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10:救いの黒炎
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俺が女騎士に特攻しようとした時、嚇灼を伴った轟音が響いた。
「はっ…………?」
俺はその光景に唖然としていた。
黒い……炎。
だが完全な黒ではない。少し紫も混ざっている。
これも魔法……なのか?
「間に合ったみたいだね」
印象は、好青年。そんな声が、リグのすぐ隣から発せられた。
「うおっ、誰!?」
そこにいたのは、黒をベースに黄色のラインの入ったフードを羽織っている、砂色の肌━━つまり俺達よりちょっとだけ色が濃い━━を持った、タガくらいの年齢の男が居た。
よく見ると、耳が俺達より僅かに鋭く尖っている。魔族だ。
「話は後。それより、生き残ったのは君達だけかい?」
俺はその言葉で気を取り直し、ふるふると首を左右に振った。
「いや、もうひとり……」
「その子はどこ?」
「あっ、そこの洞穴……です」
人数を俺が答え、場所はリグが指した。
「わっ、あんな近くに居たのか。危な。いや、それより、あそこの子、かなり弱っているね」
魔族の青年は、淡々と喋る。
てか、見えていないアミちゃんの状態まで分かるのか。凄いな。
「ここだとちょっと喧しいな……。二人とも、もうひとりの子を連れてきて。僕と一緒に逃げよう」
「は、はい!」
俺はやや大きめな声で返事し、アミちゃんのいる洞穴へ向かう為、後方に身を回した。
そのまま駆け足で洞穴まで行き、顔を突っ込む。
「アミちゃん!」
穴内を覗くと、アミちゃんは隅で三角座りで身を震わしていた。
「アミちゃん、俺だ! ヴルヘリット! 逃げよう!」
名前なんか言わなくても俺の正体には気づいていただろうが、何故か俺はそう叫んでいた。
アミちゃんは、ゆっくりと顔を上げる。
「ヴル……私……私……ごめんなさい…………」
「アミちゃんがなんで謝ってんのかはわかんないけど、それは後で聞くから、今は逃げよう!」
「逃げるって、どこによ」
その言葉で、はたと気づく。
そういえば、場所は教えてもらってなかったな。でも、ひとつだけ、これだけは言えた。
「場所はわからない。でも、信用できる人と逃げる!」
アミちゃんは一瞬呆気にとられ、その後、くすりと笑った。
「バッカじゃないの? ……でも、わかった。連れてって、ヴル」
アミちゃんが右手を差し出して来たので、俺はその手を握った。
ゆっくり身体を起こさせ、穴外へ出る。
「お待たせ……しました」
魔族の青年は俺達を見ると、寂しそうな笑顔を浮かべた。
「うん。それじゃあ行こうか」
青年は俺達に背を向ける。
「僕に掴まって」
俺達三人は頷き、言われた通り服を掴んだ。
「ちょっと驚くことが起きるけど、手は放さないでね」
青年がそう口にした一秒後、ぐにゃりと世界が歪んだ。
何秒か水の中を浮遊している感覚に苛まれた後、地面の感覚が足裏から伝わる。……終わったのだろうか。
「うっ……」
すると、リグがどさっ、と地面に膝と手を着いた。
「なっ、てめっ、リグに何した!」
俺が青年に掴み掛かると、どこからか声が発せられた。女性の声だ。
「おい、お前。その手ェ放せ」
声の方向に振り向くと、茶髪の髪の長い女が、俺にナイフの切っ先を向けていた。
この女も耳が尖っている。肌も青年と似たような色……魔族だ。
「まぁまぁ、落ち着いて、ヒルダ。君とリグ君もごめんね。多分、酔わせちゃったんだ」
「酔った? 酔った、だけ?」
「うん。そうだよ。……皆ごめんね。驚いたよね」
青年は申し訳なさそうに後ろ髪を掻いた。
「そういや……ここ、どこだ?」
俺は疑問を訊くと共に青年から手を放し、辺りを見回すと、先ほどの森とは違う、荒野に俺達は居た。
……まさか、転移魔法? 使い手の中々いない貴重なものの筈だが。
「取り敢えず、ここから離れたいな。移動するからこの馬車に乗って」
この馬車……というのは、ヒルダという名前らしき女の後ろにあるもののことだろう。
ヒルダはナイフを降ろすと、舌打ちした後に「乗りな」と言い、親指を馬車に向けた。
「大丈夫」
ふと青年に顔を向けると、青年はそう言いながら微笑を浮かべた。
次に、アミちゃん、リグの順に顔を見合わせる。リグは少し良くなったものの、まだ体調は悪そうだ。アミちゃんも、不安感を顔に出している。
判断しなければ……俺が。
なら、間違える訳にはいかない。
だから━━
「ひとつだけ、聞かせてくれ」
青年と女は、俯く俺に視線をやった。
「あんた達は、何者なんだ?」
俺の問いに、青年はなんでもないように答えた。
「僕たちは━━レジスタンスだ」
「はっ…………?」
俺はその光景に唖然としていた。
黒い……炎。
だが完全な黒ではない。少し紫も混ざっている。
これも魔法……なのか?
「間に合ったみたいだね」
印象は、好青年。そんな声が、リグのすぐ隣から発せられた。
「うおっ、誰!?」
そこにいたのは、黒をベースに黄色のラインの入ったフードを羽織っている、砂色の肌━━つまり俺達よりちょっとだけ色が濃い━━を持った、タガくらいの年齢の男が居た。
よく見ると、耳が俺達より僅かに鋭く尖っている。魔族だ。
「話は後。それより、生き残ったのは君達だけかい?」
俺はその言葉で気を取り直し、ふるふると首を左右に振った。
「いや、もうひとり……」
「その子はどこ?」
「あっ、そこの洞穴……です」
人数を俺が答え、場所はリグが指した。
「わっ、あんな近くに居たのか。危な。いや、それより、あそこの子、かなり弱っているね」
魔族の青年は、淡々と喋る。
てか、見えていないアミちゃんの状態まで分かるのか。凄いな。
「ここだとちょっと喧しいな……。二人とも、もうひとりの子を連れてきて。僕と一緒に逃げよう」
「は、はい!」
俺はやや大きめな声で返事し、アミちゃんのいる洞穴へ向かう為、後方に身を回した。
そのまま駆け足で洞穴まで行き、顔を突っ込む。
「アミちゃん!」
穴内を覗くと、アミちゃんは隅で三角座りで身を震わしていた。
「アミちゃん、俺だ! ヴルヘリット! 逃げよう!」
名前なんか言わなくても俺の正体には気づいていただろうが、何故か俺はそう叫んでいた。
アミちゃんは、ゆっくりと顔を上げる。
「ヴル……私……私……ごめんなさい…………」
「アミちゃんがなんで謝ってんのかはわかんないけど、それは後で聞くから、今は逃げよう!」
「逃げるって、どこによ」
その言葉で、はたと気づく。
そういえば、場所は教えてもらってなかったな。でも、ひとつだけ、これだけは言えた。
「場所はわからない。でも、信用できる人と逃げる!」
アミちゃんは一瞬呆気にとられ、その後、くすりと笑った。
「バッカじゃないの? ……でも、わかった。連れてって、ヴル」
アミちゃんが右手を差し出して来たので、俺はその手を握った。
ゆっくり身体を起こさせ、穴外へ出る。
「お待たせ……しました」
魔族の青年は俺達を見ると、寂しそうな笑顔を浮かべた。
「うん。それじゃあ行こうか」
青年は俺達に背を向ける。
「僕に掴まって」
俺達三人は頷き、言われた通り服を掴んだ。
「ちょっと驚くことが起きるけど、手は放さないでね」
青年がそう口にした一秒後、ぐにゃりと世界が歪んだ。
何秒か水の中を浮遊している感覚に苛まれた後、地面の感覚が足裏から伝わる。……終わったのだろうか。
「うっ……」
すると、リグがどさっ、と地面に膝と手を着いた。
「なっ、てめっ、リグに何した!」
俺が青年に掴み掛かると、どこからか声が発せられた。女性の声だ。
「おい、お前。その手ェ放せ」
声の方向に振り向くと、茶髪の髪の長い女が、俺にナイフの切っ先を向けていた。
この女も耳が尖っている。肌も青年と似たような色……魔族だ。
「まぁまぁ、落ち着いて、ヒルダ。君とリグ君もごめんね。多分、酔わせちゃったんだ」
「酔った? 酔った、だけ?」
「うん。そうだよ。……皆ごめんね。驚いたよね」
青年は申し訳なさそうに後ろ髪を掻いた。
「そういや……ここ、どこだ?」
俺は疑問を訊くと共に青年から手を放し、辺りを見回すと、先ほどの森とは違う、荒野に俺達は居た。
……まさか、転移魔法? 使い手の中々いない貴重なものの筈だが。
「取り敢えず、ここから離れたいな。移動するからこの馬車に乗って」
この馬車……というのは、ヒルダという名前らしき女の後ろにあるもののことだろう。
ヒルダはナイフを降ろすと、舌打ちした後に「乗りな」と言い、親指を馬車に向けた。
「大丈夫」
ふと青年に顔を向けると、青年はそう言いながら微笑を浮かべた。
次に、アミちゃん、リグの順に顔を見合わせる。リグは少し良くなったものの、まだ体調は悪そうだ。アミちゃんも、不安感を顔に出している。
判断しなければ……俺が。
なら、間違える訳にはいかない。
だから━━
「ひとつだけ、聞かせてくれ」
青年と女は、俯く俺に視線をやった。
「あんた達は、何者なんだ?」
俺の問いに、青年はなんでもないように答えた。
「僕たちは━━レジスタンスだ」
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