もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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7章 世界が広がっていくよ

272.行っちゃう?

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 ネコ科のおやつと自分用のカフェラテを注文したら、すぐに届いた。届けてくれたのはやっぱり黒白虎ストライプタイガーで、おやつ待ちの顔で座ってる。

「はい、どーぞ」
「きゃう」
「美味しそうだねぇ」

 虎の子に兎がご飯をあげてるって、傍から見たらすごい光景なのでは?
 レイがスクショを撮ってるみたいなので、後で送ってもらう約束をした。

「きゃう」
「撫でさせてくれるの? ありがとー」

 すり寄ってきたから、頭や喉を撫でてみる。もっふもふでふわふわだぞー。まだ子どもな感じの柔らかさが最高です。

「可愛いっ!」
「だよねー」
「モモさんも含めてです」
「あ、そう? まぁ、僕も可愛いよね!」
「そういう自信があるところも好きです」

 めっちゃストレートに告白された。照れちゃうー。
 黒白虎ストライプタイガーの頭に顔をうつ伏せたら、遊んでると思われたのか、バッと抱きつかれた。捕食されてるみたいな姿になってない?

「――え、モモさんが食べられてる……!?」
「やっぱり誤解されてるじゃん、って、ラファイエットさん、こんばんはー」

 目を丸くしたラファイエットさんが近くにいた。僕がのん気に挨拶したから、さらに混乱させてる気がする。
 大丈夫、じゃれてるだけだから。……だよね?

 ちょっぴり不安になって黒白虎ストライプタイガーを見たら、ゴロゴロと喉を鳴らしてた。うん、懐かれてるだけ。

 でも、いつまでもラファイエットさんを戸惑わせてるわけにはいかないので、名残惜しく思いながら黒白虎ストライプタイガーから離れる。

「ラファイエットさん、座って」
「……ええ、ありがとう。ふふ、こういうところに来たのは初めてだけれど、面白いのね」

 ラファイエットさんが落ち着きを取り戻して、微笑みながら僕の前に座った。

「あ、王女様ってお出かけ制限ある感じ?」
「えっ」

 レイが驚いた様子でラファイエットさんを見る。お手本みたいな二度見だった。ちょっと面白い。

「そうね。わたくしは自由な方だけれど」
「だよね。こうしてここに来てるし」
「継承権を放棄して、半分神職だからなのよ」
「神職なんだ?」
「王都の神殿の巫女職よ。名誉職とも言うけれど」

 ふふっと笑いながら教えてくれた。
 王都の神殿の巫女職は、代々王族の女性が就くんだって。ラファイエットさんは自分から立候補したんだとか。創世神研究してるくらいだから、元々神職になりたかったんだろうな。

「へぇ、すごいんだねぇ」
「モモさん、あんまり理解してない気がします」
「そう? 第二王女で巫女っていうだけでしょ?」
「うーん、そうなんですかねぇ」

 レイが苦笑してた。驚いてた様子だったけど、今は少し遠い目をしてる気がする。

「それで、古竜エンシェントドラゴンから聞いた創世神の情報は、どういうものかしら」

 ラファイエットさんが待ち切れないと言いたげな様子で聞いてきた。それが本題だったね。
 ということで、イグニスさんから教えてもらったことを伝える。レイがさらに遠くを眺めてるのがちょっと気がかりだ。

「――って感じで、スタ島に手がかりがあるっぽいよ」
「スタ島……あそこに……」

 ラファイエットさんがキラキラと目を輝かせた。
 穢れた魔力の話では結構深刻そうな顔をしてるように見えたけど、今はスタ島への関心が勝ってるらしい。

〈シークレットミッション『第二王女ラファイエットに創世神の情報を提供する』をクリアしました。報酬として【王城パーティーへの招待状】が贈られます〉

 報酬ゲット。この情報でクリアできて良かったー。

「え、それより、穢れた魔力の対処はどうするんですか?」
「おそらく大規模な浄化の魔術が必要ね。研究してる方々に話をしておくわ」

 レイの問いかけに、サラッと答えが返ってきた。
 つまり魔術学院の研究者たちがこれから浄化の魔術を研究するってこと? 結構攻略が進みそうだねぇ。

〈ミッション『穢れた魔力の対処法(一)』をクリアしました。報酬としてアイテム【聖水】が贈られます〉
〈ミッション『穢れた魔力の対処法(二)』が開始しました〉

 知らないミッションをクリアして、新しいミッションが始まったぞ……?
 横にいるレイも驚いてるから、同じアナウンスがあったんだろうな。開始したミッションの詳細が謎だから、進めるのは手探りになる。……まぁ、運が良ければ、いつの間にかクリアするでしょ。

「スタ島って行けるの?」
「定期航路はないわね。でも、第四の街が封鎖されているから、島の調査を優先するために、特別便を用意させようかしら」
「おお、さすが王女様」

 当たり前のように船を出すつもりらしい。スタ島がどれくらい離れてるかわからないけど、すぐに決められるってすごいなぁ。

「モモさんも行くつもりがあるなら、一緒にどう?」
「え、本当に?」

 まさかの展開。
 イグニスさんの誘いは断ったけど、ラファイエットさんの正式な調査に同行するのは問題ないのでは?

「ええ。良い情報をくれたお礼よ」
「ありがとう! ぜひ、行きたいな」
「それなら、計画に加えておくわね。詳しい日程が決まったらお知らせするわ」
「うん、待ってるね!」

 にこにこと微笑み合う僕たちを、レイが呆然とした表情で眺めてる。

「なんか……私の普段とは違うゲームが展開されてる気がする……?」

 そう? これ、僕の普段と大して違わない気がするけどなー。

〈シークレットミッション『第二王女ラファイエットからの【神の島】への誘いを受ける』をクリアしました。報酬として【(仮)研究員証】が贈られます〉

――――――
【(仮)研究員証】
 魔術学院と神殿の部外者立ち入り禁止区の一部に入れるようになる。立ち入り許可の場所がマップに記載される。
――――――

 これもミッションだったのかー。気づいたらクリアしてたし、なんか良い報酬もらったぞ?
 王都はまだまだ楽しめそうだね。それより先に、別の場所に旅立つことになりそうだけど、楽しそうだからいっか!

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