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8章 新たな地へ
283.職業:賭博師はアリ?
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ルーレットは赤と黒に数字が書かれてて、色や数字、偶数・奇数などを選んで賭けるらしい。
色だけを選ぶのは、ローリスクローリターン。
大賭博師としては、しっかりと勝負に出たいところ。
「うぅむ……」
「ふふ、悩みすぎよ」
赤にメダル(銀)一枚を賭けたラファイエットさんがクスクスと笑う。
でも、こうやって悩むのが楽しみの一つじゃない?
「そろそろ開始しますよ?」
ディーラーが玉を手に取って、ホイールに投入しようとする仕草を見せた。
待って、待って! 今決めるから!
悩みに悩んで、結局——
「黒の15にメダル(銅)二枚!」
「勝負に出たのかよくわからない賭け方ね」
僕がメダルを置いた途端、ラファイエットさんが首を傾げた。
確かに、悩んだわりには、賭けた額が小さかったね。まぁ、それが僕の小心さの表れなのですー。
大賭博師を名乗るのは、まだ早そうだ。
「では、ルーレットスタート!」
ディーラーが回転するホイールに玉を投げ入れる。
ホイールの中を綺麗に回った玉は、最終的にストンとポケットに落ち——
「赤の15!」
「ノォー! ニアピン! 一番悔しいやつ!」
「ふふ、惜しかったわね」
まさかの数字が当たって、色が外れるパターン。
ガックリと項垂れる僕の前で、メダル(銅)二枚がディーラーの元へと運ばれた。そして、ラファイエットさんにメダル(銀)二枚が渡される。
「もう一回しよ!」
「いいわよ」
「では、賭ける場所をお選びください」
微笑むラファイエットさんとディーラーの前で、また悩む。
スロットでたくさん儲けたから、まだ冒険してもいいな。
「わたくしは、今度は黒に賭けるわ。銀一枚」
「また色だけー?」
「二分の一の確率だから、安全でしょ」
「ここ、国が胴元なんだから、ラファイエットさんが損する心配はないような?」
「あら、わたくしが今使っているお金は自分で働いて稼いだものよ? 巫女職で、だけれど」
王女様、お小遣いもらってるわけじゃないんだ!?
そう驚くのと同時に、神職の仕事で得たお金でギャンブルするのは、ちょっと罰当たりな気がするぞ、と思う。
僕のジトッとした視線を感じたのか、ラファイエットさんが心外そうに少し頬を膨らませた。
「——モモさんだって、信者たちから貢がれたお金が所持金に含まれているでしょう?」
「ギクッ!」
痛いところをつかれた。
自分で稼いだお金が主だけど、もふもふ教の人からもらった利益が大きいのは事実だ。
心の中でタマモに問いかける。
『みんなからお祝いとかでもらったお金をギャンブルで使うのはダメですか?』
想像の中で、タマモが『うーん』と首を傾げた後、ニコッと笑って尻尾を揺らした気がした。
『モモさんが可愛くギャンブルしてるなら、オッケーですよ!』
うん、とってもタマモが言いそう。
でも、可愛くギャンブルってなんだろう? 歌いながら賭ければいいの? アイドルウインクする? ディーラーさんをもふもふ教の信者にしちゃう?
「……もふもーふ、プリッティ♪」
「どうして急に歌い始めたの?」
不思議そうなラファイエットさんをスルーして、パチパチと瞬きしてるディーラーさんにウインクする。
「赤の7に銀一枚でよろしく!」
ペシッとメダルをテーブルに載せる。
ディーラーさんが「これが萌え……!?」とこぼしながら、回転するホイールに玉を投げた。ルーレットを開始する仕草に動揺はない。
さすがプロディーラー。タマモだったら動けなくなってたよね! もしくは、僕が言ったところを狙って玉を投げたと思う。とっても忖度!
ディーラーさんに感心してる僕の横で、心なしかラファイエットさんが呆れてる気がする。
ふざけてウインクをプレゼントしてみたら、ラファイエットさんはきょとんとした後、吹き出すように笑った。
楽しそうで嬉しい。僕のアイドルパワーすごいね!
カラカラと玉がホイールの中を回る。
そして、落ちたところは——
「……赤の7! 大当たりです!」
「当たったー!」
ここにも、僕のアイドルパワーが発揮されたかな? 決めるべきところで、決めるんだよ!
わーい、と大喜びしてる僕の横で、ラファイエットさんがディーラーに疑うような目を向ける。
「あなた、操作してない?」
「そんなまさか。私にそのような技術はありませんよ」
王女様に対しても堂々とした態度。さすがプロディーラーだ。
揺らぎない笑みで、ラファイエットさんが賭けたメダル(銀)を取る。
そして、僕の前には三枚のメダル(金)と六枚のメダル(銀)がやって来た。三万六千リョウ相当。
大儲けだー!
……正直、商売の方が儲けられるけど。なんなら、もふもふ教でイベントしたら、これくらいササッと貢いできそうな人いるけど。
「こうなったら、ポーカーで勝負よ!」
「ごめん、ポーカーは全然知らないや」
やる気に満ちた顔で挑戦状を叩きつけてきたラファイエットさんに、すぐさま断る。
負けそうな勝負は受けないです。
ラファイエットさんは拗ねた顔になってる。意外と負けず嫌い?
テーブルについてるラファイエットさんの手をツンツンとつつく。
「ねー、僕の友だちも召喚して、一緒に遊んでいい?」
「召喚って、テイムモンスターを……?」
不思議そうにしながらも頷いてくれたので召喚します!
みんなでカジノ遊びだー!
◇
交代しつつ遊んだ結果、一番勝ったのはナッティだった。最下位はラファイエットさん。
……うん、たぶん、ラファイエットさんは賭け事向いてないんだよ。
僕はみんな分のお金を出したけど、最終的に出した分以上の価値で返ってきたから問題なし!
メダルはお金じゃなくて景品にも換えられるみたい。
景品には、メダル(金)一万枚で【無人島】っていうのがあった。つまり一億リョウ相当の島。
……島、所有できるんです? 欲しいけど、一万枚は遠すぎだよ。
他にも良さそうなスキルやアイテムがあったし、カジノごとに景品が違うって教えてもらったから、メダルは換金せずに、ちょっと貯めてみることにする。
お遊びアイテムの【カラー変更(一日)】っていうのが気になったから、これは交換してもらったけど。
一日(六時間)だけ、キャラクターの色を変えられるアイテムなんだって。
僕が色を変えて街中を歩いたら、みんながどういう反応をするか気になる。僕の悪戯心をくすぐるアイテムだよ。
メダルは各カジノ共通らしいから、今後もカジノ遊びしないとな~。
カジノに通いつめる天兎……ちょっと面白い。
色だけを選ぶのは、ローリスクローリターン。
大賭博師としては、しっかりと勝負に出たいところ。
「うぅむ……」
「ふふ、悩みすぎよ」
赤にメダル(銀)一枚を賭けたラファイエットさんがクスクスと笑う。
でも、こうやって悩むのが楽しみの一つじゃない?
「そろそろ開始しますよ?」
ディーラーが玉を手に取って、ホイールに投入しようとする仕草を見せた。
待って、待って! 今決めるから!
悩みに悩んで、結局——
「黒の15にメダル(銅)二枚!」
「勝負に出たのかよくわからない賭け方ね」
僕がメダルを置いた途端、ラファイエットさんが首を傾げた。
確かに、悩んだわりには、賭けた額が小さかったね。まぁ、それが僕の小心さの表れなのですー。
大賭博師を名乗るのは、まだ早そうだ。
「では、ルーレットスタート!」
ディーラーが回転するホイールに玉を投げ入れる。
ホイールの中を綺麗に回った玉は、最終的にストンとポケットに落ち——
「赤の15!」
「ノォー! ニアピン! 一番悔しいやつ!」
「ふふ、惜しかったわね」
まさかの数字が当たって、色が外れるパターン。
ガックリと項垂れる僕の前で、メダル(銅)二枚がディーラーの元へと運ばれた。そして、ラファイエットさんにメダル(銀)二枚が渡される。
「もう一回しよ!」
「いいわよ」
「では、賭ける場所をお選びください」
微笑むラファイエットさんとディーラーの前で、また悩む。
スロットでたくさん儲けたから、まだ冒険してもいいな。
「わたくしは、今度は黒に賭けるわ。銀一枚」
「また色だけー?」
「二分の一の確率だから、安全でしょ」
「ここ、国が胴元なんだから、ラファイエットさんが損する心配はないような?」
「あら、わたくしが今使っているお金は自分で働いて稼いだものよ? 巫女職で、だけれど」
王女様、お小遣いもらってるわけじゃないんだ!?
そう驚くのと同時に、神職の仕事で得たお金でギャンブルするのは、ちょっと罰当たりな気がするぞ、と思う。
僕のジトッとした視線を感じたのか、ラファイエットさんが心外そうに少し頬を膨らませた。
「——モモさんだって、信者たちから貢がれたお金が所持金に含まれているでしょう?」
「ギクッ!」
痛いところをつかれた。
自分で稼いだお金が主だけど、もふもふ教の人からもらった利益が大きいのは事実だ。
心の中でタマモに問いかける。
『みんなからお祝いとかでもらったお金をギャンブルで使うのはダメですか?』
想像の中で、タマモが『うーん』と首を傾げた後、ニコッと笑って尻尾を揺らした気がした。
『モモさんが可愛くギャンブルしてるなら、オッケーですよ!』
うん、とってもタマモが言いそう。
でも、可愛くギャンブルってなんだろう? 歌いながら賭ければいいの? アイドルウインクする? ディーラーさんをもふもふ教の信者にしちゃう?
「……もふもーふ、プリッティ♪」
「どうして急に歌い始めたの?」
不思議そうなラファイエットさんをスルーして、パチパチと瞬きしてるディーラーさんにウインクする。
「赤の7に銀一枚でよろしく!」
ペシッとメダルをテーブルに載せる。
ディーラーさんが「これが萌え……!?」とこぼしながら、回転するホイールに玉を投げた。ルーレットを開始する仕草に動揺はない。
さすがプロディーラー。タマモだったら動けなくなってたよね! もしくは、僕が言ったところを狙って玉を投げたと思う。とっても忖度!
ディーラーさんに感心してる僕の横で、心なしかラファイエットさんが呆れてる気がする。
ふざけてウインクをプレゼントしてみたら、ラファイエットさんはきょとんとした後、吹き出すように笑った。
楽しそうで嬉しい。僕のアイドルパワーすごいね!
カラカラと玉がホイールの中を回る。
そして、落ちたところは——
「……赤の7! 大当たりです!」
「当たったー!」
ここにも、僕のアイドルパワーが発揮されたかな? 決めるべきところで、決めるんだよ!
わーい、と大喜びしてる僕の横で、ラファイエットさんがディーラーに疑うような目を向ける。
「あなた、操作してない?」
「そんなまさか。私にそのような技術はありませんよ」
王女様に対しても堂々とした態度。さすがプロディーラーだ。
揺らぎない笑みで、ラファイエットさんが賭けたメダル(銀)を取る。
そして、僕の前には三枚のメダル(金)と六枚のメダル(銀)がやって来た。三万六千リョウ相当。
大儲けだー!
……正直、商売の方が儲けられるけど。なんなら、もふもふ教でイベントしたら、これくらいササッと貢いできそうな人いるけど。
「こうなったら、ポーカーで勝負よ!」
「ごめん、ポーカーは全然知らないや」
やる気に満ちた顔で挑戦状を叩きつけてきたラファイエットさんに、すぐさま断る。
負けそうな勝負は受けないです。
ラファイエットさんは拗ねた顔になってる。意外と負けず嫌い?
テーブルについてるラファイエットさんの手をツンツンとつつく。
「ねー、僕の友だちも召喚して、一緒に遊んでいい?」
「召喚って、テイムモンスターを……?」
不思議そうにしながらも頷いてくれたので召喚します!
みんなでカジノ遊びだー!
◇
交代しつつ遊んだ結果、一番勝ったのはナッティだった。最下位はラファイエットさん。
……うん、たぶん、ラファイエットさんは賭け事向いてないんだよ。
僕はみんな分のお金を出したけど、最終的に出した分以上の価値で返ってきたから問題なし!
メダルはお金じゃなくて景品にも換えられるみたい。
景品には、メダル(金)一万枚で【無人島】っていうのがあった。つまり一億リョウ相当の島。
……島、所有できるんです? 欲しいけど、一万枚は遠すぎだよ。
他にも良さそうなスキルやアイテムがあったし、カジノごとに景品が違うって教えてもらったから、メダルは換金せずに、ちょっと貯めてみることにする。
お遊びアイテムの【カラー変更(一日)】っていうのが気になったから、これは交換してもらったけど。
一日(六時間)だけ、キャラクターの色を変えられるアイテムなんだって。
僕が色を変えて街中を歩いたら、みんながどういう反応をするか気になる。僕の悪戯心をくすぐるアイテムだよ。
メダルは各カジノ共通らしいから、今後もカジノ遊びしないとな~。
カジノに通いつめる天兎……ちょっと面白い。
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