もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

271.もふもふ好き仲間

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 ラファイエットさんに連絡したら、すぐに『会って話したいわ!』という返事が来た。反応が早い。

 というわけで、待ち合わせ場所にしたのは王都の『もふもふカフェ』だ。魔術学院の受付さんに聞いて、気になってたんだよねー。
 ラファイエットさんに提案したら、快く『いいわよ』と言ってもらえたし。

「――あ、ここか」

 マップを頼りに辿り着いた。『もふもふカフェ』って書いてある。
 塔のワンフロアを占めてるらしく、店内がすごく広い。そして、もふもふがいっぱい!

「かわいー! もふもふだー」
「あれ? モモさん?」

 店内に入ってすぐに、誰かに話しかけられた。えっと――

「あ、レイ?」
「そうです! お久しぶりです」

 にこにこと笑う女性は、はじまりの街で会ったプレイヤーのレイだ。テイマーを目指してた子。その時は跳兎ジャンプラビをテイムするのを僕が手伝ってあげたんだ。

 レイもこのカフェにお茶をしに来たらしく、隣の席を勧められる。遠慮なく座りますよー。後から王女様が来るけど、驚かないでね。

 ふとレイの横を見たら、紫色の兎モンスターがいた。跳兎ジャンプラビとは少し違うように見えるけど、美味しそうにリンゴを齧ってる姿に既視感を覚える。

「横の子はアップル?」
「はい。進化して首狩兎ネクハンラビという種族になりました」
「随分と物騒な種族名だね!?」

 首狩族ですか?
 おそるおそるアップルを見たら、不思議そうに首を傾げられた。跳兎ジャンプラビだった時よりもふっとしてて可愛い。サイズは大きくなってて、頼もしい感じもする。

「凄く強いんですよー。序盤のモンスターでも、大切に育てたらずっと活躍してくれるのが嬉しいです」

 レイは種族名の物騒さを気にしない様子で微笑んでる。それなら、僕も聞き流そう。というか、僕もわりと蹴り技で敵を倒すこともあるし、敵から見たら首狩族と変わらないかも。

「確かに、スラリンも序盤のモンスターだけど、すっごく強くなったよ」
「そうなんですね。育てるコツとかあります?」
「スキルリストを使ったら珍しいスキルを習得させられるよ」
「結構レアなアイテムですね。どんなスキルを覚えさせたんですか?」
流星ステラっていうんだ。ホワイトスライムには謎光線ミステリレイを覚えてもらったんだよー」

 僕がのほほんと話してる途中で、レイが一瞬固まった気がする。すぐに「そ、そうですか」と返事があったけど。

流星ステラって、すごいスキルなんでしょうね……」
「うん、星が落ちてくる感じの」
「やっぱり!」

 食い気味で言われた。やっぱりって、なに?

「あ、もしかして、北の霊峰でのこと知ってる?」
「知ってます。わりとみんな大騒ぎでした。あー、本当にモモさんの影響だったんですね」

 なんと。そんなことになってるとは……。今言うまで、騒ぎになってた可能性を忘れてたよ。

「掲示板に情報流す?」
「いえ、個人の能力に関しては、必ずしも流さなくていいと思います。秘密の方が楽しいかもしれませんし」

 レイがふふっと笑った。意外とお茶目。
 僕も進んで自分たちのことを知らしめたいわけじゃないから、黙っておこう。ルトとかに聞かれたら話すけど。

 ……あれ、そういえば、ルトに聞かれてもおかしくないのに、全然そんな連絡なかったな。なんでだろう。
 もしかして、僕が原因だって察して、まぁいっかって流した? 攻略に関わることじゃないしねぇ。ルトって、案外、気遣い屋さんなところもあるし。

「そういえば、レイはテイマーになれたってこと?」
「はい。本職をテイマーにすることはできてないんですけど」
「転職システムが解放されてないもんね」

 残念そうなレイに頷く。
 僕は今のサブ職で満足してるけど、最初からテイマーを目指してたなら、中途半端な状態は嫌なのかも。
 でも、転職システムの解放がどういうミッションで可能になるか、情報が全然ないらしい。

「上位職は解放される人がいそうですよ」
「え、そうなの?」

 レイが言うには、現時点で一番職業レベルが高い人が解放ミッションに挑んでるらしい。基本的に職業レベルが20に達すると上位職解放ミッションが提示されるんだって。上位職にならなくても、レベル30までは経験値が入る仕組みっぽい。

 僕、魔術士レベルが19だー。そろそろ上位職解放ミッションが提示されるのかな。どういうのだろう?

「解放ミッションは難しいそうですから、レベル30までに達成できたら嬉しいですね」
「うわっ……僕、達成できる自信がないかも」
「モモさんなら大丈夫ですよ、きっと」

 どういう根拠で言ってるの?
 真顔で頷いてるレイを見上げて首を傾げる。僕の評判がすごいことになってる気がするけど、僕はただほのぼの遊んでるだけだよ?
 レイにそう伝えようとしたところで、もふもふが近づいてきたから、一瞬で言いたかったことを忘れた。

「くぅー」
「かわいい! 君は虎かな?」

――――――
黒白虎ストライプタイガー
 闇属性の黒虎ブライガーと光属性の白虎ホワイガーの子ども。成体になった際に、属性が確定する。
――――――

 なんと。モンスターの子どもっているんだ? 確かに見た目は僕よりちょっと大きめくらいのサイズの子虎だけど。

「あ、メニューを持ってきてくれたんだね」

 黒白虎ストライプタイガーがくわえていたのはカフェメニュー表だった。しっかりと『黒白虎ストライプタイガーオススメ!』の言葉と共に【ネコ科のおやつ】が強調されてる。これを貢げということですか。

「……もふもふに貢ぐって、なんか新鮮!」
「モモさんはいつも貢がれる立場ですしね」
「あ、でも、オギンたちにはいろいろ買ってあげたり、作ってあげたりしてるよ」
「仲間は別カウントです」
「確かに」

 レイと頷き合う。
 オギンたちには何かをしてあげるのが当然だからね。

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