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04:平和の終わり
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やばい。
何もしていないのに呼吸が荒い。
リグから走らないよう言われているが、どうしても焦って足が速くなってしまう。
これは、相当キているな……。
「ヴル」
俺はやや大袈裟に隣のリグに振り向く。
「な、なんだ?」
「もうすぐ村だけど……ヴル、焦って飛び出したりしないようにね?」
「あ、あぁ……」
「なんか怖いんだよ。僕達今武器持っちゃってるから、戦えると錯覚して飛び出して殺られちゃうのが」
どうやらリグは、この惨事がどこかの種族の仕業と断定しているようだ。
「そうだな、気を付けるよ」
俺達は、木剣を携帯している。何かがあればこれでなんとかするしかないが……。
もう森を抜ける。焦る気持ちを抑え、そのままの速度で進む。
━━抜けた。妙に明るい。
「なっ…………?」
「んだこれ……ざけんなっ……!」
リグの言葉を引き継ぐようにして、俺はそう溢した。
火。
火が燃え盛っている。
そしてそうなっている場所は、俺達の……。
「いやあぁぁぁぁぁぁっ!?」
女性の悲鳴が、どこからか聴こえた。
どこからか、といっても、村内であることは間違いないだろうが。
「リグ……!」
俺は視線で行こうと訴えかけるが……。
「シッ、ちょっと待って」
そう言われ、息を潜め身をそこらの茂みに隠すと、二人組の人間兵が俺達を横切った。
「へへ、なんだ楽勝じゃねぇか」
「あぁ、村の奴らもほぼ全滅。一応森にも兵士はいるし、これで魔族も亡びるだろ」
聞き耳を立てながら、ちら、と人間を茂みの隙間から覗く。
……ふたりは、血塗れだった。つまり、こいつらは、村の誰かを殺ったということだ。
俺が目に血を走らせていると、リグが俺の右腕をぐっと掴んだ。
「アミちゃん達が……危ない……!」
「リグ、でも……」
「分かる。ヴルの気持ちは分かるよ……でも、僕はアミを助けたいんだ。聞いたろ? 村の皆は、もう……」
一瞬、村の皆を見捨てんのか。と思った。
村の皆を殺したこいつらを許せんのか、とも言いたかった。
でも、リグはそんなこと分かって、感じて、その上でアミちゃんのところに行きたいと言っているのだ。
「わかった。俺も行く。お前だけじゃ心配だしな」
「ありがとう、ヴル……!」
切ない笑顔をリグにされてしまった手前、もう引くことはできない。
行こう。口に出さず、俺は、俺達は森に向かった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
痛い、痛い。
身体が焼けているみたい。その反面、極寒でもある。
抱き抱えているリタは、もう動かないし、氷みたいに冷たい。
━━あれ、誰かが呼んでる。
「アミちゃんーっ!」
「アミー!」
あれは、リグに、ヴル。助けに来てくれた。
涙が出た。嬉しかったでも、今は━━。
だめ、来ちゃだめ……!
でも、声をだす力も残っていない。
ヒュンッ
草むらから、矢が放たれた。
そしてその矢は……。
「っが……?」
リグの左肩を掠めた。
「ヤロッ…………!」
ヴルは激怒して、矢が放たれた方向に駆けた。
そして、また矢が飛ぶ。
しかし、ヴルはその矢を木剣で打ち払った。
「お、おおおおぉぉぉぉッ!」
雄叫びを上げながら、ヴルはその剣を振り上げた。
敵を見る……耳が異様に長い。人間ではない。エルフ……?
攻めているのは人間ではなかったのか、いや、いまはどうでもいい。
ヴルは意識を剣に集中し、全力で降り下ろした。
「ぁあッ!」
しかし、エルフはふわりとそれを避ける。
そして弓から持ち変えていた短剣で、ヴルを正面から突く。
ヴルは瞬時に剣を間に挟み直撃を避けるが、体格差とその華奢な腕から放たれているとは思えないほどの力により、後方へ大きく吹き飛ばされる。
「ぐふぉぁっ…………」
俺は後方の木に直撃し、頭を強打した。
ぐらっ、と、一瞬世界が揺れる。
その瞬間、知らない記憶が流れ込んでくる。いや、俺はこの記憶を知っている? 知っていた。という方が正しいか。
これは━━
これは、俺が小学生だった頃の記憶?
魔族のヴルヘリットとしてでなく、日本という国の、ひとりの少年としての━━。
「━━恵利斗。エリト。聞いてんのか? エリト」
これは、兄の声?
「全く、じいちゃんがいないのをいいことに昼寝たぁ、お前も随分骨太になったもんだ」
俺は目をぱちぱちさせ、視界をクリアにさせていく。
視力が回復してから、俺は身を起こした。
兄は、そして俺も、着ているものは私服ではない。
そしてここは、道場……?
「さ、エリト。今日も鍛練だ」
何もしていないのに呼吸が荒い。
リグから走らないよう言われているが、どうしても焦って足が速くなってしまう。
これは、相当キているな……。
「ヴル」
俺はやや大袈裟に隣のリグに振り向く。
「な、なんだ?」
「もうすぐ村だけど……ヴル、焦って飛び出したりしないようにね?」
「あ、あぁ……」
「なんか怖いんだよ。僕達今武器持っちゃってるから、戦えると錯覚して飛び出して殺られちゃうのが」
どうやらリグは、この惨事がどこかの種族の仕業と断定しているようだ。
「そうだな、気を付けるよ」
俺達は、木剣を携帯している。何かがあればこれでなんとかするしかないが……。
もう森を抜ける。焦る気持ちを抑え、そのままの速度で進む。
━━抜けた。妙に明るい。
「なっ…………?」
「んだこれ……ざけんなっ……!」
リグの言葉を引き継ぐようにして、俺はそう溢した。
火。
火が燃え盛っている。
そしてそうなっている場所は、俺達の……。
「いやあぁぁぁぁぁぁっ!?」
女性の悲鳴が、どこからか聴こえた。
どこからか、といっても、村内であることは間違いないだろうが。
「リグ……!」
俺は視線で行こうと訴えかけるが……。
「シッ、ちょっと待って」
そう言われ、息を潜め身をそこらの茂みに隠すと、二人組の人間兵が俺達を横切った。
「へへ、なんだ楽勝じゃねぇか」
「あぁ、村の奴らもほぼ全滅。一応森にも兵士はいるし、これで魔族も亡びるだろ」
聞き耳を立てながら、ちら、と人間を茂みの隙間から覗く。
……ふたりは、血塗れだった。つまり、こいつらは、村の誰かを殺ったということだ。
俺が目に血を走らせていると、リグが俺の右腕をぐっと掴んだ。
「アミちゃん達が……危ない……!」
「リグ、でも……」
「分かる。ヴルの気持ちは分かるよ……でも、僕はアミを助けたいんだ。聞いたろ? 村の皆は、もう……」
一瞬、村の皆を見捨てんのか。と思った。
村の皆を殺したこいつらを許せんのか、とも言いたかった。
でも、リグはそんなこと分かって、感じて、その上でアミちゃんのところに行きたいと言っているのだ。
「わかった。俺も行く。お前だけじゃ心配だしな」
「ありがとう、ヴル……!」
切ない笑顔をリグにされてしまった手前、もう引くことはできない。
行こう。口に出さず、俺は、俺達は森に向かった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
痛い、痛い。
身体が焼けているみたい。その反面、極寒でもある。
抱き抱えているリタは、もう動かないし、氷みたいに冷たい。
━━あれ、誰かが呼んでる。
「アミちゃんーっ!」
「アミー!」
あれは、リグに、ヴル。助けに来てくれた。
涙が出た。嬉しかったでも、今は━━。
だめ、来ちゃだめ……!
でも、声をだす力も残っていない。
ヒュンッ
草むらから、矢が放たれた。
そしてその矢は……。
「っが……?」
リグの左肩を掠めた。
「ヤロッ…………!」
ヴルは激怒して、矢が放たれた方向に駆けた。
そして、また矢が飛ぶ。
しかし、ヴルはその矢を木剣で打ち払った。
「お、おおおおぉぉぉぉッ!」
雄叫びを上げながら、ヴルはその剣を振り上げた。
敵を見る……耳が異様に長い。人間ではない。エルフ……?
攻めているのは人間ではなかったのか、いや、いまはどうでもいい。
ヴルは意識を剣に集中し、全力で降り下ろした。
「ぁあッ!」
しかし、エルフはふわりとそれを避ける。
そして弓から持ち変えていた短剣で、ヴルを正面から突く。
ヴルは瞬時に剣を間に挟み直撃を避けるが、体格差とその華奢な腕から放たれているとは思えないほどの力により、後方へ大きく吹き飛ばされる。
「ぐふぉぁっ…………」
俺は後方の木に直撃し、頭を強打した。
ぐらっ、と、一瞬世界が揺れる。
その瞬間、知らない記憶が流れ込んでくる。いや、俺はこの記憶を知っている? 知っていた。という方が正しいか。
これは━━
これは、俺が小学生だった頃の記憶?
魔族のヴルヘリットとしてでなく、日本という国の、ひとりの少年としての━━。
「━━恵利斗。エリト。聞いてんのか? エリト」
これは、兄の声?
「全く、じいちゃんがいないのをいいことに昼寝たぁ、お前も随分骨太になったもんだ」
俺は目をぱちぱちさせ、視界をクリアにさせていく。
視力が回復してから、俺は身を起こした。
兄は、そして俺も、着ているものは私服ではない。
そしてここは、道場……?
「さ、エリト。今日も鍛練だ」
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