もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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8章 新たな地へ

295.島の漁村を歩こう

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 ヒスイが「にゃ(漁村に案内するにゃー)」と言ってくれたので、カノンさんに見送られて出発。
 森を下った海沿いに漁村はあるらしい。船着き場の反対側だ。

 道中はアイテム採集に勤しむ。
 スタ島独特なアイテムがあるんだよね~。

――――――
始薬草スタヤクソウ】レア度☆☆
 スタ島にのみ自生している薬草
 普通の薬草より回復効果が高い
 そのまま食べると、とんでもなく苦い

始魔草スタマソウ】レア度☆☆
 スタ島にのみ自生している魔力草
 普通の魔力草より回復効果が高い
 そのまま食べると、とんでもなく渋い

赤木苺レッドボワーズ】レア度☆☆☆
 スタ島にのみ自生している木苺
 食べた後三十分、満腹度が減少しにくくなる
 真っ赤な実で甘そうに見えるが、加熱しないととんでもなく酸っぱい
――――――

 などなど。
 どれもイノカン国本土で採れるものより効果が高かったり、付加効果があったりするけど、味がダメらしい。
 まぁ、加工すれば問題ないから、気にせず採集してるよ~。

「きゅーきゅい(モンスターが全然襲ってこないわね)」

 採集のお手伝いをしてもらうために喚び出していたナッティが、不思議そうに辺りを見渡す。

「にゃ(ヒスイがいるからにゃ。島の外のモンスターは追い払えないけど、島なら大丈夫にゃ)」
「きゅーきゅい(そうなの? すごいのね)」

 胸を張るヒスイに、ナッティが素直に感心して褒めてる。
 すぐに仲良くなれたみたいでよかった~。

「たくさん採れたね。こんだけあれば、しばらく採集に来なくても大丈夫そう」
「きゅーきゅい(お店の商品アイテムに使ったら、すぐなくなりそうだけど)」
「……そうだね。また来よっか。採集手伝ってね」

 ナッティに冷静に言われて、頷くしかなかった。

 今のところ僕しかこの島に着いてないから、買取に出してもらうこともできないんだ。自分で採集するしかない。
 作ったアイテムの効果がよくなりそうだし、売り出せば人気が出るだろうなぁ。

 そんなことを考えながら歩いていたら、木々の合間に海が見えてきた。その手前には家らしき建物も――

「おお? 舟屋だー」

 家が海の上にあって、一階に舟がおさまってる感じ。ズラッと舟屋が並んでいる光景は圧巻だ。

「……小舟で漁をしてるの? すごいなぁ」

 並んでいる舟は人が二、三人乗るくらいの小型。
 モンスターがいる海で、このサイズの船に乗って漁をするって、漁師さんはめちゃくちゃ強い人ばかりだったりする?

「うん? 見慣れない妖怪が……」

 舟屋が立ち並ぶエリアに沿っている道を歩いていたら、不意に上から声をかけられた。舟屋の住人さんが窓から顔を覗かせてる。

「僕、妖怪じゃないよー」

 どうもー、と手を振りながら答える。
 男の人が「しゃべった……!」と目を丸くした。こういう反応、久々でちょっと楽しい。

 顔が引っ込んだと思ったら、下におりてきた。

「ほーう……妖怪避けが効いてないのかと思ったら、違うのか……」

 じぃっと観察される。妖怪避けって何?
 僕が首を傾げたら、ヒスイがツンツンと背中を叩いた。

「にゃ(妖怪避けは人里を囲んでる結界にゃ。カノンたちが張ってるにゃ。それがあるところには、許可された妖怪モンスターしか近づけないにゃ)」
「あー、つまり、僕みたいな妖怪じゃないモンスター種族とか、ヒスイみたいな特別な妖怪モンスターは例外で入れるってこと?」
「にゃ(そういうことにゃ)」

 なるほど。
 第三の街キーリに張ってあった霧の結界みたいなものだね。あれは専用の腕輪を使わないと、まともに街中で行動できなくなる感じのものだった。

「僕、イノカン国の王都から来たんだよー」
「なに? そりゃ、随分と遠方から……ああ、あれか! 異世界からの旅人プレイヤーっていう」
「そうそう、それそれ」

 この島にまで周知されてたんだ。意外と本土の方と関わりが深いのかな? 航路は閉ざされてたみたいだけど。

「よく来たなぁ――俺はトルド。この村の漁師だ」
「やっぱり漁師さん。僕はモモ。冒険者だよー」

 自己紹介をして握手する。
 わざわざ地面に膝をついて身長を合わせようとしてくれたから、トルドさんはきっといい人だ。

 その体勢のまま、トルドさんはスッと道の先を指した。

「今夜は向こうで祭りがあるから、遊びに来たのか?」
「うん! 美味しいもの食べたいなぁ」
「ははっ、ここには美味いもんしかないぞ!」

 現地の人が太鼓判を押すなら間違いなさそう。期待しちゃう~。

「楽しみ! 僕、自分でも料理を作るから、屋台を出したいんだけど大丈夫かな?」
「自分で? そりゃ許可がないと――」
「一応、神の社でカノンさんからオッケーもらってるんだけど」
「それなら大丈夫だ」

 すぐさま許可が出た。カノンさん、すごい人なのかな?
 トルドさんが「そういうことなら――」と言いながら立ち上がる。

「屋台を出すなら、場所取りしないとな。俺が祭りの実行役員たちに話をしてやるよ」
「ほんと? トルドさん、ありがとー」

 親切な人に会えてラッキー。
 ルンルンと弾むような足取りで、トルドさんの後をついていく。

 ついでにここでの釣り事情について聞いちゃおう。僕、釣りしたいもん! きっとスラリンたちもしたがるはず。

「近くに釣り場はある?」
「釣り場? あー、あるにはあるが、陸からじゃ大したもんは釣れないぞ? 舟を出してやろうか?」

 おっと。もしかして、普通のプレイヤーは、ここで釣りをしたい場合に、漁師さんを頼るものなのかな?
 でも、僕はいいものを持っているから、問題なし!

「僕、小型帆船を持ってるから、大丈夫。勝手に海に出て釣っていいの?」
「……こがたはんせん……よくわからんが、海での釣りに許可はいらないぞ。せっかく会ったんだし、【釣りスポットの地図】をやるよ」

 トルドさんが不思議そうにしながら、メモのようなものをくれた。

――――――
【釣りスポットの地図】
 スタ島周辺の海でよく釣れるポイントが記載されている
――――――

〈漁師トルドから【釣りスポットの地図】が贈られました。マップが更新されます――更新されました〉

 おお! すごくいいものをもらった。
 これがあれば、豊漁間違いなしだね!

「【魚影探知機】があれば、漁をしやすくなるぞ」
「そんなアイテムがあるんだ? わかった、探して作ってみるね!」

 アドバイスももらえてルンルンです。
 たくさんお魚とるぞー!

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