545 / 555
12章 美味しいもの大好き!
499.錬成しよう
しおりを挟む
宝果を堪能した後は、お待ちかねの錬成スキル習得特訓だぞ~。
ちなみに、たくさんいた長靴猫たちは、宝果がなくなったのを見て去っていきました。
ちょっと寂しい。
「ハカセ! 錬成って失敗したら爆発するらしいけど、回避する方法はありますか!?」
気分を切り換えて、ハイッと手を上げて質問。
錬成スキルを使う上で、今のところ爆発が一番の懸念点だからねぇ。
「ないにゃ」
……ハカセにバッサリと否定されちゃったけど。うぇーん。
つまり、錬成スキルを使おうと思ったら、長靴猫たち並みに、地下都市を作る覚悟が必要ってこと?
街中で生産作業できないじゃん!
僕は街のみんなに『爆弾魔ウサギ』扱いされたくないもん……。
「そのポンチョを着てたら、少なくとも爆発のダメージは負わないにゃ」
「家への損傷は?」
「……毎回修復しろ、にゃ」
「ぴえん……絶望しかない……」
なんとも無情な返答をもらってしょんぼりしちゃう。
建築スキルでなんとかなるかな?
でも、爆発する家や店って、通報されない?
どう考えても、今まで通りにホームの工房で作業するのは無理そう。
何かいい方法を考えないとなぁ。
とりあえず今は、スキルの習得をがんばろう。
「これをあげるにゃ」
ハカセがそう言って、壺のようなものを取り出した。
全鑑定スキルの出番だ~。
——————
【錬成壺】レア度☆☆☆☆
錬成作業の際に必須の道具
中に入れたアイテムから抜き出す性質を選択し、合成できる
——————
説明が少ない。
首を傾げながらハカセを見ると、「これを入れてみるにゃ」とリンゴを渡された。
オッケー。ポーイ。
リンゴを錬成壺に放り込んでみる。
すると、怪しい蛍光グリーンの光を放った錬成壺から、フワッと白色の字が浮かび上がってきた。
「ほえ? 【味:甘い】【味:ジューシー】【食感:シャクッとした歯ごたえ】【見た目:赤いリンゴ】──たくさんの文字があるねぇ」
浮かび上がってきた字を読み上げて、なんとなく理解する。
これがつまり、リンゴの性質を分けたものってことだね。
「初心者は一つのアイテムから一つの性質しか選べないにゃ。壺に入れられるアイテムも二つだけにゃ」
「つまり、二つの性質を合成したアイテムを作れるってことかぁ」
「そうにゃ。それと、錬成スキルを持っていない状態だと、失敗する可能性が跳ね上がるにゃ」
「ヒエッ……!」
恐ろしい情報をもらってしまった。
爆発はイヤだよぉ。しょんぼりしちゃう。
でも、ハカセが「失敗は成功のもと、にゃ。繰り返し挑戦しないと、錬成スキルを習得することはできないにゃ」と言うから、がんばるしかない。
「うぅ……まずはこのリンゴから【見た目:赤いリンゴ】を選んでみるね」
性質を選択するのは、浮かんでいる文字に触ればいいらしい。
ポンッと文字にタッチすると、【見た目:赤いリンゴ】以外の文字が消えた。
「にゃ。いい選択にゃ。それじゃあ次に、黄金桃を入れるにゃ」
ハカセから渡された黄金桃を錬成壺にポーイ。
すぐに、新たな黒色の文字が浮かび上がってくる。
「色々あるなぁ……よし【味:甘い】を選択!」
文字群から選んでタッチする。
壺の上には【見た目:赤いリンゴ】と【味:甘い】の文字だけが残った。
「ふむふむ……じゃあ、最後に、壺の中を【錬成杖】でかき混ぜるにゃ」
ハカセから渡された柄の長いしゃもじのようなものを鑑定してみる。
——————
【錬成杖】レア度☆☆☆☆
錬成の際に、性質を混ぜ合わせるために使用する
混ぜ方により、成功率が変わる
——————
このアイテムを使っての作業、めっちゃ重要じゃん! 軽い感じで渡されたけどさ!
「ま、混ぜ方のコツを教えてください……!」
ハカセに縋るような目を向けると、「にゃ~?」と悩ましげな声が聞こえた。
「コツと言ってもにゃあ……綺麗な発色になるように、リズムよく混ぜると成功しやすい、かもしれないにゃ」
「なんか曖昧だし、いまいちわからない……」
聞いても無駄だった?
とにかく、発色が綺麗になるように、とか、リズムよく、というのを気にしてやってみよう。
錬成杖を握りしめて、気合いを入れて錬成壺に向き合う。
錬成壺は相変わらず蛍光グリーンの光を放っていた。中を覗いても、その見た目は変わらない。
つまり、この発光色の変化に注意すればいいんだね?
よぉし、がんばるぞー!
「ポチャッとな」
錬成杖を突っ込み、ゆっくりと回す。
ぐーるぐーる、ぐるぐる。
……蛍光グリーンの色が濃い緑色になってきた気がするぞ?
これはいい感じなの? ダメなの?
よくわかんないながらも、一定のスピードでかき混ぜ続けて──
「はわわっ、緑がかったドブ色になってきたよっ!?」
「……にゃふー」
「そのため息、どういう意味!?」
どう考えても綺麗じゃない発光に、慌てちゃう。
ハカセは息を吐いて、ソッと後ろを向いた。
それ、爆発に備えた体勢では? 長靴猫って、爆発の影響を受けない体質じゃなかった?
「爆発を真正面から浴びると眩しいにゃ。モモも気をつけるにゃ」
「完全に失敗してるじゃんっ!」
危険を知らせるように、ドブ色の光が点滅を始める。
その間隔が短くなったのを見て、僕も急いで錬成壺から逃げた。
「スラリンたちも離れてー!」
「きゅぴーっ!」
みんなで壁際に退避したところで──
ピカッとドブ色の光が僕たちを強く照らしたかと思うと、ドガンッと凄まじい音が聞こえた。
「……ふぇ……光だけじゃなくて、爆発音対策も必要だった……」
耳を押さえてうずくまる。
ポンチョのおかげで、爆発の熱や衝撃は感じなかったけど、音を防ぐことはできなかったみたいだ。
うぇーん、精神ダメージも大きいよぉ。
久々の失敗で打ちのめされて、しょんぼりしちゃう。
僕、ちゃんとスキルを習得できるかなぁ……。
ちなみに、たくさんいた長靴猫たちは、宝果がなくなったのを見て去っていきました。
ちょっと寂しい。
「ハカセ! 錬成って失敗したら爆発するらしいけど、回避する方法はありますか!?」
気分を切り換えて、ハイッと手を上げて質問。
錬成スキルを使う上で、今のところ爆発が一番の懸念点だからねぇ。
「ないにゃ」
……ハカセにバッサリと否定されちゃったけど。うぇーん。
つまり、錬成スキルを使おうと思ったら、長靴猫たち並みに、地下都市を作る覚悟が必要ってこと?
街中で生産作業できないじゃん!
僕は街のみんなに『爆弾魔ウサギ』扱いされたくないもん……。
「そのポンチョを着てたら、少なくとも爆発のダメージは負わないにゃ」
「家への損傷は?」
「……毎回修復しろ、にゃ」
「ぴえん……絶望しかない……」
なんとも無情な返答をもらってしょんぼりしちゃう。
建築スキルでなんとかなるかな?
でも、爆発する家や店って、通報されない?
どう考えても、今まで通りにホームの工房で作業するのは無理そう。
何かいい方法を考えないとなぁ。
とりあえず今は、スキルの習得をがんばろう。
「これをあげるにゃ」
ハカセがそう言って、壺のようなものを取り出した。
全鑑定スキルの出番だ~。
——————
【錬成壺】レア度☆☆☆☆
錬成作業の際に必須の道具
中に入れたアイテムから抜き出す性質を選択し、合成できる
——————
説明が少ない。
首を傾げながらハカセを見ると、「これを入れてみるにゃ」とリンゴを渡された。
オッケー。ポーイ。
リンゴを錬成壺に放り込んでみる。
すると、怪しい蛍光グリーンの光を放った錬成壺から、フワッと白色の字が浮かび上がってきた。
「ほえ? 【味:甘い】【味:ジューシー】【食感:シャクッとした歯ごたえ】【見た目:赤いリンゴ】──たくさんの文字があるねぇ」
浮かび上がってきた字を読み上げて、なんとなく理解する。
これがつまり、リンゴの性質を分けたものってことだね。
「初心者は一つのアイテムから一つの性質しか選べないにゃ。壺に入れられるアイテムも二つだけにゃ」
「つまり、二つの性質を合成したアイテムを作れるってことかぁ」
「そうにゃ。それと、錬成スキルを持っていない状態だと、失敗する可能性が跳ね上がるにゃ」
「ヒエッ……!」
恐ろしい情報をもらってしまった。
爆発はイヤだよぉ。しょんぼりしちゃう。
でも、ハカセが「失敗は成功のもと、にゃ。繰り返し挑戦しないと、錬成スキルを習得することはできないにゃ」と言うから、がんばるしかない。
「うぅ……まずはこのリンゴから【見た目:赤いリンゴ】を選んでみるね」
性質を選択するのは、浮かんでいる文字に触ればいいらしい。
ポンッと文字にタッチすると、【見た目:赤いリンゴ】以外の文字が消えた。
「にゃ。いい選択にゃ。それじゃあ次に、黄金桃を入れるにゃ」
ハカセから渡された黄金桃を錬成壺にポーイ。
すぐに、新たな黒色の文字が浮かび上がってくる。
「色々あるなぁ……よし【味:甘い】を選択!」
文字群から選んでタッチする。
壺の上には【見た目:赤いリンゴ】と【味:甘い】の文字だけが残った。
「ふむふむ……じゃあ、最後に、壺の中を【錬成杖】でかき混ぜるにゃ」
ハカセから渡された柄の長いしゃもじのようなものを鑑定してみる。
——————
【錬成杖】レア度☆☆☆☆
錬成の際に、性質を混ぜ合わせるために使用する
混ぜ方により、成功率が変わる
——————
このアイテムを使っての作業、めっちゃ重要じゃん! 軽い感じで渡されたけどさ!
「ま、混ぜ方のコツを教えてください……!」
ハカセに縋るような目を向けると、「にゃ~?」と悩ましげな声が聞こえた。
「コツと言ってもにゃあ……綺麗な発色になるように、リズムよく混ぜると成功しやすい、かもしれないにゃ」
「なんか曖昧だし、いまいちわからない……」
聞いても無駄だった?
とにかく、発色が綺麗になるように、とか、リズムよく、というのを気にしてやってみよう。
錬成杖を握りしめて、気合いを入れて錬成壺に向き合う。
錬成壺は相変わらず蛍光グリーンの光を放っていた。中を覗いても、その見た目は変わらない。
つまり、この発光色の変化に注意すればいいんだね?
よぉし、がんばるぞー!
「ポチャッとな」
錬成杖を突っ込み、ゆっくりと回す。
ぐーるぐーる、ぐるぐる。
……蛍光グリーンの色が濃い緑色になってきた気がするぞ?
これはいい感じなの? ダメなの?
よくわかんないながらも、一定のスピードでかき混ぜ続けて──
「はわわっ、緑がかったドブ色になってきたよっ!?」
「……にゃふー」
「そのため息、どういう意味!?」
どう考えても綺麗じゃない発光に、慌てちゃう。
ハカセは息を吐いて、ソッと後ろを向いた。
それ、爆発に備えた体勢では? 長靴猫って、爆発の影響を受けない体質じゃなかった?
「爆発を真正面から浴びると眩しいにゃ。モモも気をつけるにゃ」
「完全に失敗してるじゃんっ!」
危険を知らせるように、ドブ色の光が点滅を始める。
その間隔が短くなったのを見て、僕も急いで錬成壺から逃げた。
「スラリンたちも離れてー!」
「きゅぴーっ!」
みんなで壁際に退避したところで──
ピカッとドブ色の光が僕たちを強く照らしたかと思うと、ドガンッと凄まじい音が聞こえた。
「……ふぇ……光だけじゃなくて、爆発音対策も必要だった……」
耳を押さえてうずくまる。
ポンチョのおかげで、爆発の熱や衝撃は感じなかったけど、音を防ぐことはできなかったみたいだ。
うぇーん、精神ダメージも大きいよぉ。
久々の失敗で打ちのめされて、しょんぼりしちゃう。
僕、ちゃんとスキルを習得できるかなぁ……。
793
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。