ゲームしてたら友達と一緒に異世界転移したけど、悪魔だからパーティからハブられた。

勇崎シュー

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06 魔王軍、入隊

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 深淵をくぐると、その先は暗い部屋だった。
 部屋角には燭台が置かれ、篝火が仄かにその場を照らす。それは場に限らず、人も例外ではない。
 薄暗く分かりづらいが、パッと見七人の人間(?)が座していて、俺と少女を含めると、この部屋には九人の人間が居ることになる。それでも窮屈に感じないあたり、この部屋の広さが窺える。

「おや、魔王様、そいつは」

 魔王?
 そいつというのは間違いなく俺である筈だが、魔王様は……まさかこの少女? しかし、見た目は俺より三つか四つは下だ。にわかに信じられない。

「この子は私が拾った。経緯はよく分からないけど、人間に拷問を受けされられてたから、助けたの。それから、今日からこの子はウチの軍に入ることになったから、宜しく」

 その言葉によって、少し場がざわつく。
 というかこの人達、よく見るとモンスター?

「ほら、自己紹介とかしなさい」

 俺は魔王様に肘でつつかれ、かくかく頷きながら口を開いた。

「名前はアッシュです。えっと……宜しくお願いします」

 名前以外にも何か喋ろうとしたが、何も浮かばなかったので軽く頭を下げ終了させた。
 すると、目の前に横長の半透明なウィンドウが出現する。上部には『魔王軍に参加しますか』と表示されており、その下には『はい』と『いいえ』を選択するボタンが付けられている。
 確か、これはギルドに入隊するときに出現するものの筈だ。今までギルドに入ることのなかった俺は、少しの躊躇いと共に『はい』のボタンを押した。

「では、今日からあなたは『魔王軍初等兵アッシュ』よ。任務は明日から任せることにするわ。今日はもう休みなさい」

 魔王様はそう言うと、自身のウィンドウを動かした。すると左下に表示されていた俺のマップに、目的地ピンが現れる。ここで休めと言うことだろう。
 そして、マップを見て気がつく。左上の地名表示欄に、魔界と書かれていた。
 魔界? そんな場所、ロスアスにあったか?

「私達はこれから会議をするからここに残るけど……」

 魔王様のその言葉に、俺は色々察した。

「なるほど。じゃあ、お疲れ様でした。あっ、そういえばまだお礼言えて無かったな。助けてくれて、ありがとうございました」
「うん。野良悪魔でここまで行儀が良い子はなかなかいない。感心ね。それじゃあ、お疲れ様」

 俺は会釈し、部屋を出ようとするが……

「ん? どうしたのアッシュ」
「…………えっと、出口どこですか?」

 俺の疑問に、一人の魔族が軽く吹き出した。
 ……しょうがないだろ。暗くて扉もよく見えないんだから。





 目が覚めた。不快感は伴っていない。当たり前か。
 ウィンドウを開く。確認したが、ログアウトボタンは無い。
 昨夜、熟睡するまでに色々と今の状況について考察してみた。だが、どう考えても行き着く先は同じなのだ。

 ……ここ、異世界じゃね?

 それが答えだった。
 理由としては、まずこのゲームのNPCは、重要なキャラ以外は喋ることはない。話しかけると視界に文字が現れるだけなのだ。
 しかし、目眩のあったあの瞬間から、その現象はきっぱり無くなっていた。
 怒濤の数日を生きてきたので、考える時間がなく疑問に思う暇さえ無かったのがイマイチ不思議だが、それは一時的に脳の隅に置いておく。
 とにかく、この世界はゲームでは説明がつかないことが多すぎるのだ。

「異世界転移したけど、悪魔だからパーティからハブられました……ってか」

 まぁ、実際には経緯的に離ればなれになってしまっただけなのだが。
 俺は朝から苦い笑みを浮かべた。
 気を取り直して、ベッドから起き上がり、ウィンドウを操作して寝間着から防具に着替えると、唐突にドアがノックされた。

「誰だろ……管理人さんかな」

 独り言を溢しながら、部屋奥にある扉に向かう。
 木製の取手を回し開くと、そこにはアッシュと同年代位の少年が居た。

「どうも。アッシュさんですよね? 僕はサクト。あなたの教育係に任命されたものです」

 気弱そうな少年が、そう言いながらぎこちない笑みを送ってきた。

「……あ、そうですか。まぁ、立ち話もアレですし、部屋、入ります?」
「そうですね。お言葉に甘えさせてもらいましょうか。お邪魔します」

 サクトと言う名の少年が、軽い一礼と共に入室する。
 第一印象としては、真面目な少年といったところか。
 耳は魔族特有の形をしているが、それ以外は特に人間と変わらない容姿だ。いや、よく見ると小さな角が二本生えている。因みに、俺には生えていない。
 魔族は同じ種族でもこのような外見的特徴が大きく異なる事があるから面白い。

「まぁ、教育係と言っても魔王軍の掟だの昇格する方法だのを説明するだけなんですけどね」

 サクトは申し訳なさそうに笑った。

「では、早速ですがクエストを受けてみましょう。一度クエストをこなせば、魔王軍について大体理解出来ます」

 真剣な顔つきのサクトに、俺は気圧される形で頷いた。
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