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5章 もふもふいっぱい?
160.衝撃の事実!
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モンちゃんは僕の知識レベルにあわせて、テイマーについて丁寧に説明してくれた。さすが国一番のテイマーで、たくさんのテイマーを育てているだけあるね!
テイムの仕方は僕の想像と近い。
フードなど、モンスターの好物を使って友好度を高めてからテイムスキルを使うのが一般的らしい。
テイムスキルを持ってない場合は、友好度を最大値近くまで上げると言葉によってテイムできるんだとか。
僕のスラリンやレイのアップルはこの方法を使ったことになるのかな。僕はフードを使わなかったけど。
「しっかし……お前はどうやって友好度を上げたんだ? 言葉で勧誘するだけでテイムスキルが効くなんて、聞いたことねぇぞ」
不思議そうに呟くモンちゃんに「さぁ?」と返す。
「僕はもともとスライムに好かれるっていう効果の称号を持ってたから、スラリンをテイムできたんだと思うけど。ピアはわからないなぁ」
ピアに好かれる要素はなかったと思う。でも、ピアってもともとテイムできるモンスターとして設定されてた気がして、あんまり疑問に思わなかったんだよねぇ。
まぁ、それはゲーム的な考え方だから、モンちゃんには通用しないかも。
「……スライムに好かれる称号ってなんだよ。お前はスライムキングでも食ったのか?」
「えっ、スライムって食べられるの!?」
「お前は普段モンスターの肉を食わないのか?」
「食べてる、けど……スライム……スラリン……」
ガーン……。
衝撃を受けてる僕を、モンちゃんが呆れたように見下ろす。でもさぁ、仲良しのモンスターを食べるなんて想像できないのって、普通じゃない?
……よく考えたら、レイがテイムしてるアップルの種族は跳兎で、僕はそのお肉よく食べてる。なんか申し訳なくなってきたぞ。
「――モンちゃんだって、王鮪食べないんじゃないの?」
僕が受けた衝撃をモンちゃんにも味わわせようと、ジトッと見つめながら言ってみる。
そしたら、見事にモンちゃんを「うぐっ」と呻かせることに成功! ……めちゃくちゃ不毛なやり取りだったね。
「王鮪……なんでお前は美味い身なんだ……。毒がありゃ、誰も食わねぇのに……」
「あらまぁ。久しぶりにあなたが王鮪オタクっぷりを発揮してるところを見たわ」
うふふ、と微笑んでるレアナさんはそれでいいの? 僕がしたことだけど、モンちゃんすごく落ち込んでるよ?
「――でも、モモちゃん、スライムキングに会っても食べちゃダメよ? 普通のスライムも特殊な調理をしなくちゃ食べられないわ」
「食べないよ!」
ちょっぴり特殊な調理が気になったけど、将来食べることはないから聞かなかったことにしよう。
「……スライムキングを食べると寄生されるって話がある。その影響でスライムを従えられるようになるらしいが、試すなよ」
助言というより復讐心が込められたような言葉を、モンちゃんが恨めしげな眼差しで呟く。
でも、そんな目を気にしてられなかった。
「待って? スライムキングが想像以上に怖すぎるんだけど!?」
衝撃のあまり固まっちゃう。
大人しく僕のクッションになってくれた、あのスライムキングが、寄生するタイプの生態だったとは……。寄生されたらどうなっちゃうんだろう。
「あなた。可愛い子をあんまり脅かしたら可哀想よ」
「ふんっ、傷つけられたのは俺の方だ」
「いい年して大人げないわ」
見えない刃がモンちゃんの胸を貫いたのを幻視した。レアナさんの冷たい眼差しと言葉、効果抜群だね! ちょっと可哀想になっちゃった。
無言のまま背中を丸めていじけるモンちゃんに、そっとクッキーを差し出す。
ウサギイラストの焼き印付きクッキーです。僕の店の人気商品だよ。
「俺はガキじゃねぇんだが」
「クッキー嫌い?」
「……好き」
素直でよろしい。
もそもそと食べ始めたモンちゃんを見て「うんうん」と頷いてたら、レアナさんが「どっちが大人かわからないわね」と笑った。
話が一段落したし、そろそろお暇するかなぁ。ルトたちもログインしてるみたいだし、モンちゃんとはいつでも話せそうだから、街探索したい。店で売り出すアイテムも作らないとなぁ。
「――モモ」
「モモちゃんだよ」
「……モモちゃん」
すごい顰めっ面をしながらも、要望通り呼んでくれるんだから、モンちゃんって優しい。もしかしたら僕がモンスター種だからかもしれないけど。モンちゃんはモンスター好きって情報があったし。
「なぁに?」
「お前、テイマーになるか悩んでるって言ってたろ」
「うん。でも、魔術士やめるのはもったいない気もしてるんだ」
最初に言った気がするけど、改めて説明する。
すると、モンちゃんが片眉と口角を上げた。ちょっとニヒルな感じの笑みがよく似合う。
「やめる必要はねぇよ」
「どういうこと?」
「サブ職ってのがある。テイマーを戦闘のサブ職にしたら、本職同様にモンスターを街中で連れ歩けるようになるぞ」
「それ、ほんとに!?」
思わず身を乗り出した。そんな情報初めて聞いたよ。でも、それが本当なら、これ以上なく嬉しい!
「ああ。――けど、そのためには試練を受ける必要があるけどな」
「試練?」
なんかすごそうな響き。
首を傾げると、モンちゃんが顔を覗き込んできた。
「受けるか?」
「……受ける!」
詳細は聞いてないけど、断る気がないんだからいいよね。
力強く頷いたら、モンちゃんが満足そうな笑みを浮かべた。
〈ミッション『オールラウンダーになるための試練』が開始しました。詳細と報酬はメニューのミッション欄で確認できます〉
アナウンスが来るって、なんとなくわかってたよ。うん。
テイムモンスターとのお散歩を目標に、とにかくがんばるよ!
テイムの仕方は僕の想像と近い。
フードなど、モンスターの好物を使って友好度を高めてからテイムスキルを使うのが一般的らしい。
テイムスキルを持ってない場合は、友好度を最大値近くまで上げると言葉によってテイムできるんだとか。
僕のスラリンやレイのアップルはこの方法を使ったことになるのかな。僕はフードを使わなかったけど。
「しっかし……お前はどうやって友好度を上げたんだ? 言葉で勧誘するだけでテイムスキルが効くなんて、聞いたことねぇぞ」
不思議そうに呟くモンちゃんに「さぁ?」と返す。
「僕はもともとスライムに好かれるっていう効果の称号を持ってたから、スラリンをテイムできたんだと思うけど。ピアはわからないなぁ」
ピアに好かれる要素はなかったと思う。でも、ピアってもともとテイムできるモンスターとして設定されてた気がして、あんまり疑問に思わなかったんだよねぇ。
まぁ、それはゲーム的な考え方だから、モンちゃんには通用しないかも。
「……スライムに好かれる称号ってなんだよ。お前はスライムキングでも食ったのか?」
「えっ、スライムって食べられるの!?」
「お前は普段モンスターの肉を食わないのか?」
「食べてる、けど……スライム……スラリン……」
ガーン……。
衝撃を受けてる僕を、モンちゃんが呆れたように見下ろす。でもさぁ、仲良しのモンスターを食べるなんて想像できないのって、普通じゃない?
……よく考えたら、レイがテイムしてるアップルの種族は跳兎で、僕はそのお肉よく食べてる。なんか申し訳なくなってきたぞ。
「――モンちゃんだって、王鮪食べないんじゃないの?」
僕が受けた衝撃をモンちゃんにも味わわせようと、ジトッと見つめながら言ってみる。
そしたら、見事にモンちゃんを「うぐっ」と呻かせることに成功! ……めちゃくちゃ不毛なやり取りだったね。
「王鮪……なんでお前は美味い身なんだ……。毒がありゃ、誰も食わねぇのに……」
「あらまぁ。久しぶりにあなたが王鮪オタクっぷりを発揮してるところを見たわ」
うふふ、と微笑んでるレアナさんはそれでいいの? 僕がしたことだけど、モンちゃんすごく落ち込んでるよ?
「――でも、モモちゃん、スライムキングに会っても食べちゃダメよ? 普通のスライムも特殊な調理をしなくちゃ食べられないわ」
「食べないよ!」
ちょっぴり特殊な調理が気になったけど、将来食べることはないから聞かなかったことにしよう。
「……スライムキングを食べると寄生されるって話がある。その影響でスライムを従えられるようになるらしいが、試すなよ」
助言というより復讐心が込められたような言葉を、モンちゃんが恨めしげな眼差しで呟く。
でも、そんな目を気にしてられなかった。
「待って? スライムキングが想像以上に怖すぎるんだけど!?」
衝撃のあまり固まっちゃう。
大人しく僕のクッションになってくれた、あのスライムキングが、寄生するタイプの生態だったとは……。寄生されたらどうなっちゃうんだろう。
「あなた。可愛い子をあんまり脅かしたら可哀想よ」
「ふんっ、傷つけられたのは俺の方だ」
「いい年して大人げないわ」
見えない刃がモンちゃんの胸を貫いたのを幻視した。レアナさんの冷たい眼差しと言葉、効果抜群だね! ちょっと可哀想になっちゃった。
無言のまま背中を丸めていじけるモンちゃんに、そっとクッキーを差し出す。
ウサギイラストの焼き印付きクッキーです。僕の店の人気商品だよ。
「俺はガキじゃねぇんだが」
「クッキー嫌い?」
「……好き」
素直でよろしい。
もそもそと食べ始めたモンちゃんを見て「うんうん」と頷いてたら、レアナさんが「どっちが大人かわからないわね」と笑った。
話が一段落したし、そろそろお暇するかなぁ。ルトたちもログインしてるみたいだし、モンちゃんとはいつでも話せそうだから、街探索したい。店で売り出すアイテムも作らないとなぁ。
「――モモ」
「モモちゃんだよ」
「……モモちゃん」
すごい顰めっ面をしながらも、要望通り呼んでくれるんだから、モンちゃんって優しい。もしかしたら僕がモンスター種だからかもしれないけど。モンちゃんはモンスター好きって情報があったし。
「なぁに?」
「お前、テイマーになるか悩んでるって言ってたろ」
「うん。でも、魔術士やめるのはもったいない気もしてるんだ」
最初に言った気がするけど、改めて説明する。
すると、モンちゃんが片眉と口角を上げた。ちょっとニヒルな感じの笑みがよく似合う。
「やめる必要はねぇよ」
「どういうこと?」
「サブ職ってのがある。テイマーを戦闘のサブ職にしたら、本職同様にモンスターを街中で連れ歩けるようになるぞ」
「それ、ほんとに!?」
思わず身を乗り出した。そんな情報初めて聞いたよ。でも、それが本当なら、これ以上なく嬉しい!
「ああ。――けど、そのためには試練を受ける必要があるけどな」
「試練?」
なんかすごそうな響き。
首を傾げると、モンちゃんが顔を覗き込んできた。
「受けるか?」
「……受ける!」
詳細は聞いてないけど、断る気がないんだからいいよね。
力強く頷いたら、モンちゃんが満足そうな笑みを浮かべた。
〈ミッション『オールラウンダーになるための試練』が開始しました。詳細と報酬はメニューのミッション欄で確認できます〉
アナウンスが来るって、なんとなくわかってたよ。うん。
テイムモンスターとのお散歩を目標に、とにかくがんばるよ!
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