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1話 冷たい初夜
――「何故、彼女が死んでお前が生きているんだ」
夫となった人は、初夜の場で冷たく言った。
私はアリサ・グランダール。
グランダール侯爵家の長女であり、王太子テオドールの婚約者。
私たちの婚約は、幼い頃王命によって決められたものだった。
王太子テオドールはリタ王国唯一の王子であり、次期国王。
彼は私のことを気に入らないようだったが、王命で決められた以上、婚約が覆ることはなかった。
そんなテオドールとの婚約が決まって数年経った頃、彼はある女性と恋に落ちてしまう。
それが私の腹違いの妹、シア・グランダールだった。
私の二つ下の妹で、十歳の頃に侯爵家に引き取られた、れっきとした侯爵令嬢だ。
妹ではあるものの、腹違いのため私とは似ても似つかない。
シアは父と愛人の間に生まれた子で、持ち前の愛嬌と可愛らしい容姿であっという間に侯爵家の人々を虜にしてしまった。
両親から愛されなかった私とは違い、全員がシアを好きになった。
私を産んだ実母ですら、私よりもシアのほうを可愛がった。
「シアお嬢様は本当に可愛らしいわね」
「ええ、それに比べて姉のほうは……」
整ってはいるがキツい容姿に、冷たい性格だった長女アリサ。
それに対して清楚可憐な見た目に、穏やかな性格をしていた次女のシア。
みんなが私よりもシアを愛したのは当然だったのかもしれない。
シアは私から見てもとても可愛らしい子だったから。
そんな誰からも愛される存在だったシアは、半年前に不慮の事故に遭い、帰らぬ人となった。
彼女の死は社交界に衝撃を与えた。
王太子は笑わなくなり、侯爵邸の雰囲気は重くなった。
シアを可愛がっていた父は一気に老け込み、母は泣き崩れた。
私では到底シアの代わりなど務まらなかった。
『お前が死ねばよかったのに』
両親や侯爵邸の使用人たちからの鋭い視線が私に突き刺さった。
そしてそんな状況で、私はシアを愛していた王太子と結婚することとなった。
両親は娘の結婚式に出席しなかった。
シアが亡くなったことでそれどころではなかったのだろう。
一方の王太子も、結婚式の挙行に強く反対したのだという。
しかし、既に他国からの貴賓を招待してしまっていたため、執り行うほかなかったのだ。
結婚式の最中、王太子は私を一度も見ることはなく、ただ生気のない顔で誓いの言葉を口にしていた。
王族の結婚式とは思えないほど重苦しい空気の中での誓いだった。
当然だろう、彼が愛しているのは昔からシアだけなのだから。
本来ならここにいるのは私ではなく、シアだったのではないか。
それほどまでにシアは誰からも愛される、女神のような存在だった。
そして結婚式が終わり、初夜になると、部屋へやってきた王太子はベッドサイドに座る私を忌々しい顔で見つめた。
「何故、彼女が死んでお前が生きているんだ」
これまで誰しもが口にしなかった本音を、とうとう彼が吐き出した。
夫となった人は、初夜の場で冷たく言った。
私はアリサ・グランダール。
グランダール侯爵家の長女であり、王太子テオドールの婚約者。
私たちの婚約は、幼い頃王命によって決められたものだった。
王太子テオドールはリタ王国唯一の王子であり、次期国王。
彼は私のことを気に入らないようだったが、王命で決められた以上、婚約が覆ることはなかった。
そんなテオドールとの婚約が決まって数年経った頃、彼はある女性と恋に落ちてしまう。
それが私の腹違いの妹、シア・グランダールだった。
私の二つ下の妹で、十歳の頃に侯爵家に引き取られた、れっきとした侯爵令嬢だ。
妹ではあるものの、腹違いのため私とは似ても似つかない。
シアは父と愛人の間に生まれた子で、持ち前の愛嬌と可愛らしい容姿であっという間に侯爵家の人々を虜にしてしまった。
両親から愛されなかった私とは違い、全員がシアを好きになった。
私を産んだ実母ですら、私よりもシアのほうを可愛がった。
「シアお嬢様は本当に可愛らしいわね」
「ええ、それに比べて姉のほうは……」
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それに対して清楚可憐な見た目に、穏やかな性格をしていた次女のシア。
みんなが私よりもシアを愛したのは当然だったのかもしれない。
シアは私から見てもとても可愛らしい子だったから。
そんな誰からも愛される存在だったシアは、半年前に不慮の事故に遭い、帰らぬ人となった。
彼女の死は社交界に衝撃を与えた。
王太子は笑わなくなり、侯爵邸の雰囲気は重くなった。
シアを可愛がっていた父は一気に老け込み、母は泣き崩れた。
私では到底シアの代わりなど務まらなかった。
『お前が死ねばよかったのに』
両親や侯爵邸の使用人たちからの鋭い視線が私に突き刺さった。
そしてそんな状況で、私はシアを愛していた王太子と結婚することとなった。
両親は娘の結婚式に出席しなかった。
シアが亡くなったことでそれどころではなかったのだろう。
一方の王太子も、結婚式の挙行に強く反対したのだという。
しかし、既に他国からの貴賓を招待してしまっていたため、執り行うほかなかったのだ。
結婚式の最中、王太子は私を一度も見ることはなく、ただ生気のない顔で誓いの言葉を口にしていた。
王族の結婚式とは思えないほど重苦しい空気の中での誓いだった。
当然だろう、彼が愛しているのは昔からシアだけなのだから。
本来ならここにいるのは私ではなく、シアだったのではないか。
それほどまでにシアは誰からも愛される、女神のような存在だった。
そして結婚式が終わり、初夜になると、部屋へやってきた王太子はベッドサイドに座る私を忌々しい顔で見つめた。
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