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11:レジスタンスの野望
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馬車に揺らされ約二時間、とある廃屋にたどり着いた。
「到着っと……お待たせ。ここが僕達レジスタンスの臨時基地だよ」
馬車から降り、景色を見渡す。
広野地帯からは抜けていたようで、辺りには植物が繁茂していた。
廃屋は二階建てのもので、廃墟の城……は言い過ぎだが、貴族の別荘くらいの大きさは誇っている。苔や蔦が絡み付いているため、現状では貴族などとてもじゃないが住めないだろうが。
「私達……どうなっちゃうんだろうね」
リグに続いて降りてきたアミちゃんが、ぼそりとそう呟いた。
馬車の中では誰も何も喋らなかったので、実に二時間ぶりの会話である。
「大丈夫だよ……なんかあっても、俺が二人を守るから」
アミちゃんは、強張らせていたその表情を僅ながらにも緩めた。
しかしヴルは、リグがその言葉で微妙に訝しんでいたことまでは気付かなかった。
「なんだ。まだ不安かい? ……まぁ、無理もないか」
気づくと、背後にあの青年が聞き耳を立てていた。
「レジスタンスにしては趣味が悪いですよ、聞き耳立てるなんて……」
青年はごめん、と素直に謝罪した。
「そういえば、まだ名乗っていなかったね。僕はグリトス・ヴァーナ・ディメンド。一応レジスタンスのリーダーだよ」
一応ってなんだよ、と思いつつ、こうなったら此方も名乗らなければいけなくなったので、俺は自らの名を出した。
「俺はヴルヘリットです」
続いてリグとアミちゃんも名乗る。
「リグルスです……」
「……アミスタ」
少々不躾な自己紹介になってしまったが、未だ完全に信用出来ていないので致し方なかった。
もちろん、助けてくれた事には絶大なる感謝をしているが、完璧な信用をするにはまだ早い。実はレジスタンスというのも嘘で……ということになったら取り返しがつかないからだ。
「ヴルヘリット、リグルス、アミスタ。……うん。覚えた。改めて宜しくね、三人とも」
俺は差し出されたグリトスの右手をやや強引に掴んだ。
もうすっかりこの三人のリーダーのような立ち位置になってしまったが、柄じゃないんだよなぁ、と肩を落とす。
「さて、立ち話も何だし、中に入ろう」
俺達はグリトスの誘うままに臨時アジトに足を踏み入れた。
中は埃っぽく、空気を吸うだけで病気になりそうな程だが、思っていたより汚くはない。清掃したのただろう。
「さてさて、座って。話をしよう」
「話?」
俺は反射的に脳内に沸いた疑問をぶつける。
「そう。話。君たちからの質問は、基本何でも答えるよ」
え、今なんでもって……という単語が脳裏に浮かぶ手前にかぶりをふり、雑念を払った。
「ヴル……」
そうリグに声をかけられた俺は、大丈夫、と首を立てに振る。
「えっと、じゃあ、レジスタンスの目的は……? あと、俺達ってこれからどうなるんですか?」
「うん。ひとつずつ答えていくね。まず、僕たちレジスタンスの目的から」
その返答により、俺は焦っていることに気づかされる。
「僕たちレジスタンスの目的は……端的に言えば、世界平和かな」
……まぁ、レジスタンスのいうくらいなのだから、その返答は予想できた。レジスタンスとは元々は権力に逆らうという意味だが、そうした末に世界平和を手に入れたい。という意味なのだろう。
「次に君たちの処遇だけど……これは最後にするよ。ごめんね」
「え? あ、はい」
理由が察せないことから少し疑念を抱くが、何かあればすぐに逃げればいい話だし、今は放っておく。
「ほかには?」
「え、えっと、じゃあ……レジスタンスって普段どんな活動してるんですか?」
「……なるほど。良い質問だね。僕たちは、基本的に奴隷を解放したり、貧しい人達に支援をしたりしているよ」
なるほど、確かに、反社会派組織にしか出来ないことかもしれない。
「あの……因みにお金ってどこからでてるんですか? 結構かかりますよね」
「ほほう、なかなか鋭い質問をするね。いいよ。お金はあまり誉められたことじゃないけど、貴族から奪ってるんだ。もちろん、善良な人からは奪ってないよ。非倫理的事業で稼いでたり、あまりに粗暴なものに限り頂戴している」
……なるほど、要するに義賊ってわけか。特定の人からは支持を得られるだろうが、確かに誉められたことではない。つまるところ強盗であることに変わりはないのだから。
「ほかには? 今日は時間がある。何でも聞いてね」
グリトスがそう俺たちに微笑みかけた時、廊下を走る音が聞こえてくる。
そしてその足音は、俺達の居る部屋に近づいて……。
「大変です! 大型魔獣がこちらに近づいております!」
そこに現れたのは、金髪白肌の美しい少女だった。
「到着っと……お待たせ。ここが僕達レジスタンスの臨時基地だよ」
馬車から降り、景色を見渡す。
広野地帯からは抜けていたようで、辺りには植物が繁茂していた。
廃屋は二階建てのもので、廃墟の城……は言い過ぎだが、貴族の別荘くらいの大きさは誇っている。苔や蔦が絡み付いているため、現状では貴族などとてもじゃないが住めないだろうが。
「私達……どうなっちゃうんだろうね」
リグに続いて降りてきたアミちゃんが、ぼそりとそう呟いた。
馬車の中では誰も何も喋らなかったので、実に二時間ぶりの会話である。
「大丈夫だよ……なんかあっても、俺が二人を守るから」
アミちゃんは、強張らせていたその表情を僅ながらにも緩めた。
しかしヴルは、リグがその言葉で微妙に訝しんでいたことまでは気付かなかった。
「なんだ。まだ不安かい? ……まぁ、無理もないか」
気づくと、背後にあの青年が聞き耳を立てていた。
「レジスタンスにしては趣味が悪いですよ、聞き耳立てるなんて……」
青年はごめん、と素直に謝罪した。
「そういえば、まだ名乗っていなかったね。僕はグリトス・ヴァーナ・ディメンド。一応レジスタンスのリーダーだよ」
一応ってなんだよ、と思いつつ、こうなったら此方も名乗らなければいけなくなったので、俺は自らの名を出した。
「俺はヴルヘリットです」
続いてリグとアミちゃんも名乗る。
「リグルスです……」
「……アミスタ」
少々不躾な自己紹介になってしまったが、未だ完全に信用出来ていないので致し方なかった。
もちろん、助けてくれた事には絶大なる感謝をしているが、完璧な信用をするにはまだ早い。実はレジスタンスというのも嘘で……ということになったら取り返しがつかないからだ。
「ヴルヘリット、リグルス、アミスタ。……うん。覚えた。改めて宜しくね、三人とも」
俺は差し出されたグリトスの右手をやや強引に掴んだ。
もうすっかりこの三人のリーダーのような立ち位置になってしまったが、柄じゃないんだよなぁ、と肩を落とす。
「さて、立ち話も何だし、中に入ろう」
俺達はグリトスの誘うままに臨時アジトに足を踏み入れた。
中は埃っぽく、空気を吸うだけで病気になりそうな程だが、思っていたより汚くはない。清掃したのただろう。
「さてさて、座って。話をしよう」
「話?」
俺は反射的に脳内に沸いた疑問をぶつける。
「そう。話。君たちからの質問は、基本何でも答えるよ」
え、今なんでもって……という単語が脳裏に浮かぶ手前にかぶりをふり、雑念を払った。
「ヴル……」
そうリグに声をかけられた俺は、大丈夫、と首を立てに振る。
「えっと、じゃあ、レジスタンスの目的は……? あと、俺達ってこれからどうなるんですか?」
「うん。ひとつずつ答えていくね。まず、僕たちレジスタンスの目的から」
その返答により、俺は焦っていることに気づかされる。
「僕たちレジスタンスの目的は……端的に言えば、世界平和かな」
……まぁ、レジスタンスのいうくらいなのだから、その返答は予想できた。レジスタンスとは元々は権力に逆らうという意味だが、そうした末に世界平和を手に入れたい。という意味なのだろう。
「次に君たちの処遇だけど……これは最後にするよ。ごめんね」
「え? あ、はい」
理由が察せないことから少し疑念を抱くが、何かあればすぐに逃げればいい話だし、今は放っておく。
「ほかには?」
「え、えっと、じゃあ……レジスタンスって普段どんな活動してるんですか?」
「……なるほど。良い質問だね。僕たちは、基本的に奴隷を解放したり、貧しい人達に支援をしたりしているよ」
なるほど、確かに、反社会派組織にしか出来ないことかもしれない。
「あの……因みにお金ってどこからでてるんですか? 結構かかりますよね」
「ほほう、なかなか鋭い質問をするね。いいよ。お金はあまり誉められたことじゃないけど、貴族から奪ってるんだ。もちろん、善良な人からは奪ってないよ。非倫理的事業で稼いでたり、あまりに粗暴なものに限り頂戴している」
……なるほど、要するに義賊ってわけか。特定の人からは支持を得られるだろうが、確かに誉められたことではない。つまるところ強盗であることに変わりはないのだから。
「ほかには? 今日は時間がある。何でも聞いてね」
グリトスがそう俺たちに微笑みかけた時、廊下を走る音が聞こえてくる。
そしてその足音は、俺達の居る部屋に近づいて……。
「大変です! 大型魔獣がこちらに近づいております!」
そこに現れたのは、金髪白肌の美しい少女だった。
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