア様の部屋のクローゼットはパンパンだった。どうやら陛下は本当にレア様に盲目だったようで、彼女に何でも買い与えていたらしい。
私はその中から彼女に奪われたものを取り返した。人の物を持って行くのはさすがに気が引けたので元々私の物だったドレスや宝石類だけを持って部屋を出た。これだけでも売ればかなりの額になるだろう。
私はそれらをケースに詰めて誰もいない時間を見計らって王妃の自室に備え付けてあるベッドの下に隠した。ここなら陛下に見つかることもないだろう。後でレア様に色々と言われるかもしれないがその前に王宮を出て行けばいい話だ。彼女ともう関わることもない。
レア様は愛妾であるにもかかわらず王妃の私に嫌がらせを繰り返していた。陛下はそんな彼女の本性に気付いていないのだ。むしろ私がレア様に嫌がらせをしていると思い込んでいる。今思えば、本当に救いようがない人だなと思う。
(・・・まぁ、もうどうでもいい話よ)
陛下の計画を知ったときから既に私の心は壊れている。彼が彼女に騙されていようともそれは私の知ったところではない。
それから私は国王としての仕事をこなしながら、空き時間に平民の生活について書かれている本を読んだ。
私は市井へ下りたことはほとんどない。だから彼らがどのような生活をしているかを知らないのだ。このままではダメだと思った私はあらかじめ市井での暮らしを学ぶことにしたのだ。
(大丈夫、時間はまだまだある)
元々才女と呼ばれていた私は勉強が得意で覚えるスピードも速かった。
(まぁそれが陛下に嫌われる理由となってしまったのだけれど)
執務中にレア様が部屋に押しかけてくることがあったが、適当に理由を付けて追い返した。正直、物凄く鬱陶しかった。もしかしたらレア様は毎日こんなことをしていたのだろうか。陛下は彼女に甘すぎる。だから王宮であれほど好き勝手しているのだろう。
彼女は愚かにも国王の寵愛があれば何でもできると思っているらしい。
(・・・・・・・そうだわ、どうせなら最後に陛下の願いを叶えてさしあげましょう)
ふとそのとき、良いことを思いついた私は秘密裏にある準備を進めた。
私は先ほど侍従が持ってきた紙を見てそう思った。
王妃を廃するにはそれなりの理由がいる。それに私の元の身分は公爵令嬢。そう簡単に廃妃には出来ない。
(・・・だけど)
王の子を殺そうとしたというのなら貴族たちも納得するはずだ。だからこそ陛下もそのような選択をしたのだろう。どうやら陛下はそこまでして私を王宮から追い出したかったようだ。
「・・・」
もう彼を愛する気持ちも残っていなかったからか、特に何とも思わなかった。
それより、今の私の頭の中を占めていたのは―
(市井で暮らすための準備をしなければいけないわね・・・・・・)
この先の自分の生活に関することだった。
元公爵令嬢が何の準備もなしに突然市井に放り出されて生きていけるはずがない。そのことは私もよく分かっていた。
それに私は勉強は出来る方だが、平民たちの暮らしについてはそれほど詳しくはない。
(今、私が持っているものを全て捨てて平民になれば・・・もしかしたら、新しい人生を歩むことも出来るかもしれない・・・)
考えてみれば、今まで敷かれたレールの上を歩くような人生だった。自分の意思とは関係無く、ただただ周囲の大人たちに言われるがままに生きてきた。親からの愛も得られず、王宮にも公爵邸にも私の居場所は無かった。
(・・・・・・これからは、自分の人生は自分で決めたい)
そう思った私はとりあえず資金を調達することにした。
私が普段身に着けているドレスや宝石類を持って行くというのが一番手っ取り早いが、あいにく私はそれほど高価なものは持っていない。夫である陛下から贈り物をされることは無いし、公爵家から持って来たものはレア様に全て奪われてしまったからだ。
(・・・なら、返してもらうかしらね)
私はそう思い、レア様の部屋へと向かった。
陛下は頻繁にレア様の部屋に出入りしていたようで、勝手に入ったところで使用人たちに怪しまれることはなかった。
レア様の部屋のクローゼットはパンパンだった。どうやら陛下は本当にレア様に盲目だったようで、彼女に何でも買い与えていたらしい。
私はその中から彼女に奪われたものを取り返した。人の物を持って行くのはさすがに気が引けたので元々私の物だったドレスや宝石類だけを持って部屋を出た。これだけでも売ればかなりの額になるだろう。
私はそれらをケースに詰めて誰もいない時間を見計らって王妃の自室に備え付けてあるベッドの下に隠した。ここなら陛下に見つかることもないだろう。後でレア様に色々と言われるかもしれないがその前に王宮を出て行けばいい話だ。彼女ともう関わることもない。
レア様は愛妾であるにもかかわらず王妃の私に嫌がらせを繰り返していた。陛下はそんな彼女の本性に気付いていないのだ。むしろ私がレア様に嫌がらせをしていると思い込んでいる。今思えば、本当に救いようがない人だなと思う。
(・・・まぁ、もうどうでもいい話よ)
陛下の計画を知ったときから既に私の心は壊れている。彼が彼女に騙されていようともそれは私の知ったところではない。
それから私は国王としての仕事をこなしながら、空き時間に平民の生活について書かれている本を読んだ。
私は市井へ下りたことはほとんどない。だから彼らがどのような生活をしているかを知らないのだ。このままではダメだと思った私はあらかじめ市井での暮らしを学ぶことにしたのだ。
(大丈夫、時間はまだまだある)
元々才女と呼ばれていた私は勉強が得意で覚えるスピードも速かった。
(まぁそれが陛下に嫌われる理由となってしまったのだけれど)
執務中にレア様が部屋に押しかけてくることがあったが、適当に理由を付けて追い返した。正直、物凄く鬱陶しかった。もしかしたらレア様は毎日こんなことをしていたのだろうか。陛下は彼女に甘すぎる。だから王宮であれほど好き勝手しているのだろう。
彼女は愚かにも国王の寵愛があれば何でもできると思っているらしい。
(・・・・・・・そうだわ、どうせなら最後に陛下の願いを叶えてさしあげましょう)
ふとそのとき、良いことを思いついた私は秘密裏にある準備を進めた。
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