4 / 41
皇女シャーロット編
愛妾と第二皇女
しおりを挟む
ある日、私が廊下を歩いていると最悪な人物と出くわしてしまった。
「あら、シャーロットじゃない。」
前から鮮やかな赤髪を揺らして歩いてきたのはお父様の愛妾であるキャサリンだ。
最悪だ。
この時間はいつもキャサリンたちはお茶会をしているから出会うことはないと思っていたのに。
本当は無視してさっさと行きたいがお父様に告げ口されたら面倒だ。
「ごきげんよう。キャサリン様。」
そう言うとキャサリンは私に対して侮蔑の目を向ける。
「随分とみずぼらしい服を着ているのね。皇女だとは思えないわ。」
私が今着ているのは質素な茶色のワンピースだ。
ドレスや宝石は買ってもらえないので仕方ない。
ふとキャサリンの服を見ると宝石が大量にあしらわれた華美なドレスを着ていた。
あの一着だけでいくらするのだろうか。
お父様はあんな高そうなものを与えたのか。
心の底でキャサリンを軽蔑しながら向き合う。
「民の血税をそんなことに使うわけにはいきませんから。私はこれで十分ですわ。」
私はにっこりと微笑んでみせる。
「だけど帝国の皇女がそんな姿だなんて・・・。ウィルやアルの名に傷が付くとは思わないの?」
アル、というのはアルフレッドお兄様の愛称である。
いくら親しい仲とは言え赤の他人の前では愛称は使わないのが普通だ。
皇宮に来て何年もたっているのにそんなことすら知らないのか。
お父様も何も言わなかったわけ?
「お気遣いいただきありがとうございます。これからは皇帝陛下や皇太子殿下の名に傷がつかないようにいたしますので。」
そう言うとキャサリンは顔をゆがめた。
「その態度、ホンットに気にくわない!あの女もそうだった!どれだけ挑発しても一切動じなくて・・・」
あの女とはお母様のことだろう。
お母様にもこんな態度をとっていたとは。
さすがに許容できない。
私が言い返そうと口を開きかけたその時―
「お母様~っ!」
向こうからプリシラが走ってきたのだ。
キャサリンはプリシラを見て顔を綻ばせる。
「あら、プリシラ。」
皇族が廊下を走るだなんてはしたない。
「お母様~何してたの?」
「シャーロットがあまりにもみずぼらしく平民のようだったから注意してたのよ。そんな格好で出歩くなんてウィルとアルの顔に泥を塗る気なのかと。」
「まあ!お母様は本当に優しいのね!たしかにお姉様はいつもみずぼらしいわ。」
プリシラもキャサリンと同じく私を蔑んだ目で見る。
「お姉様、お姉様は仮にも皇族なのだからちゃんとしたドレスを着るべきよ。」
「プリシラ、シャーロットはあなたのようにドレスを買ってもらえないのよ。」
「あら!そうだったの!まぁお姉様はお父様やお兄様にも嫌われてるものね~。」
プリシラが勝ち誇ったような顔で私を見る。
「プリシラ、もう行きましょう。こんなのに構ってる暇はないわ。」
「は~い、お母様!」
私が答える前にキャサリンとプリシラは背を向けて歩き出した。
はぁ、本当に面倒くさい。
あの親子の相手をするのは疲れる。
だけどこれもお母様のためだ。
貴方達は、いつかは地獄に落ちるんだから。
「あら、シャーロットじゃない。」
前から鮮やかな赤髪を揺らして歩いてきたのはお父様の愛妾であるキャサリンだ。
最悪だ。
この時間はいつもキャサリンたちはお茶会をしているから出会うことはないと思っていたのに。
本当は無視してさっさと行きたいがお父様に告げ口されたら面倒だ。
「ごきげんよう。キャサリン様。」
そう言うとキャサリンは私に対して侮蔑の目を向ける。
「随分とみずぼらしい服を着ているのね。皇女だとは思えないわ。」
私が今着ているのは質素な茶色のワンピースだ。
ドレスや宝石は買ってもらえないので仕方ない。
ふとキャサリンの服を見ると宝石が大量にあしらわれた華美なドレスを着ていた。
あの一着だけでいくらするのだろうか。
お父様はあんな高そうなものを与えたのか。
心の底でキャサリンを軽蔑しながら向き合う。
「民の血税をそんなことに使うわけにはいきませんから。私はこれで十分ですわ。」
私はにっこりと微笑んでみせる。
「だけど帝国の皇女がそんな姿だなんて・・・。ウィルやアルの名に傷が付くとは思わないの?」
アル、というのはアルフレッドお兄様の愛称である。
いくら親しい仲とは言え赤の他人の前では愛称は使わないのが普通だ。
皇宮に来て何年もたっているのにそんなことすら知らないのか。
お父様も何も言わなかったわけ?
「お気遣いいただきありがとうございます。これからは皇帝陛下や皇太子殿下の名に傷がつかないようにいたしますので。」
そう言うとキャサリンは顔をゆがめた。
「その態度、ホンットに気にくわない!あの女もそうだった!どれだけ挑発しても一切動じなくて・・・」
あの女とはお母様のことだろう。
お母様にもこんな態度をとっていたとは。
さすがに許容できない。
私が言い返そうと口を開きかけたその時―
「お母様~っ!」
向こうからプリシラが走ってきたのだ。
キャサリンはプリシラを見て顔を綻ばせる。
「あら、プリシラ。」
皇族が廊下を走るだなんてはしたない。
「お母様~何してたの?」
「シャーロットがあまりにもみずぼらしく平民のようだったから注意してたのよ。そんな格好で出歩くなんてウィルとアルの顔に泥を塗る気なのかと。」
「まあ!お母様は本当に優しいのね!たしかにお姉様はいつもみずぼらしいわ。」
プリシラもキャサリンと同じく私を蔑んだ目で見る。
「お姉様、お姉様は仮にも皇族なのだからちゃんとしたドレスを着るべきよ。」
「プリシラ、シャーロットはあなたのようにドレスを買ってもらえないのよ。」
「あら!そうだったの!まぁお姉様はお父様やお兄様にも嫌われてるものね~。」
プリシラが勝ち誇ったような顔で私を見る。
「プリシラ、もう行きましょう。こんなのに構ってる暇はないわ。」
「は~い、お母様!」
私が答える前にキャサリンとプリシラは背を向けて歩き出した。
はぁ、本当に面倒くさい。
あの親子の相手をするのは疲れる。
だけどこれもお母様のためだ。
貴方達は、いつかは地獄に落ちるんだから。
211
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。
妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。
しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。
父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。
レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。
その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。
だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。
〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし
香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。
治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。
そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。
二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。
これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。
そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。
※他サイトにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる