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9 対策会議なようです
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アングラ―ド公爵家につくと、何故か私の父と母までが出迎えてくれた。屋敷から馬車を見た使用人が急いで公爵さまに知らせたらしい。
私とエリックの両親と騎士たちが出迎えてくれた。
すぐにアーサー殿下のいらっしゃる貴賓室へ招かれた。
マリアベル率いる生徒たちが、魔法を使って襲い掛かってきたという話をするためだ。
アーサー殿下は、私たちに気づくとひらひらと手を振って微笑んだ。
「学園の出入り口で魔法だなんて、他の生徒にも被害があったかもしれないのによくやるなぁ」
ほのぼのとアーサー殿下はお茶を飲み干した。
椅子を運び込んで、父と母、私とエリック、公爵家夫婦、アーサー殿下、公爵家の使用人やアーサー殿下の専属侍従が貴賓室を埋めていた。
部屋の密度がとんでもないわね……。皇族に、公爵家は皇族とかなり近しい立ち位置だし、なんだか緊張してしまうわね。
「耐魔法性能がついていたとしても、傷はつくからな……馬車の修理費も男爵家に請求しよう!」
話を聞いたお父様の言葉に、公爵様もうんうんと頷いている。
私たちが学園に行っている間に対策を話し合って、すぐに反逆者の処罰をするという話になっていたらしい。
それが、結論が出るどころか、アーサー殿下が公爵家に到着してしばらくして私たちが帰ってきてしまい、議論はまた初めからやり直しになってしまったという。
「まあ、弟のすることですから……事業をはじめると言った時点で何かあるとは思っていたが……」
ため息を吐きながらアーサー殿下は、冷たく言い放つ。
この人ならば、身内のしたことだとうやむやにすることはないだろう。
というか噂レベルでもバカ皇子と言われてる弟は、表に出てないだけでも色々とやらかしているようね……。
「高い魔力を持っている者には効果が薄いから、平民や魔力の少ない下級貴族連中がマリアベルに異様な好意を持ち、バダンテール嬢に憎しみを持ったようだ」
「なぜエミリアにばかり……あの娘が接触している貴族令息は何もエリックだけではないでしょう?」
公爵夫人は不思議そうに疑問を口にした。
「それは……。私も一つ思い当たることがある。なあ伯爵もそう思わないか」
急にアーサー殿下に問われたお父様が、少し戸惑いながら答えた。
「あるにはあるのですが……あれ、でございましょうか?」
「あれだろうな」
あれ、とは私何かしてしまいましたか?
たまに、商店などにお忍びで行くことはあるのですが、まさかその時にお忍びの皇子を殴ってしまったとか……?
でも私が殴るのは犯罪者が主ですから、さすがに……いや第五皇子の噂が本当ならありえるかも……。
思い当たることがないようであるせいで目を泳がせる私の手を、エリックが握ってくれた。
「エミリアはあの話を聞いてないのか?」
「何の話ですか?」
「いや、第五皇子殿下との縁談の話……」
? そんな話今まで生きてきた中で一度もありませんけど?
「エリックには小さい頃に私から話しておいたの。断られた嫌がらせでもしてくるかと思って」
公爵夫人の言葉にアーサー殿下が「あいつならやりかねない」と頷く。
どれだけ信用がないんですかバカ皇子。
「縁談が来た時にはすでに二人は婚約してたし、仲も良かったし。それに婚約してる令嬢に縁談持ってくるっていうところが意味が分からなかったもの」
「断っても、何度も釣り書きが送られてきたんでしょう?」
「未だに来るのよ……? さすがに怖いわ」
母と公爵夫人が微笑みながらバカ皇子の所業を話し、周囲は引いている。
「初耳だ……。あいつはそんなことをして婚約もしてないのか……」
婚約話が出てくるたびに本人が顔合わせをぶち壊しているという話は聞いていたけれど、そんなことしてたのね……。
お母さま、私そんな釣り書き知らないんですけれど。
「だからこのクソ本で最後に皇子と結婚してたのか!」
公爵さまが机に本を叩きつけた。
「彼らはこの本に沿って行動しているつもりなのでしょうね」
私が言うと、エリックやアーサー殿下が息を飲んだ。
本当にそんなバカなことがあるのか? そういう顔だ。
「これが彼らのシナリオということか」
殿下が呆れたように笑い、そしてくっと笑いをかみ殺した。
「それなら一番近く、そして大きなパーティーは、私の誕生日に行われるものだな」
「殿下それなら私にも考えがあります。ご許可願えますでしょうか?」
公爵さまが恐ろしい顔をして、殿下に提案したものは私の予想を超えるものだった。
そしてしばらくの間、エリックは囮として学園に通い本の通りに演技をすることに。学園の帰りには伯爵家に寄り私に集めた情報を教えてくれることになった。
具体的には、私に関する噂などだ。
お父様や公爵様も情報を集め、アーサー殿下に伝える。
そして一番大事なのが、婚約破棄をするだろうと思っている第五皇子に、新しくそして断れない縁談をサプライズすることだ。
「父上には私から話しておく。バダンテール嬢には悪いが事が落ち着くまで安全のために邸宅で療養していることにしておいてくれ」
「はい、おまかせいたします」
話し合いが終わるころにはすっかり日が暮れてしまっていた。
帰りに見送りにきたエリックは、明日からマリアベルに甘い言葉をささやかなければならないと知ってか、生気がなかった。
かわいそうに……でも作戦はあなたの演技にかかっているのよ!
私とエリックの両親と騎士たちが出迎えてくれた。
すぐにアーサー殿下のいらっしゃる貴賓室へ招かれた。
マリアベル率いる生徒たちが、魔法を使って襲い掛かってきたという話をするためだ。
アーサー殿下は、私たちに気づくとひらひらと手を振って微笑んだ。
「学園の出入り口で魔法だなんて、他の生徒にも被害があったかもしれないのによくやるなぁ」
ほのぼのとアーサー殿下はお茶を飲み干した。
椅子を運び込んで、父と母、私とエリック、公爵家夫婦、アーサー殿下、公爵家の使用人やアーサー殿下の専属侍従が貴賓室を埋めていた。
部屋の密度がとんでもないわね……。皇族に、公爵家は皇族とかなり近しい立ち位置だし、なんだか緊張してしまうわね。
「耐魔法性能がついていたとしても、傷はつくからな……馬車の修理費も男爵家に請求しよう!」
話を聞いたお父様の言葉に、公爵様もうんうんと頷いている。
私たちが学園に行っている間に対策を話し合って、すぐに反逆者の処罰をするという話になっていたらしい。
それが、結論が出るどころか、アーサー殿下が公爵家に到着してしばらくして私たちが帰ってきてしまい、議論はまた初めからやり直しになってしまったという。
「まあ、弟のすることですから……事業をはじめると言った時点で何かあるとは思っていたが……」
ため息を吐きながらアーサー殿下は、冷たく言い放つ。
この人ならば、身内のしたことだとうやむやにすることはないだろう。
というか噂レベルでもバカ皇子と言われてる弟は、表に出てないだけでも色々とやらかしているようね……。
「高い魔力を持っている者には効果が薄いから、平民や魔力の少ない下級貴族連中がマリアベルに異様な好意を持ち、バダンテール嬢に憎しみを持ったようだ」
「なぜエミリアにばかり……あの娘が接触している貴族令息は何もエリックだけではないでしょう?」
公爵夫人は不思議そうに疑問を口にした。
「それは……。私も一つ思い当たることがある。なあ伯爵もそう思わないか」
急にアーサー殿下に問われたお父様が、少し戸惑いながら答えた。
「あるにはあるのですが……あれ、でございましょうか?」
「あれだろうな」
あれ、とは私何かしてしまいましたか?
たまに、商店などにお忍びで行くことはあるのですが、まさかその時にお忍びの皇子を殴ってしまったとか……?
でも私が殴るのは犯罪者が主ですから、さすがに……いや第五皇子の噂が本当ならありえるかも……。
思い当たることがないようであるせいで目を泳がせる私の手を、エリックが握ってくれた。
「エミリアはあの話を聞いてないのか?」
「何の話ですか?」
「いや、第五皇子殿下との縁談の話……」
? そんな話今まで生きてきた中で一度もありませんけど?
「エリックには小さい頃に私から話しておいたの。断られた嫌がらせでもしてくるかと思って」
公爵夫人の言葉にアーサー殿下が「あいつならやりかねない」と頷く。
どれだけ信用がないんですかバカ皇子。
「縁談が来た時にはすでに二人は婚約してたし、仲も良かったし。それに婚約してる令嬢に縁談持ってくるっていうところが意味が分からなかったもの」
「断っても、何度も釣り書きが送られてきたんでしょう?」
「未だに来るのよ……? さすがに怖いわ」
母と公爵夫人が微笑みながらバカ皇子の所業を話し、周囲は引いている。
「初耳だ……。あいつはそんなことをして婚約もしてないのか……」
婚約話が出てくるたびに本人が顔合わせをぶち壊しているという話は聞いていたけれど、そんなことしてたのね……。
お母さま、私そんな釣り書き知らないんですけれど。
「だからこのクソ本で最後に皇子と結婚してたのか!」
公爵さまが机に本を叩きつけた。
「彼らはこの本に沿って行動しているつもりなのでしょうね」
私が言うと、エリックやアーサー殿下が息を飲んだ。
本当にそんなバカなことがあるのか? そういう顔だ。
「これが彼らのシナリオということか」
殿下が呆れたように笑い、そしてくっと笑いをかみ殺した。
「それなら一番近く、そして大きなパーティーは、私の誕生日に行われるものだな」
「殿下それなら私にも考えがあります。ご許可願えますでしょうか?」
公爵さまが恐ろしい顔をして、殿下に提案したものは私の予想を超えるものだった。
そしてしばらくの間、エリックは囮として学園に通い本の通りに演技をすることに。学園の帰りには伯爵家に寄り私に集めた情報を教えてくれることになった。
具体的には、私に関する噂などだ。
お父様や公爵様も情報を集め、アーサー殿下に伝える。
そして一番大事なのが、婚約破棄をするだろうと思っている第五皇子に、新しくそして断れない縁談をサプライズすることだ。
「父上には私から話しておく。バダンテール嬢には悪いが事が落ち着くまで安全のために邸宅で療養していることにしておいてくれ」
「はい、おまかせいたします」
話し合いが終わるころにはすっかり日が暮れてしまっていた。
帰りに見送りにきたエリックは、明日からマリアベルに甘い言葉をささやかなければならないと知ってか、生気がなかった。
かわいそうに……でも作戦はあなたの演技にかかっているのよ!
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