ゲームしてたら友達と一緒に異世界転移したけど、悪魔だからパーティからハブられた。

勇崎シュー

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07 依頼、以来

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「ふッ!」

 息を刹那に吐きながら、まだ自らのものでない剣を振るう。

「どうですか、その剣は」

 サクトに訊かれた俺は、剣の柄や刃に目をやりながら軽く頷く。

「うん。丁度良い軽さだし、手にも馴染む。今までで一番合うかも」

 俺達は、武具屋に来ていた。
 と、いうのも、俺の愛用していた鎌はどこかに置いてきてしまったので、新しい武器を買いに来ていたのだ。
 替えの武器も持っていなかったわけでは無かったが、せっかくなので魔族の武具屋を見てきたが、どこも禍々しいデザインのカッコいい武器ばかり置いてあって、ぶっちゃけ興奮した。

「その剣、買っちゃいますか?」

 サクトにそう訊かれ、改めて剣を眺めた。
 刀身は赤みを帯びた茶色で、まるで高温で熱した銅のようだ。柄や持ち手は赤のラインの入った黒いデザインで、悪魔っぽくてカッコいい。
 買って損はない……かな。

「よし、買っちゃおう! 値段は……高っ!」

 俺はその値段に驚愕した。
 なんと八万七千φゲルもする。これを購入すれば財布のなかはほぼ空になる。
 どうしたものか……。

「あの、ボクも少し出しましょうか?」

 それは、予想だにしない提案だった。
 俺が硬直していると、何故か発言者のサクトは申し訳なさそうに笑っている。

「いや、それはいくらなんでもわるいよ。それに俺、確か高く売れるアイテムもいくつか持ってたし、それ売ればお金には困らないから」

 サクトは「そうですか」と、少し残念そうだ。

「……なんで会ったばかりの俺に、そこまでしてくれんだ?」

 俺は胸の内にある疑問をそのままぶつけた。
 サクトはきょとんとした後、俯き仄かな笑みを浮かべて淡々と喋り始めた。

「なんというか、困ってる人はなるべく助けたいというか……ボクが困ってるときは、誰にも助けてもらえなかったから、逆に、みたいな」

 サクトは頬をぽりぽりと掻いた。

「……普通そういう時って、誰のことも助けたくなくなっちゃわない?」

 聞いた後に、聞くんじゃなかったと少し後悔した。
 そんなの個人の勝手だし、サクトの考えは間違ったものではないと思えるから、余計な口出しは不要だと思ったのだ。
 しかし、出てしまったものを今更なかったことには出来ない。

「ボクは……」

 サクトは壁に背を凭れた。

「ボクが誰かを助ければ、その人も誰かを助けるようになるかもしれない。そう考えたら、もう誰かを助けないなんて発想、でなくなっちゃったよ」

 サクトは不器用にはにかんだ。
 心の奥が、ちくちく痛い。
 その痛みを振り払うように、俺は首を振った。
 
「すごいな。サクトは」

 サクトが不意を突かれたように顔を上げた。

「俺、この剣買ってくる」

 俺は逃げるように、店のカウンターへ向かった。




 
  魔界の森にて。

「『闇よ、我が力となりて敵を穿て。シュライド』!」

 俺は新たな剣で《シュライド》を放ち、目の前にいる植物モンスター《ナデッドウッズ》を斬り伏せる。
 俺達の受けたクエストは、このナデッドウッズから稀にドロップするアイテム、《深緑の苦葉》を十枚集めるものだったのだ。

「コォォォアァァァ……」

 奇怪な断末魔を上げ、ナデッドウッズは絶命した。
 俺が大きく息を吐くと、サクトが駆け寄ってくる。

「すごいねアッシュ! 一撃なんて、レベルいくつなの? あ、勿論言いたくないなら言わなくて大丈夫だけど」
「いや、サクトになら教えてもいいよ。えっと……62、だね」

 サクトの気遣いに微笑を浮かべつつ、俺はウィンドウを開いて確認し、正確な情報を伝えた。
 するとサクトは、予想外の反応を見せる。

「……やさしいね。アッシュは」
「えっ?」

 その呟きの真相を語ることなく、サクトは霧深いこの森の奥へ歩き出した。
 数秒呆けていた俺は、我を取り戻した瞬間慌てて追った。

 ━━なんか、こうしてパーティで動いていると、ふたりのことを思い出しちゃうな。

 リーゲルシュタイン、ワサラハ、このふたりには未だ連絡が取れていない。
 何故かはわからないが、フレンド機能が消失していたのだ。故に、チャット機能も使えず、連絡手段が無くなってしまった。

「はぁ……」

 俺は誰にも訊かれないように、小さくため息を出した。
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