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11章 夏の海ではしゃいじゃお
446.ぷるぷるを連れて行こう
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ただいま西の港に来ておりまーす。正確に言うと、その手前にあるバリケードのところだけど。
「ひぇぇぇ……」
ぷる君がプルプルしてる。なんか可愛いね。
あ、異世界の住人の冒険者さんが飛んでくる魚を風魔術で撃ち落とした。カッコいい!
でも、陸地まで飛んでこられる魚モンスターのバイタリティ凄すぎでは……? ちょっぴり引いちゃったよ。魚、とは?
「行くよー、ラッタン、ぷる君」
「らぴゅ(ごぉごぉ)」
ラッタンがのほほんと気合いを入れている横で、ぷる君がプルプルしてる……これ、さっきも思ったな。ぷる君、プルプルしすぎじゃない?
「無理です無理です無理ですっ。絶対ここのモンスター、僕より強いでしょう!?」
プルプルしてるぷる君が、プルルッと身震いして叫んだ。
……ちょっと早口言葉を言ってる気分だなぁ。
「なるほど、モモさんはスライムに対してはスパルタ……メモメモ」
なぜかメモをとってるタマモはさておき。
僕はぷる君をポンッとタッチする。スラリンと同じくぷるもちな感触で気持ちいい。
「大丈夫だってー。スラリンだって、低レベルの頃から一緒にここで漁をしてたからね。今はイベント期間だから、いつもより強いモンスターが出てくるみたいだけど、それはこのポーションでなんとかなるよ!」
てっててー、とステータスアップポーションを掲げたら、ぷる君よりも先にタマモが食いついてきた。
「そ、それは、ラッコ印の新アイテム……!?」
「うん。ラッタンが作ったんだよー」
「はわわ……可愛くて調薬もできるなんて、ラッタンたん、優秀すぎでは!?」
ラッタンたん、というおかしな呼び名に「うん?」と首を傾げたけど、指摘する前にタマモに勢いよく詰め寄られて後退りした。
「お店で売ってくださいますよね!?」
「う、売るよ! 大丈夫、たくさんあるからね」
「ありがとうございますーっ」
感涙の表情でお礼を叫んだタマモが、掲示板を開いて超速作業を始める。きっとみんなにお知らせしてるんだろう。
早めに売り出さないと混乱が生じちゃうかもなー。ログアウト前に作業しようっと。
「……なんかよくわかんないですけど、ラッタンさんありがとうございます」
「らぴゅ(うん? ラッたんもよくわかんないけど、どういたしましてぇ)」
伸ばした体をふにょっと曲げて頭を下げるような仕草をしたぷる君に、ラッタンがきょとんとしてからニコッと笑う。
ふわふわなコミュニケーションしてる二人が可愛いよー。
まあ、それはさておき。
束の間だけ状況を忘れてほのぼのしてるぷる君に、僕はずいっと近寄った。
レベリング方法をちゃんと伝えておかなくちゃね。
「いい? ぷる君は海に入って、海水ごと敵のモンスターを飲み込むんだよ」
「……うぅん……ちょっと人の意識が邪魔して、できると断言はできないんですけど……とりあえずがんばってみます」
「スラリンを喚んでお手本を見せてあげるからねー」
「それは助かります!」
ようやく前向きになったぷる君に、ちょっとホッとする。
さすがに無理強いするのはダメだと思ってたんだよね。
「海水と一緒にモンスターを飲み込んだら、分解して吸収するか、浜辺に吐き出すんだよ。それでモンスターを倒せたら、ちゃんと経験値が入るからね」
「なるほど……面白い仕組みですね」
「うん、たぶんスライム系のモンスターしかできないやり方だよね」
僕もスラリンが漁を始めた時は驚くやら感心するやら……今はもう慣れて日常みたいになってるけどね!
なにはともあれ、ぷる君に今後の行動指針を伝えられたから、そろそろ行こうか──と言おうとしたら、ラッタンが『はぁい』と手を挙げているのが見えた。
「ラッタン、どうしたの?」
「らぴゅ(ラッタンも漁するぅ)」
「え……」
思わぬ宣言を受けて、ちょっと固まる。
そっか、ラッタンも漁に興味が湧いたのか……僕のテイムモンスターって感じだなぁ。
ラッタンは水属性だし、それなりに強いし、海水に入っても大丈夫かも? 少なくともぷる君よりは安全に漁をできそうだよね。
「──わかった! ラッタンもスラリンに漁を教えてもらおうねー」
「らぴゅ(スラリン? わかんないけど、がんばるよぉ)」
首を傾げたラッタンを見て、みんなをまだ紹介してないことを思い出した。
今日のレベリングが終わったら、屋敷に帰ってみんなと会わせるから楽しみにしててね!
「話がまとまったところで……れっつごー!」
「らぴゅ(ごぉ♪)」
「……プラトン、いきます!」
あれ? ぷる君の宣言に変なルビがついてた気がする? ……まあいっか。
バリケードに向かって歩き始めたら、そこに集っていた異世界の住人冒険者たちに「お、ウサギたちも防衛に協力してくれるのか?」とか「スライム? よくわかんないけど、旅人ならなんでもアリか……」とか歓迎(?)された。
適当に手を振りながら声に応えて、よいしょっとバリケードを乗り越える。
不意打ちで襲ってきたモンスターは異世界の住人の冒険者が倒してくれた。
ありがとー。おかげでぷる君が足を止めずに済んだよ。
「【風の玉】」
「らぴゅ(水矢)」
「よいしょっと」
いい感じのところに着くまでは、僕が風魔術や蹴り技を放ち、ラッタンに指示を出して攻撃させ、タマモが見事な体術を披露して、ぷる君を守りながら進んだ。
ぷる君はプルプルと体を震わせてビビりながらもちゃんと着いてきてる。ここまで来たら離れる方が怖いって考えてる気もするけど。
海からのモンスターを倒して、イベントアイテムをザクザクと獲得中。
海中窟ダンジョンでも入手できたし、結構溜まってきたなー。どんなアイテムと交換できるのか、後で確かめておこうっと。
「この辺でよさそうだね。【召喚】スラリン!」
浜辺まで歩いてきたところで立ち止まる。
スラリンを召喚して、漁の準備は万全だよ!
「──レッツ、スライム漁!」
「きゅぃ(わーい、漁だー!)」
「らぴゅ(ラッたんも漁するんだよぉ)」
「えぇー……」
ぷる君がぷるぷる震えてる。
強くなるためには挑戦あるのみだよ。ふぁいとー!
「ひぇぇぇ……」
ぷる君がプルプルしてる。なんか可愛いね。
あ、異世界の住人の冒険者さんが飛んでくる魚を風魔術で撃ち落とした。カッコいい!
でも、陸地まで飛んでこられる魚モンスターのバイタリティ凄すぎでは……? ちょっぴり引いちゃったよ。魚、とは?
「行くよー、ラッタン、ぷる君」
「らぴゅ(ごぉごぉ)」
ラッタンがのほほんと気合いを入れている横で、ぷる君がプルプルしてる……これ、さっきも思ったな。ぷる君、プルプルしすぎじゃない?
「無理です無理です無理ですっ。絶対ここのモンスター、僕より強いでしょう!?」
プルプルしてるぷる君が、プルルッと身震いして叫んだ。
……ちょっと早口言葉を言ってる気分だなぁ。
「なるほど、モモさんはスライムに対してはスパルタ……メモメモ」
なぜかメモをとってるタマモはさておき。
僕はぷる君をポンッとタッチする。スラリンと同じくぷるもちな感触で気持ちいい。
「大丈夫だってー。スラリンだって、低レベルの頃から一緒にここで漁をしてたからね。今はイベント期間だから、いつもより強いモンスターが出てくるみたいだけど、それはこのポーションでなんとかなるよ!」
てっててー、とステータスアップポーションを掲げたら、ぷる君よりも先にタマモが食いついてきた。
「そ、それは、ラッコ印の新アイテム……!?」
「うん。ラッタンが作ったんだよー」
「はわわ……可愛くて調薬もできるなんて、ラッタンたん、優秀すぎでは!?」
ラッタンたん、というおかしな呼び名に「うん?」と首を傾げたけど、指摘する前にタマモに勢いよく詰め寄られて後退りした。
「お店で売ってくださいますよね!?」
「う、売るよ! 大丈夫、たくさんあるからね」
「ありがとうございますーっ」
感涙の表情でお礼を叫んだタマモが、掲示板を開いて超速作業を始める。きっとみんなにお知らせしてるんだろう。
早めに売り出さないと混乱が生じちゃうかもなー。ログアウト前に作業しようっと。
「……なんかよくわかんないですけど、ラッタンさんありがとうございます」
「らぴゅ(うん? ラッたんもよくわかんないけど、どういたしましてぇ)」
伸ばした体をふにょっと曲げて頭を下げるような仕草をしたぷる君に、ラッタンがきょとんとしてからニコッと笑う。
ふわふわなコミュニケーションしてる二人が可愛いよー。
まあ、それはさておき。
束の間だけ状況を忘れてほのぼのしてるぷる君に、僕はずいっと近寄った。
レベリング方法をちゃんと伝えておかなくちゃね。
「いい? ぷる君は海に入って、海水ごと敵のモンスターを飲み込むんだよ」
「……うぅん……ちょっと人の意識が邪魔して、できると断言はできないんですけど……とりあえずがんばってみます」
「スラリンを喚んでお手本を見せてあげるからねー」
「それは助かります!」
ようやく前向きになったぷる君に、ちょっとホッとする。
さすがに無理強いするのはダメだと思ってたんだよね。
「海水と一緒にモンスターを飲み込んだら、分解して吸収するか、浜辺に吐き出すんだよ。それでモンスターを倒せたら、ちゃんと経験値が入るからね」
「なるほど……面白い仕組みですね」
「うん、たぶんスライム系のモンスターしかできないやり方だよね」
僕もスラリンが漁を始めた時は驚くやら感心するやら……今はもう慣れて日常みたいになってるけどね!
なにはともあれ、ぷる君に今後の行動指針を伝えられたから、そろそろ行こうか──と言おうとしたら、ラッタンが『はぁい』と手を挙げているのが見えた。
「ラッタン、どうしたの?」
「らぴゅ(ラッタンも漁するぅ)」
「え……」
思わぬ宣言を受けて、ちょっと固まる。
そっか、ラッタンも漁に興味が湧いたのか……僕のテイムモンスターって感じだなぁ。
ラッタンは水属性だし、それなりに強いし、海水に入っても大丈夫かも? 少なくともぷる君よりは安全に漁をできそうだよね。
「──わかった! ラッタンもスラリンに漁を教えてもらおうねー」
「らぴゅ(スラリン? わかんないけど、がんばるよぉ)」
首を傾げたラッタンを見て、みんなをまだ紹介してないことを思い出した。
今日のレベリングが終わったら、屋敷に帰ってみんなと会わせるから楽しみにしててね!
「話がまとまったところで……れっつごー!」
「らぴゅ(ごぉ♪)」
「……プラトン、いきます!」
あれ? ぷる君の宣言に変なルビがついてた気がする? ……まあいっか。
バリケードに向かって歩き始めたら、そこに集っていた異世界の住人冒険者たちに「お、ウサギたちも防衛に協力してくれるのか?」とか「スライム? よくわかんないけど、旅人ならなんでもアリか……」とか歓迎(?)された。
適当に手を振りながら声に応えて、よいしょっとバリケードを乗り越える。
不意打ちで襲ってきたモンスターは異世界の住人の冒険者が倒してくれた。
ありがとー。おかげでぷる君が足を止めずに済んだよ。
「【風の玉】」
「らぴゅ(水矢)」
「よいしょっと」
いい感じのところに着くまでは、僕が風魔術や蹴り技を放ち、ラッタンに指示を出して攻撃させ、タマモが見事な体術を披露して、ぷる君を守りながら進んだ。
ぷる君はプルプルと体を震わせてビビりながらもちゃんと着いてきてる。ここまで来たら離れる方が怖いって考えてる気もするけど。
海からのモンスターを倒して、イベントアイテムをザクザクと獲得中。
海中窟ダンジョンでも入手できたし、結構溜まってきたなー。どんなアイテムと交換できるのか、後で確かめておこうっと。
「この辺でよさそうだね。【召喚】スラリン!」
浜辺まで歩いてきたところで立ち止まる。
スラリンを召喚して、漁の準備は万全だよ!
「──レッツ、スライム漁!」
「きゅぃ(わーい、漁だー!)」
「らぴゅ(ラッたんも漁するんだよぉ)」
「えぇー……」
ぷる君がぷるぷる震えてる。
強くなるためには挑戦あるのみだよ。ふぁいとー!
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