神と穢れの紙一重

白湯の氷漬け

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発見

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 夕方は数人で手順を確認した。
 満月が沈むころの明け方に儀式を行う。最初に湖で体を清める。自分の依り代として穢れを吸ってくれていた椿を、そのまま祠に供える。正装の着付けや演奏など、主だって行う私の他に必ず複数人の助けを借りる。

 祠のすぐ後ろは氷の張った湖であるから、足元には十分気をつけろと念を押された。

「深い湖だ。事故の無いようというのは勿論、夜になると月がここに映る、まさに水月だが、それは神気が濃くなっていることを意味する。下手に近づき魅せられてはならない」

 豪雪というのに水面の氷は薄く、黒々とした底無しが広がっていた。
 先ほどの祠に手を伸ばしていたときを思い出し、吸い寄せられては戻れない、と額に汗がにじんだ。

 確認をすべて終えたころ、日は山に半分隠れていた。
 鳥居まで来て歩を止める。振り返った叔父に、祠に忘れ物をしてきてしまったと伝えると、早く帰って来いよと念を押されつつ懐中電灯を渡された。さくさくと雪を踏みしめて引き返す。
 初めて師匠に嘘をついた。忘れ物などしていない、ただこの悶々とした気持ちを晴らしたい一心だった。

 夜の静けさに包まれ、祠はいっそう陰に沈んで見える。懐中電灯で照らすと、石畳の光沢が反射する。昼の熱心な準備を思い出し、儀式をやり遂げるべきだという使命感が沸々と湧き上がってくる。
 帰ろう、そう思いなおし、暗い足元を照らした。

 そこには紅椿の花びらが落ちていた。
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