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7章 世界が広がっていくよ
248.モテモテです
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モンちゃんから王都でのオススメ店の情報をゲットしてからお屋敷に帰る。
「ただいま~」
「きゅぃ(おかえりー)」
たくさんの視線を感じながら庭に行くと、嬉しそうな様子のスラリンたちに歓迎された。
「なにも問題なかった?」
「ぴぅ(ぬいぐるみが足りなーい、って悲しんでるお客さんはいたよ)」
「あー……それは早めに作り足そう」
ユキマルに答えた途端、お店の方から抑えた歓声が上がる。喜んでもらえてなによりです。
希少種会の三人と会ったついでに、毛繕いスキルで獲得したアイテムをもらってきたから、結構増やせると思う。僕の綿毛も着々と在庫が増えてるし。
「くまま~(ショコラ、【ひと休み】スキルを覚えたよ~)」
「うん? なんて?」
思わずショコラに聞き返した。スキルを覚えたっていうのはわかったけど、聞き覚えのないスキル名だった気がする。
「くま(【ひと休み】スキルだってば)」
再度聞いても答えは変わらなかった。
スキル【ひと休み】ねぇ。
詳細を聞いてみたら、どうやら『十分以上居眠りすると、体力と魔力の回復速度が一時間二倍になる』というスキルらしい。結構良いスキルだね。
「ショコラ、居眠りしてたんだ?」
「くまま~(この日向で寝ると気持ちいいんだよ~)」
悪びれなく、ショコラが庭の一画を指す。そこには二階に置いてあったはずの大きなクッションが並んでいた。しっかり快適な寝心地の場所を作ってるね。
「まぁ、自由にしてくれてていいんだけどさ。お客さんには好評だったみたいだし」
休憩スペースの方から「寝てたショコラちゃん可愛かったよねー」という会話が聞こえてくる。
僕も見たかった! というか一緒にお昼寝したい。でも、僕の場合、本当に寝るとログアウトしちゃうからなぁ。
「キュオ(今度、みんなで寄り添って寝ましょ)」
「くるる(もふもふまみれ、っていうやつだね~)」
もふもふにまみれて昼寝……抗いがたい魅力を感じる! スラリンたちのもちもちペタッとした感触も気持ちいいしね。
「約束だよ!」
「キュオ(モモが暇を見つけてくれるならね?)」
「……うん。ちゃんと昼間にお屋敷にいられる時間も作るね?」
遊び歩きしてばっかりだしなぁ、とちょっぴり反省。一緒にお昼寝楽しみだ。
「キュオ(ふふ、好きにしたらいいのよ。私たちのことを忘れないでくれたらね)」
「忘れるわけないよー。あ、王都で美味しいお店を見つけたから、今度一緒に食べに行こうね!」
言ってから、普通のレストランにオギンたちを入れられないのでは、と気づいた。ツッキーたちより大きいし。店員さんに聞いておこう。
「きゅぃ(今日はもう出かけないの?)」
夕暮れ空をちらりと見てから、スラリンが体を傾ける。
「そうだよー。作業部屋でアイテム作りするつもり」
ぬいぐるみや新商品を作って、攻撃用のボムや回復薬を作り足して、星栗鼠の好物も用意しなくちゃ。
やることいっぱいあるぞー。
「きゅぃ(僕がお手伝いするー!)」
「そう? じゃあ、一緒にがんばろっか」
スラリンができることはあんまりない気がするけど、傍にいてくれるだけで癒やされるし、相談相手にもぴったりだ。
というわけで、庭に残ると言うオギンたちを置いて、作業部屋に向かった。
◇◆◇
スラリンたちとしっかり準備を整えた後、ログアウトして休憩をとってきた。
ゲームの中はもう朝です。天気が良くて、絶好の仲間勧誘日和!
「ルールルンルンルン♪」
ハミングしながら西のキーリ湖エリアを進む。森林があるところに星栗鼠は生息してるはず。
スラリンたちにも新たな仲間をゲットしたいって話をしたから、やる気は十分だ。ワクワクするよね~。
本日のパーティメンバーはスラリンとユキマル、ペタだ。
ペタの頭の上にスラリン、肩のところにユキマルが乗ってる。ペタに乗せた方が、スラリンたちを歩かせるより移動速度が早い。
現れるモンスターは、三体がサクサクと倒してくれる。スラリンたちのレベル上げにもちょうどいい。
「星栗鼠どこかなー?」
「きゅぃ(好物をまいてみたら?)」
「してみる?」
星栗鼠の好物はナッツを使ったお菓子らしいので、クッキーをたくさん用意してきた。いろんなナッツを混ぜてるよ。
とりあえずクッキーを三つ、バラバラに投げてみる。
――きゅきゅい。
「鳴き声が聞こえた! なんのモンスターだろう? 星栗鼠だといいなぁ」
声が聞こえたところをそっと覗く。すると、草むらに落ちたクッキーの近くに、リスのような栗色の毛のモンスターがいた。
鑑定してみたら間違いなく星栗鼠と表示されてる。額に白い星の模様があるのが可愛い。
「……僕ってラッキー」
星栗鼠を驚かせないよう、声を潜めて呟く。喜びは押し殺しきれなかった。
「きゅぃ(声かける?)」
「ぴぅ(僕ならあんまり驚かせないかも)」
「それならユキマルに一番手を頼もうかな」
ユキマルもこの近くを縄張りとしていたモンスターなので、星栗鼠のことはある程度知ってるらしい。
ぴょんぴょんと跳ねて近づいていくユキマルを見送る。
「っ……きゅきゅい?」
「ぴぅ(こんにちは。クッキー美味しい? それ、モモが作ったんだよ)」
「きゅ、きゅい」
「ぴぅ(良かったねー。もっとたくさんあるけど、食べに来る? ほら、あそこにモモがいるよ)」
星栗鼠の言葉はわからなかったけど、ユキマルとの会話を考えると、好感触な気がする。
じっと固唾をのんで見守る僕を、星栗鼠がじっと見つめてきた。膨らんだ頬にクッキーのくずがついてる。美味しく食べてもらえたみたいで良かった。
――きゅきゅーい。
――きゅーきゅい。
「お? なんか違うところからも声が……」
振り返ると二体の星栗鼠が僕を見ていた。というか、僕が持ってるクッキーが入った袋を凝視してる。
「きゅきゅい(もっとちょーだい!)」
ユキマルが連れてきた星栗鼠の言葉がわかった。そして、さらに「きゅーきゅい(私もほしい!)」「きゅきゅーい(オレっちも!)」という声が聞こえてくる。
いつの間にか、僕は三体の星栗鼠に囲まれていた。尻尾がもっふもふで可愛い!
「――もしかして、僕、モテ期到来……!?」
たくさんのもふもふに好かれて困っちゃうなー、えへへ。
「ただいま~」
「きゅぃ(おかえりー)」
たくさんの視線を感じながら庭に行くと、嬉しそうな様子のスラリンたちに歓迎された。
「なにも問題なかった?」
「ぴぅ(ぬいぐるみが足りなーい、って悲しんでるお客さんはいたよ)」
「あー……それは早めに作り足そう」
ユキマルに答えた途端、お店の方から抑えた歓声が上がる。喜んでもらえてなによりです。
希少種会の三人と会ったついでに、毛繕いスキルで獲得したアイテムをもらってきたから、結構増やせると思う。僕の綿毛も着々と在庫が増えてるし。
「くまま~(ショコラ、【ひと休み】スキルを覚えたよ~)」
「うん? なんて?」
思わずショコラに聞き返した。スキルを覚えたっていうのはわかったけど、聞き覚えのないスキル名だった気がする。
「くま(【ひと休み】スキルだってば)」
再度聞いても答えは変わらなかった。
スキル【ひと休み】ねぇ。
詳細を聞いてみたら、どうやら『十分以上居眠りすると、体力と魔力の回復速度が一時間二倍になる』というスキルらしい。結構良いスキルだね。
「ショコラ、居眠りしてたんだ?」
「くまま~(この日向で寝ると気持ちいいんだよ~)」
悪びれなく、ショコラが庭の一画を指す。そこには二階に置いてあったはずの大きなクッションが並んでいた。しっかり快適な寝心地の場所を作ってるね。
「まぁ、自由にしてくれてていいんだけどさ。お客さんには好評だったみたいだし」
休憩スペースの方から「寝てたショコラちゃん可愛かったよねー」という会話が聞こえてくる。
僕も見たかった! というか一緒にお昼寝したい。でも、僕の場合、本当に寝るとログアウトしちゃうからなぁ。
「キュオ(今度、みんなで寄り添って寝ましょ)」
「くるる(もふもふまみれ、っていうやつだね~)」
もふもふにまみれて昼寝……抗いがたい魅力を感じる! スラリンたちのもちもちペタッとした感触も気持ちいいしね。
「約束だよ!」
「キュオ(モモが暇を見つけてくれるならね?)」
「……うん。ちゃんと昼間にお屋敷にいられる時間も作るね?」
遊び歩きしてばっかりだしなぁ、とちょっぴり反省。一緒にお昼寝楽しみだ。
「キュオ(ふふ、好きにしたらいいのよ。私たちのことを忘れないでくれたらね)」
「忘れるわけないよー。あ、王都で美味しいお店を見つけたから、今度一緒に食べに行こうね!」
言ってから、普通のレストランにオギンたちを入れられないのでは、と気づいた。ツッキーたちより大きいし。店員さんに聞いておこう。
「きゅぃ(今日はもう出かけないの?)」
夕暮れ空をちらりと見てから、スラリンが体を傾ける。
「そうだよー。作業部屋でアイテム作りするつもり」
ぬいぐるみや新商品を作って、攻撃用のボムや回復薬を作り足して、星栗鼠の好物も用意しなくちゃ。
やることいっぱいあるぞー。
「きゅぃ(僕がお手伝いするー!)」
「そう? じゃあ、一緒にがんばろっか」
スラリンができることはあんまりない気がするけど、傍にいてくれるだけで癒やされるし、相談相手にもぴったりだ。
というわけで、庭に残ると言うオギンたちを置いて、作業部屋に向かった。
◇◆◇
スラリンたちとしっかり準備を整えた後、ログアウトして休憩をとってきた。
ゲームの中はもう朝です。天気が良くて、絶好の仲間勧誘日和!
「ルールルンルンルン♪」
ハミングしながら西のキーリ湖エリアを進む。森林があるところに星栗鼠は生息してるはず。
スラリンたちにも新たな仲間をゲットしたいって話をしたから、やる気は十分だ。ワクワクするよね~。
本日のパーティメンバーはスラリンとユキマル、ペタだ。
ペタの頭の上にスラリン、肩のところにユキマルが乗ってる。ペタに乗せた方が、スラリンたちを歩かせるより移動速度が早い。
現れるモンスターは、三体がサクサクと倒してくれる。スラリンたちのレベル上げにもちょうどいい。
「星栗鼠どこかなー?」
「きゅぃ(好物をまいてみたら?)」
「してみる?」
星栗鼠の好物はナッツを使ったお菓子らしいので、クッキーをたくさん用意してきた。いろんなナッツを混ぜてるよ。
とりあえずクッキーを三つ、バラバラに投げてみる。
――きゅきゅい。
「鳴き声が聞こえた! なんのモンスターだろう? 星栗鼠だといいなぁ」
声が聞こえたところをそっと覗く。すると、草むらに落ちたクッキーの近くに、リスのような栗色の毛のモンスターがいた。
鑑定してみたら間違いなく星栗鼠と表示されてる。額に白い星の模様があるのが可愛い。
「……僕ってラッキー」
星栗鼠を驚かせないよう、声を潜めて呟く。喜びは押し殺しきれなかった。
「きゅぃ(声かける?)」
「ぴぅ(僕ならあんまり驚かせないかも)」
「それならユキマルに一番手を頼もうかな」
ユキマルもこの近くを縄張りとしていたモンスターなので、星栗鼠のことはある程度知ってるらしい。
ぴょんぴょんと跳ねて近づいていくユキマルを見送る。
「っ……きゅきゅい?」
「ぴぅ(こんにちは。クッキー美味しい? それ、モモが作ったんだよ)」
「きゅ、きゅい」
「ぴぅ(良かったねー。もっとたくさんあるけど、食べに来る? ほら、あそこにモモがいるよ)」
星栗鼠の言葉はわからなかったけど、ユキマルとの会話を考えると、好感触な気がする。
じっと固唾をのんで見守る僕を、星栗鼠がじっと見つめてきた。膨らんだ頬にクッキーのくずがついてる。美味しく食べてもらえたみたいで良かった。
――きゅきゅーい。
――きゅーきゅい。
「お? なんか違うところからも声が……」
振り返ると二体の星栗鼠が僕を見ていた。というか、僕が持ってるクッキーが入った袋を凝視してる。
「きゅきゅい(もっとちょーだい!)」
ユキマルが連れてきた星栗鼠の言葉がわかった。そして、さらに「きゅーきゅい(私もほしい!)」「きゅきゅーい(オレっちも!)」という声が聞こえてくる。
いつの間にか、僕は三体の星栗鼠に囲まれていた。尻尾がもっふもふで可愛い!
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たくさんのもふもふに好かれて困っちゃうなー、えへへ。
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