433 / 555
10章 海は広くて冒険いっぱい
404.神さまは大変だぁ
しおりを挟む
僕の話を聞き終えたダーロンさんは、思いがけず得られた収穫にホクホクとした顔だ。
「──なるほど。素晴らしいお話、ありがとうございました」
ニコリと笑い、「モモさんは何か情報をお求めではありませんか?」と聞いてくれた。
情報をあげた報酬代わりかな? 正直、その言葉を待ってました!
「リュウグウの秘宝について知ってることはある? 昔、神殿が協力して呪い解除に使った、っていう話は知ってるんだけど」
ちょうどいい機会、と僕が尋ねてみると、ダーロンさんが少し目を見張る。
マジマジと見つめられて、首を傾げた。そんなに驚くようなことを聞いたかな?
「……異世界の方がその話をご存知とは思いませんでした。もしやリュウグウに再び問題が起きているのですか?」
めちゃくちゃ察しがいいね、ダーロンさん。
内緒にするようなことじゃないし、と宮殿図書館でゲットした情報とあわせて事情を説明する。
「──って感じで、まだ呪いの影響が残ってるみたいだから、それを解除できたらいいなーって思ってるんだ。人口減少してるのは問題だろうし」
「なるほど。確かにそれは大問題です。私どもとしても、友好国の危機は見過ごせません」
ダーロンさんが真剣な表情で考え込む。
そして、しばらく固まっていたかと思うと、じっと待っていた僕を見下ろして微笑んだ。
「モモさんは、秘宝の使い方がわかれば、それを使って呪いの影響を消し去ってくださるつもりなのですか?」
「そうだね。できたらいいなーって思ってるよ」
シークレットミッションにもなってるしね、とは言わなかった。異世界の住人に言っても伝わらないだろうし。
「なるほど。では、お教えしないわけにはいきませんね──どうぞ、中へ参りましょう」
ダーロンさんがニコリと口元に笑みを浮かべ、手で神殿を示した。
わーい。いい感じでミッション攻略が進んでる気がする! ルトたちにたくさん報告できそうだ。
……あれ? 「この爆弾魔めっ!」ってルトにジトッと見つめられる予感がしたよ。
いいことをしてるはずなのに、なんでだろうね?
首を傾げながら神殿に入ると、聖職者さんらしき人がゆったりと中を歩いてた。
ダーロンさんを見るとみんな頭を下げる。やっぱりダーロンさんって偉い人なんだね。
でも、僕を見て、ニコッと笑ってから手を組んで祈るポーズをするのは意味がわからないよ!
僕はもふもふ教の神(?)だけど、神殿に所属してる聖職者さんに拝まれる理由はないでしょ!?
「……モモさん、まさか、もふもふ教で我が国を侵食するのみならず、神殿までもその勢力下に置かれるおつもりで……?」
ダーロンさんが『なんて恐ろしい子……!』と言いたげな慄いた表情で呟く。
演技上手だね! ……演技ってことで、いいんだよね? 本気じゃないよね?
「そんなつもりはないよっ!」
「いやいや、そう言って実は……」
「実は、もありませんっ!」
全力で否定したけど、ダーロンさんは信じてくれないし、すれ違う聖職者さんたちは僕を拝む仕草をやめない。
いったいどういうことなの!?
〈〈宗教クラン【もふもふ教】の異世界の住人信徒数が五千を超えました。クラン称号【恐るべき信仰心】が贈られます〉〉
――――――
システム【クラン称号】
クランに与えられる称号
与えられる条件は秘匿されている
称号の効果はクランに所属する者全員に影響を与える
称号【恐るべき信仰心】
多くの異世界の住人を信徒として抱える宗教クランに与えられる称号
クランに所属するプレイヤー全員の体力を毎分1%回復させる
信徒以外からも神への敬意が高まる
――――――
……わっつ?
まさかの、ワールドアナウンスがやってきましたー……なにが起きたんだってばよ?
とりあえず、クラン称号という新たなシステムが解放されたことはわかった。
ステータスの所属クランをチェックしてみると、『もふもふ教』の説明の中に『クラン称号:【恐るべき信仰心】(NEW)』という表示があったよ。
「ここの聖職者さんが僕を拝むのは、この称号の影響……?」
それにしては、称号のアナウンスがある前から拝まれてた気がするんだけど。
まさか、聖職者さんたちがもふもふ教にも加入してるなんて、ない、よね……?
神殿の教義では、信奉する神は一柱じゃなくていい──つまり、いくつの神様を信仰してもいいみたいだけどさ。
お祈りポーズをしてる聖職者さんたちをチラッと見てから目を逸らし、そそくさと歩を進めた。
ダーロンさん、さっさと行こうか! 僕は恐ろしい事実に気づきたくないです!
「こういうのを、もふもふ教では『さすモモ!』と呼ぶんですよね?」
「無駄に情報収集能力を発揮しないでくださーい!」
感心した様子で聖職者さんたちを眺めるダーロンさんの膝を、パシパシと叩いて抗議する。
失礼とか、そんなの気にする余裕ないんだよ。
ダーロンさんまでもふもふ教のノリに巻き込まれないでほしいな!
「ふふっ、神さま業も、なかなか大変なようですね」
「……そうだよー」
微笑ましげに言われて、ジト目で見つめながら返事をする。
大変なのがわかってるなら、からかわないでよ。
「──なるほど。素晴らしいお話、ありがとうございました」
ニコリと笑い、「モモさんは何か情報をお求めではありませんか?」と聞いてくれた。
情報をあげた報酬代わりかな? 正直、その言葉を待ってました!
「リュウグウの秘宝について知ってることはある? 昔、神殿が協力して呪い解除に使った、っていう話は知ってるんだけど」
ちょうどいい機会、と僕が尋ねてみると、ダーロンさんが少し目を見張る。
マジマジと見つめられて、首を傾げた。そんなに驚くようなことを聞いたかな?
「……異世界の方がその話をご存知とは思いませんでした。もしやリュウグウに再び問題が起きているのですか?」
めちゃくちゃ察しがいいね、ダーロンさん。
内緒にするようなことじゃないし、と宮殿図書館でゲットした情報とあわせて事情を説明する。
「──って感じで、まだ呪いの影響が残ってるみたいだから、それを解除できたらいいなーって思ってるんだ。人口減少してるのは問題だろうし」
「なるほど。確かにそれは大問題です。私どもとしても、友好国の危機は見過ごせません」
ダーロンさんが真剣な表情で考え込む。
そして、しばらく固まっていたかと思うと、じっと待っていた僕を見下ろして微笑んだ。
「モモさんは、秘宝の使い方がわかれば、それを使って呪いの影響を消し去ってくださるつもりなのですか?」
「そうだね。できたらいいなーって思ってるよ」
シークレットミッションにもなってるしね、とは言わなかった。異世界の住人に言っても伝わらないだろうし。
「なるほど。では、お教えしないわけにはいきませんね──どうぞ、中へ参りましょう」
ダーロンさんがニコリと口元に笑みを浮かべ、手で神殿を示した。
わーい。いい感じでミッション攻略が進んでる気がする! ルトたちにたくさん報告できそうだ。
……あれ? 「この爆弾魔めっ!」ってルトにジトッと見つめられる予感がしたよ。
いいことをしてるはずなのに、なんでだろうね?
首を傾げながら神殿に入ると、聖職者さんらしき人がゆったりと中を歩いてた。
ダーロンさんを見るとみんな頭を下げる。やっぱりダーロンさんって偉い人なんだね。
でも、僕を見て、ニコッと笑ってから手を組んで祈るポーズをするのは意味がわからないよ!
僕はもふもふ教の神(?)だけど、神殿に所属してる聖職者さんに拝まれる理由はないでしょ!?
「……モモさん、まさか、もふもふ教で我が国を侵食するのみならず、神殿までもその勢力下に置かれるおつもりで……?」
ダーロンさんが『なんて恐ろしい子……!』と言いたげな慄いた表情で呟く。
演技上手だね! ……演技ってことで、いいんだよね? 本気じゃないよね?
「そんなつもりはないよっ!」
「いやいや、そう言って実は……」
「実は、もありませんっ!」
全力で否定したけど、ダーロンさんは信じてくれないし、すれ違う聖職者さんたちは僕を拝む仕草をやめない。
いったいどういうことなの!?
〈〈宗教クラン【もふもふ教】の異世界の住人信徒数が五千を超えました。クラン称号【恐るべき信仰心】が贈られます〉〉
――――――
システム【クラン称号】
クランに与えられる称号
与えられる条件は秘匿されている
称号の効果はクランに所属する者全員に影響を与える
称号【恐るべき信仰心】
多くの異世界の住人を信徒として抱える宗教クランに与えられる称号
クランに所属するプレイヤー全員の体力を毎分1%回復させる
信徒以外からも神への敬意が高まる
――――――
……わっつ?
まさかの、ワールドアナウンスがやってきましたー……なにが起きたんだってばよ?
とりあえず、クラン称号という新たなシステムが解放されたことはわかった。
ステータスの所属クランをチェックしてみると、『もふもふ教』の説明の中に『クラン称号:【恐るべき信仰心】(NEW)』という表示があったよ。
「ここの聖職者さんが僕を拝むのは、この称号の影響……?」
それにしては、称号のアナウンスがある前から拝まれてた気がするんだけど。
まさか、聖職者さんたちがもふもふ教にも加入してるなんて、ない、よね……?
神殿の教義では、信奉する神は一柱じゃなくていい──つまり、いくつの神様を信仰してもいいみたいだけどさ。
お祈りポーズをしてる聖職者さんたちをチラッと見てから目を逸らし、そそくさと歩を進めた。
ダーロンさん、さっさと行こうか! 僕は恐ろしい事実に気づきたくないです!
「こういうのを、もふもふ教では『さすモモ!』と呼ぶんですよね?」
「無駄に情報収集能力を発揮しないでくださーい!」
感心した様子で聖職者さんたちを眺めるダーロンさんの膝を、パシパシと叩いて抗議する。
失礼とか、そんなの気にする余裕ないんだよ。
ダーロンさんまでもふもふ教のノリに巻き込まれないでほしいな!
「ふふっ、神さま業も、なかなか大変なようですね」
「……そうだよー」
微笑ましげに言われて、ジト目で見つめながら返事をする。
大変なのがわかってるなら、からかわないでよ。
1,215
あなたにおすすめの小説
もふもふと味わうVRグルメ冒険記 〜遅れて始めたけど、料理だけは最前線でした〜
きっこ
ファンタジー
五感完全再現のフルダイブVRMMO《リアルコード・アース》。
遅れてゲームを始めた童顔ちびっ子キャラの主人公・蓮は、戦うことより“料理”を選んだ。
作るたびに懐いてくるもふもふ、微笑むNPC、ほっこりする食卓――
今日も炊事場でクッキーを焼けば、なぜか神様にまで目をつけられて!?
ただ料理しているだけなのに、気づけば伝説級。
癒しと美味しさが詰まった、もふもふ×グルメなスローゲームライフ、ここに開幕!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界で焼肉屋を始めたら、美食家エルフと凄腕冒険者が常連になりました ~定休日にはレア食材を求めてダンジョンへ~
金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
辺境の町バラムに暮らす青年マルク。
子どもの頃から繰り返し見る夢の影響で、自分が日本(地球)から転生したことを知る。
マルクは日本にいた時、カフェを経営していたが、同業者からの嫌がらせ、客からの理不尽なクレーム、従業員の裏切りで店は閉店に追い込まれた。
その後、悲嘆に暮れた彼は酒浸りになり、階段を踏み外して命を落とした。
当時の記憶が復活した結果、マルクは今度こそ店を経営して成功することを誓う。
そんな彼が思いついたのが焼肉屋だった。
マルクは冒険者をして資金を集めて、念願の店をオープンする。
焼肉をする文化がないため、その斬新さから店は繁盛していった。
やがて、物珍しさに惹かれた美食家エルフや凄腕冒険者が店を訪れる。
HOTランキング1位になることができました!
皆さま、ありがとうございます。
他社の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。