ナチス最終兵器 サメ人間

名無しの東北県人

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第二章

◆チャプター16

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 一九四八年九月二十六日。
 夜十時を過ぎたケセン・ヌ・マの東地区は、今から二十四時間前に敢行されたレジスタンスの攻勢がまるで嘘であったかのような平穏を取り戻していた。
『国防軍最高司令部は本日、LAH及びダス・ライヒの両師団がウラル山脈にてスターリン死後も抵抗を続けていたソ連軍残党の掃討を完了したと発表しました。作戦には日本軍のロボ大仏部隊も参加しており……』
 今日丸一日鮫林寺の自室にて事後処理に追われていた勝者ソフィアがラジオを聴きながら汗浮かぶアノニマとイルザの淫靡な絡み合いで心の充電を行う一方、敗者はそこから遥か下層に位置する拷問室で最期の時を待っていた。
「本当に……どこまでも胡散臭い連中よ……!」
 マスクを失った姿で針金で車椅子に縛り付けられているファイヤーウーマンの周囲には、昨日魚雷艇で鮫林寺に乗り込んだレジスタンス兵達の姿もある。
ただ彼らの首と胴体は揃って離れた場所に転がっていた。
「ソフィアを! ソフィアを出せーッ!」
 一方的な虐殺を繰り返すも、ヒールの踵が折れて用水路に転落したことにより自滅して捕えられた人物は大声で喚き散らす。
『貴方にはソフィア様に直接お会いできる資格がありません』
 しかし、つい先程まで捕虜の首を生きたままチェーンソーで切り落としていたプロトサメ人間はロレンチーニリンクシステムを備えている室内の電光掲示板にこの返答を表示するだけだった。
『ソフィア様は貴方達が鮫の日以降どのような人生を歩んできたか、この二年間何を思い何をしてきたか、それら全てに一切の興味を持っていません』
 プロトサメ人間は数分前の惨劇図が記録されているフィルムをケースに入れ、次に新しいそれをスタンド上の撮影機にセットする。
『また今後興味を持つことも一切ございません。ご安心ください』
 そして鮫怪人は、醜い差別用語を撒き散らし始めた元ヒーローをダルマザメが元気良く泳ぐ水槽まで運んでいく。
『ソフィア様にとって自分に反旗を翻す者は虫かそれ以下の存在です。貴方には難しいかと思いますが、その旨もどうかご理解ください』
 後日レジスタンスに送り付けるための映像を記録し続ける撮影機械が問題なく機能していることを確認したプロトサメ人間は、
『虫には虫に相応しい居場所や役割があります。以上』
 と電光掲示板に表示させた後、車椅子ごと彼女を鮫待つ水中に叩き落とした。
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