他の何よりアイが欲しい。R18

勇崎シュー

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(R18)そして

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「ごめんな、嫌な思いさせて」
 電車にガタガタと揺らされるなか、俺は開口一番、そう謝った。
「別に、海斗は悪くないじゃん」
 庭理はそう言いながら前髪を弄る。
 
 俺達はあの後、東京に居続けたくなかったので、電車で帰ることにした。
 しかし、それでも腹は空いたままなので、駅弁と言うやつを買った。俺の膝の上には、庭理の分も入った袋が置かれている。

「庭理、あのさ」
 重苦しい雰囲気の中、俺は庭理に内緒にしていたことを打ち明けた。
 いや、内緒にしていたわけではなかった。ただ言うタイミングが掴めなかっただけだ。
「あのさ、俺、父親殺したって言っただろ?でもあれには、もうちょっとだけ続きがあるんだよ」
 微妙な時間なのと、神奈川に入ったからか、この車両には、俺と庭理しかいなかった。
「俺さ、警察に嘘ついたんだ。向こうが殺しにきたから殺したって。そしたら本当に正当防衛で無罪になったわけだよ」
「でも、永沢って人はそのこと......」
「あー、多分知らねぇよあいつは。適当なこと言って俺達を別れさせたかったんだろ」
 すると、庭理は俺の袖をぎゅっと掴んだ。
 なんだか、それが嬉しかった。
「永沢か......」
 俺は、小学生の時いじめを受けていた。
 主犯は永沢だ。
 永沢が俺が父親を殺したことを言いふらし、皆を味方にして俺に嫌がらせをしてきた。
 次の年、俺は別の学校に転校することになったため、期間的には半年くらいだが、辛い時期だった。
 そう言えば、あのときは誰も俺のことを助けてくれなかったな。
「庭理」
 庭理が俺を見つめる。
「ごめんじゃなくて、ありがとうだな」
 俺はぎこちなく笑った。
「海斗っ......」
 庭理が涙目になる。
「次海斗を悪く言う奴がいたら、またそいつを罵ってあげるから。論破してあげるから」
 庭理が俺の肩に額をつけ、泣きそうになりながらそう言う。
「ありがとう、庭理」
 俺は右手で庭理の頭を撫でた。
「海斗は大丈夫なの?」
 庭理が顔を上げ、聞いてくる。
「あ、あぁ。大丈夫だよ。俺のことは気にするな」
 そう言いながら、俺は頭を掻いた。
 すると、電車は俺達の目的地に着いた。
「さ、帰って駅弁食おうぜ」

「うめー」
 駅から帰るのに多少時間がかかるため、俺達は近くの公園で食事を済ますことにした。
 所々ペンキの剥がれたベンチに横並びに座り、駅弁を食べている。
「なんか子供いないね」
 あまり大きい公園ではなかったが、ブランコやジャングルジム等はあるので、ちゃんとした公園のはずだ。
「皆家ん中でゲームしてんだろ」
 俺が皮肉ぎみにそう言う。
「なんか、ちょっと寂しいな」
 庭理が卵焼きを頬張りながらそう呟く。
「ねぇ、海斗。ここでしちゃう?」
「何を?セックス?」
「うん」
 俺のセクハラ発言が当たっていたことに驚いていると、なんでもないように庭理が目をぱちくりとしていた。
「うん、嫌だ。そんなプレイは好みじゃない」
 そんなことして誰かに見つかったら、多分俺は自らの命を絶つことになるだろう。
「大丈夫、半分冗談だから」
 半分かよ、とツッコミした方がいいと思ったが、なんとなくやめた。
「あー、寒っ」
「家に帰ったら身体暖め会おうね」
「あぁ」
 あのボロアパートに暖房器具があるわけなく、今まではただひたすら耐えるしかなかった。
 しかし、俺達は人肌と言う究極の暖房を手に入れたのである。
「やったー。帰ったらセックスだー」
 庭理が棒読みでそう言う。
「おい、女の子がはしたないぞ」
「なんだよー、海斗だって言ってたじゃーん」
「俺は女の子じゃありませーん」
 そんな風に俺達がふざけあっている間に、弁当の箱は空になっていた。
「じゃ、帰ろうぜ」
 俺がベンチから腰を上げた瞬間、びゅうっと空風が吹いた。

「ねぇ、海斗」
 隣で寝そべっている庭理が、俺の名を呼ぶ。
「なんだ庭理」
 庭理はぷくっと頬を膨らませ、一言。
「セックスは?」
「んなことするだなんて言ってない。俺はただ、身体を暖め会おうって言われたから、そうしてるだけだ」
「だからって、これ、ただ同じ布団で寝てるだけじゃん」
「うん」
 そして訪れる、暫しの静寂。
「海斗、ボクとしたくないの?」
 庭理が前髪を弄りながら、そう聞いてきた。
「んなわけないだろ。俺は、そう言うのは何て言うか、もっと特別なことだと思うから、あんまりほいほいやるのが気が引けちゃうだけで」
 俺は恥ずかしいので顔を布団に埋める。
「本当は、庭理とやれたこと、凄く嬉しかったんだ。もっとしたい。でも、ちゃんとした理由はないけど、庭理がいいよって言ってんのに、勇気が出ないというか」
「海斗......ごめん。本当に海斗が嫌がってるって思ってるからいったわけじゃないんだ。ちょっと意地悪したくなっちゃったというか...」
 まぁ、俺も庭理の気持ちがわからないでもない。
「もう、こういうこと言わないようにするから」
 寂しそうにしてる庭理を俺はぎゅっと抱き締めた。
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