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8章 新たな地へ
315.喚ぶ準備をするよー
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竜を召喚するには、まず喚び笛(竜)を作らないとね。
スラリンたちが『なにするのー?』と興味津々で見ているのを感じながら、てってれーと竜落子と水魔石をアイテムバッグから取り出す。
これを錬金布に載せまして、錬金玉でレシピ検索しますー。
「うん、喚び笛(竜)作れるね。成功率80%だけど……いけるいける! いざ【錬金スタート】!」
ふわっと光る煙が錬金布の上のアイテムを取り巻き――オカリナみたいな笛が現れた。色は透明感のある青色で綺麗。
「おー、これが喚び笛かー」
まじまじと見つめる。これを吹くだけで竜を召喚できるって不思議。イグニスさんを呼ぶ笛とは見た目からして違う。
「きゅぃ(竜喚ぶの? 新しい仲間!)」
「ぴぅ(どんな子かな。怖くないといいな)」
「キュオ(大丈夫かしら)」
「にゃ(バトルになったら、がんばるにゃ)」
「いい友だちになれるといいねー」
スラリンたちの反応を聞きながら、次の作業に進む。
農地で採れた時空草はそのままで竜の好物って表記があったけど、これを錬金したらよりいいアイテムになるんじゃないかなって思って、調べてみるんだ。
錬金布の上に時空草を載せて出てくるレシピを確認。
――――――
【時戻り薬】レア度☆☆☆☆☆☆
飲むと十分前にタイムスリップできる
〈レシピ〉
【時空草】+【セーブ玉】
【時進め薬】レア度☆☆☆☆☆☆
時戻り使用後に飲むと、効果を打ち消して元の時間に戻れる
〈レシピ〉
【時空草】+【加速草】
――――――
竜の好物を探す前に、すごいアイテム見つけちゃったぞー!
え、タイムスリップ? そんなことができるんだ? 死に戻りしちゃった時とか、この薬を使ったらなかったことにできるのかな。間違って使っちゃっても、修正が効くのはありがたいね。
でも、セーブ玉も加速草も持ってないや。というか、そんなアイテム見たこともないよ。どこで採れるの? 欲しいなぁ。
「きゅぃ(どうしたの? 何も作れない?)」
「あ、ううん、違うよー。目的とは違うアイテムを見つけて興奮してただけー」
心配そうに尋ねてくるスラリンに答えて、改めてレシピを眺める。そして、探していたアイテムを発見した。
――――――
【時空団子】レア度☆☆☆☆☆☆
時空系の魔力が豊富に込められている草団子
満腹度を50回復する
竜種の大好物
〈レシピ〉
【時空草】+【米粉】+【もち米粉】
――――――
「回復量すごっ! それくらいの回復量がないと、竜はお腹いっぱいにならないってこと? ……いっぱい食べられていいね! 大食いの子も魅力的だと思う!」
お友だち候補の性質は全面的に肯定していきたい所存です。ご飯代いっぱいかかりそう。あ、でも、テイムモンスターは満腹度がないから大丈夫かも?
「いや、すごくご飯をねだられる気がする」
ちらりとオギンやヒスイを見てから目を逸らす。
ご飯は必須じゃなくても、食欲はあるし、好物があるからには食べたいって言うこともあるんだよ。竜がたくさん食べたがったら、できる限り叶えてあげたいな。
そんな風にテイムできる前提で考えながら、時空団子をささっと作る。
時空草はレア度が高いけど、それで何かを作ろうとしてもあんまり成功率が低くないのは助かる。
「時空団子完成~」
「きゅぃ(美味しそう!)」
「ぴぅ(食べていい?)」
「だめだめ、これは新しいお友だち候補の竜にあげるんだから」
スラリンたちは『そっかぁ』とちょっぴり残念そう。あとで普通のお団子を作るから、一緒に食べようね!
「キュオ(どこで竜を喚ぶの?)」
「うーん……ここで喚ぶ! ここなら外のみんなに迷惑をかけないだろうし」
モンちゃんやルトに怒られたくない! その一心で僕が答えたら、オギンは『そうねー』と苦笑まじりに頷いた。
「にゃ(ここ、バトルフィールドじゃないのに喚べるのかにゃ?)」
「あ、そっか。召喚してバトル必須だったらここには喚べないかも? ――まぁ、とりあえず試してみるよ」
ヒスイに言われてちょっと考えてもわからなかったから、気にしないことにする。喚べなかったら外に行こうねー。
お皿に載った時空団子を地面に置き、喚び笛(竜)を構える。
僕、オカリナなんて吹いたことないんだけど、とりあえず息を吹き込めばいいかな?
「――ぴよぷーぱー」
……ヘンテコな音が出た。まじまじと喚び笛(竜)を見下ろす。なんで?
オギンとヒスイが吹き出す感じで笑ってる。スラリンとユキマルは気を遣った感じで『ふ、吹けてるよ!』『音出てた』と励ましてくれた。
その優しさで余計に心が傷ついてるのは気のせいってことにするね……僕、音痴ではないと思うんだけどなぁ。
しょんぼりしていたら、ふわっと風が頬を撫でた気がした。
ここは異空間だし、閉ざされてるはずなのに……?
不意に目の前に大きな魔法陣が現れる。光り輝いているそこから、ブワッと風が押し寄せてきた。
「ふあーっ、飛ばされるぅううう!」
「キュオ!」
風に押されて転がりそうになったところを、オギンの口でキャッチされた。
……くわえられちゃってるウサー。食べられてるわけじゃないウサー。
変な兎語で餌のような格好になった哀愁を表現しながら、スラリンたちの様子を確認する。
スラリンとユキマルは咄嗟にオギンにまとわりついて飛ばされるのを回避したらしい。ヒスイはオギンの前足にしがみついていた。
不格好でも飛ばされるのを回避できたならオッケー。
さて、召喚は上手くいったのかな?
スラリンたちが『なにするのー?』と興味津々で見ているのを感じながら、てってれーと竜落子と水魔石をアイテムバッグから取り出す。
これを錬金布に載せまして、錬金玉でレシピ検索しますー。
「うん、喚び笛(竜)作れるね。成功率80%だけど……いけるいける! いざ【錬金スタート】!」
ふわっと光る煙が錬金布の上のアイテムを取り巻き――オカリナみたいな笛が現れた。色は透明感のある青色で綺麗。
「おー、これが喚び笛かー」
まじまじと見つめる。これを吹くだけで竜を召喚できるって不思議。イグニスさんを呼ぶ笛とは見た目からして違う。
「きゅぃ(竜喚ぶの? 新しい仲間!)」
「ぴぅ(どんな子かな。怖くないといいな)」
「キュオ(大丈夫かしら)」
「にゃ(バトルになったら、がんばるにゃ)」
「いい友だちになれるといいねー」
スラリンたちの反応を聞きながら、次の作業に進む。
農地で採れた時空草はそのままで竜の好物って表記があったけど、これを錬金したらよりいいアイテムになるんじゃないかなって思って、調べてみるんだ。
錬金布の上に時空草を載せて出てくるレシピを確認。
――――――
【時戻り薬】レア度☆☆☆☆☆☆
飲むと十分前にタイムスリップできる
〈レシピ〉
【時空草】+【セーブ玉】
【時進め薬】レア度☆☆☆☆☆☆
時戻り使用後に飲むと、効果を打ち消して元の時間に戻れる
〈レシピ〉
【時空草】+【加速草】
――――――
竜の好物を探す前に、すごいアイテム見つけちゃったぞー!
え、タイムスリップ? そんなことができるんだ? 死に戻りしちゃった時とか、この薬を使ったらなかったことにできるのかな。間違って使っちゃっても、修正が効くのはありがたいね。
でも、セーブ玉も加速草も持ってないや。というか、そんなアイテム見たこともないよ。どこで採れるの? 欲しいなぁ。
「きゅぃ(どうしたの? 何も作れない?)」
「あ、ううん、違うよー。目的とは違うアイテムを見つけて興奮してただけー」
心配そうに尋ねてくるスラリンに答えて、改めてレシピを眺める。そして、探していたアイテムを発見した。
――――――
【時空団子】レア度☆☆☆☆☆☆
時空系の魔力が豊富に込められている草団子
満腹度を50回復する
竜種の大好物
〈レシピ〉
【時空草】+【米粉】+【もち米粉】
――――――
「回復量すごっ! それくらいの回復量がないと、竜はお腹いっぱいにならないってこと? ……いっぱい食べられていいね! 大食いの子も魅力的だと思う!」
お友だち候補の性質は全面的に肯定していきたい所存です。ご飯代いっぱいかかりそう。あ、でも、テイムモンスターは満腹度がないから大丈夫かも?
「いや、すごくご飯をねだられる気がする」
ちらりとオギンやヒスイを見てから目を逸らす。
ご飯は必須じゃなくても、食欲はあるし、好物があるからには食べたいって言うこともあるんだよ。竜がたくさん食べたがったら、できる限り叶えてあげたいな。
そんな風にテイムできる前提で考えながら、時空団子をささっと作る。
時空草はレア度が高いけど、それで何かを作ろうとしてもあんまり成功率が低くないのは助かる。
「時空団子完成~」
「きゅぃ(美味しそう!)」
「ぴぅ(食べていい?)」
「だめだめ、これは新しいお友だち候補の竜にあげるんだから」
スラリンたちは『そっかぁ』とちょっぴり残念そう。あとで普通のお団子を作るから、一緒に食べようね!
「キュオ(どこで竜を喚ぶの?)」
「うーん……ここで喚ぶ! ここなら外のみんなに迷惑をかけないだろうし」
モンちゃんやルトに怒られたくない! その一心で僕が答えたら、オギンは『そうねー』と苦笑まじりに頷いた。
「にゃ(ここ、バトルフィールドじゃないのに喚べるのかにゃ?)」
「あ、そっか。召喚してバトル必須だったらここには喚べないかも? ――まぁ、とりあえず試してみるよ」
ヒスイに言われてちょっと考えてもわからなかったから、気にしないことにする。喚べなかったら外に行こうねー。
お皿に載った時空団子を地面に置き、喚び笛(竜)を構える。
僕、オカリナなんて吹いたことないんだけど、とりあえず息を吹き込めばいいかな?
「――ぴよぷーぱー」
……ヘンテコな音が出た。まじまじと喚び笛(竜)を見下ろす。なんで?
オギンとヒスイが吹き出す感じで笑ってる。スラリンとユキマルは気を遣った感じで『ふ、吹けてるよ!』『音出てた』と励ましてくれた。
その優しさで余計に心が傷ついてるのは気のせいってことにするね……僕、音痴ではないと思うんだけどなぁ。
しょんぼりしていたら、ふわっと風が頬を撫でた気がした。
ここは異空間だし、閉ざされてるはずなのに……?
不意に目の前に大きな魔法陣が現れる。光り輝いているそこから、ブワッと風が押し寄せてきた。
「ふあーっ、飛ばされるぅううう!」
「キュオ!」
風に押されて転がりそうになったところを、オギンの口でキャッチされた。
……くわえられちゃってるウサー。食べられてるわけじゃないウサー。
変な兎語で餌のような格好になった哀愁を表現しながら、スラリンたちの様子を確認する。
スラリンとユキマルは咄嗟にオギンにまとわりついて飛ばされるのを回避したらしい。ヒスイはオギンの前足にしがみついていた。
不格好でも飛ばされるのを回避できたならオッケー。
さて、召喚は上手くいったのかな?
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