守護者契約~自由な大賢者達

3・T・Orion

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16. 笑顔の下に隠す

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「私ね、最近…色々と体験してるんだよ」

フレイリアルが、突然嬉しそうに…少し恥じらいながら…語る。

"皆で一致団結!" といった良い感じにまとまる雰囲気の中、守護者解任の儀に立ち向かうはずだった。

それなのに "何故に今?" …と言う感じで、フレイリアルの妙な意気込みによる…怪しげな高揚感持つ…異様な勢いでの…ニュールへの近況報告が始まる。
ある意味 "自慢?" と言った雰囲気も持つ、無邪気に思いついた…普段からの自身の楽し気な様子を伝えてきた。

「前にモーイに鍛えてもらって、それなりの戦闘は出来るって思ってたの。だけど、リーシェに言われて…更に青の間で訓練してもらってるんだ。結構、動きは良くなったと思うよ!」

子供の "出来るんだもん" を微笑ましく聞く感じのニュール。
此れぐらいの雑談、緊張ほぐすのにも丁度良い…と気楽に受け流していた。
フレイリアルの報告は続く。

「其れなのに、悔しいけど…リーシェに直ぐに組み敷かれちゃうの。だから、毎回そのまま…色々お仕置きされちゃうんだ…」

『???…はいぃ?』

思わず唖然とする。
儀式の進行を確認するため天輝石に向けていた視線を…バッとフレイリアルに向け、声にならない声を視線に乗せ…無言のまま表情で問い質すニュール。
フレイリアルは何も気にせず、いつも通り気軽に気楽に其の状況語る。
ブーたれた表情になっているが嬉しそうでもあり、ニュールは何だか別の意味で怪しい報告を受けた気がして目を白黒させる。

「リーシェって絶対貧弱だと思ってたんだけど以外と凄いんだよね!」

『何がだぁー!! それにお仕置きって何だ???』

更なる衝撃の言葉に茫然とする。
思わず耳にしてしまった娘の赤裸々な告白に動揺する父親…と言った気分で、心の声がそのまま表に出そうになる。
何とか気持ちを抑え、更なる事実確認が出来る内容の答えを待つ。

「あの日初めて知ったんだけど…それから色々教えてもらってるんだ…」

"てへっ" と無邪気に照れながら笑うフレイを見て、ニュールは一瞬で燃え尽きた気分になった。

「魔力体術って奥深いよね! 体格の良いアルバシェルとリーシェが対等に戦ってたからね」

「本当にいつでもフレイって酷いよね! あの日より以前にも…チャント港町に助けに行ったし、その時だって戦ってたのに…覚えてないって…。体術だけじゃあなくって、本来の体だって凄かったんだよ…」

今は消えてしまった身体に思いを馳せ悔しがるリーシェライル…と、呑気に実戦で技使える場面を期待するフレイ…。
そしてフレイリアルの衝撃告白で父親気分な魂が…半分抜け気味のニュール。

皆、緊張とは程遠い状態。
余裕持ちながら儀式を進められそうだった。


フレイリアル達が目的を達成させるべく動き出そうとしている頃、ピオはショボくて雑魚い空気感漂う…此の集まりに辟易としていた。

『眠くなるぐらい内容の無い提案と…それを検討する者達…って、全く話を進める気がないんじゃない?』

心の中の考えが危うく口から洩れそうになる。

プラーデラ側とエリミア側、大臣含めた実務者達との間で今後の方向性話合い決める場…と言う歌い文句だったので参加する形になった。
だが机上の空論ばかりが空回り話が進まない。
捕らぬ高級蜥蜴の皮算用と言った感じで…目論見ばかりが先立ち、無意味な時が流れることに苛立つ。

澱んだ空間の中…搾取される続ける時の刻みを、ただ耐え忍ぶにも限界が来そうな感じだった。その時…極薄く広げてある隠蔽を掛けたピオの探索魔力が、青の塔がある方向で結界の切り替わりを…結界出力の減弱を感じ取る。

『始めたのか…』

ピオも解任の儀についての手順は聞いていた。

まず塔の防御結界陣用の魔力供給を…天輝石から通常魔石に切り替え、契約の解除に天輝石を使えるようにする。
そしてフレイリアル自身が青の間に居る時に張っている防御結界の代わりを担うため、下の階層に配置されたモーイとブルグドレフが外部からの侵入を警戒しつつ…結界広げ対応する事になっている。
其の状態でサクサクと儀式進め、終わらせる。

簡単な事である。
勿論…其の簡単な事を邪魔したがる者がいることも想定してはいたが、早々に現れた者を察知する。

『外部から手が伸びているようですね…』

ピオが心の中で呟く。
未だ続く…まだるっこしい話し合いの裏で、集まってくる感覚と情報に…若干顔をしかめる。今在席する表の場では…誰も起きている変化に気づかず、無駄で不要な遣り取りが続いている。
エリミアでも、本当の実務司る者達は…この場を設ける必要性を全く感じていない。

参加しているのは…心象悪くせぬためであり、取り組んでいる姿勢見せるための実演…と言った位置付けで参加しているのであろう。
…とは言え、一応真面目に話し合いに参加し…前向きに次の機会について検討している。

完全に時をもてあましているのは、無用に偉ぶる…身分ばだけで参加している者。その様な者でも、ピオ同様…表面上は穏やかに頷き意見を清聴する。
それでも楽しむ機会を探し出し、全然関係の無いくだらない事で…煩わせ…暇を潰そうと企みる。

声を掛けて来るたのは、権力は与えられたが今一つ有効に活用できる能力はお持ちでない…お偉い感じの外務司る大臣。
自尊心だけは御立派で猛々しく、困った人感…強い者。

「私の家筋では、近隣各国と協力するために姻戚関係結ぶ事も多いのですが、プラーデラへ嫁いだ者も居ります。宰相様はどちらのご家筋の方でしょうか?」

身分ちらつかせ、ピオを貶める気満々で大臣が近付いてきた。
今のプラーデラが、どのような状況下で築き上げられたのか知っている癖に尋ねる。
他国から友好使節として来ている者に…尋ねるべき内容か判断できない時点で、其の地位に居る事自体が疑わしい。
愚かなのか…、出方を窺うためなのか…、怖いもの知らずなのか…何にせよ読みの甘い者であるのは確かなようだ。

「私の由来はヴェステに御座います。ヴェステ王国の隠者に席を置いておりましたが…大賢者であったニュールニア様にに心酔し、同様にニュールニア様に感銘を受け信奉する事になった赤の将軍とともに付き従いプラーデラへ移らせて頂きました。プラーデラでの血筋としては新参であり由緒正しいとは言えませんが、力劣る無礼な者を処分出来る実力…はあると自負しております」

丁寧に…穏やかな笑顔で…そして礼儀正しく…あくまでも真摯に、ピオはプラーデラ王国宰相務める者として…その愚かしく浅薄な無礼者に対し…揺らぐことなく堂々と真正面から向き合う。


ヴェステ王国での隠者…と言う組織は、素性は明かせずとも…有力な血筋の…有能な選ばれた者…が所属する場所だった。
その事は、国どうしで対応する…外務に関わる者なら基礎知識として誰でも知っていて当たり前の事実。
余程の実力無い限り…庶民は賢者に至ったとしても…隠者になる事は叶わず、影…若しくは研究所の所属になる。

勿論ピオは影上がりだし、実力と諸事情で隠者に入れられた者。
隠者の名声を上手く利用させてもらっただけなのだが、傍から見たら些末な事で揚げ足狙う愚か者と…優雅に対応する気高き者に見えたようだ。

どちらが真に尊き者か、…周囲は考える間もなく判断した。

更にピオは釘を刺す様に、笑顔作る顔の表面に…何時でも目の前の貴方を処分できます…と、静かな殺意を分かりやすく浮かべてやる。
自身で仕掛けてきたと言うのに、既に失禁しそうなぐらい怖じ気づいている者に…酷薄な笑み深め対峙する。

一国の大臣ともあろう者が震え上がり…ちょっとした駆け引き一つで引き下がり、小者感丸出しの姿になってしまったのが…哀れなほど情けない。

こんな低次元の会合の行方より、ピオは青の塔で行われている…解任の儀の進行状況や周囲の状況の方が気になる。
探索魔力から感知出来る状況は先程から全く変わってないようだ。

だが、同じように何処からか状況探るように探索を展開する者が数組現れたのを感じる。
魔力の導き出しの稚拙さから格下…とは思われるが、偽装工作と言う役割を担う身。この場から抜けられなぬため、この場所から状況探るしか出来ないのが非常にもどかしい。

「では4の月後ぐらいまでを目安に…今回と同程度の人数で、次は正式な訪問を行うと言う事で宜しいでしょうか?」

エリミア側の場を仕切る者がまとめる。

「特に異議が無いようでしたら、決定と言うことで。双方の国で更に話し合い、各々の国王の承認待ちましょう。許可が出たら、詳細の話し合いを一度集まって行う…と言うことで宜しいでしょうか」

上の空で適当に参加していた会合だったが、無事終了した。
塔で行っている儀式は、未だ継続中のようである。

『調べた限りでは、そんなに時間がかかるようなものではなかったはず…』

ピオ独自の下調べで集めた情報と異なる状況に、若干…不安よぎる。


賢者の塔・中央塔の最上階では、予定通り儀式を執り行っていた。

魔輝石…青の塔で所持している天輝石を介して、回路を開き繋げる。
守護者契約結ぶ時と同様、3人が触れている天輝石が激しく輝きを放つ。

大賢者役を担うリーシェライル入るグレイシャムに導かれ、魔力動かすだけで回路が開き繋がった。
此処まではかなり順調だ。

「問題なく天輝石に繋がったけど、この後はどうするの?」

「天輝石を介して繋がりの経路が見えるようになっているから、其々が解除を意識して王の承認を与えれば良いんだよ」

リーシェライルは事も無げに伝える。
確かに…見えている状況に手を加える事は容易そうだ。だが、ニュールは違和感を感じる。

「繋がりは明らかになっているけど、…これは…体内魔石ではなく…その奥へ繋がっているぞ」

「やっぱりね…。過去に1例だけ巫女との守護者契約について情報が有ったんだけど、そんな感じだったんだ」

把握していた事実…であるのに、今更な説明であることなど少しも匂わせず…知ったばかりの情報であるかのようにリーシェライルは語る。

「あぁ、此れが…大変だったら手伝う…ってヤツか…」

「そうそう! まぁ…こんがらがった糸玉みたいなもんだから、解きほぐす感じで辿って…オオモトに向けて繋がりを解除するように力動かしながら承認するだけだから、難しくはないはずだよ! ちょっと面倒なだけさ」

ちょっと所か、とてつもなく面倒そうである。
にっこりと花咲くように満面の笑み浮かべ、予想通り…以前と変わらず…押し付ける御方は健在である。

存在の仕方が変わっても全く変わらない…強かでズル賢いのに人を魅了し操る。

「勝つことも…投げることも…逆らうことも出来ないんだよな」

「そりゃリーシェに逆らうだなんて私にも無理だよぉ」

ニュールが漏らした独り言の様な呟きだったのに、しっかりと…止め指す様な答えをフレイリアルが与える。

「だから諦めて一緒に片付けよう!」

リーシェライルと共に良い感じで…フレイリアルもニュールをこき使うのであった。
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