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2-A ジュエリスの頭上に飛んで背中から斬る
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獣と化したジュエリスは再び地を蹴った。
――突進。
リュミエールはその動きを読み切り、頭上を飛び越える準備をする。
だが、その瞬間。
ジュエリスは角を地面に突き立て、瓦礫を巻き込みながら突進してきた。
「っ……!」
思わぬ動きに一瞬驚きつつも、突進であることに変わりはない。リュミエールはギリギリのタイミングで宙へ跳んだ。
しかし――。
地面に差していた角を離したジュエリスが、勢いよく頭を突き上げる。
「ぐわっ――!」
角が直撃し、リュミエールの体は真上に吹き飛ばされた。
追撃の咆哮。
ジュエリスは右手を大きく振りかぶり、宙を舞うリュミエールを叩きつける。
壁が揺れ、鈍い衝撃が全身を走る。
なんとか受け身は取ったが、もう立ち上がる力は残されていなかった。
「……っ」
全身に痛みが走り、剣を支えることすらできない。
ジュエリスの雄叫びが響き渡る。
――ここで叩き潰されて終わるのか。
そんな絶望が脳裏を過ぎったとき。
「お姉さん、なかなか面白かったし」
目の前に、犬耳を揺らしたレヴェが現れた。
ゆったりと拍手を打ちながら。
「正直、あそこまで善戦してくれるとは思ってなかったし。……けど、お姉さん負けちゃったし。うち、まだまだ見たいんですけどー」
リュミエールは呼吸を整えることすらできず、表情に力を宿せない。
レヴェの声だけが一方的に降り注ぐ。
「だからね――お姉さんに力をあげるし」
「……なにを、言って……?」
言葉の意味が分からなかった。
しかしその響きに、リュミエールは違和感を覚える。
――同じだ。
先ほど、倒れたジュエリスにかけていた言葉と。
まさか――。
「カプッ」
次の瞬間、リュミエールの腕に牙が突き立てられた。
「……っあ、あぁぁ……!」
体の奥に何かが流れ込む感覚。
全身に謎の力が充満し、暴力的に変質を始める。
筋肉が盛り上がり、腕の形が変わっていく。
嫌、嫌だ――心で叫んでも声は濁音に変わり、爪は鋭く伸び、白い剛毛が全身を覆い尽くす。
足は獣のものへ、背には黒く巨大な翼が広がり、体格はジュエリスと同じほどに肥大化した。
「ぐおおおおおお――!」
もはやリュミエールの声ではない。獣の咆哮が響く。
結晶の中のリュミナが必死に何かを叫んでいる。
だが、その声はもう届かない。
理性を失ったリュミエールは、獣の本能のままジュエリスに飛びかかった。
「やれー! やっちゃえー!」
レヴェのはしゃいだ声が木霊する。
やがて、勝負は決した。
倒れ伏すジュエリス。
勝ち残ったのは、獣と化したリュミエールだった。
レヴェは満足げに笑う。
「ふふっ……じゃあ次は、まちをせいあつしにいくし」
その言葉と共に、リュミエールを従えて城を後にする。
BAD END
――突進。
リュミエールはその動きを読み切り、頭上を飛び越える準備をする。
だが、その瞬間。
ジュエリスは角を地面に突き立て、瓦礫を巻き込みながら突進してきた。
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しかし――。
地面に差していた角を離したジュエリスが、勢いよく頭を突き上げる。
「ぐわっ――!」
角が直撃し、リュミエールの体は真上に吹き飛ばされた。
追撃の咆哮。
ジュエリスは右手を大きく振りかぶり、宙を舞うリュミエールを叩きつける。
壁が揺れ、鈍い衝撃が全身を走る。
なんとか受け身は取ったが、もう立ち上がる力は残されていなかった。
「……っ」
全身に痛みが走り、剣を支えることすらできない。
ジュエリスの雄叫びが響き渡る。
――ここで叩き潰されて終わるのか。
そんな絶望が脳裏を過ぎったとき。
「お姉さん、なかなか面白かったし」
目の前に、犬耳を揺らしたレヴェが現れた。
ゆったりと拍手を打ちながら。
「正直、あそこまで善戦してくれるとは思ってなかったし。……けど、お姉さん負けちゃったし。うち、まだまだ見たいんですけどー」
リュミエールは呼吸を整えることすらできず、表情に力を宿せない。
レヴェの声だけが一方的に降り注ぐ。
「だからね――お姉さんに力をあげるし」
「……なにを、言って……?」
言葉の意味が分からなかった。
しかしその響きに、リュミエールは違和感を覚える。
――同じだ。
先ほど、倒れたジュエリスにかけていた言葉と。
まさか――。
「カプッ」
次の瞬間、リュミエールの腕に牙が突き立てられた。
「……っあ、あぁぁ……!」
体の奥に何かが流れ込む感覚。
全身に謎の力が充満し、暴力的に変質を始める。
筋肉が盛り上がり、腕の形が変わっていく。
嫌、嫌だ――心で叫んでも声は濁音に変わり、爪は鋭く伸び、白い剛毛が全身を覆い尽くす。
足は獣のものへ、背には黒く巨大な翼が広がり、体格はジュエリスと同じほどに肥大化した。
「ぐおおおおおお――!」
もはやリュミエールの声ではない。獣の咆哮が響く。
結晶の中のリュミナが必死に何かを叫んでいる。
だが、その声はもう届かない。
理性を失ったリュミエールは、獣の本能のままジュエリスに飛びかかった。
「やれー! やっちゃえー!」
レヴェのはしゃいだ声が木霊する。
やがて、勝負は決した。
倒れ伏すジュエリス。
勝ち残ったのは、獣と化したリュミエールだった。
レヴェは満足げに笑う。
「ふふっ……じゃあ次は、まちをせいあつしにいくし」
その言葉と共に、リュミエールを従えて城を後にする。
BAD END
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