雇われ者の小唄

杉田杢

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危険な友人

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 俺の羽振りについては業平に聞いたのだろう。驚くようなことではない。
「しけた食い物が好きでね」
 振り返りもせず答えて、俺はコーヒーを飲み干し、ホットドッグを包み直した。休める状況ではなくなった。
 立ち上がって、停めてあるバイクを目指すが、回り込まれてしまった。
 目に映るのは黒の皮ジャン。ジーンズ。野暮ったい眼鏡。
 そして一見好青年風の笑顔だ。
「そう連れなくするなよ。大きい仕事が入ったって武宮にきいたぜ」
 温厚かつ親切そうな声音で男が言った。実際この男は親切だ。うっかりコンタクトでも落とせば見つかるまで一緒に探してくれるし、道を聞けばこれ以上ないくらい親切に教えてくれるだろう。
「そうだ。だから忙しい。邪魔せんでくれ」
 突き放した俺の言葉に、男は顔をしかめた。
「手伝いに来た人間に、そういう言い草はないんじゃねえか?」
 男は同業者だ。表の方ーー武装私立探偵ーーの。
 顔も広いし、腕も悪くない。
 だが、ただの親切な好青年ではない。
 俺はつっけんどんに聞いた。
「今お前にいくら貸してたっけ?」
「16万7千5百4十3円」
 律儀に男は答えた。だがこの場合律儀さよりも、貸している金額が問題だ。
 とにかく難点の多い男だった。金銭感覚などは序の口に過ぎない。
 この男と組むのはギャンブルだった。何度か一緒に仕事をしたが、非常にうまくいくか、えらく酷い目に合うかの二つに一つだった。
 そして俺はこういう大事な仕事ではギャンブルをしない主義だ。
「じゃ、分け前はそれを一割負けるっていうのでどうだ」
「乗った」
 男は分かりやすく、機嫌を直した。単純で助かる。
「じゃ、今すぐ回れ右して別の仕事を探してくれ、七生」
 七生はまた不機嫌な顔になった。
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