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4章 錬金術士だよ?
147.象さん、あそびましょー
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早速売り出した一万リョウのぬいぐるみを巡って騒ぎが起きている店を出た。
タマモが喧嘩にならないよう見守るって言ってくれたから、きっと大丈夫だ。希少種会との待ち合わせ時間が迫ってたから、そっちを優先させてもらうね!
ということで、西門で希少種会と合流して、小象のところまで向かう。みんな、もう慣れた感じで道中のモンスターを倒してた。
……ツッキーたちのレベルが高くなってる。ルトに言われてレベリングがんばってて良かったー! 危うく先輩面できなくなるところだったよ。
「うわぁ、みなさん強い! 尊敬します!」
僕たちについてきたヤナが歓声を上げた。
ヤナは異世界の住人頼りで小象戦をクリアしたばかりで、今後転移スキル取得を目指すんだって。今日は僕たちのバトルを見て、攻略法を学びたいって言うから連れてきた。
パーティーメンバーの最大数が六人だから、ヤナはバトルエリア外から見学するだけ。
「当然にゃん」
「ボス戦繰り返してるんだから、そりゃレベルは上がるさ」
「そうですね……。そろそろ転移スキルをもらえそうなんですけど、最近はギリギリのところで失敗するのが続いてるんです」
自慢げなムギとツッキーとは違い、ソウタが苦笑しながら呟いた。
「アイテムを使っても無理な感じなの?」
「モモさんにもらったアイテムは効果抜群ですよ。それがなかったら、もっと厳しい戦いになっちゃいます」
ソウタたちの役に立ってるなら良かった。今日転移スキルをゲットできるといいねぇ。
「アイテムってなに使ってるんだ?」
「えっと……麻痺薬とか……飛ぶのとか、ですね」
ちらっと見てきたソウタの視線に、頷いて返す。羽が生えるアイテムをリリとルトは知ってるし、ヤナに知られても問題ないと思う。
「飛ぶ?」
「僕みたいに飛べるアイテムだよー。まだ一般販売してないから内緒でね? ヤナが使いたいなら、売ってあげるよ」
「内緒にします! なのでください!」
ヤナが勢いよくお願いしてきたので「りょーかい」と応える。ぜひ小象戦で活用してください。
「麻痺薬って、小象にはあまり効かないって聞いたぞ?」
羽が生えるアイテムの話題を聞き流したルトが、不思議そうに呟いた。
「あんまりってだけで、多少は効果あるにゃ。しかも、アイテムでの行動阻害も、転移スキル取得条件の要素の一つになってるんだにゃ」
「そうなの? 知らなかったなぁ」
リリが意外そうに目を見張った。
小象を倒して転移スキルを入手するにはいくつか条件があって、総与ダメ量と味方の回復量がよく知られてるけど、アイテムでの与ダメ量やバフ・デバフでの支援率も関係してくるんだって。
「それでも転移スキルゲットできねぇんだよ。マジ、モモの新アイテムには期待してるぞ!」
ツッキーが僕の背中をバシッと叩いてきた。低空で飛んでたから、びゅーんと勢いよく進んじゃってびっくりする。
「僕はボールじゃないよー!」
「わりぃ、わりぃ……でも、飛びっぷりがハンパなかったぞ!」
ワハハッ、と笑ってるツッキーを振り返って睨む。全然反省してる感じがしない。
「なにやってるにゃ……」
「モモさんにまで迷惑かけないでくださいよ……」
ムギとソウタが呆れた感じでツッキーを見てる。ソウタの口振りだと、ツッキーに迷惑かけられるの慣れてるみたいだ。これは僕がお仕置きすべき?
悩んでたところで小象のところに着いちゃったから、お仕置きはなしになった。ツッキーは命拾いしたね!
「久しぶりの小象戦、腕がなるな」
やる気いっぱいで呟くルトは、バトルジャンキーそのものの表情で、リリを苦笑させていた。
まぁ、そんなところも含めて、良いやつだと思うし、受け入れるよ。僕もなんだかんだとバトルが楽しくなってきてるし。
「今日の目的は新アイテム試用とムギたちの転移スキル獲得だよー。がんばろうね!」
「おう!」
それぞれに気合いを入れた声を返してくれる。
その勢いで、小象のバトルエリアに入った。ヤナは少し離れたところで見学だ。
「小象、久しぶり~。……頭のお花、復活してて良かったよ!」
怯えたように後ずさる小象に挨拶した。そういう仕様とはいえ、避けられるのはちょっぴり傷つく。
前回会った時に、大切な花を奪ったことを思い出すと、仕方ないなと思わざるをえないんだけど。
「バトルについては事前に話していた通りでいいな?」
ルトが小象を見据えながら言う。道中で、大まかなバトルの流れはみんなで確認してたんだ。今回はアイテムの試用が主な目的だから、漏れがないようにするために。
「いえっさー! まず試すのはペイントボールだよね」
「おう。的がデカいから、外すことはねぇだろうが、ちゃんと投げろよ?」
「任せて~」
「……いまいち信用できねぇんだよなぁ」
「なんで?」
ボソッと聞き捨てならないことを言われた。僕はこれまでボム系のアイテムをちゃんと使ってきたんだ。ペイントボールも似たようなものなんだから、問題ないはず!
「私も投げる?」
「んー……じゃあ、リリはボム系担当ね! ムギたちも使ってみて。支援率に関わってくるだろうし」
麻痺ボムとファイアボム、パウダーボムを渡しておく。
火炎の縄は投擲スキル持ちがいないから、試用保留だ。今回のバトルで上手いこと投擲スキルをゲットできたら試してみる予定。
「んじゃ、そろそろ殺るか」
「やる、の漢字変換が物騒だった気がする……」
「気のせいじゃねぇぞ?」
にやりと笑ったルトに呆れた。でも、楽しそうなのは良いことだ。
僕も精いっぱい戦って、楽しもう!
タマモが喧嘩にならないよう見守るって言ってくれたから、きっと大丈夫だ。希少種会との待ち合わせ時間が迫ってたから、そっちを優先させてもらうね!
ということで、西門で希少種会と合流して、小象のところまで向かう。みんな、もう慣れた感じで道中のモンスターを倒してた。
……ツッキーたちのレベルが高くなってる。ルトに言われてレベリングがんばってて良かったー! 危うく先輩面できなくなるところだったよ。
「うわぁ、みなさん強い! 尊敬します!」
僕たちについてきたヤナが歓声を上げた。
ヤナは異世界の住人頼りで小象戦をクリアしたばかりで、今後転移スキル取得を目指すんだって。今日は僕たちのバトルを見て、攻略法を学びたいって言うから連れてきた。
パーティーメンバーの最大数が六人だから、ヤナはバトルエリア外から見学するだけ。
「当然にゃん」
「ボス戦繰り返してるんだから、そりゃレベルは上がるさ」
「そうですね……。そろそろ転移スキルをもらえそうなんですけど、最近はギリギリのところで失敗するのが続いてるんです」
自慢げなムギとツッキーとは違い、ソウタが苦笑しながら呟いた。
「アイテムを使っても無理な感じなの?」
「モモさんにもらったアイテムは効果抜群ですよ。それがなかったら、もっと厳しい戦いになっちゃいます」
ソウタたちの役に立ってるなら良かった。今日転移スキルをゲットできるといいねぇ。
「アイテムってなに使ってるんだ?」
「えっと……麻痺薬とか……飛ぶのとか、ですね」
ちらっと見てきたソウタの視線に、頷いて返す。羽が生えるアイテムをリリとルトは知ってるし、ヤナに知られても問題ないと思う。
「飛ぶ?」
「僕みたいに飛べるアイテムだよー。まだ一般販売してないから内緒でね? ヤナが使いたいなら、売ってあげるよ」
「内緒にします! なのでください!」
ヤナが勢いよくお願いしてきたので「りょーかい」と応える。ぜひ小象戦で活用してください。
「麻痺薬って、小象にはあまり効かないって聞いたぞ?」
羽が生えるアイテムの話題を聞き流したルトが、不思議そうに呟いた。
「あんまりってだけで、多少は効果あるにゃ。しかも、アイテムでの行動阻害も、転移スキル取得条件の要素の一つになってるんだにゃ」
「そうなの? 知らなかったなぁ」
リリが意外そうに目を見張った。
小象を倒して転移スキルを入手するにはいくつか条件があって、総与ダメ量と味方の回復量がよく知られてるけど、アイテムでの与ダメ量やバフ・デバフでの支援率も関係してくるんだって。
「それでも転移スキルゲットできねぇんだよ。マジ、モモの新アイテムには期待してるぞ!」
ツッキーが僕の背中をバシッと叩いてきた。低空で飛んでたから、びゅーんと勢いよく進んじゃってびっくりする。
「僕はボールじゃないよー!」
「わりぃ、わりぃ……でも、飛びっぷりがハンパなかったぞ!」
ワハハッ、と笑ってるツッキーを振り返って睨む。全然反省してる感じがしない。
「なにやってるにゃ……」
「モモさんにまで迷惑かけないでくださいよ……」
ムギとソウタが呆れた感じでツッキーを見てる。ソウタの口振りだと、ツッキーに迷惑かけられるの慣れてるみたいだ。これは僕がお仕置きすべき?
悩んでたところで小象のところに着いちゃったから、お仕置きはなしになった。ツッキーは命拾いしたね!
「久しぶりの小象戦、腕がなるな」
やる気いっぱいで呟くルトは、バトルジャンキーそのものの表情で、リリを苦笑させていた。
まぁ、そんなところも含めて、良いやつだと思うし、受け入れるよ。僕もなんだかんだとバトルが楽しくなってきてるし。
「今日の目的は新アイテム試用とムギたちの転移スキル獲得だよー。がんばろうね!」
「おう!」
それぞれに気合いを入れた声を返してくれる。
その勢いで、小象のバトルエリアに入った。ヤナは少し離れたところで見学だ。
「小象、久しぶり~。……頭のお花、復活してて良かったよ!」
怯えたように後ずさる小象に挨拶した。そういう仕様とはいえ、避けられるのはちょっぴり傷つく。
前回会った時に、大切な花を奪ったことを思い出すと、仕方ないなと思わざるをえないんだけど。
「バトルについては事前に話していた通りでいいな?」
ルトが小象を見据えながら言う。道中で、大まかなバトルの流れはみんなで確認してたんだ。今回はアイテムの試用が主な目的だから、漏れがないようにするために。
「いえっさー! まず試すのはペイントボールだよね」
「おう。的がデカいから、外すことはねぇだろうが、ちゃんと投げろよ?」
「任せて~」
「……いまいち信用できねぇんだよなぁ」
「なんで?」
ボソッと聞き捨てならないことを言われた。僕はこれまでボム系のアイテムをちゃんと使ってきたんだ。ペイントボールも似たようなものなんだから、問題ないはず!
「私も投げる?」
「んー……じゃあ、リリはボム系担当ね! ムギたちも使ってみて。支援率に関わってくるだろうし」
麻痺ボムとファイアボム、パウダーボムを渡しておく。
火炎の縄は投擲スキル持ちがいないから、試用保留だ。今回のバトルで上手いこと投擲スキルをゲットできたら試してみる予定。
「んじゃ、そろそろ殺るか」
「やる、の漢字変換が物騒だった気がする……」
「気のせいじゃねぇぞ?」
にやりと笑ったルトに呆れた。でも、楽しそうなのは良いことだ。
僕も精いっぱい戦って、楽しもう!
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