ひよこクスマ

第15話 混乱の中の再会

二度にわたる「肝を冷やす」逃走劇の末、クスマはようやく、あの執拗すぎる「小隊長級」兵隊アリを振り切ることに成功した。彼は下り坂の、滑りやすい通路をしばらく走り続け、ようやく視界が開けた。

彼は、より広々とした、まるで地下市場のような巨大な洞窟へとたどり着いた。

洞窟の中央には、底なしの地底湖があり、湖水は天井の発光苔に照らされて、静謐な藍色を呈している。空気中には微かに涼しい水気が漂っていた。ここに無事たどり着いた数百人の受験生が、三人、五人と集まり、湖の周りに散らばっている。受験生たちはお互いに警戒し、暗黙の了解で一定の距離を保ち、誰も口を開かず、ただひそひそと囁く声だけが空気中を漂い、奇妙で束の間の平和を形成していた。

クスマは長いため息をついた。彼はまず目立たない隅を探し、人混みに紛れ込み、高鳴る心臓を落ち着かせながら、ふゆこ、クレイ、そしてみぞれの姿を探すことにした。

─ (•ө•) ─

しかし、その奇妙な平和は、わずか十分も持たなかった。

その静寂は、足元から伝わる、ほとんど感知できないほどの微かな振動と共に、崩れ始めた。
初めは、誰も気にしていなかった。

二度目、三度目と、より強い揺れが相次いで訪れ、洞窟の天井の鍾乳石が、パラパラと細かい石灰の粉塵と破片を落とし始めた。

クスマから遠くない一人の受験生が、不安そうに顔を上げ、彼の仲間に小声で言った。

「……おい、感じたか？」

「うん……まさか……地震か？」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、未だかつてない激しい揺れが、まるで地底の巨獣の咆哮のように、地鳴りと共に爆発した！洞窟全体が激しく揺れ動き、天井の巨大な鍾乳石が雨のように絶え間なく落下し、地面と湖面を打ち、巨大な水しぶきを上げた。

パニックが、疫病のように瞬く間に人々の間に広まった。

「どうしたんだ？！」

ひよこの女の子の悲鳴が混乱を切り裂いた。

「もっと上位の魔物か？」

もうひよこの男の子の声は恐怖で震えていた。

「分からない！構うな！逃げろ！」

元々慎重に維持されていた陣形と警戒は、生存本能の前には無力だった。受験生たちは、まるで巣を突かれた蜂の群れのように、盲目的に、無秩序に逃げ惑い…… 少しでも安全に見える隅を探し求めた。クスマは混乱した人波に押されてふらつき、何度も転びそうになり、彼は必死に体勢を立て直そうとしたが、視界には、同じく恐怖に満ちた、無数の見知らぬ顔しか映らなかった。

─ (•ө•) ─

クスマが背後の制御を失った人波に踏み潰されそうになった、まさにその時、隣から一本の手が伸びてきた。華奢でありながら、異常なほど固い意志で彼の腕を掴み、力いっぱい巨大な岩の後ろへと引きずり込んだ。
ふゆこだった！
彼女の顔は恐怖に満ち、灰色の羽毛も少し乱れていたが、クスマを見つめるその瞳は、異常なほど一途で、輝いていた。

「師匠！ご無事ですか！」

彼女の声は切迫して、気づかれにくいほどの泣き声が混じっていた。

クスマが答える前に、二人の頭上の岩盤が不吉な「バキッ」という亀裂音を立てた。二人を押し潰すには十分な大きさの巨大な鍾乳石が、無数の破片を伴い、天井から剥がれ落ち、まっすぐに彼らのいる場所へと落下してきた！

巨大な影が、瞬く間に二人を覆い尽くす。この到底避けられない攻撃を前に、二人の瞳には同時に絶望の色が浮かんだ。

その時、眩い銀色の光を纏った一本の矢が、闇を切り裂く流星のように飛来し、空中で正確に落下してくる鍾乳石に命中した。

「ドゴォォン！」という轟音が響き、二人をペッタンコに潰すには十分な大きさの鍾乳石 、空中で粉々に爆砕され、無数の細かい破片となって、無害な石の雨のように、二人のそばにサラサラと降り注いだ。

クスマとふゆこが矢の飛んできた音の方向へ目を向けると、そこにはクレイが少し離れた場所に立っていた……。彼は手にした普通の木製の長弓をゆっくりと下ろし、弓弦はまだ微かに震えている。明らかに、先ほどの驚天動地の一矢は、彼が自身の共生植物「銀剣草」を矢として放った結果だった。そして、みぞれが彼の隣に立ち、心配そうな顔でこちらを見ていた。

クレイは無様に地面に座り込んでいる二人を見て、不機嫌そうに「ちっ」と舌打ちし、文句を言った。

「まったく、本当に手間をかけさせる」