もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

290.こんにちはー

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 船のショッピンクエリアでお買い物したり、スラリンたちとプールで遊んだりしたら、あっという間にスタ島に到着した。

 僕、一日中ゲームできるわけじゃないし、もうちょっと船旅を満喫したかったなぁ。王都-スタ島間の航路が正式にできたら、また船旅しようっと。

「おー、ここがスタ島かー」

 甲板の欄干に乗り、船が着岸した島を眺める。
 船着き場は豪華客船が着けるくらいしっかりしたもの。でも、そこから先は自然いっぱい。島全体が森になってる感じかな。

 マップによると、神域とか神の社などは森の中心付近にあるようだ。
 島の人はどこに住んでるんだろう?

「モモさんは、これからどうする? 私たちの調査についてきてもいいけれど」

 ラファイエットさんに聞かれて「んー」と考える。
 調査を眺めるのも楽しそうだけど、まずは島探索したいな。珍しいアイテムがあるかも。

「僕は別行動にするよー」
「そう。帰りの船は必要ないの?」
「うん、転移スキルがあるからね!」
旅人プレイヤーって便利なスキルがあるわよね」

 少し羨ましそうなラファイエットさんに「だよねー」と返しながら、飛翔フライスキルを使う。
 タラップがなくても僕はおりられるもんね。

「じゃあ、先に行くねー」
「島内には特殊なモンスターがいるようだから、気をつけてね」

 え、そうなの?
 手を振って見送ってくれるラファイエットさんに詳細を聞きたい気もしたけど、自分の目で確かめればいっか、と思い直して「はーい」と手を振り返した。

〈〈プレイヤーが新しいエリア【スタ島】に到着しました。現実時間一週間後より王都-スタ島間で定期航路が開始されます〉〉

 ワールドアナウンスだー。なんとなく予想してたし、驚きはない。
 みんなも来れるみたいだし、よかったね!

 船着き場に着地して、再度飛翔フライスキルを使う前に、忘れない内に転移ピンを設定した。これでいつでも来られるよ。

「ルンルンルン~♪」

 まずは島の外周を進んでみようかな。

 海沿いを飛びながら、時々海鳥っぽいモンスターが襲ってくるのを倒す。あまり強い感じはしない。

――――――
海渡鳥シーマイバード
 風・水属性のモンスター。長い距離を飛ぶことができる。
 得意技は【つつき】【風起こし】【水弾】。
 防御力はあまり高くない。
――――――

 島外周はバトルフィールドになってるらしい。空からモンスターが襲ってくるから、落ち着いて釣りできなさそう。どんな魚が釣れるのか確かめてみたいんだけどなー。

「釣りポイントないかなぁ」

 船着き場から離れると、砂浜が多くなる。
 砂浜から島中心部に向けて広がる森には、たくさんのモンスターの気配がある気がした。

 木々がある場所から別のバトルフィールドになっているらしく、そのモンスターたちが襲ってこないのはありがたい。

「島の人はいない?」

 釣りしてる人がいてもよさそうなんだけど。
 そんなことを思いながら飛んでいたら、砂浜にたくさんの海渡鳥シーマイバードが集まっているのを見つけた。エサでもあるのかな?

 ちょっと気になって凝視すると――

「……待って、にゃんこがいる!?」

 海渡鳥シーマイバードたちに襲われている白毛の猫っぽいモンスターを見つけた。弱ってて抵抗できないみたい。
 ちょっと迷った末に、土の玉アースボール風の刃ウィンドスラッシュを使って海渡鳥シーマイバードを倒した。

 にゃんこは砂浜でうずくまってる。傷だらけだー。
 ……このゲーム、こういう傷の表現って普通されないんだよね。もしかして、これ特殊なイベントなのでは?
 そう怪しみつつも、回復薬をかけてあげたところで、アナウンスが聞こえてきた。

〈ミッション【仙猫センリを助ける】をクリアしました。初めて妖怪モンスターを助けた報酬としてスキル【妖怪モンスター鑑定】が贈られます――全鑑定スキルに統合されました。全鑑定スキルがレベル4になりました〉

 ふぁ!? 妖怪……え、このにゃんこ、妖怪なんです?
 全鑑定スキルのレベルが上がったことを喜ぶより先に、新たなタイプのモンスターにびっくりしちゃう。

 ラファイエットさんが言ってた特殊なモンスターって、妖怪のことだったのかぁ。
 このにゃんこ、仙猫センリっていうんだっけ? 鑑定してみよー。

――――――
仙猫センリ
 風属性の妖怪モンスター。
 得意なスキルは【疾風】【鎌鼬】【白雲】。
 非常に素早い。
――――――

 見たことないスキルを持ってる。強いかわからないなぁ。

「にゃ」

 回復薬のおかげで傷が治り、仙猫センリが体を起こした。見るからに猫。可愛いねぇ。

「こんにちは。僕、モモっていうんだ」

 敵意を感じなかったから挨拶する。仙猫センリは首を傾げつつも「にゃー」と応えた。
 仲良くなれないかな? 食べ物あげてみる?

「君はどんな食べ物が好きー?」
「にゃ」
「猫語はわかんないなぁ」

 何かしら答えてくれてるんだろうけど、理解はできない。
 とりあえず、いろいろ出してみよう。

 いろんなお肉料理、魚料理、野菜、果物、スイーツ……仙猫センリにたくさん見せたけど、全然食べてくれる気がしない。
 妖怪って、ご飯食べないのかな? それ、仲良くなるの難しいってことになっちゃうよ。

 困りながらも、アイテムボックスの中身をひっくり返す勢いで、さらにアイテムを取り出す。
 まさかね、と思いながら取り出した魔石にはツーンとそっぽを向かれた。だよね。

「うーん、あとは海賊のイカしかないよー」

 海賊烏賊パイレイカのぶつ切りを取り出した途端、仙猫センリの目が輝いた。え、イカが好きなの?

「じゃあ、一緒にイカ料理を楽しむ?」

 自分でもイカ料理を作ろうと思ってたからちょうどいいね。
 よーし、美味しいイカ料理を作るぞー!

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