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7章 世界が広がっていくよ
249.もふもふたちと交流します
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星栗鼠の可愛さに、自然とにこにこと微笑みながら、作ってきたクッキーを惜しみなく渡す。美味しく食べてもらえたら、僕も嬉しい。
「どうぞー」
「きゅきゅい(ありがとう!)」
三体がカリカリとクッキーに齧りつく。
星栗鼠は僕より小さい。ぬいぐるみみたいで可愛いなぁ。
それぞれ見た目に違いがあって、ユキマルが連れてきた子は額にある星の模様が中まで完全に白色だ。『私』と言った子は、中抜きの白い星の模様。『オレっち』と言った子は、白と栗色のボーダーの星の模様だ。
「みんな可愛いねー」
他の魔物が近づいてこないかペタたちが警戒してくれてる中、僕は三体の星栗鼠がクッキーを頬に詰める仕草を見守った。
小動物がせっせと食べ物を口に入れてる姿って、なんか和むよね。僕もこんな感じでタマモたちに見守られてるのかな。
「きゅきゅーい(もっとほしい!)」
「さすがに食べ過ぎじゃない? というか、溜め込みすぎだと思う」
星栗鼠の両頬が膨れて、はち切れそうになってる。可愛いけど心配になるよ。
ちょっと注意したら、三体の星栗鼠はお互いの顔を見合った。
「きゅきゅい(君のほっぺが、爆発しそう!)」
「きゅーきゅい(あなたのもよ)」
「きゅきゅーい(このクッキー、保存に向かなそうだから飲み込んだ方がいいんじゃないか?)」
ケタケタと笑った感じで言い合った後、急に真顔になった。リスの真顔、傍から見るとなんか笑える。
じぃっと見つめていると、星栗鼠は頷き合い、ごくんと喉を動かした。
「っ、っ、っ!?」
「あー! 喉詰まらせちゃうから、一気に飲み込んじゃだめー!」
言うのが遅かった。
三体揃ってバタバタともがいているので、慌ててお茶を飲ませる。ユキマルとスラリンも手伝ってくれた。
「っ……きゅきゅーい(助かったー。ありがとな)」
「どういたしまして」
喉を詰まらせて死んじゃうモンスターって間抜けすぎるよ。目の前でそんなことが起きなくて良かった。
ちょっぴり呆れつつ星栗鼠たちを撫でる。
ふわー、もふもふ! 僕より短毛だけど、張りのある毛の触り心地がいい。もふもふな尻尾も触りたい!
「……きゅきゅい(撫でるだけならいいよ)」
僕の無言の訴えを感じ取ったのか、星栗鼠が尻尾を向けてきた。ふわふわでクルンと丸まった尻尾が可愛い。触り心地も抜群だった。
「きゅきゅーい(モモ、クッキー美味かったぜ)」
「きゅーきゅい(ありがとー)」
「きゅきゅい(それにしても、なんでクッキー投げてたの?)」
ようやくきちんと話ができるようになった。三体揃って首を傾げる姿が可愛いと頬を緩めながら、仲間になってもらいに来たんだと説明する。
「僕と友だちになって、一緒に冒険したり、ご飯食べたり、遊んだりしてほしいんだよー」
「きゅきゅい(ご飯……)」
三体が顔を見合わせ、視線でなにかを語り合っていた。どうしたんだろう?
「きゅきゅい!(それなら僕が!)」
「きゅきゅーい!(オレっちに任せろ!)」
「きゅーきゅい!(私が友だちになるよ!)」
「お、おう……みんなやる気いっぱいだね? というより、食欲に負けてる……?」
ショコラもだけど、モンスターって好物に弱すぎると思う。
一応モンスターの枠に入る僕が食べること大好きなのも必然ってことかな。そういうことにしておこう。
それにしても、三体共に望まれたら困っちゃうなー。僕が今テイムできるのは一体だけなんだけど。
「きゅぃ(面接する?)」
「ぴぅ(より優れた個体が勝利だね)」
「面接かぁ……うん、そうしよう!」
スラリンとユキマルの意見を受け入れて、即席の面接会が開かれることになった。
ごほん、と咳払いをして表情を改め、三体の星栗鼠を順に見つめる。
僕は今から面接官! きちんと面接するよー。面接がどういうものなのか、いまいち知らないけど。
星栗鼠たちは僕が作った雰囲気を察したのか、妙にかしこまった雰囲気になった。
ここでまず言っておく。見た目はもふもふがじゃれててほのぼのしてる感じかもしれないけど、僕たちはコントをしているわけじゃないってことを。とっても真面目です。
「えー、それでは自己紹介からどうぞ!」
「きゅきゅい(僕は星栗鼠。白い星の模様がチャームポイントだよ)」
「きゅーきゅい(私は星栗鼠。中抜きの星の模様がチャームポイントよ)」
「きゅきゅーい(オレっちは星栗鼠。ボーダーの星の模様がチャームポイントだぜ)」
「うん、みんな星栗鼠だよね」
見た目で判断できる個性しか聞けなかった。
改めて、能力のことを聞くことにする。
「えっとー……僕の友だちになるにあって、自分の『これが役に立つよ!』ってことは何だと思う? 別に友だち全員が役に立つ必要があるわけじゃないけど、一体を選ぶ上で判断材料にしたいからさ」
僕がフォローを入れつつ尋ねると、三体の星栗鼠は首を傾げた。
「きゅきゅい(僕はほっぺにたくさん詰め込めるよ)」
「きゅーきゅい(私もよ)」
「きゅきゅーい(オレっちが一番だぜ!)」
「うん、それはさっき見たから知ってる。あと、詰め込んだ食べ物を分けてもらうことはないから、僕の役に立つ能力ではないなぁ」
「「「きゅ!?」」」
衝撃を受けた様子で星栗鼠たちが固まる。
いや、本気で僕に分け与えるつもりだったの? さすがに他のモンスターの口に入った食べ物は、ちょっとイヤかな……。
「どうぞー」
「きゅきゅい(ありがとう!)」
三体がカリカリとクッキーに齧りつく。
星栗鼠は僕より小さい。ぬいぐるみみたいで可愛いなぁ。
それぞれ見た目に違いがあって、ユキマルが連れてきた子は額にある星の模様が中まで完全に白色だ。『私』と言った子は、中抜きの白い星の模様。『オレっち』と言った子は、白と栗色のボーダーの星の模様だ。
「みんな可愛いねー」
他の魔物が近づいてこないかペタたちが警戒してくれてる中、僕は三体の星栗鼠がクッキーを頬に詰める仕草を見守った。
小動物がせっせと食べ物を口に入れてる姿って、なんか和むよね。僕もこんな感じでタマモたちに見守られてるのかな。
「きゅきゅーい(もっとほしい!)」
「さすがに食べ過ぎじゃない? というか、溜め込みすぎだと思う」
星栗鼠の両頬が膨れて、はち切れそうになってる。可愛いけど心配になるよ。
ちょっと注意したら、三体の星栗鼠はお互いの顔を見合った。
「きゅきゅい(君のほっぺが、爆発しそう!)」
「きゅーきゅい(あなたのもよ)」
「きゅきゅーい(このクッキー、保存に向かなそうだから飲み込んだ方がいいんじゃないか?)」
ケタケタと笑った感じで言い合った後、急に真顔になった。リスの真顔、傍から見るとなんか笑える。
じぃっと見つめていると、星栗鼠は頷き合い、ごくんと喉を動かした。
「っ、っ、っ!?」
「あー! 喉詰まらせちゃうから、一気に飲み込んじゃだめー!」
言うのが遅かった。
三体揃ってバタバタともがいているので、慌ててお茶を飲ませる。ユキマルとスラリンも手伝ってくれた。
「っ……きゅきゅーい(助かったー。ありがとな)」
「どういたしまして」
喉を詰まらせて死んじゃうモンスターって間抜けすぎるよ。目の前でそんなことが起きなくて良かった。
ちょっぴり呆れつつ星栗鼠たちを撫でる。
ふわー、もふもふ! 僕より短毛だけど、張りのある毛の触り心地がいい。もふもふな尻尾も触りたい!
「……きゅきゅい(撫でるだけならいいよ)」
僕の無言の訴えを感じ取ったのか、星栗鼠が尻尾を向けてきた。ふわふわでクルンと丸まった尻尾が可愛い。触り心地も抜群だった。
「きゅきゅーい(モモ、クッキー美味かったぜ)」
「きゅーきゅい(ありがとー)」
「きゅきゅい(それにしても、なんでクッキー投げてたの?)」
ようやくきちんと話ができるようになった。三体揃って首を傾げる姿が可愛いと頬を緩めながら、仲間になってもらいに来たんだと説明する。
「僕と友だちになって、一緒に冒険したり、ご飯食べたり、遊んだりしてほしいんだよー」
「きゅきゅい(ご飯……)」
三体が顔を見合わせ、視線でなにかを語り合っていた。どうしたんだろう?
「きゅきゅい!(それなら僕が!)」
「きゅきゅーい!(オレっちに任せろ!)」
「きゅーきゅい!(私が友だちになるよ!)」
「お、おう……みんなやる気いっぱいだね? というより、食欲に負けてる……?」
ショコラもだけど、モンスターって好物に弱すぎると思う。
一応モンスターの枠に入る僕が食べること大好きなのも必然ってことかな。そういうことにしておこう。
それにしても、三体共に望まれたら困っちゃうなー。僕が今テイムできるのは一体だけなんだけど。
「きゅぃ(面接する?)」
「ぴぅ(より優れた個体が勝利だね)」
「面接かぁ……うん、そうしよう!」
スラリンとユキマルの意見を受け入れて、即席の面接会が開かれることになった。
ごほん、と咳払いをして表情を改め、三体の星栗鼠を順に見つめる。
僕は今から面接官! きちんと面接するよー。面接がどういうものなのか、いまいち知らないけど。
星栗鼠たちは僕が作った雰囲気を察したのか、妙にかしこまった雰囲気になった。
ここでまず言っておく。見た目はもふもふがじゃれててほのぼのしてる感じかもしれないけど、僕たちはコントをしているわけじゃないってことを。とっても真面目です。
「えー、それでは自己紹介からどうぞ!」
「きゅきゅい(僕は星栗鼠。白い星の模様がチャームポイントだよ)」
「きゅーきゅい(私は星栗鼠。中抜きの星の模様がチャームポイントよ)」
「きゅきゅーい(オレっちは星栗鼠。ボーダーの星の模様がチャームポイントだぜ)」
「うん、みんな星栗鼠だよね」
見た目で判断できる個性しか聞けなかった。
改めて、能力のことを聞くことにする。
「えっとー……僕の友だちになるにあって、自分の『これが役に立つよ!』ってことは何だと思う? 別に友だち全員が役に立つ必要があるわけじゃないけど、一体を選ぶ上で判断材料にしたいからさ」
僕がフォローを入れつつ尋ねると、三体の星栗鼠は首を傾げた。
「きゅきゅい(僕はほっぺにたくさん詰め込めるよ)」
「きゅーきゅい(私もよ)」
「きゅきゅーい(オレっちが一番だぜ!)」
「うん、それはさっき見たから知ってる。あと、詰め込んだ食べ物を分けてもらうことはないから、僕の役に立つ能力ではないなぁ」
「「「きゅ!?」」」
衝撃を受けた様子で星栗鼠たちが固まる。
いや、本気で僕に分け与えるつもりだったの? さすがに他のモンスターの口に入った食べ物は、ちょっとイヤかな……。
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