パーティー中に婚約破棄された私ですが、実は国王陛下の娘だったようです〜理不尽に婚約破棄した伯爵令息に陛下の雷が落ちました〜

雪島 由

文字の大きさ
1 / 13

一話

しおりを挟む

 
 「セラ、貴様との婚約は破棄させてもらう!」

 私の婚約者である伯爵令息、ヴィル・レイフォードは貴族が大勢集まるパーティー会場でそう宣言した。

 ヴィルの隣には頬を赤く染めた女が腕に抱きついている。
 
 私は決してヴィルのことが好きだったわけじゃない。
 親も親戚もいない私は伯爵令息のメイドとして働いていた。ずっとその生活を続けると思っていたけど、14歳の時に婚約者になってくれと言われた。
 好きじゃなかったけど、将来を安定させるために婚約を受け入れた。

 「婚約破棄ですか……ヴィル様から婚約を申し込んでおいてそれはあんまりではないですか?
 それに、何故この場で?」

 仮に婚約破棄をするにしても何故このパーティー会場で言う必要があるのか。
 こんなのはただの笑いものじゃない。

 「確かに俺から婚約を申し込んだが、あれは気の迷いだ。
 そもそも親もいない平民ごときが伯爵家の長男であるこの俺と結婚できると思っていたのか?」

 嘲笑うような言い方で言ってくる。
 それを聞いて周りの貴族もケラケラと笑い始めた。
 普通は貴族が平民と結婚するなんてそうそうあるものじゃない。伯爵令息ともなればほぼ間違いなく同じ貴族と結婚するはずだ。そもそも平民である私がヴィルと結婚できると思っていた方が間違いなんだ。

 私がもし伯爵令嬢でこんな理不尽な婚約破棄をされたなら周りの貴族が味方をしてくれていたかもしれないが、私は平民だ。この会場に私の味方は一人としていない。

 「俺は伯爵令嬢であるリリアナ・フォールドと婚約する。
 平民のお前なんかとは比べ物にならないほど美人だろう?  家もない家族もいない金もない。ないない尽くしのお前とは大違いだ」

 「ヴィルに美人だなんて言ってもらえて嬉しいわ」

 「くっ……」

 誰も好き好んでそんな環境に生まれてきたわけじゃない。
 私だって、家族がいて、ある程度のお金があって、帰る場所があるような人生を送りたかった。
 何もかもを持っている環境で生まれた奴に何で一から頑張ってきた私が貶されないといけないの?

 「生まれた環境が違うだけでそんなに偉いんですか?」

 「当然だ。
 平民で生まれた人間など生まれた時から負け犬だ。平民の中でも家族も金もない奴など生きる価値すらないがな。
 きっとお前を生んだ母親も貴様のように汚い顔をしていたのだろうなぁ」

 最後の一言で周りの貴族が笑い出す。

 腹が立った。
 見たことも会ったこともないけど、無性に腹がたった。

 「私のお母さんを馬鹿にーー」

 「おい、貴様。平民は生まれながらにして負け犬? 家族や金を持ってない人間は生きる価値がない? 随分と我が娘を貶してくれているじゃないか。えぇ? 何とかいってみろ」

 私の声を遮るようにして陛下の低い声がヴィルの背後から発された。
 その声色は隠しきれないほどの怒りを含んでいた。

 
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!

藤野ひま
ファンタジー
 わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。  初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!  夫や、かの女性は王城でお元気かしら?   わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!  〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...