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4-1.のんびりスローライフ?
150.一歩近づく
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ドロンの疑わしげな視線を察し、操人形が苦笑している。とりあえず『俺は勇者さんがおっしゃる通り魔物ですよー』と答えていた。
なおも、ドロンは首を傾げてるけど。
[アレックスが言ってんなら、魔物なんだろうけど……仕草が人間にしか見えねぇよ]
[あら、魔力をしっかりと探れば、人とは違うことはわかるわよ?]
[そんなの獣人には無理に決まってんだろ]
ドロンとリーエンがそんなやり取りをしながら、操人形の後に続いて部屋に入る。
……一人部屋に四人はだいぶ狭いな?
操人形は『うわっ、勇者たちが近い……襲われたら死にますわ……』と諦念に満ちた声で呟いていて、ドロンは再び[ほんとにこいつ魔物か……?]と疑念に満ちた声をもらした。
宿の部屋は、シングルサイズのベッドとミニテーブルがあるだけのようだ。
勇者が泊まっている部屋にしては、随分と質素である。
窓際で外を観察していたアレックスが、警戒すべきものはないと判断したのか、操人形を振り返った。
「それで、ダンジョンからの手紙って? わざわざこうして接触してきたからには、重要な用があるんだよね?」
油断のない眼差しのアレックスに、操人形が頷きながらアイテムバッグから手紙を取り出す。
『ですー。まぁ、俺は使者に過ぎないので。詳しくは手紙を読んでください』
[ありがとう。確かに受け取ったよ。ここで読んだほうがいいんだね?]
『そうですね。できればお返事がほしいので』
[……わかった]
片眉を上げて不思議そうにしたアレックスが、操人形に聞くより早かろうと、手紙を開く。
そして、すぐに目を大きく見開いた。
[──……は? 待って、ここに書かれてる名前って……]
「俺の名前だよ」
『俺たちのマスター……ダンジョンマスターの元の世界での名前らしいですよー』
操人形がアレックスに答えた途端、見開かれていた目が強く瞑られた。手紙を握りしめる手が震えている。
この反応は、やっぱりそういうことだよな? ……お前なんだな、歩夢。
ほぼ確信していたとはいえ、反応を自分の目で見ることができて、実感が湧いた。
こうして再び会えたことを喜んでいいのか複雑だけど、不幸中の幸いと思おうか。
[……そうか、まさか、あいつまでこっちに来ているとは予想もしてなかったけど……そっか……ここにいるのか……]
引き結んでいた唇から力が抜け、喜ぶべきか悲しむべきかわからず曖昧に歪んだ声がこぼれ落ちた。
[あー……もしかして、知り合いか?]
リーエンに肘で脇腹をつつかれたドロンが、気まずそうに頭をかきながら尋ねる。ドロンの目はリーエンを睨み『お前が聞けよ!』と言っていたが、リーエンは気づかないフリをしていた。
[そうだね。俺が歩夢……元の世界でただの高校生だった時の親友だよ]
アレックス──歩夢の答えに、ドロンたちが目を見開く。
[え、それって、まさか……]
[ダンジョンマスターも、勇者と同じく、召喚された存在だということなの……?]
ドロンの言葉の後を継いで、リーエンが信じられないと言いたげに呟く。
勇者が召喚された存在だということは広く知られていたようだけど、ダンジョンマスターについての情報はほとんどなかったみたいだから、驚くのも無理はない。
[召喚かどうかはわからないけど……]
歩夢が操人形に視線を向ける。
操人形は肩をすくめた。
『マスターは神(?)ってヤツに連れてこられて、ダンジョンマスターになったらしいですよー。あ、元の世界では死んでるそうです』
[死んでっ……]
言葉を失う歩夢を見て、俺は額を手で押さえた。
あー、操人形さん? 俺の元の世界でのことがどうでもいいのはなんとなくわかるけど、もうちょっと気を遣って情報をあげてくれないかな?
[……元の世界で死んだら、こっちに来んのか? つーか、神って、まさか神殿で奉じてる……?]
ドロンが苦々しい表情で呟く。
『さあ? あいにく、同じ神かどうかは俺にはわかりませんけど。まぁ、どっちの神も嫌なヤツだよな! っていうのは、俺もマスターも共通の認識ですねー』
操人形のあっけらかんとした答えに、ドロンがブハッと吹き出す。顔がこらえきれない笑みで歪んでいた。
苦しそうに[た、確かに、嫌なヤツだよな、っ……神のことを簡単にそう言えるヤツには初めて会ったけど、ハハッ]と言うドロンを、リーエンが複雑な表情で叩く。
[……そうか……流星は、今どんな感じかな?]
『毎日もふもふに囲まれて幸せそうですね!』
沈痛な表情で尋ねた歩夢に、操人形が明るく答えた。
こら。歩夢がきょとんってなってるだろ。シリアスな雰囲気が消し飛んじまって……いや、それはいいことか。
こっちに俺を強制的に連れてきた神には怒りがあるけど、現状については幸せだと思ってるのは間違いないしな。もふもふの楽園は最高!
[もふもふ……?]
[まさか、もふもふ教って……]
ドロンが顔を引き攣らせ、リーエンは深淵を覗いたように虚無の表情になってる。
ごめんなさいねー! 俺のもふもふ愛が溢れた結果、もふもふ教なんて意味のわからない宗教を誕生させちゃって! きっかけは宗教学者なんで、そっちに文句を言って!
[……あははははっ、さすが流星! 一度死んでも、そこは全然変わらないんだね!]
歩夢が弾けたように笑い始めた。目尻に涙まで浮かべてる。
きっと俺のことを思い出して、複雑な感情を抱いたんだろうけど、それを笑みで隠せるのは歩夢らしいな。
なにはともあれ、歩夢と話すための計画の第一歩を、問題なく踏み出せてよかった!
なおも、ドロンは首を傾げてるけど。
[アレックスが言ってんなら、魔物なんだろうけど……仕草が人間にしか見えねぇよ]
[あら、魔力をしっかりと探れば、人とは違うことはわかるわよ?]
[そんなの獣人には無理に決まってんだろ]
ドロンとリーエンがそんなやり取りをしながら、操人形の後に続いて部屋に入る。
……一人部屋に四人はだいぶ狭いな?
操人形は『うわっ、勇者たちが近い……襲われたら死にますわ……』と諦念に満ちた声で呟いていて、ドロンは再び[ほんとにこいつ魔物か……?]と疑念に満ちた声をもらした。
宿の部屋は、シングルサイズのベッドとミニテーブルがあるだけのようだ。
勇者が泊まっている部屋にしては、随分と質素である。
窓際で外を観察していたアレックスが、警戒すべきものはないと判断したのか、操人形を振り返った。
「それで、ダンジョンからの手紙って? わざわざこうして接触してきたからには、重要な用があるんだよね?」
油断のない眼差しのアレックスに、操人形が頷きながらアイテムバッグから手紙を取り出す。
『ですー。まぁ、俺は使者に過ぎないので。詳しくは手紙を読んでください』
[ありがとう。確かに受け取ったよ。ここで読んだほうがいいんだね?]
『そうですね。できればお返事がほしいので』
[……わかった]
片眉を上げて不思議そうにしたアレックスが、操人形に聞くより早かろうと、手紙を開く。
そして、すぐに目を大きく見開いた。
[──……は? 待って、ここに書かれてる名前って……]
「俺の名前だよ」
『俺たちのマスター……ダンジョンマスターの元の世界での名前らしいですよー』
操人形がアレックスに答えた途端、見開かれていた目が強く瞑られた。手紙を握りしめる手が震えている。
この反応は、やっぱりそういうことだよな? ……お前なんだな、歩夢。
ほぼ確信していたとはいえ、反応を自分の目で見ることができて、実感が湧いた。
こうして再び会えたことを喜んでいいのか複雑だけど、不幸中の幸いと思おうか。
[……そうか、まさか、あいつまでこっちに来ているとは予想もしてなかったけど……そっか……ここにいるのか……]
引き結んでいた唇から力が抜け、喜ぶべきか悲しむべきかわからず曖昧に歪んだ声がこぼれ落ちた。
[あー……もしかして、知り合いか?]
リーエンに肘で脇腹をつつかれたドロンが、気まずそうに頭をかきながら尋ねる。ドロンの目はリーエンを睨み『お前が聞けよ!』と言っていたが、リーエンは気づかないフリをしていた。
[そうだね。俺が歩夢……元の世界でただの高校生だった時の親友だよ]
アレックス──歩夢の答えに、ドロンたちが目を見開く。
[え、それって、まさか……]
[ダンジョンマスターも、勇者と同じく、召喚された存在だということなの……?]
ドロンの言葉の後を継いで、リーエンが信じられないと言いたげに呟く。
勇者が召喚された存在だということは広く知られていたようだけど、ダンジョンマスターについての情報はほとんどなかったみたいだから、驚くのも無理はない。
[召喚かどうかはわからないけど……]
歩夢が操人形に視線を向ける。
操人形は肩をすくめた。
『マスターは神(?)ってヤツに連れてこられて、ダンジョンマスターになったらしいですよー。あ、元の世界では死んでるそうです』
[死んでっ……]
言葉を失う歩夢を見て、俺は額を手で押さえた。
あー、操人形さん? 俺の元の世界でのことがどうでもいいのはなんとなくわかるけど、もうちょっと気を遣って情報をあげてくれないかな?
[……元の世界で死んだら、こっちに来んのか? つーか、神って、まさか神殿で奉じてる……?]
ドロンが苦々しい表情で呟く。
『さあ? あいにく、同じ神かどうかは俺にはわかりませんけど。まぁ、どっちの神も嫌なヤツだよな! っていうのは、俺もマスターも共通の認識ですねー』
操人形のあっけらかんとした答えに、ドロンがブハッと吹き出す。顔がこらえきれない笑みで歪んでいた。
苦しそうに[た、確かに、嫌なヤツだよな、っ……神のことを簡単にそう言えるヤツには初めて会ったけど、ハハッ]と言うドロンを、リーエンが複雑な表情で叩く。
[……そうか……流星は、今どんな感じかな?]
『毎日もふもふに囲まれて幸せそうですね!』
沈痛な表情で尋ねた歩夢に、操人形が明るく答えた。
こら。歩夢がきょとんってなってるだろ。シリアスな雰囲気が消し飛んじまって……いや、それはいいことか。
こっちに俺を強制的に連れてきた神には怒りがあるけど、現状については幸せだと思ってるのは間違いないしな。もふもふの楽園は最高!
[もふもふ……?]
[まさか、もふもふ教って……]
ドロンが顔を引き攣らせ、リーエンは深淵を覗いたように虚無の表情になってる。
ごめんなさいねー! 俺のもふもふ愛が溢れた結果、もふもふ教なんて意味のわからない宗教を誕生させちゃって! きっかけは宗教学者なんで、そっちに文句を言って!
[……あははははっ、さすが流星! 一度死んでも、そこは全然変わらないんだね!]
歩夢が弾けたように笑い始めた。目尻に涙まで浮かべてる。
きっと俺のことを思い出して、複雑な感情を抱いたんだろうけど、それを笑みで隠せるのは歩夢らしいな。
なにはともあれ、歩夢と話すための計画の第一歩を、問題なく踏み出せてよかった!
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