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封印されし魔王の鎧編
反攻せよバスター
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「で、なんで馬使わないんです?」
何故か馬ではなく担いで封印の像まで運ばれる俺。これも作戦らしい。
「お前馬乗ったことないだろ! 乗り降りで時間掛かるんだよ!」
リーダーはそこまで考えていた。監査隊の一人は装備を脱ぎ捨てて身軽になり、ダッシュで封印の像へ向かう。
「お前は像に着いたら魔力が空っけつになるまで注げ! 回復薬を用意してある! 終わったら別の像にお前を運ばせる!」
「分かった」
調査の為に像へ隊を分けて派遣していたのが功を奏した。監査隊が俺をリレーで運び、俺は回復薬をがぶ飲みして魔力を封印に使う。なんで他の奴がやらないのか疑問はあるが、多分一番長く封印に接していた俺の魔力じゃないと出来ないことなんだろう。
妖精王も転移ではなく魔王の鎧を足止めすることに集中する必要がある。ここは人間の力でどうにかするしかない。
「着いた!」
「よし!」
封印の像がある場所まで到着。まずは一つ。少し空けただけなのに懐かしさが込み上げるが、郷愁に浸る暇はない。いつもより気合を入れて封印を施す。
「しゃおらああ!」
封印側にもサポートがあるのだろう。魔力がぐんぐん吸われる感覚がある。疲れが一気に襲ってくるが、回復薬を受け取ると他の隊員に担がれて次の封印へ向かう。苦くてぬるくて美味しいものではないが、そうこう言っている場合ではない。
隊員は事前に装備を脱いで準備しており、バトンを即座に繋ぐ。
こうして懐かしの地を担がれて駆けずり回り、封印を施していく。
「まずいな……あいつ一歩も動いてないはずなのに」
フィルセと妖精王を信じるならあの場から魔王の鎧を釘付けにしているだろうが、それでも森の木々が枯れ始めている。土地の汚染が進んでいるのか。封印されるのも納得だ。
「ここで最後だ!」
なんだかんだ最後の封印の像へ辿り着き、封印を行う。回復薬も貰い、魔力の枯渇は防いだ。
「どうなったか様子を見に行こう」
「気を付けろよ」
「俺も行くぞ」
さすがにこれ以上監査隊の人を酷使するわけにはいかないので俺は自分の足でギルドに戻ることにした。一人ついてきてくれただけでもありがたい。道中も植物が枯れて不穏な空気が漂う。なんだか嫌な感じだ。
「っと、ミノタウルスか!」
走っていると、ミノタウルスとばったり出くわす。監査隊の人は武器を構えるが、言葉が交わせる相手に消耗する理由もない。俺は会話を試みる。前も見逃してくれたよしみだ。同じ個体かはともかく同族で話が通ってるといいが。
「魔物!」
「待って! 今ちょっと見ての通りヤバいんだ、見逃してくれ!」
しかし、ミノタウルスの目は焦点が定まらず、口から涎を垂らしていた。
「な、なんだ……?」
「ウガアアアアアアッ!」
明らかに正気を失っている。向こうから予想外の攻撃をされて不意を突かれてしまった。
「な、ナシバ!」
俺は咄嗟に、ミノタウルスには効果の薄い金縛りを使ってしまう。だが、どういうわけか動きを封じることが出来た。
「なんだ? 成功した?」
スキルが成長したのか? いや、こいつの様子がおかしいことと関係があるのか?
「倒れろ!」
監査隊の人がミノタウルスを倒し、先に進む。
「さっきの金縛りを頼む! いちいち倒してたらキリがない!」
「でも効く奴限られてますぜ?」
「とにかく試してみてくれ!」
俺は監査隊の人に言われた通り、ナシバで敵の動きを止めて魔物をやり過ごしながらギルドに向かう。なんだか前より効きがよくなったような……。俺のレベルが上がったから……なわけないよな……。
「着いた! おーい! 封印終わったぞ!」
俺はギルドに辿り着き、封印の完了を知らせる。だが、状況は散々たるものだった。親父は無様に転がり、フィルセやリーダーも倒れて戦闘不能。妖精王も浅くない傷を負って膝を付いているほどだ。
「ごめん……リュウガ……お父さんを……」
フィルセは親父が死んだことに責任を感じていたが、こんなん背負ってくれなくていい。
「気にするな! 遅かれ早かれだこんなもんだ!」
「でも……」
「それより封印は出来たのですね、では……」
妖精王は封印が出来たという知らせを受け、何かを唱える。そして手を翳した。すると、地面から出てきた光の縄が魔王の鎧を拘束した。そのまま鎧を地中へ引きずり込もうとするが、鎧も暴れて抵抗する。
「ぐ、あぁっ!」
魔法の負荷が跳ね返っているのか、妖精王の腕が避けて血が吹き出る。このままでは妖精王でも負けてしまう……何か策は……。
「おい、あの金縛り効かねぇか?」
「え?」
そんなことを急に監査隊の人が言い出す。だが魔王の鎧なんかに効くのか?
「審問官は神職系の一つ! 多分あいつの影響で暴走しただろう魔物に金縛りが効きやすくなったのはその影響だと思う!」
「そう言われるとそんな気がしてきた」
さすが監査隊をやっているだけある。僅かな手がかりも見逃さない。ものは試し、何もしないよりマシだ。
「ナシバ!」
金縛りを掛けると、魔王の鎧は動きが鈍くなる。完全には効いていないが効果がなくはないというラインか。ならやりようがある。
「リュウガ・アークライド! 魔力の守りが喪失しているはずです! ゴーレム文字を消す好機です!」
妖精王は俺がゴーレムを文字削りで倒したことを聞いたらしい。幸い、金ヤスリは持って来ている。何がどううまくいくか分からないが、やってみる価値はある。
「よし、このまま文字を削り取ってやる!」
俺は魔王の鎧に近づき、文字を削り始める。数々のバスターを文字通り蹴散らした相手に迫るのは恐怖もあったが、ここで逃げても解決にならない。やってやる。
「うおおおおお!」
必死にゴリゴリ音を立てて文字を削る。金属か何かの鎧に魔力で刻まれているだけあり、その強度は岩のゴーレムなんかより強い。こっちもヤスリに魔力を込めて対抗する。
「やらせるか!」
「押し切るぞ!」
フィルセとリーダーもボロボロになりながら立ち上がり、背後から攻撃してサポートしてくれる。正直攻撃で魔王の鎧が揺れると文字からヤスリがズレてしまうが、勇気は貰えるし向こうの抵抗も弱まるから助かる。
「消えろ!」
念を込めて削り続けるも、予想外のアクシデントが起きる。なんと、ヤスリが折れてしまったのだ。力を込め過ぎたか?
「しまった!」
「リュウガ!」
その時、フィルセが何かを投げ渡してくる。それは、あの時彼女に貸した予備のヤスリだ。
「ナイス!」
俺は引き続き、鎧の文字を削った。
「ゴーレムを動かす魔法文字、それは世界の真理を表します。しかしその内の一文字が失われれば、それは破滅を意味する言葉に代わり、ゴーレムは滅びる……この魔王の鎧が見た目通り、この文字が目くらましでなければあるいは……」
妖精王の言う通りだ。あの時ゴーレムの依頼を受けておいてよかった、っていうかギルドでゴーレム関係の本が埃被ってたのはこいつへの対抗策を練るためだったのか。結局原始的な方法が今は一番だったが。
「よし!」
文字が削れ、魔王の鎧は節々から煙を上げて崩れ落ちる。地面へ沈むスピードも心なしか速くなっている様な気がする。
「何?」
だが、その煙が人の様な形を取って俺に襲い掛かる。俺は咄嗟に斧で防御したが、市販の武器である手斧は容易にへし折れてしまった。
「おおっと……」
思い切り地面を滑って遠くへ飛ばされたが、体勢を崩して尻もちをついてしまった。
「いって!」
ゴーレムとしては撃破したのに、何かまだ残っているのが末恐ろしい。このまま封印しきれるのか。俺が不安に思っていると、妖精たちが斧を持って飛んできた。あれは俺が呪いを解いていた武器じゃないか。
「あれを! あなたの解呪が刻まれた斧を封印の力を導く印に!」
妖精王が盛って来させたのだ。こいつを使って封印を強化する為に。長く封印を維持してきた俺の魔力でこの封印が補強されているなら、俺が呪いを解いてきたこの斧がそれを導く媒介にうってつけということか。
「これでトドメだ!」
俺は斧を受け取る。妖精たちは呪いが解けるのをその場で待って、解けた瞬間に持ってきたのだろう。呪いの痕跡はない。俺は斧で黒い影の頭を叩き割る。
「行け!」
すると、鎧を縛っていた光の縄が分裂して斧にも集まり始めた。それはまるで茨の様に変化し、大元の縄へ変化は及んでいく。傷口を介して内部にも封印の力が注ぎ込まれ、地面に沈むスピードは速くなっていく。
「おおおお!」
俺は両手に力を込め、地中深く埋める様に押し込んでいく。すると魔王の鎧も力尽きたのか、斧と共に、光の茨に引き込まれていく。完全に沈んだ後、光の紋章が浮かんで地面に焼き付く。
「どいてどいて!」
「お、おう」
その後、妖精の軍団に運ばれてきた大きな岩が上に乗せられる。ギルドの建物より一回り小さい程度とはいえ十分に大きく、すぐに離れないと俺も潰されるところだった。
「はっ!」
妖精王がその岩に魔法を撃つと、似た様な紋章が現れる。辺りに静寂が流れ、封印が完了したのかどうかその場の全員が固唾を飲んだ。その後は、何も現れることはなかった。封印に成功したのだ。
「やった……」
歓声は上がらなかった。安堵もあったが脱力感に襲われる。失われたものも大きいが、元を辿れば本来する必要のない戦いと出す必要のない犠牲。慢心と無知が招いた惨事は嵐の様に過ぎ去っていった。
何故か馬ではなく担いで封印の像まで運ばれる俺。これも作戦らしい。
「お前馬乗ったことないだろ! 乗り降りで時間掛かるんだよ!」
リーダーはそこまで考えていた。監査隊の一人は装備を脱ぎ捨てて身軽になり、ダッシュで封印の像へ向かう。
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「分かった」
調査の為に像へ隊を分けて派遣していたのが功を奏した。監査隊が俺をリレーで運び、俺は回復薬をがぶ飲みして魔力を封印に使う。なんで他の奴がやらないのか疑問はあるが、多分一番長く封印に接していた俺の魔力じゃないと出来ないことなんだろう。
妖精王も転移ではなく魔王の鎧を足止めすることに集中する必要がある。ここは人間の力でどうにかするしかない。
「着いた!」
「よし!」
封印の像がある場所まで到着。まずは一つ。少し空けただけなのに懐かしさが込み上げるが、郷愁に浸る暇はない。いつもより気合を入れて封印を施す。
「しゃおらああ!」
封印側にもサポートがあるのだろう。魔力がぐんぐん吸われる感覚がある。疲れが一気に襲ってくるが、回復薬を受け取ると他の隊員に担がれて次の封印へ向かう。苦くてぬるくて美味しいものではないが、そうこう言っている場合ではない。
隊員は事前に装備を脱いで準備しており、バトンを即座に繋ぐ。
こうして懐かしの地を担がれて駆けずり回り、封印を施していく。
「まずいな……あいつ一歩も動いてないはずなのに」
フィルセと妖精王を信じるならあの場から魔王の鎧を釘付けにしているだろうが、それでも森の木々が枯れ始めている。土地の汚染が進んでいるのか。封印されるのも納得だ。
「ここで最後だ!」
なんだかんだ最後の封印の像へ辿り着き、封印を行う。回復薬も貰い、魔力の枯渇は防いだ。
「どうなったか様子を見に行こう」
「気を付けろよ」
「俺も行くぞ」
さすがにこれ以上監査隊の人を酷使するわけにはいかないので俺は自分の足でギルドに戻ることにした。一人ついてきてくれただけでもありがたい。道中も植物が枯れて不穏な空気が漂う。なんだか嫌な感じだ。
「っと、ミノタウルスか!」
走っていると、ミノタウルスとばったり出くわす。監査隊の人は武器を構えるが、言葉が交わせる相手に消耗する理由もない。俺は会話を試みる。前も見逃してくれたよしみだ。同じ個体かはともかく同族で話が通ってるといいが。
「魔物!」
「待って! 今ちょっと見ての通りヤバいんだ、見逃してくれ!」
しかし、ミノタウルスの目は焦点が定まらず、口から涎を垂らしていた。
「な、なんだ……?」
「ウガアアアアアアッ!」
明らかに正気を失っている。向こうから予想外の攻撃をされて不意を突かれてしまった。
「な、ナシバ!」
俺は咄嗟に、ミノタウルスには効果の薄い金縛りを使ってしまう。だが、どういうわけか動きを封じることが出来た。
「なんだ? 成功した?」
スキルが成長したのか? いや、こいつの様子がおかしいことと関係があるのか?
「倒れろ!」
監査隊の人がミノタウルスを倒し、先に進む。
「さっきの金縛りを頼む! いちいち倒してたらキリがない!」
「でも効く奴限られてますぜ?」
「とにかく試してみてくれ!」
俺は監査隊の人に言われた通り、ナシバで敵の動きを止めて魔物をやり過ごしながらギルドに向かう。なんだか前より効きがよくなったような……。俺のレベルが上がったから……なわけないよな……。
「着いた! おーい! 封印終わったぞ!」
俺はギルドに辿り着き、封印の完了を知らせる。だが、状況は散々たるものだった。親父は無様に転がり、フィルセやリーダーも倒れて戦闘不能。妖精王も浅くない傷を負って膝を付いているほどだ。
「ごめん……リュウガ……お父さんを……」
フィルセは親父が死んだことに責任を感じていたが、こんなん背負ってくれなくていい。
「気にするな! 遅かれ早かれだこんなもんだ!」
「でも……」
「それより封印は出来たのですね、では……」
妖精王は封印が出来たという知らせを受け、何かを唱える。そして手を翳した。すると、地面から出てきた光の縄が魔王の鎧を拘束した。そのまま鎧を地中へ引きずり込もうとするが、鎧も暴れて抵抗する。
「ぐ、あぁっ!」
魔法の負荷が跳ね返っているのか、妖精王の腕が避けて血が吹き出る。このままでは妖精王でも負けてしまう……何か策は……。
「おい、あの金縛り効かねぇか?」
「え?」
そんなことを急に監査隊の人が言い出す。だが魔王の鎧なんかに効くのか?
「審問官は神職系の一つ! 多分あいつの影響で暴走しただろう魔物に金縛りが効きやすくなったのはその影響だと思う!」
「そう言われるとそんな気がしてきた」
さすが監査隊をやっているだけある。僅かな手がかりも見逃さない。ものは試し、何もしないよりマシだ。
「ナシバ!」
金縛りを掛けると、魔王の鎧は動きが鈍くなる。完全には効いていないが効果がなくはないというラインか。ならやりようがある。
「リュウガ・アークライド! 魔力の守りが喪失しているはずです! ゴーレム文字を消す好機です!」
妖精王は俺がゴーレムを文字削りで倒したことを聞いたらしい。幸い、金ヤスリは持って来ている。何がどううまくいくか分からないが、やってみる価値はある。
「よし、このまま文字を削り取ってやる!」
俺は魔王の鎧に近づき、文字を削り始める。数々のバスターを文字通り蹴散らした相手に迫るのは恐怖もあったが、ここで逃げても解決にならない。やってやる。
「うおおおおお!」
必死にゴリゴリ音を立てて文字を削る。金属か何かの鎧に魔力で刻まれているだけあり、その強度は岩のゴーレムなんかより強い。こっちもヤスリに魔力を込めて対抗する。
「やらせるか!」
「押し切るぞ!」
フィルセとリーダーもボロボロになりながら立ち上がり、背後から攻撃してサポートしてくれる。正直攻撃で魔王の鎧が揺れると文字からヤスリがズレてしまうが、勇気は貰えるし向こうの抵抗も弱まるから助かる。
「消えろ!」
念を込めて削り続けるも、予想外のアクシデントが起きる。なんと、ヤスリが折れてしまったのだ。力を込め過ぎたか?
「しまった!」
「リュウガ!」
その時、フィルセが何かを投げ渡してくる。それは、あの時彼女に貸した予備のヤスリだ。
「ナイス!」
俺は引き続き、鎧の文字を削った。
「ゴーレムを動かす魔法文字、それは世界の真理を表します。しかしその内の一文字が失われれば、それは破滅を意味する言葉に代わり、ゴーレムは滅びる……この魔王の鎧が見た目通り、この文字が目くらましでなければあるいは……」
妖精王の言う通りだ。あの時ゴーレムの依頼を受けておいてよかった、っていうかギルドでゴーレム関係の本が埃被ってたのはこいつへの対抗策を練るためだったのか。結局原始的な方法が今は一番だったが。
「よし!」
文字が削れ、魔王の鎧は節々から煙を上げて崩れ落ちる。地面へ沈むスピードも心なしか速くなっている様な気がする。
「何?」
だが、その煙が人の様な形を取って俺に襲い掛かる。俺は咄嗟に斧で防御したが、市販の武器である手斧は容易にへし折れてしまった。
「おおっと……」
思い切り地面を滑って遠くへ飛ばされたが、体勢を崩して尻もちをついてしまった。
「いって!」
ゴーレムとしては撃破したのに、何かまだ残っているのが末恐ろしい。このまま封印しきれるのか。俺が不安に思っていると、妖精たちが斧を持って飛んできた。あれは俺が呪いを解いていた武器じゃないか。
「あれを! あなたの解呪が刻まれた斧を封印の力を導く印に!」
妖精王が盛って来させたのだ。こいつを使って封印を強化する為に。長く封印を維持してきた俺の魔力でこの封印が補強されているなら、俺が呪いを解いてきたこの斧がそれを導く媒介にうってつけということか。
「これでトドメだ!」
俺は斧を受け取る。妖精たちは呪いが解けるのをその場で待って、解けた瞬間に持ってきたのだろう。呪いの痕跡はない。俺は斧で黒い影の頭を叩き割る。
「行け!」
すると、鎧を縛っていた光の縄が分裂して斧にも集まり始めた。それはまるで茨の様に変化し、大元の縄へ変化は及んでいく。傷口を介して内部にも封印の力が注ぎ込まれ、地面に沈むスピードは速くなっていく。
「おおおお!」
俺は両手に力を込め、地中深く埋める様に押し込んでいく。すると魔王の鎧も力尽きたのか、斧と共に、光の茨に引き込まれていく。完全に沈んだ後、光の紋章が浮かんで地面に焼き付く。
「どいてどいて!」
「お、おう」
その後、妖精の軍団に運ばれてきた大きな岩が上に乗せられる。ギルドの建物より一回り小さい程度とはいえ十分に大きく、すぐに離れないと俺も潰されるところだった。
「はっ!」
妖精王がその岩に魔法を撃つと、似た様な紋章が現れる。辺りに静寂が流れ、封印が完了したのかどうかその場の全員が固唾を飲んだ。その後は、何も現れることはなかった。封印に成功したのだ。
「やった……」
歓声は上がらなかった。安堵もあったが脱力感に襲われる。失われたものも大きいが、元を辿れば本来する必要のない戦いと出す必要のない犠牲。慢心と無知が招いた惨事は嵐の様に過ぎ去っていった。
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