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12章 美味しいもの大好き!
500.成功の味
爆発して泣き言を吐く度に、ハカセに「じゃあ、錬成スキル習得を諦めるにゃ?」と言われて、負けず嫌いを発揮してなんとかがんばってる。
ただ、ポンチョには耐久値があるし、それを回復させる修復スキルもクールタイムがある。
だから、訓練は思うように進まず、何度も中断しなくてはいけなくて、『習得はもうまた今度でいいかな……』と諦めかけていた。
「……ここで遊べるタイムリミットが近いし、次で最後かなぁ」
錬成を何回試みて、修復スキルを何回使ったか、というのもわからなくなったよ。
とりあえず、次に爆発したらポンチョの耐久値がギリギリになるし、まだ修復スキルを使えないから、今日は断念ということになりそうだ。
「最後まで諦めるんじゃないにゃ」
「うん、わかってる。心を込めて錬成するよ!」
折れかけていた心をなんとか立て直して、錬成壺に向き合う。
そこにいれるのは、今日嫌というほど見たリンゴと黄金桃だ。
毎回ハカセがこの素材をくれるし、それが爆発で無になっていることを思うと、こうして僕の錬成特訓に付き合ってくれていることがありがたいなぁ、と改めて思う。
ハカセのその優しさはきっと、僕にちゃんと錬成を習得してほしい、と祈ってくれているからだ。
──その思いに、ちゃんと応えたいな。
「よぉし、最後の錬成、やっちゃうぞ~!」
二つの素材から性質を選んで、錬成壺の中を錬成杖でグールグルとかき混ぜる。
何回も失敗してるけど、ちょっとずつ爆発までの時間が長くなってる気がするんだよね。ちょっとコツを掴んできてるんじゃないかな。
「らぴゅ(もふもぉふ、プリッティ♪)」
ラッタンが歌ってくれて、そのリズムで体が揺れる。
どうやら、このリズムは錬成と相性がいいようなのだ。
綺麗な発色を眺めながら、緊張で動きがギクシャクしそうになるのをなんとか堪えて、ひたすらいいリズムで混ぜ続ける。
ちなみに、ラッタン以外の仲間はここにはいない。
爆発する度にみんなのポンチョの耐久値も下がっちゃうから、みんな屋敷に帰したんだ。何度も爆発に巻き込むのも申し訳ないし。
ラッタンは歌でリズムをとると上手くいきやすい、というのを感じて、僕を応援するためにずっと付き合ってくれてる。
失敗しても「らぴゅ(さっきよりいい感じになってるよぉ)」とニコニコ可愛い笑みで慰めてくれるし……やっぱり仲間っていいね!
「──お……? なんかいつもと違う……」
ふと気づいたら、錬成壺の中から放たれる光が、徐々に白んできているのがわかった。いつもは泥混じりみたいな色になってたのに、今回は逆だ。
これは、もしかして!
「混ぜるの、止めていいにゃ」
「はいっ!」
ハカセに指示をされて、ピタッと錬成杖を止める。
錬成壺から放たれる光は真っ白に変わっていた。
その光は花が散るように掠れ、フッと掻き消える。
残されたのは錬成壺。
恐る恐るその中を覗いて、中にあったものを取り出した。
「……リンゴ?」
見た目は最初にいれたリンゴによく似ている。でも、下の方がちょっとだけ黄金桃のような黄色になってるかも?
「にゃにゃ。成功したようだにゃ~♪」
ご満悦そうなハカセの言葉で、ようやく実感が湧いてきた。
ついに、成功したんだ! 錬成スキルがちゃんと使えた!
〈行動蓄積により、スキル【錬成】レベル1を習得しました〉
アナウンスも来た!
スキルとして覚えられたってことは、これまでより成功率が上がってるはず。今回ほど爆発に心を折られなくて済むぞ……!
感動のあまり、無言でリンゴ(?)を頭上に掲げて震えた。
これが、至宝のように見えてくるよ……。
「らぴゅ(おめでとぅ。それ、食べていいのぉ?)」
早速とばかりに問いかけてきたラッタンから、慌ててリンゴ(?)を遠ざける。
「まだ鑑定もしてないし、食べちゃダメー!」
「らぴゅ(えぇ……)」
しょぼんと肩を落とすラッタンに苦笑して、リンゴ(?)に視線を戻す。
ラッタンが待ちわびてるみたいだし、さっさと鑑定しないとね。
——————
【桃林檎】レア度☆☆☆☆
錬成によって作られた果物
見た目はリンゴに似ているが、味わいは桃に近い
——————
ほうほう……食感とかはどんな感じなんだろう? 見た目がリンゴっぽいからシャクッとした感じ?
そうなると、普通の桃よりさっぱりとした甘さに感じられそうだ。気になる……!
「よし、食べよう」
「潔いにゃ」
すちゃっと錬金料理包丁を取り出して構えると、ハカセが面白がって笑った。
さっきまで大切そうに抱えてたから、心変わりが早いって思ったんだろうね。
でも、成功したからには、味を確かめるまでがプロ(?)なので。今後、料理に使う可能性を考えて、味見は必須です。
桃林檎に包丁を当てると、イメージした通りに八等分に切れた。
僕とハカセ、ラッタンで食べて、美味しかったらあとでスラリンたちにもあげる予定だよ。
「では、実食!」
乾杯をするように、フォークに刺した桃林檎を軽くぶつけてから、端の方をかじる。
──シャク、ジュワァ……!
「っっっ、ビックリした!」
思いがけない食感に目が丸くなる。
リンゴのような歯ごたえを一瞬感じたかと思うと、完熟の桃のように口の中でトロッと蕩けていったんだもん。果汁が溢れるように出てきて、まるでジュースを飲んだかのようだった。
味は桃なんだけど、普通の桃よりさっぱりした感じ。ちょっとリンゴの香りも残ってる気がする。
桃のようにジューシーで、それでいて、食べた後に甘ったるさが残らなくて爽やか。
……これ、何個でも食べられちゃう魔性の果実では!?
「あぁ……食べ終わっちゃうのがもったいない……」
「らぴゅ(うままぁ♡)」
次にいつ作れるかわからないから、フォークに刺した桃林檎をちょっとずつ齧って味わう。うまうまー。
ラッタンも体を揺らしながら幸せそうに食べてる。
「初めて錬成したにしては良い品質にゃ。これからも色々と試してがんばれにゃあ」
「うん、がんばるよ」
最後に、ハカセに「錬成スキルで作ったものは、農地などで栽培して増やすことはできないにゃー」と教えてもらって、今日は解散。
やっぱり栽培じゃ増やせないよねぇ、とガッカリしちゃったけど、錬成スキルって結構とんでもない技術な気がするからしかたないね。
ただ、ポンチョには耐久値があるし、それを回復させる修復スキルもクールタイムがある。
だから、訓練は思うように進まず、何度も中断しなくてはいけなくて、『習得はもうまた今度でいいかな……』と諦めかけていた。
「……ここで遊べるタイムリミットが近いし、次で最後かなぁ」
錬成を何回試みて、修復スキルを何回使ったか、というのもわからなくなったよ。
とりあえず、次に爆発したらポンチョの耐久値がギリギリになるし、まだ修復スキルを使えないから、今日は断念ということになりそうだ。
「最後まで諦めるんじゃないにゃ」
「うん、わかってる。心を込めて錬成するよ!」
折れかけていた心をなんとか立て直して、錬成壺に向き合う。
そこにいれるのは、今日嫌というほど見たリンゴと黄金桃だ。
毎回ハカセがこの素材をくれるし、それが爆発で無になっていることを思うと、こうして僕の錬成特訓に付き合ってくれていることがありがたいなぁ、と改めて思う。
ハカセのその優しさはきっと、僕にちゃんと錬成を習得してほしい、と祈ってくれているからだ。
──その思いに、ちゃんと応えたいな。
「よぉし、最後の錬成、やっちゃうぞ~!」
二つの素材から性質を選んで、錬成壺の中を錬成杖でグールグルとかき混ぜる。
何回も失敗してるけど、ちょっとずつ爆発までの時間が長くなってる気がするんだよね。ちょっとコツを掴んできてるんじゃないかな。
「らぴゅ(もふもぉふ、プリッティ♪)」
ラッタンが歌ってくれて、そのリズムで体が揺れる。
どうやら、このリズムは錬成と相性がいいようなのだ。
綺麗な発色を眺めながら、緊張で動きがギクシャクしそうになるのをなんとか堪えて、ひたすらいいリズムで混ぜ続ける。
ちなみに、ラッタン以外の仲間はここにはいない。
爆発する度にみんなのポンチョの耐久値も下がっちゃうから、みんな屋敷に帰したんだ。何度も爆発に巻き込むのも申し訳ないし。
ラッタンは歌でリズムをとると上手くいきやすい、というのを感じて、僕を応援するためにずっと付き合ってくれてる。
失敗しても「らぴゅ(さっきよりいい感じになってるよぉ)」とニコニコ可愛い笑みで慰めてくれるし……やっぱり仲間っていいね!
「──お……? なんかいつもと違う……」
ふと気づいたら、錬成壺の中から放たれる光が、徐々に白んできているのがわかった。いつもは泥混じりみたいな色になってたのに、今回は逆だ。
これは、もしかして!
「混ぜるの、止めていいにゃ」
「はいっ!」
ハカセに指示をされて、ピタッと錬成杖を止める。
錬成壺から放たれる光は真っ白に変わっていた。
その光は花が散るように掠れ、フッと掻き消える。
残されたのは錬成壺。
恐る恐るその中を覗いて、中にあったものを取り出した。
「……リンゴ?」
見た目は最初にいれたリンゴによく似ている。でも、下の方がちょっとだけ黄金桃のような黄色になってるかも?
「にゃにゃ。成功したようだにゃ~♪」
ご満悦そうなハカセの言葉で、ようやく実感が湧いてきた。
ついに、成功したんだ! 錬成スキルがちゃんと使えた!
〈行動蓄積により、スキル【錬成】レベル1を習得しました〉
アナウンスも来た!
スキルとして覚えられたってことは、これまでより成功率が上がってるはず。今回ほど爆発に心を折られなくて済むぞ……!
感動のあまり、無言でリンゴ(?)を頭上に掲げて震えた。
これが、至宝のように見えてくるよ……。
「らぴゅ(おめでとぅ。それ、食べていいのぉ?)」
早速とばかりに問いかけてきたラッタンから、慌ててリンゴ(?)を遠ざける。
「まだ鑑定もしてないし、食べちゃダメー!」
「らぴゅ(えぇ……)」
しょぼんと肩を落とすラッタンに苦笑して、リンゴ(?)に視線を戻す。
ラッタンが待ちわびてるみたいだし、さっさと鑑定しないとね。
——————
【桃林檎】レア度☆☆☆☆
錬成によって作られた果物
見た目はリンゴに似ているが、味わいは桃に近い
——————
ほうほう……食感とかはどんな感じなんだろう? 見た目がリンゴっぽいからシャクッとした感じ?
そうなると、普通の桃よりさっぱりとした甘さに感じられそうだ。気になる……!
「よし、食べよう」
「潔いにゃ」
すちゃっと錬金料理包丁を取り出して構えると、ハカセが面白がって笑った。
さっきまで大切そうに抱えてたから、心変わりが早いって思ったんだろうね。
でも、成功したからには、味を確かめるまでがプロ(?)なので。今後、料理に使う可能性を考えて、味見は必須です。
桃林檎に包丁を当てると、イメージした通りに八等分に切れた。
僕とハカセ、ラッタンで食べて、美味しかったらあとでスラリンたちにもあげる予定だよ。
「では、実食!」
乾杯をするように、フォークに刺した桃林檎を軽くぶつけてから、端の方をかじる。
──シャク、ジュワァ……!
「っっっ、ビックリした!」
思いがけない食感に目が丸くなる。
リンゴのような歯ごたえを一瞬感じたかと思うと、完熟の桃のように口の中でトロッと蕩けていったんだもん。果汁が溢れるように出てきて、まるでジュースを飲んだかのようだった。
味は桃なんだけど、普通の桃よりさっぱりした感じ。ちょっとリンゴの香りも残ってる気がする。
桃のようにジューシーで、それでいて、食べた後に甘ったるさが残らなくて爽やか。
……これ、何個でも食べられちゃう魔性の果実では!?
「あぁ……食べ終わっちゃうのがもったいない……」
「らぴゅ(うままぁ♡)」
次にいつ作れるかわからないから、フォークに刺した桃林檎をちょっとずつ齧って味わう。うまうまー。
ラッタンも体を揺らしながら幸せそうに食べてる。
「初めて錬成したにしては良い品質にゃ。これからも色々と試してがんばれにゃあ」
「うん、がんばるよ」
最後に、ハカセに「錬成スキルで作ったものは、農地などで栽培して増やすことはできないにゃー」と教えてもらって、今日は解散。
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