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01 反転、暗転。
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俺は人間が嫌いだった。
滅びてしまえばいいとさえ思っていた。
━━あの二人に、手を差し伸べられるまでは。
「━━行ったぞアッシュ!」
俺は仲間であるリーゲルシュタインの声に「おう」と反応を示す。
「『闇よ、我が力となり敵を穿て。シュライド』!」
俺は呪文を唱え武器に黒い靄のようなものを纏わせ、その大鎌を敵モンスターである《リュカウス》に叩き込む。
人狼モンスターリュカウスは、断末魔を鬱蒼と茂るこの森中に轟かせた後、光の粒となり消滅した。
「ナイス、アッシュ! イエーイ!」
するとリーゲルシュタインが俺に近づき、手を掲げた。
荒くなった呼吸で仮想の空気を出し入れしつつ、俺は掲げられた右手に自らの右手を軽く叩きつける。
「二人とも、待ってぇー……」
俺達がハイタッチを交わすと、数メートル先からもう一人の仲間であるワサラハが駆け寄る。
「遅いぞワサラハ。もうリュカウス倒しちゃったぞ」
リーゲルシュタインがそう告げると、ワサラハは淡い黄緑の髪を揺らしながら、驚きのあまり身体を軽く仰け反らせた。
「え、もう!? すごいね二人とも!」
「ま、トドメを指したのはアッシュだけどな」
「いや、リゲルのアシストがあったからこそだよ」
俺達が評価し合っていると、パーティのリーダーであるリーゲルシュタインことリゲルが、とある提案を口にする。
「ま、取り敢えずこの辺りにモンスターの気配は無いし、ここらで少し休んでいこうぜ」
反対するものはいなかったので、俺達は各々好きな場所に腰を掛けた。因みに、俺は倒れた樹木に、リゲルは地面、ワサラハは丁度いい大きさの剥き出し岩石に座った。
「いやー、このゲームを初めてまだ一ヶ月とはいえ、俺達かなり成長したよな」
リゲルが目の前に出された半透明のウィンドウを弄りながらそう呟いた。
俺は「そうだね」と肯定しつつ、二人の姿を見てみる。
リゲルは上半身はガチガチの金属装備で、ズボンに直接レギンスを穿いている状態だ。しかし上半身の金属装備はメッキ……よりは少し鈍いが、木漏れ日に辺りてらてらと輝いている。その輝きも彼の赤髪とも合っていた。
背に指している剣も、投げ捨てられたかのように置いてある盾も、初期装備の頼りないものと比べると、というより全く比べられない程に逞しくその存在感を放っている。
今度は淡い黄緑のボブを指先で弄っているワサラハに視線を移す。
彼は種族を妖精属に選択したので、耳が長く先端が尖っており、内面的な事だが魔力も高い。
その魔力を生かす為に魔法使いになったが、少々ドジなところもある。先ほども木の根っこに躓き、戦闘中だった俺達に置いてきぼりにされたばかりだ。
しかしそれを除けば優秀な魔法使いに違いない。その証に身に付けている装備も少し派手目でカッコ良く、手に持つ値段の張ったその杖から放たれる魔法は実際強力だ。
「あー、なんか眠くなってきたな。確かこの先の村に宿屋があったから、そこについたら落ちようぜ」
空を見上げれば、木々の隙間から青空が除いている。そんな時間帯だが、現実はもう夜だ。時刻は恐らく深夜の一時頃。
この世界━━VRゲームのロストアースは、現実世界との時間を同化させていない。
ロストアースはどこにでもあるようなシンプルなファンタジー系オンラインゲームだ。
そしてこの世界は1日十二時間しか無いため、夜中にプレイしてもまだ明るかったりする。
「じゃ、ちょっと面倒だけど、行くか。確か向こ━━」
リーゲルシュタインが立ち上がると、正確には立ち上がろうとして、地面に倒れた。
「リゲルっ、どうし━━」
俺がそう言いかけると、目の前が激しく点滅した。まるでジャミングのような……。白と黒との斑の光に、思考と意識が奪われる。視界の端に写るのは、踞っているワサラハと、ぐったり倒れたリゲルだった。
なんだこれ……。
状況を整理する間もなく、俺の視界は暗転する。
━━━━━━━━━━━━━━━━
「……っ!? げほっ、はぁ、はぁ」
俺は噎せ返したように息を吐き、目覚めた。
ここは現実だろうか。そんな疑問は一秒で消えた。地面が草なのだ。森なので多少禿げているが。
「ここは……ロスアス? てか、二人とも平気?」
ロスアス……ロストアースの略称を呟きながら、二人の安否を確認する。
顔は見えないが、二人とも跪く形で起き上がろうとしている。
二人が無事でほっと息をつくが、その途端にもやもやと謎の感覚に見舞われる。
なんだろう。この感覚は。
身体が僅かだか重く、少しくすぐったい感じ。
しかし、この感覚の正体が明らかになる前に、リゲルが我を取り戻した為、一先ず考えないようにした。
「あー、頭痛ぇ……っ!? 誰だお前……?」
頭を上げたリゲルは、俺に向かいそう質した。
滅びてしまえばいいとさえ思っていた。
━━あの二人に、手を差し伸べられるまでは。
「━━行ったぞアッシュ!」
俺は仲間であるリーゲルシュタインの声に「おう」と反応を示す。
「『闇よ、我が力となり敵を穿て。シュライド』!」
俺は呪文を唱え武器に黒い靄のようなものを纏わせ、その大鎌を敵モンスターである《リュカウス》に叩き込む。
人狼モンスターリュカウスは、断末魔を鬱蒼と茂るこの森中に轟かせた後、光の粒となり消滅した。
「ナイス、アッシュ! イエーイ!」
するとリーゲルシュタインが俺に近づき、手を掲げた。
荒くなった呼吸で仮想の空気を出し入れしつつ、俺は掲げられた右手に自らの右手を軽く叩きつける。
「二人とも、待ってぇー……」
俺達がハイタッチを交わすと、数メートル先からもう一人の仲間であるワサラハが駆け寄る。
「遅いぞワサラハ。もうリュカウス倒しちゃったぞ」
リーゲルシュタインがそう告げると、ワサラハは淡い黄緑の髪を揺らしながら、驚きのあまり身体を軽く仰け反らせた。
「え、もう!? すごいね二人とも!」
「ま、トドメを指したのはアッシュだけどな」
「いや、リゲルのアシストがあったからこそだよ」
俺達が評価し合っていると、パーティのリーダーであるリーゲルシュタインことリゲルが、とある提案を口にする。
「ま、取り敢えずこの辺りにモンスターの気配は無いし、ここらで少し休んでいこうぜ」
反対するものはいなかったので、俺達は各々好きな場所に腰を掛けた。因みに、俺は倒れた樹木に、リゲルは地面、ワサラハは丁度いい大きさの剥き出し岩石に座った。
「いやー、このゲームを初めてまだ一ヶ月とはいえ、俺達かなり成長したよな」
リゲルが目の前に出された半透明のウィンドウを弄りながらそう呟いた。
俺は「そうだね」と肯定しつつ、二人の姿を見てみる。
リゲルは上半身はガチガチの金属装備で、ズボンに直接レギンスを穿いている状態だ。しかし上半身の金属装備はメッキ……よりは少し鈍いが、木漏れ日に辺りてらてらと輝いている。その輝きも彼の赤髪とも合っていた。
背に指している剣も、投げ捨てられたかのように置いてある盾も、初期装備の頼りないものと比べると、というより全く比べられない程に逞しくその存在感を放っている。
今度は淡い黄緑のボブを指先で弄っているワサラハに視線を移す。
彼は種族を妖精属に選択したので、耳が長く先端が尖っており、内面的な事だが魔力も高い。
その魔力を生かす為に魔法使いになったが、少々ドジなところもある。先ほども木の根っこに躓き、戦闘中だった俺達に置いてきぼりにされたばかりだ。
しかしそれを除けば優秀な魔法使いに違いない。その証に身に付けている装備も少し派手目でカッコ良く、手に持つ値段の張ったその杖から放たれる魔法は実際強力だ。
「あー、なんか眠くなってきたな。確かこの先の村に宿屋があったから、そこについたら落ちようぜ」
空を見上げれば、木々の隙間から青空が除いている。そんな時間帯だが、現実はもう夜だ。時刻は恐らく深夜の一時頃。
この世界━━VRゲームのロストアースは、現実世界との時間を同化させていない。
ロストアースはどこにでもあるようなシンプルなファンタジー系オンラインゲームだ。
そしてこの世界は1日十二時間しか無いため、夜中にプレイしてもまだ明るかったりする。
「じゃ、ちょっと面倒だけど、行くか。確か向こ━━」
リーゲルシュタインが立ち上がると、正確には立ち上がろうとして、地面に倒れた。
「リゲルっ、どうし━━」
俺がそう言いかけると、目の前が激しく点滅した。まるでジャミングのような……。白と黒との斑の光に、思考と意識が奪われる。視界の端に写るのは、踞っているワサラハと、ぐったり倒れたリゲルだった。
なんだこれ……。
状況を整理する間もなく、俺の視界は暗転する。
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「……っ!? げほっ、はぁ、はぁ」
俺は噎せ返したように息を吐き、目覚めた。
ここは現実だろうか。そんな疑問は一秒で消えた。地面が草なのだ。森なので多少禿げているが。
「ここは……ロスアス? てか、二人とも平気?」
ロスアス……ロストアースの略称を呟きながら、二人の安否を確認する。
顔は見えないが、二人とも跪く形で起き上がろうとしている。
二人が無事でほっと息をつくが、その途端にもやもやと謎の感覚に見舞われる。
なんだろう。この感覚は。
身体が僅かだか重く、少しくすぐったい感じ。
しかし、この感覚の正体が明らかになる前に、リゲルが我を取り戻した為、一先ず考えないようにした。
「あー、頭痛ぇ……っ!? 誰だお前……?」
頭を上げたリゲルは、俺に向かいそう質した。
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