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6章 どたばた大騒動?
217.イベント発生予告
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二号店オープン日は、タマモたちの協力のおかげもあって、大きな混乱なく終わった。ありがたやー。
ぬいぐるみは終日すべて貸し出し中になるくらい大人気だった。みんなの癒やしになったみたいで良かったよ。
しばらくは有志のメンバーでお店を見守ってくれるって言ってたから、お願いしておいた。報酬に『モモのほっぺ(桃)』をプレゼントしよう。人気商品になったから、売り切れを気にせず確保できるってだけで、タマモたちにとっては嬉しいらしい。
「在庫は用意したし、モンちゃんに会いに行ってみよ」
今日はお店を離れてふらふらするぞ~。
一緒に行くのはオギン。他のみんなは屋敷でお留守番です。玉乗りとか練習しとくんだって。
オギンに乗って、るんるんとモンちゃんの家まで向かう。
お昼にはアリスちゃんとイザベラちゃんを迎えに行ってお茶会をする予定だから、それまでに話が済めばいいなぁ。
「キュオ(着いたわよ)」
「オギンタクシーありがとー」
「キュオ(タクシーなら、私帰っていいのかしら?)」
「ダメです。一緒に行こ?」
ふふ、と笑うオギンを引き止めて、モンちゃん家の玄関に入る。ここいつも鍵かかってないけど、大丈夫なのかな?
「おっはよー、モンちゃん!」
「あら、いらっしゃい。今日はいるわよ」
レアナさんが出迎えてくれて、そのすぐ後にモンちゃんが近づいてきた。
「今日は早いな」
「質問があって一昨日来たけど、モンちゃんいなかったんだもん」
「あー、わりぃ。領主様や冒険者ギルドの長と話し合いしてたんだよ」
「ほうほう……それは、狂化モンスターについて?」
「そうだ。それについてモモに話しとこうと思ってたからちょうどいい。中入れ」
「どもども」
いつも通り招かれて、部屋に落ち着く。
今日はホットココアと甘じょっぱい豆菓子が出された。毎度手の込んだの出してくれて嬉しい。
「――ココア、うまぁ」
「あったかいもんが美味く感じる時期だな」
「そうだねー。この地域って、年末年始の行事とかあるの?」
ゲーム内では気温の変化はあまり感じないけど、リアルでは本格的な冬が近づいてる。気分的に温かいものを欲しちゃうんだよねぇ。あと、師走の雰囲気を結構感じる。
「年末年始? 年の暮れ近くに聖夜日があって、年をまたぐ頃は各所でカウントダウンするくらいだな。年始は餅つき大会があるぞ」
「わりとがっつりイベントがあるね?」
ハロウィンの頃みたいなシーズンモンスターが出るようなイベントではないっぽいけど、街の様々なところで催し物があるらしい。
モンちゃん曰く「この街の聖夜日マーケットは見る価値あるぞ」ということだったので、絶対行ってみようと思う。どんな感じだろう?
聖夜日は神殿などで集まりもあるらしい。もふもふ教を正式に設立できたら、僕もみんなを集めてなにかしようかな。
「いや、ほのぼの話してる場合じゃねぇんだよ。たぶん聖夜日が来る前に一騒動ありそうだ」
「それは狂化モンスターのことで?」
「ああ。どんどん街側に勢力を拡大してるから、いつ襲撃してきてもおかしくない」
モンちゃんがちょっと厳しい顔してる。
西の狂化モンスターは湖が縄張りだからあんまり危機感がないけど、東と北は結構危ういらしい。ただ、東の方は僕らプレイヤーがすごくがんばって討伐してるから、北よりは安全と見なされている。
そういえば、タマモにちょっとそんな話を聞いた気がする。僕の屋敷が東端にあるから、ファンの子たちが挙って東エリアの狂化モンスターを倒しに行ってるんだって。
僕自身はあんまりがんばってないけど、街の役に立ってはいるのかな?
「そっかぁ。僕、もうちょっと討伐しに行ってみるね」
「おう、頼んだぞ。あと、お前、東の方に屋敷を買ったんだろ? 周囲の安全対策はきちんとしておけよ」
「もちろん! 守るって言ってくれる人はたくさんいるんだけど、僕もいろいろ対策を考えてるよ」
以前に壁は用意したけど、実際に街襲撃が起きた場合に屋敷を守れるよう、アイテムを作りためてる。攻撃は最大の防御、って感じで行こうと思ってるんだ。
「それなら良かった。狂化モンスターの勢力の感じから、実際に襲撃が起こるのは二十八日後くらいだと予想されてるぞ」
「え、結構近いね!?」
ゲーム内時間でそれなら、リアルだと一週間後ってことじゃん! そんな情報、タマモやルトから聞いたことなかったよ。
〈〈レイドイベント『第三の街キーリ襲撃』のカウントダウンが始まりました。レイドイベントに関するミッションが公開されます。ミッション達成率により、レイドイベントクリア難易度が変化します〉〉
おっと? このアナウンス、僕がきっかけになった感じだね。
とりあえずシステムメニューからレイドイベントのミッションを確認してみる。
レイドと言うだけあって、今回のミッションは個人ではなくワールド全体で達成するものが多い。
いろんなミッションがあるけど、『狂化モンスターを討伐しよう』というミッションに示されてる各エリアの討伐率は、東エリアで50%を超えてて、西と北が30%くらいだ。
生産系のミッションもあって、冒険者ギルドに回復薬やボムなどを納品するのが主らしい。
このミッションの達成率が高いと、街襲撃中の異世界の住人の活躍度が上がって、街防衛が楽になるんだって。僕も後で納品しに行ってみよう。
「モモは店やるくらい生産力も高いんだろ? この街の防衛のために協力してくれたら嬉しい」
「うん、がんばるよ! 僕もこの街が好きだからね」
力強く宣言したら、モンちゃんがホッとした顔をした。頼りにされてるみたいで嬉しい。
みんなで力を合わせて、街防衛率100%を目指すよ!
ぬいぐるみは終日すべて貸し出し中になるくらい大人気だった。みんなの癒やしになったみたいで良かったよ。
しばらくは有志のメンバーでお店を見守ってくれるって言ってたから、お願いしておいた。報酬に『モモのほっぺ(桃)』をプレゼントしよう。人気商品になったから、売り切れを気にせず確保できるってだけで、タマモたちにとっては嬉しいらしい。
「在庫は用意したし、モンちゃんに会いに行ってみよ」
今日はお店を離れてふらふらするぞ~。
一緒に行くのはオギン。他のみんなは屋敷でお留守番です。玉乗りとか練習しとくんだって。
オギンに乗って、るんるんとモンちゃんの家まで向かう。
お昼にはアリスちゃんとイザベラちゃんを迎えに行ってお茶会をする予定だから、それまでに話が済めばいいなぁ。
「キュオ(着いたわよ)」
「オギンタクシーありがとー」
「キュオ(タクシーなら、私帰っていいのかしら?)」
「ダメです。一緒に行こ?」
ふふ、と笑うオギンを引き止めて、モンちゃん家の玄関に入る。ここいつも鍵かかってないけど、大丈夫なのかな?
「おっはよー、モンちゃん!」
「あら、いらっしゃい。今日はいるわよ」
レアナさんが出迎えてくれて、そのすぐ後にモンちゃんが近づいてきた。
「今日は早いな」
「質問があって一昨日来たけど、モンちゃんいなかったんだもん」
「あー、わりぃ。領主様や冒険者ギルドの長と話し合いしてたんだよ」
「ほうほう……それは、狂化モンスターについて?」
「そうだ。それについてモモに話しとこうと思ってたからちょうどいい。中入れ」
「どもども」
いつも通り招かれて、部屋に落ち着く。
今日はホットココアと甘じょっぱい豆菓子が出された。毎度手の込んだの出してくれて嬉しい。
「――ココア、うまぁ」
「あったかいもんが美味く感じる時期だな」
「そうだねー。この地域って、年末年始の行事とかあるの?」
ゲーム内では気温の変化はあまり感じないけど、リアルでは本格的な冬が近づいてる。気分的に温かいものを欲しちゃうんだよねぇ。あと、師走の雰囲気を結構感じる。
「年末年始? 年の暮れ近くに聖夜日があって、年をまたぐ頃は各所でカウントダウンするくらいだな。年始は餅つき大会があるぞ」
「わりとがっつりイベントがあるね?」
ハロウィンの頃みたいなシーズンモンスターが出るようなイベントではないっぽいけど、街の様々なところで催し物があるらしい。
モンちゃん曰く「この街の聖夜日マーケットは見る価値あるぞ」ということだったので、絶対行ってみようと思う。どんな感じだろう?
聖夜日は神殿などで集まりもあるらしい。もふもふ教を正式に設立できたら、僕もみんなを集めてなにかしようかな。
「いや、ほのぼの話してる場合じゃねぇんだよ。たぶん聖夜日が来る前に一騒動ありそうだ」
「それは狂化モンスターのことで?」
「ああ。どんどん街側に勢力を拡大してるから、いつ襲撃してきてもおかしくない」
モンちゃんがちょっと厳しい顔してる。
西の狂化モンスターは湖が縄張りだからあんまり危機感がないけど、東と北は結構危ういらしい。ただ、東の方は僕らプレイヤーがすごくがんばって討伐してるから、北よりは安全と見なされている。
そういえば、タマモにちょっとそんな話を聞いた気がする。僕の屋敷が東端にあるから、ファンの子たちが挙って東エリアの狂化モンスターを倒しに行ってるんだって。
僕自身はあんまりがんばってないけど、街の役に立ってはいるのかな?
「そっかぁ。僕、もうちょっと討伐しに行ってみるね」
「おう、頼んだぞ。あと、お前、東の方に屋敷を買ったんだろ? 周囲の安全対策はきちんとしておけよ」
「もちろん! 守るって言ってくれる人はたくさんいるんだけど、僕もいろいろ対策を考えてるよ」
以前に壁は用意したけど、実際に街襲撃が起きた場合に屋敷を守れるよう、アイテムを作りためてる。攻撃は最大の防御、って感じで行こうと思ってるんだ。
「それなら良かった。狂化モンスターの勢力の感じから、実際に襲撃が起こるのは二十八日後くらいだと予想されてるぞ」
「え、結構近いね!?」
ゲーム内時間でそれなら、リアルだと一週間後ってことじゃん! そんな情報、タマモやルトから聞いたことなかったよ。
〈〈レイドイベント『第三の街キーリ襲撃』のカウントダウンが始まりました。レイドイベントに関するミッションが公開されます。ミッション達成率により、レイドイベントクリア難易度が変化します〉〉
おっと? このアナウンス、僕がきっかけになった感じだね。
とりあえずシステムメニューからレイドイベントのミッションを確認してみる。
レイドと言うだけあって、今回のミッションは個人ではなくワールド全体で達成するものが多い。
いろんなミッションがあるけど、『狂化モンスターを討伐しよう』というミッションに示されてる各エリアの討伐率は、東エリアで50%を超えてて、西と北が30%くらいだ。
生産系のミッションもあって、冒険者ギルドに回復薬やボムなどを納品するのが主らしい。
このミッションの達成率が高いと、街襲撃中の異世界の住人の活躍度が上がって、街防衛が楽になるんだって。僕も後で納品しに行ってみよう。
「モモは店やるくらい生産力も高いんだろ? この街の防衛のために協力してくれたら嬉しい」
「うん、がんばるよ! 僕もこの街が好きだからね」
力強く宣言したら、モンちゃんがホッとした顔をした。頼りにされてるみたいで嬉しい。
みんなで力を合わせて、街防衛率100%を目指すよ!
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