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11章 夏の海ではしゃいじゃお
427.突入だ〜
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ログアウトする時間だと言うユウシャたちと別れて、僕とルトたちは早速海中窟ダンジョンに挑戦だ。
宿借蛸とのバトルで回復アイテムなどをほとんど消費しなかったから余裕がある。
「どんなところなのかな~」
「楽しみだね」
僕がワクワクと呟くと、リリもニコニコと微笑みながら言った。
それを聞き流した感じで、ルトは時空貝に向かって泳ぎ始める。
「さっさと行くぞ」
「待ってよー」
「モモ、シャボリンを動かすよ」
宿借蛸とのバトル中にシャボリンを壊されたリリは、僕たちの方に便乗中。
そのままゆっくりと動かし始めるから、僕も慌てて足を動かした。
「いっちにー、いっちにー」
「さんしー、さんしー」
僕の掛け声にリリが合わせながら、シャボリンを転がして進む。
近づいた時空貝の隙間は、未だに真っ暗で先が見えない。宿借蛸の目がないから、あんまり怖くないけど。
「んじゃ、俺が先頭で進むけど、いいか?」
「おっけー」
時空貝の手前で待ってくれていたルトに頷く。
こういう時に先行してくれるのは、ほんと助かるよねぇ。
僕とリリが見守る前で、ルトはスイッと時空貝の中へ泳いでいき、姿が見えなくなった。
しばらく様子を見ていても、なにも変化がない。これ、僕たちも中に入っちゃって大丈夫?
リリと顔を見合わせ首を傾げる。
ルトが何かしら合図をしてくれると思ってたんだけどなぁ。
「あ、ルトからチャットが来たよ」
リリが不意に宙に視線を投げた。
そのままチャットの内容を確認しているようで、目が左右に動いてる。
「ルトはなんて?」
「入ってきて大丈夫って。中と外だと、音声が遮断されてるみたいだね。入ってすぐのところはまだダンジョンじゃないらしいよ」
「へぇ、それじゃあ、進もっか」
リリの言葉に頷き、止めていた足を動かす。
シャボリンが時空貝に入った途端、闇が僕たちを包んだ。でも、すぐに視界が晴れる。
同時に、シャボリンが割れて、僕たちは「おわっ!?」と悲鳴を上げながら地面に落ちた。
水中だからか、落ちる速度がゆっくりだったのはありがたい。そうじゃなきゃ、間抜けな感じで尻もちをついてたかも。
「──おお? 海中の洞窟?」
予想外なことに、そこは貝の内側じゃなくて、岩の洞窟だった。異空間ってこういうことかー。
僕たちがいるのは広い空間で、そこから三つの洞窟に分かれているみたいだ。
「ダンジョンって感じだね」
リリが周囲をキョロキョロと観察しながら呟いた。すると、泳いで近づいてきたルトが「だよな」と頷く。
「アイテムがなくても、呼吸とかに問題はないみたいだぞ。素早さは下がったままだけど」
「そっか。確かに動きにくい……」
そう言いながら動きを確かめているリリを見て、僕もパチャパチャと泳いでみる。
ルトが言う通り、地上にいるより動きが阻害されてる感じがする。ちょっともどかしい。これで戦うのって、想像していた以上に難しいかも。
「ここはセーフティエリアになってるから、モンスターは出てこないぞ。ただ、この先のダンジョンは、進む洞窟を選んで、パーティ毎の攻略になるっぽい」
スッと洞窟の一つを指し、ルトが言う。
二つのパーティで一緒に攻略するのは無理なのかぁ……
「じゃあ、どうする? 僕がルトたちのパーティに入る?」
一つのパーティにまとまるなら、ルトとリリ、僕で三枠を使い、あとはビアンと僕のテイムモンスター二体って感じになるかな。
ルトは少し考えた後、「……だな」と頷いた。
内部情報が一切わかってないダンジョンだし、分かれて攻略するのはやめたらしい。初回くらいは一緒に戦いたいしね。
「んじゃ、ビアンは召喚可能になったら喚ぶとして、モモはどのモンスを連れてくんだ?」
ビアンは宿借蛸とのバトル後に、召喚時間制限がかかって姿が消えている。
もうちょっとしないと喚べないんだよねー。やっぱりテイマーじゃないのは不便!
「んー……ヒスイとペタかな」
僕は期待に満ちた眼差しのヒスイたちを見回してから決めた。
スラリンとユキマルがちょっとガッカリしてるのが申し訳ない。後で交代で喚ぶかも。今はごめんねー。
「へぇ、風属性のヒスイは当然だけど、ペタはなんで? 同属性だろうから、あんまり利点はないだろ? 泳げる分、素早さが下がってないのはいいけど、それはスライムたちもあまり変わらなそうだし」
ルトが不思議そうにペタを眺める。
確かに、水属性モンスターが出てくる確率が高いダンジョンだから、ペタの攻撃は可もなく不可もなくって感じだとは思う。
スラリンたちだって、漁をするくらい水中で動くのは得意だし。
でも、僕にはペタと一緒に戦う理由があるのです!
「ペタの絆度ミッションは『水中で一緒に戦って、五体の敵を倒す』だからね。早めにクリアしたいんだ」
クリアしたら、ペタはきっといいスキルを習得できるはず。
これまでの傾向だと、絆度10%でスキル習得になるっぽいから。
僕がその説明をすると、ルトとリリが納得した様子で頷いた。
「絆度? ……ああ、そういや、そんなシステムあったな」
ルトはちょっと羨ましげな表情をしてるように見える。
そんなルトに微笑みながら、リリがからかうように「テイマーじゃないと発生しないシステムだよね」と言った。
「ルトもいつかビアンと絆度を高められるといいねー」
「……まぁ、そうだな」
僕がリリと同じくニヤニヤと笑いながらルトに言うと、ルトは文句を言いたそうな顔をしながらも頷いた。
つまり、ルトもテイマーになる気があるってことだね?
テイマーになるためにはサブリングが必要だし、シーズンイベントでアイテム集めが捗るよう、僕も協力したいな。
「ダンジョン攻略でシーズンアイテムをいっぱい集めようね!」
「おう。当然だろ」
「私もテイマーを目指そうかなー」
リリがヒスイを眺めながら呟く。
そう言えばリリは猫好きだったね。猫系のモンスターをテイムしてる姿が容易に想像できる。似合ってると思うよ?
「なっちゃえ、なっちゃえ。テイマーの先輩として、いろんなこと教えてあげるね!」
テイマーを増やして、さらにもふもふな世界にしちゃおう!
街がもふもふで溢れたら、もっと幸せな世界になると思うし!
……え、僕の目的がリリたちと違うって?
ソ、ソンナコトナイヨー……たぶん!
宿借蛸とのバトルで回復アイテムなどをほとんど消費しなかったから余裕がある。
「どんなところなのかな~」
「楽しみだね」
僕がワクワクと呟くと、リリもニコニコと微笑みながら言った。
それを聞き流した感じで、ルトは時空貝に向かって泳ぎ始める。
「さっさと行くぞ」
「待ってよー」
「モモ、シャボリンを動かすよ」
宿借蛸とのバトル中にシャボリンを壊されたリリは、僕たちの方に便乗中。
そのままゆっくりと動かし始めるから、僕も慌てて足を動かした。
「いっちにー、いっちにー」
「さんしー、さんしー」
僕の掛け声にリリが合わせながら、シャボリンを転がして進む。
近づいた時空貝の隙間は、未だに真っ暗で先が見えない。宿借蛸の目がないから、あんまり怖くないけど。
「んじゃ、俺が先頭で進むけど、いいか?」
「おっけー」
時空貝の手前で待ってくれていたルトに頷く。
こういう時に先行してくれるのは、ほんと助かるよねぇ。
僕とリリが見守る前で、ルトはスイッと時空貝の中へ泳いでいき、姿が見えなくなった。
しばらく様子を見ていても、なにも変化がない。これ、僕たちも中に入っちゃって大丈夫?
リリと顔を見合わせ首を傾げる。
ルトが何かしら合図をしてくれると思ってたんだけどなぁ。
「あ、ルトからチャットが来たよ」
リリが不意に宙に視線を投げた。
そのままチャットの内容を確認しているようで、目が左右に動いてる。
「ルトはなんて?」
「入ってきて大丈夫って。中と外だと、音声が遮断されてるみたいだね。入ってすぐのところはまだダンジョンじゃないらしいよ」
「へぇ、それじゃあ、進もっか」
リリの言葉に頷き、止めていた足を動かす。
シャボリンが時空貝に入った途端、闇が僕たちを包んだ。でも、すぐに視界が晴れる。
同時に、シャボリンが割れて、僕たちは「おわっ!?」と悲鳴を上げながら地面に落ちた。
水中だからか、落ちる速度がゆっくりだったのはありがたい。そうじゃなきゃ、間抜けな感じで尻もちをついてたかも。
「──おお? 海中の洞窟?」
予想外なことに、そこは貝の内側じゃなくて、岩の洞窟だった。異空間ってこういうことかー。
僕たちがいるのは広い空間で、そこから三つの洞窟に分かれているみたいだ。
「ダンジョンって感じだね」
リリが周囲をキョロキョロと観察しながら呟いた。すると、泳いで近づいてきたルトが「だよな」と頷く。
「アイテムがなくても、呼吸とかに問題はないみたいだぞ。素早さは下がったままだけど」
「そっか。確かに動きにくい……」
そう言いながら動きを確かめているリリを見て、僕もパチャパチャと泳いでみる。
ルトが言う通り、地上にいるより動きが阻害されてる感じがする。ちょっともどかしい。これで戦うのって、想像していた以上に難しいかも。
「ここはセーフティエリアになってるから、モンスターは出てこないぞ。ただ、この先のダンジョンは、進む洞窟を選んで、パーティ毎の攻略になるっぽい」
スッと洞窟の一つを指し、ルトが言う。
二つのパーティで一緒に攻略するのは無理なのかぁ……
「じゃあ、どうする? 僕がルトたちのパーティに入る?」
一つのパーティにまとまるなら、ルトとリリ、僕で三枠を使い、あとはビアンと僕のテイムモンスター二体って感じになるかな。
ルトは少し考えた後、「……だな」と頷いた。
内部情報が一切わかってないダンジョンだし、分かれて攻略するのはやめたらしい。初回くらいは一緒に戦いたいしね。
「んじゃ、ビアンは召喚可能になったら喚ぶとして、モモはどのモンスを連れてくんだ?」
ビアンは宿借蛸とのバトル後に、召喚時間制限がかかって姿が消えている。
もうちょっとしないと喚べないんだよねー。やっぱりテイマーじゃないのは不便!
「んー……ヒスイとペタかな」
僕は期待に満ちた眼差しのヒスイたちを見回してから決めた。
スラリンとユキマルがちょっとガッカリしてるのが申し訳ない。後で交代で喚ぶかも。今はごめんねー。
「へぇ、風属性のヒスイは当然だけど、ペタはなんで? 同属性だろうから、あんまり利点はないだろ? 泳げる分、素早さが下がってないのはいいけど、それはスライムたちもあまり変わらなそうだし」
ルトが不思議そうにペタを眺める。
確かに、水属性モンスターが出てくる確率が高いダンジョンだから、ペタの攻撃は可もなく不可もなくって感じだとは思う。
スラリンたちだって、漁をするくらい水中で動くのは得意だし。
でも、僕にはペタと一緒に戦う理由があるのです!
「ペタの絆度ミッションは『水中で一緒に戦って、五体の敵を倒す』だからね。早めにクリアしたいんだ」
クリアしたら、ペタはきっといいスキルを習得できるはず。
これまでの傾向だと、絆度10%でスキル習得になるっぽいから。
僕がその説明をすると、ルトとリリが納得した様子で頷いた。
「絆度? ……ああ、そういや、そんなシステムあったな」
ルトはちょっと羨ましげな表情をしてるように見える。
そんなルトに微笑みながら、リリがからかうように「テイマーじゃないと発生しないシステムだよね」と言った。
「ルトもいつかビアンと絆度を高められるといいねー」
「……まぁ、そうだな」
僕がリリと同じくニヤニヤと笑いながらルトに言うと、ルトは文句を言いたそうな顔をしながらも頷いた。
つまり、ルトもテイマーになる気があるってことだね?
テイマーになるためにはサブリングが必要だし、シーズンイベントでアイテム集めが捗るよう、僕も協力したいな。
「ダンジョン攻略でシーズンアイテムをいっぱい集めようね!」
「おう。当然だろ」
「私もテイマーを目指そうかなー」
リリがヒスイを眺めながら呟く。
そう言えばリリは猫好きだったね。猫系のモンスターをテイムしてる姿が容易に想像できる。似合ってると思うよ?
「なっちゃえ、なっちゃえ。テイマーの先輩として、いろんなこと教えてあげるね!」
テイマーを増やして、さらにもふもふな世界にしちゃおう!
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ソ、ソンナコトナイヨー……たぶん!
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