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7 広がっているようです
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翌日、私とエリックは一緒に学園に向かう。行きはアングラード公爵家の馬車で、帰りはバダンテール伯爵家の馬車で帰る。
いつもの事だ。
だが、その日は馬車から降りるとたくさんの生徒たちに囲まれてしまった。
その誰もが平民と下級貴族の令嬢、令息たちだ。なんだか様子がおかしい。
エリックが私を庇うように、彼らの前に立つ。
「エリックさま、どうしてそんな女を守ろうとするんですかァ?」
甘ったるい声音を合図に、さっと波が引くように生徒たちの間からマリアベルが現れた。
小さくて可愛らしい少女。明るい茶髪は光に透かすと金色に輝く。
そんな少女の言葉に、周囲にいる生徒たちが私を睨みつける。さすがに人数がいるから気圧されてしまう。
すぐ後ろを見ると、明らかにおかしな雰囲気に御者がどうしてよいか分からず、立ち去れなかったらしい。助かった。
「エミリア、大丈夫?」
「ええ。馬車に戻りましょう」
エリックが庇ってくれ、私たちは馬車に向かった。
物語の悪女なら、エリックはマリアベルの味方をして、私が糾弾される状態なんでしょうけれど。
そもそも今日のこの集まりは一体何からはじまったの?
「『猛き炎よ、悪しき者を浄化せよ』!」
「『荒ぶる水よ、魔女を射抜け!』」
背中に投げられたその言葉に、反射的に振り向くと、水の槍と炎の塊が襲い掛かってきていた。
「エリック、下がっていて」
私の言葉にエリックは、すっと私の後ろに下がった。
魔力を込めて腕を振り上げると、そこに魔力障壁が現れる。今回の場合は詠唱をせず、多重に展開した。
炎も水も障壁と共にくだけて消える。
「詠唱しないで、あれほどの魔力障壁だなんて……」
「魔女だ」
「悪魔が乗り移ってるんだわ!」
雑魚でも学園に入学できた生徒たち、実力差を思い知ったのだろう。魔法で攻撃すれば私が防ぎ、剣で斬りかかればエリックが黙っていない。
それに、私は攻撃魔法が使えないわけじゃない。
「エリックさま! どうして、どうして私の事を見てくれないんですか!」
マリアベルが不思議そうな顔をして近づいてくる。その度に取り巻きになっている生徒たちの波も近づいてきた。
取り巻きたちはエリックとマリアベルの反応を伺っている。
「急ぎましょう。気にする必要ないわ」
もう魔法は撃ってこないだろう。私とエリックは彼らに背を向けて馬車に乗り込む――エリックが馬車に乗り込む寸前に「もう許さない」と冷たく呟いたのが聞こえた。
御者台のところにある小さな窓を開けて御者に急いで、指示を出した。
「バダンテール伯爵家に向かって!」
この馬車には耐魔法性能がついているから、私たちは安全だが御者はそうではない。御者も分かっているのか、馬車の運転は少し荒かった。
走り出した馬車にほっとして椅子に座り込むと、エリックがノックをして馬車を止めさせた。
「行先はアングラード公爵家だ。急ぎの用事がある」
「はい」
御者が指示を受け取り、また馬車が動き出す。
そうして動き出した馬車はゆっくりと、気づくと眠ってしまいそうな気持ちになる。
いつもの事だ。
だが、その日は馬車から降りるとたくさんの生徒たちに囲まれてしまった。
その誰もが平民と下級貴族の令嬢、令息たちだ。なんだか様子がおかしい。
エリックが私を庇うように、彼らの前に立つ。
「エリックさま、どうしてそんな女を守ろうとするんですかァ?」
甘ったるい声音を合図に、さっと波が引くように生徒たちの間からマリアベルが現れた。
小さくて可愛らしい少女。明るい茶髪は光に透かすと金色に輝く。
そんな少女の言葉に、周囲にいる生徒たちが私を睨みつける。さすがに人数がいるから気圧されてしまう。
すぐ後ろを見ると、明らかにおかしな雰囲気に御者がどうしてよいか分からず、立ち去れなかったらしい。助かった。
「エミリア、大丈夫?」
「ええ。馬車に戻りましょう」
エリックが庇ってくれ、私たちは馬車に向かった。
物語の悪女なら、エリックはマリアベルの味方をして、私が糾弾される状態なんでしょうけれど。
そもそも今日のこの集まりは一体何からはじまったの?
「『猛き炎よ、悪しき者を浄化せよ』!」
「『荒ぶる水よ、魔女を射抜け!』」
背中に投げられたその言葉に、反射的に振り向くと、水の槍と炎の塊が襲い掛かってきていた。
「エリック、下がっていて」
私の言葉にエリックは、すっと私の後ろに下がった。
魔力を込めて腕を振り上げると、そこに魔力障壁が現れる。今回の場合は詠唱をせず、多重に展開した。
炎も水も障壁と共にくだけて消える。
「詠唱しないで、あれほどの魔力障壁だなんて……」
「魔女だ」
「悪魔が乗り移ってるんだわ!」
雑魚でも学園に入学できた生徒たち、実力差を思い知ったのだろう。魔法で攻撃すれば私が防ぎ、剣で斬りかかればエリックが黙っていない。
それに、私は攻撃魔法が使えないわけじゃない。
「エリックさま! どうして、どうして私の事を見てくれないんですか!」
マリアベルが不思議そうな顔をして近づいてくる。その度に取り巻きになっている生徒たちの波も近づいてきた。
取り巻きたちはエリックとマリアベルの反応を伺っている。
「急ぎましょう。気にする必要ないわ」
もう魔法は撃ってこないだろう。私とエリックは彼らに背を向けて馬車に乗り込む――エリックが馬車に乗り込む寸前に「もう許さない」と冷たく呟いたのが聞こえた。
御者台のところにある小さな窓を開けて御者に急いで、指示を出した。
「バダンテール伯爵家に向かって!」
この馬車には耐魔法性能がついているから、私たちは安全だが御者はそうではない。御者も分かっているのか、馬車の運転は少し荒かった。
走り出した馬車にほっとして椅子に座り込むと、エリックがノックをして馬車を止めさせた。
「行先はアングラード公爵家だ。急ぎの用事がある」
「はい」
御者が指示を受け取り、また馬車が動き出す。
そうして動き出した馬車はゆっくりと、気づくと眠ってしまいそうな気持ちになる。
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