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8章 新たな地へ
282.来たれ、幸運!
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ラファイエットさんと甲板で話した後、船内に誘われた。楽しいゲームがたくさんあるらしい。
連れられて訪れたのは『カジノ』……え、そんなことできるの!?
大きな広間の中に、ルーレットやカードテーブル、スロットマシンなどが並んでる。
「すごーい! こういうとこ、初めて来たよ」
「国内だとカジノが許可されている場所は限られているものね。国立で運営されているのは、ここの他には王都内に一か所と南にある第五の街シサに一か所。それ以外は違法な賭博場だから気をつけてね」
「違法な賭博場なんてあるんだ……」
もしかして、これまでの街のシークレットエリアにもあったりする? 裏街みたいな。
確か違法なことすると冒険者資格剥奪とかの罰があったはずだから、行かないようにしないと。
「——って、第五の街?」
「ええ。王都から南に進んだ方にある街よ」
第四の街にも行けてないのに、さらに先の街情報をゲットしちゃった。しかも、そこは王都から行けるらしい。
第四、第五ってついてるけど、順番は関係ないのかな?
「第五の街にはどうやって行くの?」
「今のところ、王城で育てている飛竜に乗ってしか行けないわね。地上には強いモンスターがたくさんいるの」
ドラゴンに乗る!?
即座にイグニスさんに乗って空を飛んだ時のことを思い出した。
……王城で育ててるってことは、偉い人が乗る可能性もあるんだろうし、イグニスさんより乗り心地がいいのかな。そうであってほしいな。
「……それ、僕も乗れる?」
「難しいわね。数が少ないから、専属の騎士と王族しか乗れないことになっているわ」
なんとなく予想していた通りの答えだった。
「なるほど。まだ開放できる状態じゃない感じかぁ。地上を突破するにしても、レベルが足りなさそう」
やっぱり、攻略順序的には第四の街に進んでから、第五の街ってことなんだろうな。
うんうん、と頷いて納得してから、目の前のカジノに再び意識を向ける。
ここで遊ぶのは合法なんだろうから、体験してみたい!
「カジノって、初心者でも遊びやすいものある?」
「そうねぇ……一番簡単なのはスロットよ。もう少し自分で考えて遊びたいならルーレットね」
説明を聞いて、まずはスロットをしてみることにした。
カジノでは直接お金を賭けることはしないらしい。
お金をまずは『メダル』に換える。これをゲームで使うんだって。
メダルは『銅』『銀』『金』の三つあった。それぞれ百リョウ、一千リョウ、一万リョウだ。
スロット一回で使うのはメダル(銅)。
ローリスクローリターンのゲームらしい。
「うーん、どのスロットにしようかな~?」
たくさん並んでるスロットマシンを眺める。
それぞれ色が違っていて、どれを使うかで結果が変わりそう。
真剣に悩む僕を、ラファイエットさんが楽しそうに見ながら、「オススメは赤よ」と言った。
カジノスタッフらしいお仕着せの男性が苦笑いしてる。もしかして、すごいヒントもらえたのかな?
「じゃあ、赤にするー」
遠慮なく勧められたスロットマシンの前に座る。
銅メダルを入れると、目の前でクルクルとスロットが回り始めた。
なんとなく『ここ!』と思ったところでボタンを押す。ポチッとな。
——シャン、シャン、シャン……シャララララー!
よくわかんないけど、『ネコ』のマークが三つ揃った。
華やかな音が聞こえて、ジャラジャラッとメダルが出てくる。
おお! メダル(銅)がメインだけど、メダル(銀)もちょっと混ざってる。
「おめでとう! 当たったわね。大当たりではなかったけれど」
「うん、幸運値のおかげかな?」
「あら、ここではそういうステータスの影響は除外されるのよ」
「そうなんだ!?」
幸運値が高い僕なら大稼ぎできるかと思ったのに。ちょっと残念。
でも、楽しむだけなら、別に気にしなくていっかー。
とりあえず、当たって出てきたメダルを回収して、再びスロットに投入してみる。
「『ネコ』『ネコ』『ウサギ』……僕、ネコに好かれてる?」
「もふもふカフェでも虎に好かれていたものね」
「あれは、おやつをあげたからだと思う……」
あそこにいた虎くん、商売上手だったよね。注文取るとき、しっかりと『ネコ科のおやつ』を注文してって主張してたもん。
あざと可愛いもふもふを思い浮かべながら、ホイホイとメダルを投入する。
スロットって簡単すぎて、無心で続けちゃう。使うのがメダルだから、お金っていう感覚も薄いし——なんて恐ろしいマシンなんだ!
「ふふふーん♪」
「あら、また外れたわ」
いつの間にかラファイエットさんもスロットで遊んでた。これ、楽しいよねー。出てくる絵柄も可愛いし。
僕はわりと当たってるけど、ラファイエットさんは外れてる方が多いみたい。ちょっと不満そう。
スロットで遊んでる王女様って、改めて考えると面白いな。
「結構メダルが増えた!」
カゴの中に入ったメダルが、ジャラジャラと音を立てる。
それを、ラファイエットさんが羨ましそうに見下ろした。
「……一緒にルーレットをしない?」
「いいよー。やり方教えてね!」
なんとなく、ラファイエットさんが僕からメダルを奪おうとしてる気がする。
でも、負けないぞ。
次回、大賭博師な天兎誕生だよ!(嘘)
連れられて訪れたのは『カジノ』……え、そんなことできるの!?
大きな広間の中に、ルーレットやカードテーブル、スロットマシンなどが並んでる。
「すごーい! こういうとこ、初めて来たよ」
「国内だとカジノが許可されている場所は限られているものね。国立で運営されているのは、ここの他には王都内に一か所と南にある第五の街シサに一か所。それ以外は違法な賭博場だから気をつけてね」
「違法な賭博場なんてあるんだ……」
もしかして、これまでの街のシークレットエリアにもあったりする? 裏街みたいな。
確か違法なことすると冒険者資格剥奪とかの罰があったはずだから、行かないようにしないと。
「——って、第五の街?」
「ええ。王都から南に進んだ方にある街よ」
第四の街にも行けてないのに、さらに先の街情報をゲットしちゃった。しかも、そこは王都から行けるらしい。
第四、第五ってついてるけど、順番は関係ないのかな?
「第五の街にはどうやって行くの?」
「今のところ、王城で育てている飛竜に乗ってしか行けないわね。地上には強いモンスターがたくさんいるの」
ドラゴンに乗る!?
即座にイグニスさんに乗って空を飛んだ時のことを思い出した。
……王城で育ててるってことは、偉い人が乗る可能性もあるんだろうし、イグニスさんより乗り心地がいいのかな。そうであってほしいな。
「……それ、僕も乗れる?」
「難しいわね。数が少ないから、専属の騎士と王族しか乗れないことになっているわ」
なんとなく予想していた通りの答えだった。
「なるほど。まだ開放できる状態じゃない感じかぁ。地上を突破するにしても、レベルが足りなさそう」
やっぱり、攻略順序的には第四の街に進んでから、第五の街ってことなんだろうな。
うんうん、と頷いて納得してから、目の前のカジノに再び意識を向ける。
ここで遊ぶのは合法なんだろうから、体験してみたい!
「カジノって、初心者でも遊びやすいものある?」
「そうねぇ……一番簡単なのはスロットよ。もう少し自分で考えて遊びたいならルーレットね」
説明を聞いて、まずはスロットをしてみることにした。
カジノでは直接お金を賭けることはしないらしい。
お金をまずは『メダル』に換える。これをゲームで使うんだって。
メダルは『銅』『銀』『金』の三つあった。それぞれ百リョウ、一千リョウ、一万リョウだ。
スロット一回で使うのはメダル(銅)。
ローリスクローリターンのゲームらしい。
「うーん、どのスロットにしようかな~?」
たくさん並んでるスロットマシンを眺める。
それぞれ色が違っていて、どれを使うかで結果が変わりそう。
真剣に悩む僕を、ラファイエットさんが楽しそうに見ながら、「オススメは赤よ」と言った。
カジノスタッフらしいお仕着せの男性が苦笑いしてる。もしかして、すごいヒントもらえたのかな?
「じゃあ、赤にするー」
遠慮なく勧められたスロットマシンの前に座る。
銅メダルを入れると、目の前でクルクルとスロットが回り始めた。
なんとなく『ここ!』と思ったところでボタンを押す。ポチッとな。
——シャン、シャン、シャン……シャララララー!
よくわかんないけど、『ネコ』のマークが三つ揃った。
華やかな音が聞こえて、ジャラジャラッとメダルが出てくる。
おお! メダル(銅)がメインだけど、メダル(銀)もちょっと混ざってる。
「おめでとう! 当たったわね。大当たりではなかったけれど」
「うん、幸運値のおかげかな?」
「あら、ここではそういうステータスの影響は除外されるのよ」
「そうなんだ!?」
幸運値が高い僕なら大稼ぎできるかと思ったのに。ちょっと残念。
でも、楽しむだけなら、別に気にしなくていっかー。
とりあえず、当たって出てきたメダルを回収して、再びスロットに投入してみる。
「『ネコ』『ネコ』『ウサギ』……僕、ネコに好かれてる?」
「もふもふカフェでも虎に好かれていたものね」
「あれは、おやつをあげたからだと思う……」
あそこにいた虎くん、商売上手だったよね。注文取るとき、しっかりと『ネコ科のおやつ』を注文してって主張してたもん。
あざと可愛いもふもふを思い浮かべながら、ホイホイとメダルを投入する。
スロットって簡単すぎて、無心で続けちゃう。使うのがメダルだから、お金っていう感覚も薄いし——なんて恐ろしいマシンなんだ!
「ふふふーん♪」
「あら、また外れたわ」
いつの間にかラファイエットさんもスロットで遊んでた。これ、楽しいよねー。出てくる絵柄も可愛いし。
僕はわりと当たってるけど、ラファイエットさんは外れてる方が多いみたい。ちょっと不満そう。
スロットで遊んでる王女様って、改めて考えると面白いな。
「結構メダルが増えた!」
カゴの中に入ったメダルが、ジャラジャラと音を立てる。
それを、ラファイエットさんが羨ましそうに見下ろした。
「……一緒にルーレットをしない?」
「いいよー。やり方教えてね!」
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でも、負けないぞ。
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