もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

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10章 海は広くて冒険いっぱい

404.神さまは大変だぁ

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 僕の話を聞き終えたダーロンさんは、思いがけず得られた収穫にホクホクとした顔だ。

「──なるほど。素晴らしいお話、ありがとうございました」

 ニコリと笑い、「モモさんは何か情報をお求めではありませんか?」と聞いてくれた。
 情報をあげた報酬代わりかな? 正直、その言葉を待ってました!

「リュウグウの秘宝について知ってることはある? 昔、神殿が協力して呪い解除に使った、っていう話は知ってるんだけど」

 ちょうどいい機会、と僕が尋ねてみると、ダーロンさんが少し目を見張る。
 マジマジと見つめられて、首を傾げた。そんなに驚くようなことを聞いたかな?

「……異世界の方プレイヤーがその話をご存知とは思いませんでした。もしやリュウグウに再び問題が起きているのですか?」

 めちゃくちゃ察しがいいね、ダーロンさん。
 内緒にするようなことじゃないし、と宮殿図書館でゲットした情報とあわせて事情を説明する。

「──って感じで、まだ呪いの影響が残ってるみたいだから、それを解除できたらいいなーって思ってるんだ。人口減少してるのは問題だろうし」
「なるほど。確かにそれは大問題です。私どもとしても、友好国の危機は見過ごせません」

 ダーロンさんが真剣な表情で考え込む。
 そして、しばらく固まっていたかと思うと、じっと待っていた僕を見下ろして微笑んだ。

「モモさんは、秘宝の使い方がわかれば、それを使って呪いの影響を消し去ってくださるつもりなのですか?」
「そうだね。できたらいいなーって思ってるよ」

 シークレットミッションにもなってるしね、とは言わなかった。異世界の住人NPCに言っても伝わらないだろうし。

「なるほど。では、お教えしないわけにはいきませんね──どうぞ、中へ参りましょう」

 ダーロンさんがニコリと口元に笑みを浮かべ、手で神殿を示した。
 わーい。いい感じでミッション攻略が進んでる気がする! ルトたちにたくさん報告できそうだ。

 ……あれ? 「この爆弾魔めっ!」ってルトにジトッと見つめられる予感がしたよ。
 いいことをしてるはずなのに、なんでだろうね?

 首を傾げながら神殿に入ると、聖職者さんらしき人がゆったりと中を歩いてた。
 ダーロンさんを見るとみんな頭を下げる。やっぱりダーロンさんって偉い人なんだね。

 でも、僕を見て、ニコッと笑ってから手を組んで祈るポーズをするのは意味がわからないよ!
 僕はもふもふ教の神(?)だけど、神殿に所属してる聖職者さんに拝まれる理由はないでしょ!?

「……モモさん、まさか、もふもふ教で我が国を侵食するのみならず、神殿までもその勢力下に置かれるおつもりで……?」

 ダーロンさんが『なんて恐ろしい子……!』と言いたげな慄いた表情で呟く。
 演技上手だね! ……演技ってことで、いいんだよね? 本気じゃないよね?

「そんなつもりはないよっ!」
「いやいや、そう言って実は……」
「実は、もありませんっ!」

 全力で否定したけど、ダーロンさんは信じてくれないし、すれ違う聖職者さんたちは僕を拝む仕草をやめない。
 いったいどういうことなの!?

〈〈宗教クラン【もふもふ教】の異世界の住人NPC信徒数が五千を超えました。クラン称号【恐るべき信仰心】が贈られます〉〉

――――――
システム【クラン称号】
 クランに与えられる称号
 与えられる条件は秘匿されている
 称号の効果はクランに所属する者全員に影響を与える

称号【恐るべき信仰心】
 多くの異世界の住人NPCを信徒として抱える宗教クランに与えられる称号
 クランに所属するプレイヤー全員の体力を毎分1%回復させる
 信徒以外からも神への敬意が高まる
――――――

 ……わっつ?
 まさかの、ワールドアナウンスがやってきましたー……なにが起きたんだってばよ?

 とりあえず、クラン称号という新たなシステムが解放されたことはわかった。
 ステータスの所属クランをチェックしてみると、『もふもふ教』の説明の中に『クラン称号:【恐るべき信仰心】(NEW)』という表示があったよ。

「ここの聖職者さんが僕を拝むのは、この称号の影響……?」

 それにしては、称号のアナウンスがある前から拝まれてた気がするんだけど。
 まさか、聖職者さんたちがもふもふ教にも加入してるなんて、ない、よね……?
 神殿の教義では、信奉する神は一柱じゃなくていい──つまり、いくつの神様を信仰してもいいみたいだけどさ。

 お祈りポーズをしてる聖職者さんたちをチラッと見てから目を逸らし、そそくさと歩を進めた。
 ダーロンさん、さっさと行こうか! 僕は恐ろしい事実に気づきたくないです!

「こういうのを、もふもふ教では『さすモモ!』と呼ぶんですよね?」
「無駄に情報収集能力を発揮しないでくださーい!」

 感心した様子で聖職者さんたちを眺めるダーロンさんの膝を、パシパシと叩いて抗議する。

 失礼とか、そんなの気にする余裕ないんだよ。
 ダーロンさんまでもふもふ教のノリに巻き込まれないでほしいな!

「ふふっ、神さま業も、なかなか大変なようですね」
「……そうだよー」

 微笑ましげに言われて、ジト目で見つめながら返事をする。
 大変なのがわかってるなら、からかわないでよ。

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