ひよこクスマ

第14話 試練の洞窟

戦闘は、クスマが全く心の準備ができていない中、兵隊アリの甲高い咆哮と共に始まった。

土と殺意の入り混じった生臭い風が顔に吹き付け、クスマの脳内は真っ白になり、青い惑星の伝承から得た、無数の「忍者」としての対応策が瞬時に閃いた。

（忍法その一、弱点を突け！だが、奴の弱点はどこだ？首か？関節か？全部あの黒鉄の外殻で覆われてるじゃないか！）
（忍法その二、煙玉！だが煙玉なんて持ってない！もやしで煙なんか作れるか！）
（忍法その三、隠れ身の術！だがもう見つかってる！しかもガン見されてる！）

全ての非現実的な忍術を脳内で一通り検討し、その全てを却下した後、クスマの脳裏に、ついに忍者最終、そして最重要の奥義が浮かび上がった。

（忍法最終奥義……三十六計逃げるに如かず！）

彼は一切の躊躇なく、まともな防御の構えさえ取る間もなく、強烈な生存本能に突き動かされ、猛然と身を翻し、一目散に逃げ出した。今の彼の姿は、入学試験の受験生というよりは、森で鷹に狙われた、怯える兎のようであり、複雑な洞窟の中で、人生初となる、最も無様な大逃走劇を開始した。

─ (•ө•) ─

その兵隊アリは背後から執拗に追いかけてくる。その六本の脚が石の地面を「カカカ」と叩く音は、まるで死神の催促の鐘のように、クスマの脆い神経を打ち付けた。

しかし、クスマの逃走はただ一直線にがむしゃらに走るだけではなかった。極度の恐怖の下、彼のあの青い惑星の奇妙な知識で満たされた頭は、かえって前例のない効率で回転し始めた。

「ちくしょう！追ってくるな！」

クスマは走りながら、自分のなけなしの魔力を絞り出し、手の中にかろうじて数本のもやしを具現化させると、考えもなしに後方へ投げつけた。彼は、この狙いも定めない乱れ撃ちが、以前真剣に狙った時よりも正確であることに、我ながら驚いていた……。もっとも、これらの「もやし針」は兵隊アリに痒みを感じさせることさえできなかったが、それでも突如として顔面に向かってくる感覚は、兵隊アリの歩みを一瞬だけ鈍らせた。

彼は前方に一人しか通れない狭い岩の裂け目を見つけると、躊躇なく身を滑り込ませた。体が大きい兵隊アリは外で立ち往生し、怒りに任せてその顎で岩壁を打ち付けることしかできず、クスマに貴重な数秒間の休息時間を与えた。

彼が裂け目の反対側から這い出て、兵隊アリも回り込んできたのを見ると、クスマはまた機転を利かせ、持っていたけの、昼食にするつもりの食料を、力いっぱい別の分かれ道へと投げつけた。

その兵隊アリの複眼に一瞬の戸惑いがよぎり、「獲物の追跡」と「食料の拾得」という二つの選択肢の間で、わずかに逡巡したようだった。最終的には追跡を続けることを選んだが、そのわずかな躊躇が、再びクスマとの距離を引き離した。

彼は持てる限りの小賢しさを、「生き延びる」というこの偉大な事業に余すところなく注ぎ込み、驚嘆すべき逃走の才能を見せつけた。

─ (•ө•) ─

クスマがありとあらゆる策を弄し、ついにその兵隊アリを遥か後方に振り切った時、彼はやや開けた洞窟へとたどり着いた。

彼は膝に手を付き、ぜえぜえと息を切らしながら、かろうじて一命を取り留めたことを喜ぶ間もなく、遠くの光景に度肝を抜かれた。

見るからに、彼の不運さとさして変わらない様子の受験生二人が、さらに巨大な一体の「兵隊アリ」を取り囲んでいた——もしクスマが先ほど遭遇したのが「新兵」だとすれば、目の前のこいつは、間違いなく「小隊長級」だ。

しかし、その場面は戦闘というよりは、一方的な 蚊に刺された程度の攻撃だった。

頭にサボテンを生やした一人の受験生が、三回試みた『射撃』で、成功したのはわずか一回。その一本の針はとんでもない方向に曲がり、奇妙な角度で遠くの岩壁に突き刺さり、まるで何かの神秘的な占い儀式を行っているかのようだった。

もう一人の、頭に巨大な広葉植物を生やした受験生は、自分の葉に『揮撃』を使おうとし、その巨大な葉を扇か扇子や鉄の棍棒のようにして、兵隊アリに一撃を食らわせようとしていた。しかし、葉自体が柔らかすぎるため、彼が力いっぱい振ると、葉はただ「ぺちん」という音を立て、兵隊アリの分厚い前脚に力なく張り付き、まるで優しく埃を払ってやっているかのようだった。

その巨大兵隊アリは、これらの痛くも痒くもない攻撃に極度の不快感を感じたようで、ただ無造作にその太い前脚を一振りしただけで、まるで蝿を叩くかのように、その二人の受験生を軽々と吹き飛ばし、壁に激突させ、一筋の白い光となって転送させてしまった。

一掃が終わると、巨大兵隊アリは自分の前脚についたかすかな擦り傷をじっと見つめ、それに不満を感じたようだった。その前脚を、隣の滑らかな鍾乳石の壁に押し当て、ゴシゴシと往復させながら、かすかな傷跡を研磨するように磨き消そうとした。

その時、その巨大兵隊アリは何かに気づいたかのように、突如として頭を回し、一対の複眼が、岩陰に隠れていたクスマを正確にロックオンした。それはクスマの頭の上の目立つもやしを一瞥し、巨大な顎を一度開閉させ、まるで無言の嘲笑を送ったかのようだった。

次の瞬間、そのトラックのような巨大な体が猛然と動き出し、クスマに向かって直進してきた。

ようやく前回の逃走から一息ついたばかりのクスマは、目の前の、気迫が十倍増しのこの巨大な怪物を見て、悲鳴さえ忘れ、脳裏にはただ一つの考えだけが残っていた。

（俺、まだチュートリアルも終わってないのに、いきなりボス戦かよ……）

こうして、ようやく逃走から解放されたクスマの、次の逃走の旅が、またしても強制的に始まった……。