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8章 新たな地へ
316.ドラゴン、ばーん
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魔法陣からゆっくりと影が現れた。
これが竜? どんな子?
確かめようと目を凝らした瞬間に、魔法陣から一際強い光が溢れ、慌てて目を瞑る。
目がぁ、目がぁぁっ……! なんてふざけて遊んでから目を開くと、召喚されたモンスターの姿がはっきりと見えた。
竜だ。白く透明感のある鱗が光を反射して美しく輝く、小さな竜だった。
……え、魔法陣の大きさに対して小さくない? 僕よりは大きいけどさぁ。
とりあえず、オギンにお礼を言って、ぴょんと地面に跳びおりる。
『うわー、すっごくおいら好みの場所だー』
なんか子どもみたいな声が聞こえた。これ、竜の声? 最初から言葉がわかるって、さすが竜!
目が合ったので、「こんにちはー、はじめまして」とぺこりと頭を下げながら挨拶してみた。
竜も『どもども』と頭を下げてくれたよ。イグニスさんみたいな、威圧感のある感じじゃなくてよかったー!
『キミがおいらを喚んだんだよね?』
「そうだよー。あ、このお団子あげるね」
暴風の中、団子は飛ばされることなく地面に置かれたままだった。謎の固定力!
『ありがとう! っ、これ、時空の魔力がいっぱいだ。こんなすごい食べ物をくれるなんて、キミってなんていいモンスターなんだろう!』
竜が感激してくれた。そんなに喜んでもらえたら、用意した甲斐があったよ。
ハグハグと味わいながら食べてる竜に「鑑定していい?」と尋ねたら『いいよー』と頷いてくれた。
では、鑑定します。心の準備はできてます。
――――――
【白嵐竜】
嵐属性の竜種モンスター
竜の中でも超稀少な上位種
竜巻や嵐を引き起こし、人里に甚大な被害が生じることがある
高い攻撃力と防御力、素早さを誇り、体の大きさを変えられる
――――――
へ!? 嵐属性? 初めて見たー。
ちょっと怖い説明があるのは気にしないことにして……
攻撃力と防御力が高いのは当然だよね! 竜だもん。体の大きさを変えられるのはビックリだけど。だから、魔法陣より小さい姿で現れることができたのかな。
「白嵐竜くん、本来の大きさはどれくらい?」
『んー……この空間を突き破っちゃうくらいだね!』
「こわっ!?」
本来の姿で現れなくてよかったー! 配慮してくれたのかな? ありがとう!
僕が全力でお礼を告げたら、スラリンたちも一緒に『ありがとー』とペコッとし始める。イグニスさんと会った時とは違って、怯えてないね。仲良くなれそうで安心した。
『よくわかんないけど、おいらグッジョブ?』
「とってもぐっじょぶー。その調子で、僕とお友だちにならない?」
すかさず勧誘してみる。
白嵐竜は『その調子って何……?』と不思議そうだったけど、残り一個になった時空団子を見てから、キリッとした顔になった。
『おいらと仲良くなりたければ、時空団子を定期的に用意するって約束しろー』
ゆするような口調だけど、要求が時空団子だからなんか可愛いし、わざわざ怖い顔をしようとしたのも面白くて、全然迫力がなかった。
笑っちゃいそうになるのをこらえて「謹んで承りましたー」と答える。
すると、僕と白嵐竜を繋ぐように光の線が走った。
〈竜種との誓約が成立しました。誓約を破るとペナルティがあります〉
「ほわっつ? 後出しでそれはひどい……でも、時空団子あげればいいだけだから、まぁいっか!」
うん、と頷くと、再びアナウンスが聞こえてくる。今度はワールド全体に向けてのものだ。
〈〈あるプレイヤーが初めて竜種と誓約を交わし、ワールドミッション【竜と永遠の誓い】をクリアしました。職業【竜騎士】が解放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、スキル【竜操縦】、アイテム【竜鱗】が贈られます〉
——————
職業【竜騎士】
【剣士】または【テイマー】の上位職
竜種に騎乗しての移動・攻撃に補正効果がある
この職業に転職するためには、竜種を一体以上テイムする必要がある
スキル【竜操縦】レベル1
テイムした竜種に乗って移動する際に、竜種の素早さが10上がる
竜種との意思疎通がスムーズになる
【竜鱗】レア度☆☆☆☆☆
竜の白い鱗
非常に硬く、魔術を反射する性質がある
生産素材として使用できる
——————
おお、ワールドミッションクリアー。しかも、初耳の職業が解放されたねー。
……これ、ルトに「またお前だな?」って言われそう。僕の匿名性は失踪中です。
スキルとアイテムもらえて嬉しいから、今はルトのこと忘れとこー。
『約束したから、友だちになるよー』
白嵐竜がそう言うと、テイムスキルを使わなくても、パッとテイムの証である光が放たれた。このパターンはスラリンの時と一緒だね。
〈白嵐竜をテイムしました。モンスターカードが贈られます。白嵐竜に名前を付けますか?〉
おっとー、僕にとって一番の難関を忘れてたぞー。
名前、名前……んー、どうしよう。
白嵐竜が不思議そうに僕を見てる。本人(本魔物?)の意見も聞いた方がいいかも?
「僕は君をなんて呼んだらいい?」
『おいらにあだ名をつけたいの? うーん、おいら、仲間には【ストルム】って呼ばれてるよ』
竜には元々名前があるんだ!? じゃあ、それで呼んであげた方がいいよねー……決して、ネーミングセンスがないのを隠したいわけじゃないんだよ!
「じゃあ、ストルムって呼ぶね! 僕のことは、モモって呼んで」
『わかったよ。うさぎちゃん』
「モモだってば……」
〈白嵐竜の個体名を【ストルム】に設定しました。モンスター空間に空きがないため、自動的に元の場所を棲家に設定します〉
ふわっと光を放ってストルムが消えた。
僕、うさぎちゃんって呼ばれたままだよー。もっとちゃんと修正したかった!
〈〈あるプレイヤーがワールドミッション『竜種をテイム』をクリアしました。新しいエリア【竜の里】が開放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、称号【竜を従える者】、アイテム【時の種】✕10が贈られます〉
——————
エリア【竜の里】
第四の街ツーリ近くにある隠れ里
竜種が多く暮らしている
攻略推奨レベル45以上
称号【竜を従える者】
初めて竜をテイムした者に贈られる称号
竜種に対する攻撃力が10%上がる
テイムした竜の攻撃力と防御力が10%上がる
【時の種】レア度☆☆☆☆
時空系魔力が満ちた植物の種
農地で栽培可能
育つと【時花】になる
——————
……なんかすごいことが起きた気がするぞ?
これが竜? どんな子?
確かめようと目を凝らした瞬間に、魔法陣から一際強い光が溢れ、慌てて目を瞑る。
目がぁ、目がぁぁっ……! なんてふざけて遊んでから目を開くと、召喚されたモンスターの姿がはっきりと見えた。
竜だ。白く透明感のある鱗が光を反射して美しく輝く、小さな竜だった。
……え、魔法陣の大きさに対して小さくない? 僕よりは大きいけどさぁ。
とりあえず、オギンにお礼を言って、ぴょんと地面に跳びおりる。
『うわー、すっごくおいら好みの場所だー』
なんか子どもみたいな声が聞こえた。これ、竜の声? 最初から言葉がわかるって、さすが竜!
目が合ったので、「こんにちはー、はじめまして」とぺこりと頭を下げながら挨拶してみた。
竜も『どもども』と頭を下げてくれたよ。イグニスさんみたいな、威圧感のある感じじゃなくてよかったー!
『キミがおいらを喚んだんだよね?』
「そうだよー。あ、このお団子あげるね」
暴風の中、団子は飛ばされることなく地面に置かれたままだった。謎の固定力!
『ありがとう! っ、これ、時空の魔力がいっぱいだ。こんなすごい食べ物をくれるなんて、キミってなんていいモンスターなんだろう!』
竜が感激してくれた。そんなに喜んでもらえたら、用意した甲斐があったよ。
ハグハグと味わいながら食べてる竜に「鑑定していい?」と尋ねたら『いいよー』と頷いてくれた。
では、鑑定します。心の準備はできてます。
――――――
【白嵐竜】
嵐属性の竜種モンスター
竜の中でも超稀少な上位種
竜巻や嵐を引き起こし、人里に甚大な被害が生じることがある
高い攻撃力と防御力、素早さを誇り、体の大きさを変えられる
――――――
へ!? 嵐属性? 初めて見たー。
ちょっと怖い説明があるのは気にしないことにして……
攻撃力と防御力が高いのは当然だよね! 竜だもん。体の大きさを変えられるのはビックリだけど。だから、魔法陣より小さい姿で現れることができたのかな。
「白嵐竜くん、本来の大きさはどれくらい?」
『んー……この空間を突き破っちゃうくらいだね!』
「こわっ!?」
本来の姿で現れなくてよかったー! 配慮してくれたのかな? ありがとう!
僕が全力でお礼を告げたら、スラリンたちも一緒に『ありがとー』とペコッとし始める。イグニスさんと会った時とは違って、怯えてないね。仲良くなれそうで安心した。
『よくわかんないけど、おいらグッジョブ?』
「とってもぐっじょぶー。その調子で、僕とお友だちにならない?」
すかさず勧誘してみる。
白嵐竜は『その調子って何……?』と不思議そうだったけど、残り一個になった時空団子を見てから、キリッとした顔になった。
『おいらと仲良くなりたければ、時空団子を定期的に用意するって約束しろー』
ゆするような口調だけど、要求が時空団子だからなんか可愛いし、わざわざ怖い顔をしようとしたのも面白くて、全然迫力がなかった。
笑っちゃいそうになるのをこらえて「謹んで承りましたー」と答える。
すると、僕と白嵐竜を繋ぐように光の線が走った。
〈竜種との誓約が成立しました。誓約を破るとペナルティがあります〉
「ほわっつ? 後出しでそれはひどい……でも、時空団子あげればいいだけだから、まぁいっか!」
うん、と頷くと、再びアナウンスが聞こえてくる。今度はワールド全体に向けてのものだ。
〈〈あるプレイヤーが初めて竜種と誓約を交わし、ワールドミッション【竜と永遠の誓い】をクリアしました。職業【竜騎士】が解放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、スキル【竜操縦】、アイテム【竜鱗】が贈られます〉
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職業【竜騎士】
【剣士】または【テイマー】の上位職
竜種に騎乗しての移動・攻撃に補正効果がある
この職業に転職するためには、竜種を一体以上テイムする必要がある
スキル【竜操縦】レベル1
テイムした竜種に乗って移動する際に、竜種の素早さが10上がる
竜種との意思疎通がスムーズになる
【竜鱗】レア度☆☆☆☆☆
竜の白い鱗
非常に硬く、魔術を反射する性質がある
生産素材として使用できる
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おお、ワールドミッションクリアー。しかも、初耳の職業が解放されたねー。
……これ、ルトに「またお前だな?」って言われそう。僕の匿名性は失踪中です。
スキルとアイテムもらえて嬉しいから、今はルトのこと忘れとこー。
『約束したから、友だちになるよー』
白嵐竜がそう言うと、テイムスキルを使わなくても、パッとテイムの証である光が放たれた。このパターンはスラリンの時と一緒だね。
〈白嵐竜をテイムしました。モンスターカードが贈られます。白嵐竜に名前を付けますか?〉
おっとー、僕にとって一番の難関を忘れてたぞー。
名前、名前……んー、どうしよう。
白嵐竜が不思議そうに僕を見てる。本人(本魔物?)の意見も聞いた方がいいかも?
「僕は君をなんて呼んだらいい?」
『おいらにあだ名をつけたいの? うーん、おいら、仲間には【ストルム】って呼ばれてるよ』
竜には元々名前があるんだ!? じゃあ、それで呼んであげた方がいいよねー……決して、ネーミングセンスがないのを隠したいわけじゃないんだよ!
「じゃあ、ストルムって呼ぶね! 僕のことは、モモって呼んで」
『わかったよ。うさぎちゃん』
「モモだってば……」
〈白嵐竜の個体名を【ストルム】に設定しました。モンスター空間に空きがないため、自動的に元の場所を棲家に設定します〉
ふわっと光を放ってストルムが消えた。
僕、うさぎちゃんって呼ばれたままだよー。もっとちゃんと修正したかった!
〈〈あるプレイヤーがワールドミッション『竜種をテイム』をクリアしました。新しいエリア【竜の里】が開放されます〉〉
〈ワールドミッションクリア報酬として、称号【竜を従える者】、アイテム【時の種】✕10が贈られます〉
——————
エリア【竜の里】
第四の街ツーリ近くにある隠れ里
竜種が多く暮らしている
攻略推奨レベル45以上
称号【竜を従える者】
初めて竜をテイムした者に贈られる称号
竜種に対する攻撃力が10%上がる
テイムした竜の攻撃力と防御力が10%上がる
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