もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
322 / 555
8章 新たな地へ

316.ドラゴン、ばーん

しおりを挟む
 魔法陣からゆっくりと影が現れた。
 これがドラゴン? どんな子?

 確かめようと目を凝らした瞬間に、魔法陣から一際強い光が溢れ、慌てて目を瞑る。
 目がぁ、目がぁぁっ……! なんてふざけて遊んでから目を開くと、召喚されたモンスターの姿がはっきりと見えた。

 ドラゴンだ。白く透明感のある鱗が光を反射して美しく輝く、小さなドラゴンだった。
 ……え、魔法陣の大きさに対して小さくない? 僕よりは大きいけどさぁ。

 とりあえず、オギンにお礼を言って、ぴょんと地面に跳びおりる。

『うわー、すっごくおいら好みの場所だー』

 なんか子どもみたいな声が聞こえた。これ、ドラゴンの声? 最初から言葉がわかるって、さすがドラゴン

 目が合ったので、「こんにちはー、はじめまして」とぺこりと頭を下げながら挨拶してみた。
 ドラゴンも『どもども』と頭を下げてくれたよ。イグニスさんみたいな、威圧感のある感じじゃなくてよかったー!

『キミがおいらを喚んだんだよね?』
「そうだよー。あ、このお団子あげるね」

 暴風の中、団子は飛ばされることなく地面に置かれたままだった。謎の固定力!

『ありがとう! っ、これ、時空の魔力がいっぱいだ。こんなすごい食べ物をくれるなんて、キミってなんていいモンスターなんだろう!』

 ドラゴンが感激してくれた。そんなに喜んでもらえたら、用意した甲斐があったよ。
 ハグハグと味わいながら食べてるドラゴンに「鑑定していい?」と尋ねたら『いいよー』と頷いてくれた。
 では、鑑定します。心の準備はできてます。

――――――
白嵐竜ホワストドラ
 嵐属性のドラゴン種モンスター
 ドラゴンの中でも超稀少な上位種
 竜巻や嵐を引き起こし、人里に甚大な被害が生じることがある
 高い攻撃力と防御力、素早さを誇り、体の大きさを変えられる
――――――

 へ!? 嵐属性? 初めて見たー。
 ちょっと怖い説明があるのは気にしないことにして……
 攻撃力と防御力が高いのは当然だよね! ドラゴンだもん。体の大きさを変えられるのはビックリだけど。だから、魔法陣より小さい姿で現れることができたのかな。

白嵐竜ホワストドラくん、本来の大きさはどれくらい?」
『んー……この空間を突き破っちゃうくらいだね!』
「こわっ!?」

 本来の姿で現れなくてよかったー! 配慮してくれたのかな? ありがとう!
 僕が全力でお礼を告げたら、スラリンたちも一緒に『ありがとー』とペコッとし始める。イグニスさんと会った時とは違って、怯えてないね。仲良くなれそうで安心した。

『よくわかんないけど、おいらグッジョブ?』
「とってもぐっじょぶー。その調子で、僕とお友だちにならない?」

 すかさず勧誘してみる。
 白嵐竜ホワストドラは『その調子って何……?』と不思議そうだったけど、残り一個になった時空団子を見てから、キリッとした顔になった。

『おいらと仲良くなりたければ、時空団子を定期的に用意するって約束しろー』

 ゆするような口調だけど、要求が時空団子だからなんか可愛いし、わざわざ怖い顔をしようとしたのも面白くて、全然迫力がなかった。

 笑っちゃいそうになるのをこらえて「謹んで承りましたー」と答える。
 すると、僕と白嵐竜ホワストドラを繋ぐように光の線が走った。

ドラゴン種との誓約が成立しました。誓約を破るとペナルティがあります〉

「ほわっつ? 後出しでそれはひどい……でも、時空団子あげればいいだけだから、まぁいっか!」

 うん、と頷くと、再びアナウンスが聞こえてくる。今度はワールド全体に向けてのものだ。

〈〈あるプレイヤーが初めてドラゴン種と誓約を交わし、ワールドミッション【ドラゴン永遠とわの誓い】をクリアしました。職業【竜騎士】が解放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、スキル【竜操縦】、アイテム【竜鱗りゅうりん】が贈られます〉

——————
職業【竜騎士】
 【剣士】または【テイマー】の上位職
 ドラゴン種に騎乗しての移動・攻撃に補正効果がある
 この職業に転職するためには、ドラゴン種を一体以上テイムする必要がある

スキル【竜操縦】レベル1
 テイムしたドラゴン種に乗って移動する際に、ドラゴン種の素早さが10上がる
 ドラゴン種との意思疎通がスムーズになる

【竜鱗】レア度☆☆☆☆☆
 ドラゴンの白い鱗
 非常に硬く、魔術を反射する性質がある
 生産素材として使用できる
——————

 おお、ワールドミッションクリアー。しかも、初耳の職業が解放されたねー。
 ……これ、ルトに「またお前だな?」って言われそう。僕の匿名性は失踪中です。

 スキルとアイテムもらえて嬉しいから、今はルトのこと忘れとこー。

『約束したから、友だちになるよー』

 白嵐竜ホワストドラがそう言うと、テイムスキルを使わなくても、パッとテイムの証である光が放たれた。このパターンはスラリンの時と一緒だね。

白嵐竜ホワストドラをテイムしました。モンスターカードが贈られます。白嵐竜ホワストドラに名前を付けますか?〉

 おっとー、僕にとって一番の難関を忘れてたぞー。
 名前、名前……んー、どうしよう。

 白嵐竜ホワストドラが不思議そうに僕を見てる。本人(本魔物?)の意見も聞いた方がいいかも?

「僕は君をなんて呼んだらいい?」
『おいらにあだ名をつけたいの? うーん、おいら、仲間には【ストルム】って呼ばれてるよ』

 ドラゴンには元々名前があるんだ!? じゃあ、それで呼んであげた方がいいよねー……決して、ネーミングセンスがないのを隠したいわけじゃないんだよ!

「じゃあ、ストルムって呼ぶね! 僕のことは、モモって呼んで」
『わかったよ。うさぎちゃん』
「モモだってば……」

白嵐竜ホワストドラの個体名を【ストルム】に設定しました。モンスター空間に空きがないため、自動的に元の場所を棲家に設定します〉

 ふわっと光を放ってストルムが消えた。
 僕、うさぎちゃんって呼ばれたままだよー。もっとちゃんと修正したかった!

〈〈あるプレイヤーがワールドミッション『ドラゴン種をテイム』をクリアしました。新しいエリア【ドラゴンの里】が開放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、称号【ドラゴンを従える者】、アイテム【時の種】✕10が贈られます〉

——————
エリア【ドラゴンの里】
 第四の街ツーリ近くにある隠れ里
 ドラゴン種が多く暮らしている
 攻略推奨レベル45以上

称号【ドラゴンを従える者】
 初めてドラゴンをテイムした者に贈られる称号
 ドラゴン種に対する攻撃力が10%上がる
 テイムしたドラゴンの攻撃力と防御力が10%上がる

【時の種】レア度☆☆☆☆
 時空系魔力が満ちた植物の種
 農地で栽培可能
 育つと【時花ときはな】になる
——————

 ……なんかすごいことが起きた気がするぞ?

しおりを挟む
感想 2,532

あなたにおすすめの小説

番外編・もふもふで始めるのんびり寄り道生活

ゆるり
ファンタジー
『もふもふで始めるのんびり寄り道生活』の番外編です。 登場人物の説明などは本編をご覧くださいませ。 更新は不定期です。

もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜

きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。 遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。 作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓―― 今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!? ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。 癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。 子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。 マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。 その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。 当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。 そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。 マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。 焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。 やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。 HOTランキング1位になることができました! 皆さま、ありがとうございます。 他社の投稿サイトにも掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。