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4章 錬金術士だよ?
128.引き続きバトルするぞ
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モンスターと戦いつつ、エリアボスの話を聞いてたら、誤解があったことに気づいた。
「ドラゴンって名前でも、ドラゴンじゃないんだ……」
光になって消えていったモンスターを見送りながら、ホッと息をつく。
どうやら、迷彩小竜は古竜のイグニスさんのような、規格外なほど強い存在ではないっぽい。
まぁ、今の段階のプレイヤーに、イグニスさんと戦えって言うような無理なことは、さすがに運営さんも考えないよね。
「迷彩小竜も十分強いんだけどな。モモが言ってたような、古竜とは全然違うだろ。比べたら可哀想だ」
「さすがに古竜レベルが出てきたら、運営に苦情殺到しちゃうよね」
リリとルトが苦笑してる。僕の取り越し苦労だったみたいだ。よかったー。
「どっかの島にいるコモドドラゴンみたいなやつってことかな」
「トカゲ系っていう意味では、合ってるな」
ルトにオッケーをもらったので、自分の中でのイメージを補正する。怖いドラゴンからちょっとスケールダウンしたよ。
それでも、面と向かって戦うってなったら怖くなりそうだけど。だって、ルトたちが言うには、迷彩小竜もそれなりに大きいらしいし。
二階建ての家くらいのサイズって言われたけど、そんな大きなモンスターに噛みつかれたら、僕は一撃でやられちゃうのでは? 飲み込まれちゃうかも。
〈種族レベルが20になりました。魔術士レベルが11になりました〉
思ったより早くアナウンスが来た! 考えてたことも忘れて、テンションが上がっちゃう。
やっぱり北の森林はもらえる経験値が多いんだね。経験値二倍キャンペーンの影響も大きいだろうし。
「なんか喜んでる?」
「うん! レベルが上ったんだー」
「良かったね。この調子でガンガン行こー」
リリが頭を撫でてくれた。ルトもちょっと笑いかけてくれたし。喜んでもらえると、さらにやる気が湧くよ。
「アイテムもひと通り試し終わったし、あとはスキルを育てるだけだね」
「そうだな。状態異常付与タイプのアイテムは、増産を頼みたい。もちろん素材の費用が低いやつでいいけど」
ルトに真剣な表情でお願いされた。
作ってきたアイテムの内、状態異常付与タイプはあんまり種類が多くない。今のところ麻痺か毒か混乱の付与しか作れないから。
でも、使ってみたら予想以上に効果的だったんだ。ダメージはあんまり与えられないけど、行動阻害効果がすごいんだよ。
「りょーかい! 迷彩小竜にも効くかなー?」
「どうだろうな。あとで掲示板で調べてみる。お前が売ってる麻痺薬を、迷彩小竜に使ったことがあるやつもいるだろ、きっと」
なるほど。僕のお店で麻痺薬(中)は人気商品だもんね。女の子たちにまじって、厳つい感じの男の人も結構やって来るし。
「じゃあ、調べるのはお任せしまーす。麻痺系はたくさん作れるから優先的に増産しとくね」
「さっきも、麻痺の素材はたくさんあるって言ってたけど、そんなにサウス街道でバトルしてたか? それとも、安くで買い取ってんのか?」
ルトに不思議そうに聞かれて、僕もきょとんとなった。なんでサウス街道?
「麻痺薬の素材って、サウス街道のモンスターからドロップする麻痺粉とかでしょ?」
リリに説明を追加されて、ようやくルトたちが疑問に思った理由がわかった。
「ううん。僕が使ってるのは、海で取れる痺海月だよ。スラリンと漁をしたら、毎回大量にとれるんだー」
ストレージにいっぱい保存されてる。昨日さらに増えたし、僕が釣りに飽きない限り、ゼロになることはないんじゃないかな。
「それからも作れるのか」
「知らなかったなぁ。海のモンスターから、他にもアイテム作れるのかな?」
「モンスターというか、粘海藻からは顔パックとか作れるよ」
「それはいらねぇ」
ルトに一言で拒否されたけど、顔パックは僕の店の人気商品なんだよ?
顔パックに色んな香りとか美容成分とかを足した結果、プレイヤーだけじゃなくて異世界の住人のお客さんもたくさん来るようになった。最近は顔だけじゃなく使えるように、化粧水とか美容液とかも売ってるんだ。
「すごく利益率が高い商品なんだけどなぁ」
「……お前、随分と商人らしくなったな」
「商売上手だね。顔パックは私も使ったことあるよ。もちもちプルプルになって、テンション上がるんだよねー」
まさかの利用者が身近にいた。にこにこと微笑んでるリリを、ルトが『マジか』と言いたげな顔で見てる。
僕は「喜んでもらえて嬉しいよ」と答えてから、香りや成分の要望を聞いてみた。僕自身では使えないから、美容系の新商品の開発が行き詰まってるんだ。
「私は香りはなくていいから、もうちょっと保湿時間が長くなるといいかな」
「なるほど。粘海藻の量を変えたらいいかも……」
リリの言葉をシステムメモに記録しながら頷く。貴重な意見ありがとうございます。
「……お前ら、ここがバトルフィールドだって忘れてねぇか?」
ルトが呆れた顔でそう言うと、木の陰から飛び出してきた影に「【斬撃】!」と飛ぶ斬撃を放った。モンスターが隠れながら近づいてたらしい。
「ルト、そんなスキル持ってたの!?」
体力を半分以上削られたモンスターに火魔術を投げ込みながら、思わず叫んじゃう。突然モンスターが現れたことより、ルトの派手カッコいいスキルの方にびっくりしたんだもん。
「おう。お前と違って、真面目にバトルを重ねてるからな」
「僕だって嵐蹴りスキル取得したもん!」
「俺らがバトルに連れ出さなきゃ、新たなスキルの取得なんて考えてなかっただろ?」
「ぎくっ」
目を逸らした僕に、ルトの「ほらな」という勝ち誇ったような声が聞こえる。
でも、バトルで使えるカッコいいスキルを取得したいと、僕だってずっと思ってたんだよ。優先順位が低かっただけで。
「お前のレベリングに来てるんだから、しっかりバトルしろよ」
「してるもん!」
新たに現れたモンスターを指したルトに抗議しながら、「【嵐蹴り】!」とスキルを使う。
やっぱり蹴り技が決まると、スカッとして良い気分だ。ルトがバトル好きなのも、ちょっと共感できちゃうぞ。
「ドラゴンって名前でも、ドラゴンじゃないんだ……」
光になって消えていったモンスターを見送りながら、ホッと息をつく。
どうやら、迷彩小竜は古竜のイグニスさんのような、規格外なほど強い存在ではないっぽい。
まぁ、今の段階のプレイヤーに、イグニスさんと戦えって言うような無理なことは、さすがに運営さんも考えないよね。
「迷彩小竜も十分強いんだけどな。モモが言ってたような、古竜とは全然違うだろ。比べたら可哀想だ」
「さすがに古竜レベルが出てきたら、運営に苦情殺到しちゃうよね」
リリとルトが苦笑してる。僕の取り越し苦労だったみたいだ。よかったー。
「どっかの島にいるコモドドラゴンみたいなやつってことかな」
「トカゲ系っていう意味では、合ってるな」
ルトにオッケーをもらったので、自分の中でのイメージを補正する。怖いドラゴンからちょっとスケールダウンしたよ。
それでも、面と向かって戦うってなったら怖くなりそうだけど。だって、ルトたちが言うには、迷彩小竜もそれなりに大きいらしいし。
二階建ての家くらいのサイズって言われたけど、そんな大きなモンスターに噛みつかれたら、僕は一撃でやられちゃうのでは? 飲み込まれちゃうかも。
〈種族レベルが20になりました。魔術士レベルが11になりました〉
思ったより早くアナウンスが来た! 考えてたことも忘れて、テンションが上がっちゃう。
やっぱり北の森林はもらえる経験値が多いんだね。経験値二倍キャンペーンの影響も大きいだろうし。
「なんか喜んでる?」
「うん! レベルが上ったんだー」
「良かったね。この調子でガンガン行こー」
リリが頭を撫でてくれた。ルトもちょっと笑いかけてくれたし。喜んでもらえると、さらにやる気が湧くよ。
「アイテムもひと通り試し終わったし、あとはスキルを育てるだけだね」
「そうだな。状態異常付与タイプのアイテムは、増産を頼みたい。もちろん素材の費用が低いやつでいいけど」
ルトに真剣な表情でお願いされた。
作ってきたアイテムの内、状態異常付与タイプはあんまり種類が多くない。今のところ麻痺か毒か混乱の付与しか作れないから。
でも、使ってみたら予想以上に効果的だったんだ。ダメージはあんまり与えられないけど、行動阻害効果がすごいんだよ。
「りょーかい! 迷彩小竜にも効くかなー?」
「どうだろうな。あとで掲示板で調べてみる。お前が売ってる麻痺薬を、迷彩小竜に使ったことがあるやつもいるだろ、きっと」
なるほど。僕のお店で麻痺薬(中)は人気商品だもんね。女の子たちにまじって、厳つい感じの男の人も結構やって来るし。
「じゃあ、調べるのはお任せしまーす。麻痺系はたくさん作れるから優先的に増産しとくね」
「さっきも、麻痺の素材はたくさんあるって言ってたけど、そんなにサウス街道でバトルしてたか? それとも、安くで買い取ってんのか?」
ルトに不思議そうに聞かれて、僕もきょとんとなった。なんでサウス街道?
「麻痺薬の素材って、サウス街道のモンスターからドロップする麻痺粉とかでしょ?」
リリに説明を追加されて、ようやくルトたちが疑問に思った理由がわかった。
「ううん。僕が使ってるのは、海で取れる痺海月だよ。スラリンと漁をしたら、毎回大量にとれるんだー」
ストレージにいっぱい保存されてる。昨日さらに増えたし、僕が釣りに飽きない限り、ゼロになることはないんじゃないかな。
「それからも作れるのか」
「知らなかったなぁ。海のモンスターから、他にもアイテム作れるのかな?」
「モンスターというか、粘海藻からは顔パックとか作れるよ」
「それはいらねぇ」
ルトに一言で拒否されたけど、顔パックは僕の店の人気商品なんだよ?
顔パックに色んな香りとか美容成分とかを足した結果、プレイヤーだけじゃなくて異世界の住人のお客さんもたくさん来るようになった。最近は顔だけじゃなく使えるように、化粧水とか美容液とかも売ってるんだ。
「すごく利益率が高い商品なんだけどなぁ」
「……お前、随分と商人らしくなったな」
「商売上手だね。顔パックは私も使ったことあるよ。もちもちプルプルになって、テンション上がるんだよねー」
まさかの利用者が身近にいた。にこにこと微笑んでるリリを、ルトが『マジか』と言いたげな顔で見てる。
僕は「喜んでもらえて嬉しいよ」と答えてから、香りや成分の要望を聞いてみた。僕自身では使えないから、美容系の新商品の開発が行き詰まってるんだ。
「私は香りはなくていいから、もうちょっと保湿時間が長くなるといいかな」
「なるほど。粘海藻の量を変えたらいいかも……」
リリの言葉をシステムメモに記録しながら頷く。貴重な意見ありがとうございます。
「……お前ら、ここがバトルフィールドだって忘れてねぇか?」
ルトが呆れた顔でそう言うと、木の陰から飛び出してきた影に「【斬撃】!」と飛ぶ斬撃を放った。モンスターが隠れながら近づいてたらしい。
「ルト、そんなスキル持ってたの!?」
体力を半分以上削られたモンスターに火魔術を投げ込みながら、思わず叫んじゃう。突然モンスターが現れたことより、ルトの派手カッコいいスキルの方にびっくりしたんだもん。
「おう。お前と違って、真面目にバトルを重ねてるからな」
「僕だって嵐蹴りスキル取得したもん!」
「俺らがバトルに連れ出さなきゃ、新たなスキルの取得なんて考えてなかっただろ?」
「ぎくっ」
目を逸らした僕に、ルトの「ほらな」という勝ち誇ったような声が聞こえる。
でも、バトルで使えるカッコいいスキルを取得したいと、僕だってずっと思ってたんだよ。優先順位が低かっただけで。
「お前のレベリングに来てるんだから、しっかりバトルしろよ」
「してるもん!」
新たに現れたモンスターを指したルトに抗議しながら、「【嵐蹴り】!」とスキルを使う。
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