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臨死の舞踏
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職員は短い礼の言葉でマッチを受け取り、煙草に火をつけた。
深く紫煙を吸い込む。疲れきった眼差しはもの思わし気になり、やがて恍惚とした光が灯る。
娘のその作品群に思いを馳せているらしい。
それを眺める俺は、なんとなく昔見た死の舞踏を思い出し、いたく不安定な気分になった。
「彼女の絵も、文も、心からのものと断言できますわ。そうでなければ私どもの胸をああもうつものには成りえません」
「それほど、感動的だったと?」
「ええ。お見せできないのが残念です。用途が用途ですからね。もっとも彼女が無事ならこれからその機会はあるでしょう」
「そう仰いますと?」
「ある時、これほどの物が書けるなら文章書きなり、絵描きなりになってはどうか、という意味のことを話したことがあります。彼女、満更でもなさそうに、いいかもしれない、と言ってくれましたわ。ほんの少し微笑んでね」
依頼人から感受性の強い娘とは聞いていたが、そのような才能については初耳だった。
「私と彼女の間に心温まるような情景があるとすればそのくらいですわ。あとは全然空振りでした」
職員はシニカルに言った。俺は苦笑いを返すしかなかった。
ふと思いついて質問を挟む。
「見せていただく訳には?」
「出来ると思って?」
「言ってみただけです。なら、その絵のテーマというか、モチーフと言えばいいのか……その、傾向などは教えていただけませんか?」
職員は、俺の聞きたいことを察して、やはりシニカルに笑った。
「こちらが設定したテーマではありますけれど。メタファーを含めて言っても、貴方が想像なさってるような物は登場しませんでしたわ」
「そうですか」
「信じないのなら、あの娘を無事に見つけて、何か描かせてみることです」
「尽力します」
どうにも、俺はこの女に嫌われているらしい。話を切り上げる方向に持っていく。
「他にも彼女に接点のある方がいらっしゃれば、お話をうかがいたいのですが」
「何せあの性格ですからね……カウンセラーと話してみますか? 今は居りませんが」
「お願いします。都合のつく時間は?」
「また連絡しますわ。何か思い出したときにもね」
女の方でも、話を切り上げたかったらしい。追い討ちとばかりに言葉を継いだ。
「カウンセラーと話してもあまり発見はないかと思いますよ。あの娘と話すのはどうにも息が詰まる、と常々そう申しておりましたから」
深く紫煙を吸い込む。疲れきった眼差しはもの思わし気になり、やがて恍惚とした光が灯る。
娘のその作品群に思いを馳せているらしい。
それを眺める俺は、なんとなく昔見た死の舞踏を思い出し、いたく不安定な気分になった。
「彼女の絵も、文も、心からのものと断言できますわ。そうでなければ私どもの胸をああもうつものには成りえません」
「それほど、感動的だったと?」
「ええ。お見せできないのが残念です。用途が用途ですからね。もっとも彼女が無事ならこれからその機会はあるでしょう」
「そう仰いますと?」
「ある時、これほどの物が書けるなら文章書きなり、絵描きなりになってはどうか、という意味のことを話したことがあります。彼女、満更でもなさそうに、いいかもしれない、と言ってくれましたわ。ほんの少し微笑んでね」
依頼人から感受性の強い娘とは聞いていたが、そのような才能については初耳だった。
「私と彼女の間に心温まるような情景があるとすればそのくらいですわ。あとは全然空振りでした」
職員はシニカルに言った。俺は苦笑いを返すしかなかった。
ふと思いついて質問を挟む。
「見せていただく訳には?」
「出来ると思って?」
「言ってみただけです。なら、その絵のテーマというか、モチーフと言えばいいのか……その、傾向などは教えていただけませんか?」
職員は、俺の聞きたいことを察して、やはりシニカルに笑った。
「こちらが設定したテーマではありますけれど。メタファーを含めて言っても、貴方が想像なさってるような物は登場しませんでしたわ」
「そうですか」
「信じないのなら、あの娘を無事に見つけて、何か描かせてみることです」
「尽力します」
どうにも、俺はこの女に嫌われているらしい。話を切り上げる方向に持っていく。
「他にも彼女に接点のある方がいらっしゃれば、お話をうかがいたいのですが」
「何せあの性格ですからね……カウンセラーと話してみますか? 今は居りませんが」
「お願いします。都合のつく時間は?」
「また連絡しますわ。何か思い出したときにもね」
女の方でも、話を切り上げたかったらしい。追い討ちとばかりに言葉を継いだ。
「カウンセラーと話してもあまり発見はないかと思いますよ。あの娘と話すのはどうにも息が詰まる、と常々そう申しておりましたから」
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