もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

291.美味しいご飯で仲良くなろう

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 海の波の音が聞こえる中、近くにあったセーフティエリアで、調理道具と食材を砂浜に並べ宣言する。

「モモのちゃちゃっとクッキングの時間だよー」
「にゃ?」

 仙猫センリに不思議そうな顔をされた。
 ただのノリなので、気にしないでください。

「本日の食材はこちら――海賊烏賊パイレイカ!」
「にゃー!」

 仙猫センリが両手を上げてバンザイのポーズをした。意外とノリがいいね。それだけ海賊烏賊パイレイカが魅力的ってことかな?

「まずは、海賊烏賊パイレイカの磯辺揚げです」

 ルルンルンルン、と歌いながら料理スキルを使って調理開始。
 イカを小さく切って、海苔を混ぜた衣をまとわせる。そして【揚げる】!

「――はい、できました」
「にゃにゃっ」

 まさに『ちゃちゃっと』料理が完成したことに、仙猫センリがびっくりしてる。
 料理スキルのおかげだよ。

「あったかい内に食べようねー」
「にゃ……っ」
「猫舌だったの?」

 磯辺揚げに噛みついた仙猫センリがバタバタと悶絶してる。猫だから猫舌なのか。可哀想。
 火傷状態のはずだから、状態異常回復が効く?

「――【天からの光梯子アンジュレイラダー】!」

 仙猫センリはパーティメンバーじゃないけど効くかな? と思いながら使ってみた。

 空から光が差し、僕たちを照らす。
 仙猫センリが「にゃ」と嬉しそうに表情を緩めた。効いたみたいだね。

「火傷治った?」
「にゃ!」

 ありがとう、と言うように頭を下げた仙猫センリに「よかったねー」と返す。
 磯辺揚げもちょうどいいくらいに冷めたと思うよ。
 というわけで、改めて実食。

「はぐっ……もぐもぐ……うまぁ」

 弾力のある海賊烏賊パイレイカの磯辺揚げは、食べた瞬間に磯の香りが口いっぱいに広がり、次いで噛みしめるごとにイカの旨味が押し寄せてくる。

 ご飯欲しい! 欲望のままに白ご飯を取り出して、一緒に食べる。味濃いめにしたから、ご飯と合うねー。

「にゃふー」

 仙猫センリも幸せそうに味わっていた。気に入ってもらえて嬉しいよ。
 一足先に食べ終わったから、僕は次の料理を作ろう。続いては――

「シンプルに海賊烏賊パイレイカのバターしょう油炒め!」

 お野菜と一緒にバターしょう油で味付けして【焼く】と、なんとも食欲をそそる香りが漂った。
 よだれ出ちゃいそう……
 仙猫センリもガン見してる。尻尾が揺れてて楽しそう。

「完成! 火傷しないように食べてね」
「にゃ」

 仙猫センリが『わかってるにゃ』と頷いた。
 お? ちょっと言葉がわかるようになってきたぞ? それだけ、友好度がアップしてるってことだよね。美味しいものを食べて、もっと仲良くなろー。

「うまぁ。え、うまぁ」

 ボキャブラリーが貧困すぎる。
 海賊烏賊パイレイカのバターしょう油炒めを食べた瞬間に、「うまぁ」しか言えなくなった。それくらい美味しい。これもご飯に合うね!
 二杯目のご飯を食べながら、美味しいイカ料理を満喫する。

「にゃうにゃう」

 仙猫センリも『うみゃ、うみゃ』と言いながら、ひたすら食べてる。ご飯はいる? あ、いらないの。もしかしてイカ以外の料理はあんまり好きじゃない? でも、野菜は食べてるし、一緒に調理してあればいいのかな。

「――じゃあ、海賊烏賊パイレイカの炊き込みご飯を作ろう」

 お米も美味しいんだよーと教えるために、ちゃちゃっと料理する。

 他にも、桜浅蜊サクノアサリ海賊烏賊パイレイカの酒蒸し、海鮮焼きそば、海賊烏賊パイレイカと芋の煮物、アヒージョ、などなどいろいろ作ってみた。

「うまうま……海賊烏賊パイレイカ最高ー」

 いい出汁をとれるし、料理に旨味をプラスできる。
 まぁ、大体似たような味になっちゃうんだけど、それもイカを満喫できてるって感じでいいよね。

「にゃー(うみゃーい!)」
「喜んでもらえてよかったよー」

 いつの間にか、仙猫センリの言葉が随分とわかるようになっていた。
 僕たち仲良くなれたね。

 お腹はいっぱいだし、日差しは暖かいし、なんだかお昼寝したい気分。
 でも、ここはログアウト地点じゃないからダメだ――あ、今日中に宿を探さなきゃ。一旦ホームに戻ってもいいんだけど、まだ島から離れたくない気持ちが強い。だって、まだ満喫できてないもん。

「宿、あるかなー?」

 ラファイエットさんたちはどうするつもりなんだろう? 聞いておけばよかった。
 そんなことを思いながら、調理道具を片付け始めたところで、背中をちょんちょんと叩かれる。

「にゃ(泊まるところを探してるにゃ?)」
「うん。人里の場所を知ってる?」

 なんか情報をもらえるかな、と期待しながら尋ねる。
 でも、仙猫センリは『人里?』と首を傾げた。

「にゃ(森の中には夜露をしのげる場所がたくさんあるにゃ)」
「いや、そういうのじゃなくて、ちゃんと泊まれるところがいいんだ……」

 完全に同じモンスター扱いされてるー!
 野宿も気になるけど、寝たらログアウトしちゃうから、ダメなんだよなぁ。ログアウト地点になる野宿場所なんてないだろうし。

「にゃー(それなら、神の社に行くといいにゃー。あそこは人がいるけど、追い払われないにゃ)」
「お、それマップに載ってたシークレットエリアだ」

 人がいる場所だったらしい。神社みたいな感じかな?
 とりあえず行ってみるか。

「にゃ(案内するにゃ)」
「いいの? ありがとー」

 場所はマップでわかるけど、まだ仙猫センリと一緒にいたかったから頼んでみる。
 道中で現地モンスターのオススメな場所も教えてもらいたいな。

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