もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
514 / 661
12章 美味しいもの大好き!

470.もう秋ですよ

 海イベントが終わって、ハロウィンイベントが始まったと思った途端、はじまりの街が紅葉で彩られた。

「ほあー、綺麗だねぇ」
「あかいねぇ」

 アリスちゃんと並んで、公園にあるもみじを見上げる。
 今日は一緒に遊んでるんだよ。

 やっぱり初めて仲良くなったお友だちと遊ぶのは楽しい。はじまりの街も、まだすべてを把握したわけじゃないから、散歩するだけで新発見がいっぱいだし。

「去年は赤くなってなかった気がする……」
「さいきんうえたんだってー」
「そうなんだ?」

 アリスちゃん曰く、旅人プレイヤーに少しでもこの世界に定着してもらうために、街は日々進化をしているらしい。
 つまりは……運営さん、めっちゃがんばってる、ってことだね!

「ねえ、モモ」
「なぁに?」

 もみじの木の下でピクニック。
 僕が作ったお菓子を食べながら、のんびりと休憩する。朝からたくさん歩き回ってたから、アリスちゃんが疲れちゃったかもしれないし。

「このあと、にゃんちゃんのお友だちのところに行く?」
「にゃんちゃんのお友だち……それはもしかしてニャンコ!?」

 思わず前のめりになった。
 にゃんちゃんはアリスちゃんの飼い猫(?)だから、そのお友だちも猫の可能性が高い。新たなもふもふだー!

「ニャンコ……うん、ニャンコ(?)かなぁ」
「待って、曖昧な感じなのはなんで??」

 首を傾げながらジュースを飲んでるアリスちゃんを凝視した。
 会いに行こうとしてるのはニャンコなの? ニャンコじゃないの? 結構重要だよ?

「あったらわかるよー」
「……そっかー。じゃあ、楽しみにしておくね」

 結局答えをもらえなかったから、謎のままだ。
 ニャンコ(?)の謎を解明するのは……数十分後だよ!
 ──なんて脳内で予告ナレーションを入れて気分を盛り上げる。

 楽しみだなー、ニャンコ(?)。
 まさか、リコみたいなよくわからない不思議生物ではないよね……?

 鰐と犬が合体した感じのリコの姿もカッコいいし、もふもふだし、いいと思うんだけど、今僕が求めてるもふもふはそれじゃないんだよなぁ。

 そんなことを考えながらお菓子を食べ、ほのぼのとしていたら、視界の端でボールのようなものが跳ねた気がした。
 ボール遊びしてる子がいるのかな? 公園だしねぇ──と思ったのも束の間、視線を向けて固まる。

「……ぷる君?」

 ボールじゃなかった。
 ぷる君が青緑色のボールのような体で、ぽよーんっと跳ねている。さすがスライム、まん丸だね。

「あ、モモさん、こんちゃー」
「こんちゃー。ぷる君、ここで何してるの?」

 僕に気づいて嬉しそうに近づいてきたぷる君をレジャーシートの上に誘導する。
 とりあえず、ぷる君もお菓子食べよ?

「わっ、美味しそうなお菓子だー。僕、マドレーヌ好きです!」
「食べていいよ」
「ありがとうございます! ──うまぁ……!」

 マドレーヌを食べて感動してるぷる君を眺めながら首を傾げる。
 僕が聞いたことへの答えはまだかなー?

「モモ、このプルプルはスラリンじゃないの?」
「スラリンじゃないよー。ぷる君っていう、僕の友だち……かな?」
「そこ、疑問符つけられるのはちょっぴり悲しいですぅ……」

 アリスちゃんにぷる君を紹介していたら、ぷる君が平べったく伸びた。
 急にそんな動きされたらビックリするよ。
 でも、最初は人間としての意識がどうとかって戸惑ってたのに、すっかりスライムの体に慣れたみたいだね。

「わたし、アリスよ。よろしくね」
「はい! お噂はかねがね……よろしくお願いします!」

 瞬時に丸い形態を取り戻して、嬉しそうに跳ねるぷる君に、アリスちゃんは目をパチパチと瞬かせてる。

「うわさ?」
「シークレットエリア開放ミッションの異世界の住人NPC……って、これ、本人に言っても伝わらないやつですかね?」

 キョトンとしてるアリスちゃんからソローッと目を逸らし、ぷる君が気まずそうに問いかけてくる。
 異世界の住人NPCに対して、ミッションとかのシステム関連の話題って、通じないことあるもんね。たぶん、アリスちゃんもわかってない。

「そうだねー。あのね、アリスちゃん。ぷる君が言ってるのは、アリスちゃんがお友だちにくれる秘密の地図のことだよ。他の人から、その話を聞いたんだと思うよ」
「そうなんです!」

 僕がアリスちゃんに伝わるように説明したら、ぷる君が輝きを取り戻した目でアリスちゃんを見上げた。
 アリスちゃんは「そっか。みんなにわたしてるもんね」と納得した様子。

「ぷる君もほしいの?」
「欲しいです!」

 ぷる君が食い気味に答える。そんなに欲しかったのか。
 まぁ、アリスちゃんって、連絡先を知らないと滅多に会えないレアキャラなところあるし。いる場所が固定されてないもんなぁ。せっかく会えたなら、報酬が欲しくなって当然かも。

「んー、でも、わたしとあなたは、まだともだちじゃないし……」
「グサッ……」
「おお、急に冷めた言葉でぷる君を突き刺すなんて、アリスちゃんやるぅ!」

 デローン、と伸びて倒れた様を表現するぷる君をスルーして、僕はアリスちゃんとハイタッチ。
 アリスちゃんはよくわかってない感じだけど、僕のもふもふなお手々をタッチして嬉しそう。

 秘密の地図をもらうのって、アリスちゃんと散歩するのが条件だった気がするし、ぷる君はまだ条件を達成できてないから、もらえないのはしかたないね。

「あ、そういえば、ぷる君に会ったの久しぶりだよね?」
「急にどうしたんです?」

 ふと思い出したことがあってぷる君に声をかけると、ヌルヌルとした動きで丸い形に戻った。その感じ、ちょっと気持ち悪いよ。

「矢印って、結局どうなったんだっけ?」
「今さら!? 修正されてから、何度か会ってますよね!」

 めっちゃ驚かれた。
 そうだねー。ぷる君は騒動を起こしたお詫びとして、漁の成果をプレゼントしてくれてたから、度々会ってたし、確かに今さらなんだけど。
 矢印は僕には見えないから、忘れてたんだよ。ぷる君も何も言わなかったからね。

「うん、今急に気になった」

 きっと、ぷる君に尋ねなさい──っていうお告げ(?)があったんだね。

 ニコニコしながらぷる君を見たら、ちょっぴり呆れた感じの目で「モモさんが電波ちゃんになるのは解釈違い……」と呟かれた。
 僕は電波ちゃんじゃないよ! たまに天啓を感じ取るだけ!

「……教えたら、僕の上に乗ってくれます?」
「えー……考えておくね?」
「それ、お断りって意味だったりしますよね!」

 ぷる君が「うわーん。ちょっと乗ってほしいだけなのにぃ。ついでにもふもふを体感させてほしいだけなのにぃ」と泣き真似をした。

 それを見て、アリスちゃんが「え……パパが近づいちゃダメっていつも言ってるタイプの子かな……?」とちょっと引いてるよ。
 ぷる君はすぐに態度を改めた方がいいと思う。
 このままだと、秘密の地図をもらえなくなっちゃうぞ!

感想 3,053

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?

シエル
恋愛
「彼を解放してください!」 友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。 「どなたかしら?」 なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう? まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ? どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。 「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが? ※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界 ※ ご都合主義です。 ※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

死にたくないので、今世は「悪女」の看板を下ろして「聖女」の利権を奪い尽くします

あめとおと
恋愛
「死に様なら、もう八通りも見てきたわ」 公爵令嬢レオノーラは、義妹ミアを「聖女」として引き立てるための「悪役」として、九回の人生をループしてきた。 どれほど善人に振る舞おうと、どれほど婚約者の王太子に縋ろうと、最後は常に処刑台か追放。 すべては、周囲の好感度を強制的に書き換えるミアの「偽りの奇跡」のせいだった。 十度目の十六歳。 累計八十年の人生を経験し、精神年齢も魔導知識も「枯れた」域に達したレオノーラは、ついに決意する。 「いい子を演じるのは、もう飽きたわ。今世は悪役令嬢らしく、あなたの『幸運』をすべて奪い尽くしてあげる」 ミアが手に入れるはずだった【癒やしの聖杯】を先回りして献上し、 ミアの信奉者になるはずだった【最強の騎士団長】を魔導の力で救済して味方につけ、 王太子との「思い出の場所」を物理的に整地してバラ園に変える。 「あら、殿下。ゴミ(思い出)を片付けて何が悪いのかしら?」 冷徹に、そして優雅に「ざまぁ」を完遂していくレオノーラ。 そんな彼女の前に、前世では「死神」と恐れられた隣国の皇帝ギルバートが現れる。 彼は、聖女の補正が効かない唯一の男。そして、誰よりも重すぎる独占欲を抱えた男だった――。 「君は世界を奪え。私は、そんな君を奪うとしよう」 これは、九回殺された悪役令嬢が、十回目で「真の幸福」と「最強の地位」を力ずくでもぎ取る、逆転無双の物語。 【全10話+後日談 完結まで投稿済 最終投稿は3/27】